仕事が忙しくてなかなか執筆の時間が取れず期間があいてしまいました。
しかも一緒にスランプ気味でうまく文章がまとまらなくなっていたのですみませんが今回は本編ではなく番外の幕間です。
お待ちいただいていた方すみません!
本編もできるだけ早く上げますので少々お待ち下さい!
今回の幕間は本編と繋がっていて「恋55 恋柱の継子と女子会」の続きです。
女子会のパジャマパーティーの続きです。
そんなわけで幕間です!
楽しんでいただければ幸いです!
「だいたいお互いの恋バナ終わっちゃいましたね」
「そうね……じゃあ、どうするの?そろそろ寝る?」
私発案のパジャマパーティーだったが、お互いの恋バナという名の近況報告は済んでしまった。
私に蜜璃さんが訊くので少し考え
「そうですねぇ…では、気分を変えて――怖い話でもしますか?」
「いや、なんでよ!?」
私の提案にしのぶさんがツッコむ。
「恋愛の話から怖い話って落差ありすぎでしょ!?」
「いいじゃないですか~。鬼殺隊に所属してたら怖い話の一つや二つありません?」
「ないわよ、そんなの」
「ごめんなさい、私もないわね」
「鬼との戦いとかならあるけど、そう言う怖い話じゃないわよね?」
私の言葉にしのぶさんとカナエさん、蜜璃さんは答える。
「私も特には……」
「私も……」
「なんですかもう。じゃあしょうがないですね~。じゃあ私が知ってる話をしましょうか」
アオイちゃんとカナヲちゃんも首を振るのを見て私はやれやれと肩を竦めて咳払いをして
「みなさんは、『ちぬれわらし』って知ってますか?」
「ちぬれ…?」
「わらし…?」
「聞いたことないですね」
「私も…」
「(コクリ)」
私の問いに五人は答える。そんな五人に私は頷き話を続ける。
「『ちぬれわらし』って言うのはその名の通り、頭から血を被ったように全身血まみれの子どもで、おかっぱで顔のない女の子の姿で、そんな子が曲がり角や鏡、窓や扉の隙間からこっちをジッと見つめているんだそうです。そして、この話を聞くと『ちぬれわらし』に取り憑かれ、三人の人に話さないと取り憑かれたまま呪い殺されるんだそうです」
「……え?」
私の話にアオイちゃんがギョッとするが構わず話を続ける。
「でも、この話を信じなくて誰にも話さなかった女の子がいたんだそうです。そしたら、その女の子は三か月後、不思議な死に方をして発見されたそうです」
「ふ、不思議な死に方って……?」
蜜璃さんの問いに私は頷き
「腹部が爆発したみたいに弾け飛んでいたそうです」
『ッ!?』
私の言葉に五人が息を飲む。
「はじけ飛んだ腹部は子宮を中心におはじきから大きなものでは拳大の腫瘍がびっしりとできていたそうですので、恐らくその腫瘍の中身が腐敗しガスを発生させ高圧になり、ある時その一つがはじけ連鎖的に爆発したことでその圧力で腹部がはじけ飛んだんでしょう」
「「「っ!?」」」
「ウッ……」
しのぶさん、カナヲちゃん、アオイちゃんの三人は息を飲み、蜜璃さんはそれを想像したのかお腹を押さえて青い顔で嗚咽を漏らす。
「私も医学書とか読んでるけどそんな症状の病気は聞いたことが無いわね」
カナエさんは少し考える素振りを見せ言う。
そんなカナエさんの言葉に私は頷き
「『ちぬれわらし』には一応対処法があるんです」
言いながら私は胸の前で両掌で何かを包みこむ様に握る。
「安産祈願のお守りをこうやってしっかりと包み込んで『ちぬれわらしさん、どうぞ中におはいりください』って三回唱えてお守りを燃やすと三人に話さなくても助かるんだそうです」
『………』
押し黙る五人の顔を見渡して私は
「…と、ここまでの話を誰か三人に話さないとあなたには『ちぬれわらし』が取り憑いたままになります」
話を続け、フッと息をつき
「……ふぅ、これで私は大丈夫ッと」
「ちょっとッ!?」
そんな私にしのぶさんがギョッとした顔で叫ぶ。
「あ、あなた自分の安全の為に私達を巻き込んだわね!?」
「どどどど、どうしよ!?誰かに話さないと私が死ぬけど、話した相手巻き込んじゃうし……!?」
しのぶさんと蜜璃さんが叫び、アオイちゃんも顔を青くしていて、カナヲちゃんもその顔に少し不安を滲ませている。カナエさんも怖かったのか笑顔が少し引き攣っている。
「いやいや、何言ってるんですか?こんなのホントの話なわけないじゃないですか」
私はやれやれと肩を竦める。
「いいですか?冷静に計算してみて下さい。仮に聞いた人一人が一日三人の知らない人に話して言った場合、十日で約六万人、二十日で三十四億人を超えます。常識的に考えてそんな速度で話が広まっていくならひと月と経たずに全人類にこの話が広まる計算になるんですよ?」
「それは……」
「確かにそう言われると……」
私の言葉に四人が納得したように頷く。
「でも、結構怖かったわね今の話。特に対処法のあたりなんか」
カナエさんは少し苦笑いを浮かべながら言う。
「あ、流石カナエさんですね。私も聞いた時、この対処法だけは不味いなって思いました」
「どういうことですか?」
カナエさんの言葉に頷いた私にアオイちゃんが訊く。しのぶさん達三人も合点がいっていないようで首を傾げている。
「いえね、『三人に話さないと死ぬ』って言うのはさっき言った理由で嘘なのは明白なんですけどね、このおまじないは絶対やらない方がいいと思うんですよ」
「このおまじない、やる人は『お守りの中にお入り下さい』ってつもりで言ってるけど、〝手で包む〟って指定してるでしょ?」
言いながらカナエさんは胸の前で手で何かを包む様に握る。
「ほら、こうすると手の中にお守りがあっても周りの『何か』には見えない。その上で『どうぞお入り下さい』って言ったら……?」
「「「ッ!?」」」
「それってッ!?」
「そう、これは完全に、〝その人に何かを取り憑かせるために誘導している〟んですよ」
息を飲む三人と言葉を漏らす蜜璃さんに私は答える。
「この話の真偽は置いておいて、もし実際に『ちぬれわらし』が目の前に現れた時、この対処法だけはしちゃ駄目ですね」
「なるほど……」
「結局その『ちぬれわらし』って何なんでしょうね?」
納得した様子で呟く蜜璃さん。そして、まだ少し青い顔で言うアオイちゃんの問いに私は口を開く。
「推察するしかないけど、恐らく――『水子霊』や『幼児の霊』の集合体、かな?」
「『水子霊』?」
「それって確か流産とかで生まれて来れなかった子どもの霊だっけ?」
「そうです」
首を傾げる蜜璃さん、しのぶさんの言葉に私は頷く。
「たぶん『ちぬれわらし』の目的はこの世に生まれること。話にもあった死んだ女の子の死に方、あれは恐らく取り憑かれた結果好き勝手生まれてくるための『身体を作ろうとした』結果、上手くいかずに膿とガスになったんでしょうね。そう考えると辻褄が合うんですよ。まあ、全部想像ですけどね」
私の言葉に五人は納得した様子で頷いている。そんな五人に向けて私は少し考え
「もし、『ちぬれわらし』が私の想像通りなら対処法も推察ができます」
「えッ!?」
「本当ですかッ!?」
蜜璃さんとアオイちゃんが驚きの声を上げ、他の三人――カナヲちゃんは少しだけ――も目を見張る。
「『ちぬれわらし』に取り憑かれて死ぬのは取り憑いた〝彼女たちの身体〟が上手く作れないから――じゃあその身体が用意してあげればいいんです」
「あ、なるほど!」
私の言葉に合点がいった様子でカナエさんはポンと手を打つ。そんなカナエさんに頷き
「簡単に言ってしまえば妊娠してしまえばいいんです。妊娠したうえでその胎児なり受精卵を依り代として『ちぬれわらし』の魂を入れてしまえば、少なくとも話の通り膿とガスで腹部がはじけ飛んだりはしないでしょう」
「な、なるほど……」
「それなら確かに……」
「筋は通ってる気がするわね……」
他の四人も納得した様子で頷く。
「凄いわふーちゃん!こんな方法思いつくなんて!」
「いえいえ、全然すごくないですよ」
「でもあの話だけでここまで推測するなんてすごいと思いますよ!」
「いや、ホントに全然すごくないって」
蜜璃さんの言葉に否定したがアオイちゃんも頷きながら言うので私は苦笑いを浮かべる。
まあぶっちゃけこの『ちぬれわらし』のお話は私が前世で読んだネット漫画の話で、その対処法も作中で登場したものだ。それをまるで自分が思いついたように話してるだけだ。だから全然すごくもなんともないのだ。
ただ、一つ気になっていることがある。私が前世で死ぬまでにこの『ちぬれわらし』は完結しなかったので、結末がどうなったのか私は知らない。だからどんな結果で終わったのか私は知らない。知らないうえで気になるのが――
「たぶんこの対処方法、失敗するんですよねぇ……」
『え…?』
私の言葉に五人が呆ける。
「ど、どうして!?」
「どこもおかしいところはなさそうですけど?」
「楓子の言う方法なら死ぬことはなさそうだけど?」
「まあお話の通りに死ぬことは無いと思います。でも、この方法では別の問題が生まれるんですよ」
「別の問題?」
首を傾げる五人に私は頷きながら目を細める。
「考えてみて下さい。『ちぬれわらし』はあくまでも幽霊です。それが現実に物理的に影響できる存在になる。何十億という水子霊が混ざり合って一つになって、受肉する……中には何百年とあり続けた古い霊もいるかもしれません。何十年も何百年もあり続けた赤ちゃんや幼児の魂は、果たしてそのまま赤ちゃんや幼児なんでしょうか?」
「ッ!?」
「そ、それは……」
私の言葉に五人は言い淀む。そんな五人に私は自嘲気味に笑みを浮かべ
「そんな魂を持った胎児は…そんな魂を持って生まれてきた存在は――本当に人間なんでしょうか?」
『ッ!?』
「確かに、私の考えた方法ならお話の通りには死なないでしょうが、それと引き換えにもっと恐ろしい存在を産み落とすことになるんじゃないかと思うんです」
『…………』
五人は私の言葉に押し黙る。そんな五人に私は
「ま、全部『ちぬれわらし』が存在すれば、の話ですけどね」
私は微笑みながら言う。その瞬間張りつめていた雰囲気が弛緩する。
「そ、そうよね!」
「ま、まあ、怖い話としてはなかなか面白かったわね」
「取り憑かれた人の死に方もかなり怖かったですね」
「話の通りなら、そんな死に方は嫌ね」
「………」
それぞれ口々に言い、カナヲちゃんも少し安堵した様子で頷いている。
そんな五人にニッコリと笑いながら私は
「え~、では続きまして子どもを攫う殺人道化師の話をば――」
「いやもういいから!」
しのぶさんがツッコむ。
「怖い話は『ちぬれわらし』だけで十分だから!」
「もうお腹いっぱいです!」
「わ、私ももう十分かなぁ……」
「これ以上聞くと眠れなくなりそうだし……」
「(コクコク)」
「そうですか……?」
五人がそれぞれ遠慮しているのを見て私は少し残念に思いながら
「それじゃあまあ、もういい時間ですしそろそろ寝ましょうか」
「そうね」
「夜更かしは健康にも悪いしね」
私の言葉にしのぶさんとカナエさんが頷き
「あ、そ、それじゃあ寝る前にお手洗いに行っておこうかしら……よ、よかったら誰か一緒に……」
「い、行きます!」
と、蜜璃さんが言いそれにアオイちゃんが手をあげる。
「そ、それじゃあ私も……」
「わ、私も行っておこうかしら。カナヲも行きましょう」
「は、はい……」
それに残りの三人も追従する。そんな五人を見て私は呟く。
「……みなさんそんなに怖かったんですね」
「しょ、しょうがないじゃない!あれはなんていうか創作や本当に起こることじゃないとしてもやっぱりなんか気になるわよ!」
私の呟きにしのぶさんが言う。
「と言うかふーちゃんはいいの?」
「私はちゃんと済ませてるので、みなさんで行って来てください」
「それなら……」
「じゃあ行きましょう」
私の言葉に頷き五人は客間を出て行く。
「いってらっしゃいませ~」
五人を見送った私は
「さて……ニシシッ」
人知れず笑みを浮かべたのだった。
〇
入れ替わりにお手洗いをすませたカナエ達四人は最後に用を足している蜜璃を待ちながら雑談する。
「それにしても、楓子の言ってたあの話、なかなか雰囲気があって怖かったわね」
「で、でも本当に起きたりはしませんよね?」
「あら、それはどうかわからないわよ?」
「え…?」
「こういう怖い話は九割は眉唾物の話だけど、残り一割くらいは真実が混ざってるかもよ?」
「こ、怖いこと言わないでくださいよ……」
「あら、脅しじゃないわよ?」
アオイの言葉にカナエは言う。
「そもそも私達の普段から相手にしてる『鬼』って存在そのものが本来在り得ないものでしょう?」
「……そう言えばそうでした!」
カナエの言葉にアオイはハッとする。
「だからまあ、『ちぬれわらし』もいないとは言い切れないのよね」
「いて欲しくはないけどね」
「そうね、もし仮にいたとしても一生お目にかからずに済んでほしいわね」
しのぶのため息混じりの言葉にカナエも苦笑いで頷く。
と、そこで――
「ごめんなさい、お待たせしちゃって!」
蜜璃が用を足してお手洗いから出てくる。
「さ、ふーちゃんも待ってるし部屋に戻って――」
と、言いかけた蜜璃の言葉が不自然に止まる。
不審に思って四人が見ると蜜璃は四人の後方を見て引き攣った顔で固まっていた。
「どうかしたの蜜璃さん?」
首を傾げながらカナエが訊くと
「あ、あぁ…あぁ…あれ…あれ……!」
震えながらゆっくりと蜜璃が指差す。
四人はよくわからないまま蜜璃の指さす方向、自分たちの背後に視線を向ける。
自分たちの後方、10mほど離れた先――そこには一人の少女が立っていた。
夜の薄暗い廊下の奥、そこにいたのは背格好は5、6歳くらいに見える和服の少女がいた。任務の為、夜に活動することが多く夜目の効く五人だったがその少女の顔は首までのおかっぱの黒髪が前側にも垂れて覆われているために伺い知れない。少女の纏うもとは白だったと思われる着物は汚れて茶色くなっている上に赤黒い汚れが付着していた。
その赤黒い汚れは五人は鬼殺隊の任務や蝶屋敷での業務で良く見知った〝時間が経過した血液の汚れ〟だとすぐに理解する。
「あ、あぁ……」
「そ、そんな……」
「嘘、でしょ……」
「~~~~ッ!?」
その少女の姿に蜜璃同様に四人は先程楓子に聞いた話に登場した怪異と重なり顔を真っ青にし顔を引き攣らせる。
と、そんな五人の耳に――
――アハハ、アハハハ
幼い子どもの笑い声のような物が聞こえる。
『ッ!?』
異様なその声に五人は息を飲む。その笑い声は急にピタリと止む。そして直後――
――オ…カア…サン……?
幼い子どもの声で、しかし、何処か無機質にも聞こえる異様な声がする。同時に目の前の少女が一歩踏み出す。
『~~~ッ!?』
同時に五人は一歩後退る。
――オカア…サン
一歩前に出る少女。一歩後退る五人。そして
――オカアサン!!
『あぁぁぁぁぁぁッ!?』
一際大きく聞こえた声を合図に五人は揃って脱兎の如く駆けだしたのだった。
五人が去った後の廊下では――
「……まさかこんなに驚くとは」
少女の立つ背後の廊下の角からひょっこりと楓子が顔を出す。
「ちょっとやりすぎちゃったかな……」
言いながら頭を掻きながら少女の横に並び立つ楓子。と――
「ムー!」
少女が楓子の方に顔を向ける。
「あぁ、ごめんごめん。もうカツラとってもいいよ」
「ムー!」
楓子の言葉に頷いた少女は自身の顔も覆っている髪に手を掛ける。と、その髪がスポンと外れ、その下から長い髪がばさりと広がり、カツラに覆われて見えなかったその顔があらわになる。それは――炭治郎の妹、禰豆子だった。
「ありがとう、禰豆子ちゃん。迫真の演技だったよ!」
「ム~!」
楓子の頭を優しく撫でると禰豆子は嬉しそうに微笑む。
「さて、五人にちゃんとネタばらししに行こうか!」
「ム~ム~!」
楓子の言葉に頷いた禰豆子は揃って逃げて行った五人の後を追って行くのだった。
――その後、楓子が正座で説教されることになるのだが、それはまた別のお話。
というわけで幕間でした!
楓子ちゃんの悪いサプライズでした!
因みに作中でも楓子ちゃんが言っていますがこの『ちぬれわらし』は漫画としてある物を元にしています。
pixivにアップされているので興味がある方はそちらの原作も、ホラーでR18な話なので好みがわかれるかと思いますが、そう言う話が大丈夫の方にはおすすめですので是非!
楓子ちゃんは前世の死亡時期の関係で結末を知りませんでしたが、結末含めてホラーとして凄く面白かったです。
そんなわけで今回の質問コーナーです!
こんかいはわたるっちさんからいただきました!
――この間の質問コーナーでギャルゲーなどもやっていたとの事ですが、楓子さんのオススメのギャルゲー(エロゲー)はなんですか?
楓子「とりあえずハズレなく楽しめる『ゆずソフト』って会社の作品はだいたい好きでおすすめですけど、特に『サノバウィッチ』って作品はおすすめですね。あとは少しダークな作風が好まれる方には『ハピメア』って作品はファンディスク含めてストーリーよかったですね。
でもそう言う好む人が多そうな作品より私個人が一番面白くて好きだったのは『沙耶の唄』です。世界観・キャラクター・ストーリーの三点ですごくよかったですよ。古い作品ですが、気になった方は是非!」
ということでした!
久しぶりの更新でしたが本編ではなく番外編となってしまいすみません!
次回はちゃんと本編を近いうちに更新しますのでお楽しみに!