恋柱の継子、人の恋路に世話を焼く   作:大同爽

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更新遅くなりすみません!
最新話です!
始まりました遊郭編、二話目です!
薬売りとして潜入した楓子ちゃん一行、果たして彼女たちは堕姫にたどり着くことが出来るのか!?






恋59 恋柱の継子と形式的な罰

 

「で、何かわかったか?」

 

「ボチボチですねぇ~」

 

 藤の花の家紋の家の一室、対面に座る宇髄様の問いに私は答える。

 

「正直もう一息確証が得られないんですよね。件の問題になっている鬼は『京極屋』の蕨姫花魁でほぼ確定なんですが、問題の移動方法がわからないことには逃げられてしまう危険性もありますし……」

 

「たく…巧妙に隠してるもんだぜ」

 

 私の報告に宇髄様がため息をつく。

 

「一応予想は立ててるんですが、確証がありませんし……」

 

「予想?」

 

 宇髄様の問いに

 

「ええ、こうも情報がないと自分でも予想してその可能性を潰していくのが早いかと思っていろいろ考えてみたんです。人からの受け売りですが、不可能なものを除外していって残ったものが、たとえどんなに信じられなくてもそれが真相なんです。なので不可能なもの、不自然なものを私なりに除外して予想を立ててみたんです」

 

 頷きながら言う。

 

「まず最初に考えたのは普通に建物と建物を跳び越えて移動している可能性。これは鬼の身体能力を持ってすれば難しくありません。でも――」

 

「人目につく危険性があるな」

 

「その通りです。一度や二度なら出来るかもしれませんが、行方不明者の数を考えると現実的ではありません。吉原は夜中まで煌々と明かりがともっているし人通りもあるので必ずどこかで見つかります。なのでこの案は早々に私も排除しました」

 

 宇髄様の言葉に頷き答える。

 

「そんな感じで可能性を一つずつ消していった結果、今私が一番可能性が高いと思われる移動方法は――」

 

 言いながら私は下を指さす。

 

「敵は地下を移動しているのではないかと思います」

 

「地下…だと……ッ!?」

 

 私の言葉に宇髄様が驚きに眼を見開く。

 

「もともとそう言う地下通路があったのか、はたまた血鬼術によるものなのかわかりませんが、それが一番理に適っている気がするんですよ」

 

「……確かにな」

 

 私の言葉に宇髄様が頷く。

 

「建物と建物を跳び越えるだとかよりもそれなら人目につかねぇ。いくつかの店に道を繋いでおけば目星をつけた標的を攫うことも簡単だ。だが――」

 

「ええ、問題はそれを確かめる術が無いってことです」

 

 私はため息をつきながら頷く。

 

「宇髄様や善逸君の様に耳のいい人なら音で探せますが、その穴の中を何かが通るなどして音がしなければわからないでしょうし」

 

「往来のど真ん中の地面や店ん中で床や壁に耳当てて聞き耳立ててりゃ派手に怪しいしなぁ」

 

「そうなんですよねぇ……それにもう一つ問題があって――」

 

 言いながら私は苦笑いを浮かべ

 

「これはあくまで現実的に人目につかずに移動する方法を考えただけです。血鬼術を使って想像もつかない方法で移動されていたらお手上げですね」

 

「本当に改めて派手に厄介だな、血鬼術ってのは……」

 

 言いながら私と宇髄様は揃ってため息をつく。

 

「まあでも、今回ちょっと進展があったんですよ」

 

「進展?」

 

「炭治郎君が『ときと屋』で客ともめたじゃないですか」

 

「ああ……というかそれのどこが進展なんだ?庇ってくれた花魁がいたからいいものの下手すりゃ出禁になる派手に大失態じゃねぇのか?」

 

 宇髄様がジトッと睨むように言う。

 

「まあまあ、そうならなかったからいいじゃないですか。それより、その件で改めて女将さんと相談したんですけど、形式的な罰を炭治郎君に与えようということになったんですよ」

 

「罰だぁ?」

 

「はい。一応店側もこちらも納得して手打ちにはしてますが、経緯を知らなければ、うちは取引先のお客に手を上げてますし、店側もそれを無罪放免にしてる、ってなるわけですからお互いに損しかありません。でも形式的でも罰を受けていればちゃんとそこで終わりにできるんですよ。そんなわけで炭治郎君には今日から三日間『ときと屋』で従業員に交じって無償で雑用に就いてもらうことになりました」

 

「いや、それは確かに今後の調査のためにもその方がいいんだろうがよぉ…結局それのどこが進展してるってことになるんだ?」

 

 宇髄様は怪訝そうに訊く。

 

「つまりですね、今のまま薬売りとして入るよりも従業員として働けば深く調査できます。しかも雑用なので荷物運んだり掃除したりするわけですからあちこち調査しやすくなると思うんですよ。炭治郎君は鼻が利きますから掃除しているふりしてれば床に這いつくばっていても怪しまれないですし」

 

「なるほどなぁ…それは確かに派手に有効な調査が出来そうだ」

 

「ええ。鬼の残り香とか痕跡が見つかればそこから移動方法もわかるかもしれませんし、仮に先程の私の予想が正しいならその出入り口も見つかるかもしれませんしね」

 

 納得したように言う宇髄様に私は頷き

 

「なので、この三日間が勝負です。この三日間で炭治郎君が痕跡を見つけられなければ、かなり厄介なことになるでしょうね」

 

「だな……」

 

 宇髄様は重く頷く。

 そんな宇髄様に私にニッコリと微笑み

 

「大丈夫ですよ。炭治郎君も責任感のある真面目な子です。きっと成果をあげてくれますよ!」

 

 自信を持って言った。

 そう、きっと大丈夫だ。炭治郎君ならきっと成果を上げてくれるはずだ!

 

 

 

 

 

 ――と、思っていた時が、私にもありました。

 

 

 

 

 

 その後、その夜に通常業務としてカナヲちゃんと共に「ときと屋」に行った私は

 

「炭治郎君、これも食べなさい」

 

「こっちも美味しいわよ~」

 

「は、はい…でも、俺そろそろ仕事に戻らないと……」

 

「あら、大丈夫よ。女将さんには私達の手伝いをしてもらうって言ってあるから」

 

「で、でも…さっきからお菓子を頂くばかりで仕事らしいことは何も……あとなんだか皆さん近くないですか……」

 

「いいのよ、お客さんが来るまで私達の話し相手になってくれれば」

 

「そうそう」

 

「うぅ……」

 

 と、遊女さん達に囲まれ可愛がられている炭治郎君の姿だった。

 いや、一日でどうしてこうなった?

 

「あら大好さん、こんばんは」

 

「あ、鯉夏花魁、お邪魔してます」

 

 唖然としていた私はやって来た鯉夏花魁に挨拶をする。

 

「あの~…一つお聞きしたいんですが、あれは……?」

 

「あれ?あぁ、炭治郎君?彼、本当に働き者でいい子ね。他の人の三倍は働くって女将さんが褒めていたわ」

 

「あぁ、いえ、それはいいんですが…何故あんなに人気者に?」

 

「あぁそう言うこと」

 

 私の問いに鯉夏花魁は合点がいった様子で頷く。

 

「それは仕方ないわ。彼がお客さんに手を出した経緯はもうこのお店の人間はみんな知ってるもの」

 

 言いながら鯉夏花魁はそっと炭治郎君達の方を見る。

 

「私達遊女はみんな経緯はどうあれ売られてここにいる子がほとんどよ。そんな私たちの為に怒ってくれて手をあげたなんて聞けば、人気も出るというものよ。それに彼、いい意味で裏表がないというか、単純に彼の人柄ね。裏表も下心もない誠実なところとか、私達への偏見もない普通の対応をしてくれるの。こういう場所では貴重なのよ、彼みたいな人はね」

 

「そう言う…ものですか……」

 

「ええ、……」

 

 鯉夏花魁は頷き

 

「あと、彼無自覚なんでしょうけどモテると思うわ。なんて言うかいろいろ凄いの、私もさっき二つの簪のどっちを着けるか迷ってる時に、たまたま荷物を持って来てくれた彼が――」

 

 

 

――どちらも鯉夏花魁にお似合いだと思いますけど、きっと鯉夏花魁が選んだ方が一番似合うんじゃないでしょうか。

 

 

 

「って、質問でもないような言葉に完璧な答えをくれたのよ」

 

「て、天然だ!天然の人タラシだ!」

 

 鯉夏花魁の言葉に私は思わず「炭治郎君、恐ろしい子…!」と衝撃を受けたところで

 

「ッ?」

 

 ゾワリと背筋に感じた悪寒に恐る恐る振り返る。そこには――

 

「…………」

 

 無言で、無表情に、ただただ炭治郎君の様子を見つめるカナヲちゃんがいた。

 一見特に異常は無いように見えるかもしれない。恐らくこの場にいる人間でその異様さに気付いてるのは私達が来ていることに気付いていないであろう炭治郎君を除けば私だけだろう。

 その異様さの正体、それはカナヲちゃんが無表情であることだ。

 カナヲちゃんは普段感情を発露することは極端に少ない。しかし、そんな彼女が一見不愛想に見えないのは常に顔に仮面の様に微笑を張り付けているからだろう。

 そんな彼女が今、まさしく何の感情も読み取れないほどの無表情を浮かべて居る、ということこそがどうしようもなく異様なのだ。

 

「か、カナヲちゃん……?」

 

「……はい?」

 

 恐る恐る呼び掛けた私にカナヲちゃんは無表情のまま応える。

 

「その…大丈夫?」

 

「…………」

 

 私のあやふやな問いにカナヲちゃんは押し黙り数秒考えこむ様子を見せ

 

「……わかりません」

 

 ゆっくりと口を開いた。

 

「ただ、なんだか先程までに感じていなかった息苦しい様な、胸が締め付けられるような感覚を覚えます……この感覚は…なんだか、凄く、嫌です……」

 

「…………」

 

 カナヲちゃんが胸に両手を当て絞り出すように言った言葉に私はどう答えたものかと押し黙る。

 いまだ恋心を自覚しない彼女にはこの嫉妬心というものはあまりにも訳が分からない感情だろう。

 以前にも胡蝶姉妹との話の中で嫉妬心を見せたことはあったが今日のそれはけた違いだろう。炭治郎君への恋心に無自覚な今の彼女にはまだこの感情を抱えているのは不安だろう。

 

「……大丈夫」

 

 言いながらそっとカナヲちゃんの手を握る。

 

「その感情は…まるっきりいいものとも言えないけど、君の心がちゃんと育ってるってことだから。ちょっとずつその気持ちとの向き合い方を覚えてこう」

 

「…………」

 

 私の言葉にカナヲちゃんはまだ理解できていないようだが、それでもゆっくりと頷く。

 そして、そんな彼女と私の様子から察したらしい鯉夏花魁が

 

「……なるほど、そう言う……」

 

 納得した様子で頷き

 

「私からもみんなにやりすぎないように言っておくわ。まああれは男女間の恋愛的なアレコレというよりは、人として好かれてるって意味合いの方が大きいと思うわ」

 

 と、優しく微笑みながら言う。

 そんな鯉夏花魁の言葉に私は頷き

 

「とりあえず、私達は仕事しようか………まあその前に炭治郎君には釘刺しとこう」

 

 炭治郎君に歩み寄った。

 私達に話しかけられた炭治郎君は慌てふためいていた。その様子はまるで浮気のバレた彼氏や夫のようでなんだかおかしかった。

 とりあえず、それとなく「仕事しろ」とくぎを刺しておいた私はカナヲちゃんと共に薬売りとしての仕事に戻ったのだった。

 




というわけでモテモテな炭治郎君でした!
天然人タラシな炭治郎君に最大級の嫉妬心を覚えるカナヲちゃん!
順調に進んでいた二人の関係に新たな刺激が入りました!
さてさてここからどうなるのか!?


さて、年末ということでバタバタしていて更新が遅くなりました。
お詫びと言っては何ですがネタとしてイラストを描いてみました。
今回はYouTubeで鬼滅のキャラを他の作品の絵柄風に描いている動画を見つけたので私も挑戦してみました。
仕事だったりいろいろの息抜きに少しずつ描いていたものをまとめています。

【挿絵表示】

いかがでしょう?
それぞれの作品のキャラを参考のために見ながら描いたので、なんか○○っぽいな、っていうものがあるかもしれませんがその辺はご容赦を!



そんなこんなで今回の質問コーナー!
今回の質問はDoraSouthernさんからいただきました!

――2度目の質問です!今回は柱(現や元も含む)の皆さんに質問です 皆から見た、大好楓子の印象は?

というわけで現柱の皆さんと煉獄さん&カナエさんに聞いてみました!

甘露寺蜜璃「妹の様に可愛い愛弟子!大事な家族!優しくていい子だけど、私と伊黒さん、他の人ばかり世話を焼いてるから楓子ちゃん自身にも幸せになってほしいわ!」

伊黒小芭内「万の言葉でも言い尽きることないくらい不満はあるが、悪い奴ではない。甘露寺とのことを案じてくれているのも……うん、やっぱり余計なお世話だ」

胡蝶しのぶ「その知識や技術は尊敬しますしその理念も理解できますが、それはそれとしてあの子と一緒にいると調子が狂います。いい人なのは確かですけど……」

冨岡義勇「……いい奴だと思う」

宇髄天元「いろんな意味で派手に面白い奴だ!ゴキブリ爆弾とか思いついても作らねぇよ!いい意味でバカだと思うぜ!嫌いじゃねぇ!」

悲鳴嶼行冥「死ぬ人間を減らした功労者。彼女のお陰で救われた命がある。もはや鬼殺隊に無くてはならない存在だ」

時透無一郎「……チョコの人」

不死川実弥「いいやつなんだろうが、よくわからねェ。あと、なんか俺の世話を焼こうとしてるらしいが迷惑だからやめろ、絶対にだァ!!」

煉獄杏寿郎「優秀な弟子だ!彼女はきっと鬼舞辻を討つ重要な役割を担うと信じているぞ!」

胡蝶カナエ「カナヲと同い年なはずなのに時々私よりも年上と錯覚しそうになることがある不思議な子ね。あと、あの子はなんだか大きなものを背負い込んでるような気がするわね。訊いてもはぐらかされるだろうから訊かないけどね」



ということでした!
さてさて、今回で恐らく年内に更新できるのは今回が最後になると思われます。
世間はクリスマスですが明日にはすぐに年越しムードになっていくでしょうね!
皆様メリークリスマス!そして、よいお年を!



~大正コソコソ噂話~
炭治郎の状況を知った善逸は案の定ブチギレ泣き叫びました。そしていろんな人たちから呆れられました。


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