最新話です!
楓子が堕姫に強襲を仕掛けた頃、同時刻の「ときと屋」では――
「天元様!こっちです!」
「おう、須磨!」
忍者装束の須磨の声に天元が答える。
須磨の指す場所を見ればそこには炭治郎の見つけた地下に続く穴があった。
今回の堕姫打倒のために楓子が用意した作戦では戦力を大きく三つに分けている。
まず一組目が楓子率いる堕姫達を引き付ける役割。ここには楓子、真菰、炭治郎(と禰豆子)、玄弥、カナヲ、さらには楓子のふりをしている雛鶴が割り振られている。
次の一組は吉原にいる人間を秘密裏に避難させ、場合によっては巻き込まれた人の治療や救出を行う役割。ここにはアオイと村田、『隠』のメンバーがついている。
そして、最後の一組は天元率いる組。天元、善逸、伊之助、須磨、まきをがつくここは吉原に張り巡らされた地下の道を調査する役割。原作知識のある楓子はこの通路にある広い空間に花魁達が囚われていることを知っているがその事実は今回の調査ではわかっていない。そこで蕨姫花魁(堕姫)の他に鬼が潜んでいる可能性などを理由にここにも戦力を割いたのである。
そんなわけで現在堕姫に仕掛けている楓子と並行して天元達は炭治郎の見つけた穴を手掛かりに地下通路の調査についていた。
「穴はあったが……こっからどうやって調べる?この小さい穴じゃ俺は入れねぇしな」
穴を覗き込み考える天元。
そんな彼の背後で
「俺ならたぶん入れるぜ!」
伊之助が自信満々に言う。しかし、それに天元は首を振る。
「お前ひとりは入れても意味ねぇんだよ、一人で向かって何かあったら対応できねぇからな」
「じゃあどうすんだよ!?」
「うるせぇな今考えてんだよ!!」
伊之助が叫ぶのに釣られて天元もイラついた様子で語調を強める。そんな中同じく穴を覗きこんでいた善逸が顔を上げ
「あの…俺に考えがあるんですけど……」
「へぇ…?」
と、善逸の言葉に天元が目を細める。
「この穴がどんなふうに伸びててどこがどうなっているかわからないし入れないから調べられない、っていうのが問題なんですよね?俺なら入らずに大まかにこの穴がどうなっているのか調べられるかもしれません」
「んな魔法みてぇなことできるのか?派手にすげぇな!」
「はい、楓子さんが教えてくれたんです……まだ実践で使ったことないけど……」
言いながら善逸は伊之助に顔を向ける。
「伊之助、ちょっと大声出してくれ」
「は?なんだよいきなり?」
「いいから頼む。できるだけ大きく」
首をかしげながらも伊之助は言われた通り大きな声を出すために大きく息を吸って――
「わッ!!!」
「ッ!?!? この馬鹿猪がッ!!耳元で大声出すんじゃねぇよッ!!」
「お前がやれって言ったんだろうがッ!!」
「この穴に向かってだよッ!!」
「だったら最初からそう言えよ」
怒る善逸にぶつくさ文句を言いながら改めて穴の方を向いて大きく息を吸い込み
「わッ!!!」
穴に向かって叫ぶ。
伊之助と入れ替わりに穴に顔を入れる。そのまま数秒顔を入れていた善逸は顔を出し
「たぶん向こうに大きい空間がありそうです!」
「まじか!?場所わかるか!?」
「は、はい!こっちです!」
善逸は言いながら走り出す。
天元達四人もその後を追う。
「お前、さっきのどうやったんだ?」
走りながら天元が聞く。
「俺、生まれつき耳がいいのであの馬鹿の声が反響する音であの穴がどこまで続いてるかとか、方向とかを確認したんです。楓子さんから教えてもらったんですが、『えこうろけえしょん』とか言うらしいです」
「あいつホント派手に何でもできるな」
「あ、いえ、楓子さんも流石に知識だけで実際にできるわけじゃないらしいです」
驚いた様子の天元に善逸が言う。
「なんでも蝙蝠なんかの動物も使ってるらしくて、目が見えない人なんかもこれで回りの様子を把握してる人がいるらしくて」
「……地味に一人心当たりがあるわ」
天元はひとり、盲目の柱を思い浮かべ苦笑いを浮かべる。
「とにかく、これは練習次第でできるようになるから俺の耳を活かすのにもってこいだからって楓子さんが」
「そうか」
天元は頷き
――バシッ!
「いだぁッ!?何すんだよッ!!」
突然背中を叩かれた善逸が天元に叫ぶ。が、そんな善逸に天元はニッと笑みを浮かべ
「派手にお手柄だぜ!やるじゃねぇか我妻!」
「ッ!――はいッ!!」
天元の言葉に一瞬目を見開き善逸は力強く頷いたのだった。
〇
――獲った!
日輪刀を振り下ろした瞬間そう確信した私だったが、そんな私の刃は
カァン!
蕨姫花魁――堕姫の背中から生えた右腕とその腕の握る骨から削り出したような鎌に阻まれる。
「ッ!」
その腕が出た瞬間背筋に走った悪寒を感じ私はそれ以上踏み込まず咄嗟に飛び退く。
「楓子さん!」
そんな私に私のフリをしてくれていた雛鶴さんが駆け寄ってくる。
「あ、あれはいったい……?」
雛鶴さんの言葉を聞きながらも私は日輪刀を構え堕姫から警戒する視線を外さない。
私達の視線の先で堕姫の背中から生えていた腕が身じろぎズルズルと這い出てくる。
「ッ!?」
隣で雛鶴さんが息を飲む音が聞こえる。
――来た!
私は一層警戒を強める。同時に想定していたより早いことに内心舌打ちする。
私の予想では彼――妓夫太郎の登場は堕姫の首を落としてからだと予想していた。その時はラグビーの如くみんなで堕姫の首を抱えて逃げ回りながら妓夫太郎を倒そうと思っていたのだが……まさか初手から計画が破綻するとは。
そんな私の視線の向こうで全身這い出てきた妓夫太郎は堕姫に膝を折って視線を合わせながら頭を撫でる。
「うぅ…お、お兄…ちゃぁん……!」
「泣くんじゃぁねぇよぉぉ」
ボロボロと涙を流して泣く堕姫に妓夫太郎が優しく言う。
「おめぇは頭が足りねぇけど、今回は足りねぇなりに頑張ったじゃねぇかぁぁ」
「でも、でもぉッ!」
「あの方が警戒する奴なんだから、今回は向こうが一枚上手だったんだなぁぁ」
泣いて叫ぶ堕姫。その様子からもう毒の影響はだいぶ抜けてしまっているらしい。そんな彼女に優しくあやす様に言った妓夫太郎はゆっくりと立ち上がりこちらを睨みつける。
「アタシ一生懸命やったのに!一人ですっごく頑張ったのに!それなのにこいつら卑怯な手で騙してアタシをいじめたの!!よってたかっていじめたのよォ!!」
「そうだなあそうだなあ、そりゃあ許せねぇなぁ。俺の可愛い妹が足りねぇ頭振り絞ったってぇのになぁ。毒だ偽者だって卑怯な手を使うやつは皆殺しだぁ」
言いながら妓夫太郎は私達を睨みつけながらボリボリと自身の首や顔をその鋭い爪で掻き毟る。
「取り立てるぜ俺はぁ、やられた分は必ず取り立てる。死ぬときグルグル巡らせろ、俺の名は妓夫太郎だからなああ!!」
「ッ!」
叫びながら両手に鎌を構える妓夫太郎の姿に私は
「雛鶴さん外へ!!」
「ッ!は、はいッ!」
咄嗟に叫びながら駆ける。
障子を突き破って外に飛び出した瞬間背後から妓夫太郎の鎌が私達を狙って飛来する。
ズドンッ!
私に向かってきたものは身体を捻りながら日輪刀で弾く。雛鶴さんを狙ったものは彼女に当たる前に聞こえた銃声と共に弾かれる。
私と雛鶴さんが地面に着地すると同時に
「ふうちゃん!雛鶴さん!」
「大丈夫ですか!?」
マコちゃんと炭治郎君が言いながら、その後ろからカナヲちゃんと玄弥君が駆け寄って来る。
「玄弥君さっきのよかったよ!」
「助かりました!ありがとう!」
「ッ!う、うっすッ……」
雛鶴さんから笑顔での感謝を向けられて思春期真っ只中の玄弥君は赤面して顔を逸らす。
「それで、今どういう状況?」
そんなやり取りを尻目にマコちゃんが私に訊く。
「とりあえず私達も状況がわかってないの。それでも端的に言ってしまうと、蕨姫花魁から男性鬼が分裂した」
「「はぁッ!?」」
「ッ!?」
「ど、どういうこと!?」
驚いている四人を見ながら私は先程自分が飛び出した部屋を見上げ指さす。
「ああいうこと」
そこには私達を追って跳び出した鎌によって破壊された壁、その向こうから堕姫と妓夫太郎が現れる。堕姫は先程までの遊女の着物を脱ぎ鬼の姿に変貌していた。
「あと少しで首を落とせるという時に蕨姫の中からあの妓夫太郎と名乗る男性鬼が這い出てきて阻止されてしまいました」
「どういうことですか!?あの男の鬼の方が本体とか!?」
「と言うよりどちらも本体って気がするね。二体で一体というか……」
炭治郎君の言葉に答えながら私は日輪刀を構え直す。
私達を見下ろす妓夫太郎達はニヤリと嗤う。
「なんだぁ弱そうなのがゾロゾロと集まってやがるなああ」
「さっきは卑怯な手で不意を突かれたけど、もう同じようにはいかないんだから!」
そんな二人の様子に他の面々の顔にも緊張の色が浮かぶ。
「……もし、仮に楓子さんの予想があってるとしたら」
「アレ、どっちの首を落とせばいいんですか?」
「……そうだね、こういう時は考えられる限り最悪を想定して動く方がいいよ。楽観的な考えは足元を掬われる原因になるからね」
「ってことは……」
私の言葉に顔に緊張を浮かべたまま視線をチラリと向けてきたマコちゃんに頷き
「どっちの首も落とさないといけない、って前提で動く必要があるね」
私の言葉に一気に私を除く全員の顔がお通夜状態になる。というか私も自分が当事者になって余計に思うが、上弦クラスの鬼を二体同時に相手して両方の首を落とすまで帰れま10とか難易度高くないですかね。
そんな私達を嘲るように堕姫は笑みを浮かべる。
「人数揃えれば勝てると思ったのかもしれないけど、考えが甘かったわね。男どもはアタシの趣味じゃないけど女どもはなかなか綺麗だしアタシが残さず食べてあげるわ。男どもはお兄ちゃんにあげる」
「まったく、お前は相変わらず偏食だなあ」
「だって干乾びた年寄りも不細工も肉が不味いんだもん!醜悪で汚いものを取り込んだら私の美しさが損なわれるじゃない!」
やれやれと肩を竦める妓夫太郎に不貞腐れたように口を尖らせて堕姫は言う。
「さ、あの方の平穏の為にもさっさと――ッ!?」
と、言いかけたところで突如堕姫が顔をバッと動かす。
「どうしたあ?」
堕姫の様子に怪訝そうに妓夫太郎が訊く。
「……アンタ達いったい何人で来たの?」
そんな妓夫太郎に答えず堕姫は怒りに満ちた視線で私達を睨む。
「最悪よ、お兄ちゃん。こいつら以外にも喧しい塵虫来てるみたい。アタシが捕らえていた遊女達が奪われたわ」
直後どこからか飛来した帯が堕姫の身体に吸い込まれる。それと同時に堕姫の髪が黒髪から白髪へと変わっていく。
「……へぇ、お兄ちゃん朗報よ。柱が来てるわ」
「そいつはいいなあ。あの大好とかいう邪魔ものだけじゃなく柱も殺せばあの方が喜んでくれるだろうなああ」
ニヤリと嗤う堕姫に妓夫太郎も笑みを浮かべる。
「弱い人間が何人来ようが関係ないわ!」
「さっさと始末してあの方に報告しようなぁぁ!」
二人からの殺気が膨れ上がるのを感じながら私は身構える。
さあ、ここからが第二ラウンド開幕である。
というわけで最新話吉原決戦の続きでした。
今回は善逸君が活躍してくれましたね。
作中で善逸君が使っていた「エコーロケーション」調べたら10週間の訓練で普通の人でも使えるようになるそうです。
善逸君の耳ならきっと使えるようになるだろうなと思ったので登場させました。
作中で明言されてませんがたぶん某岩柱さんも近いことをやって盲目をカバーしているんじゃないかと思っていますね。
そんなわけで今回の質問コーナー、ですが、漣十七夜さんからいただきました「キン肉マン完璧超人始祖編について語って下さい」でしたが、読んでいないので語れませんでした!すみません!
楓子「キン肉マンは悪魔将軍と戦っているところとタッグトーナメント、あとは2世の話なら昔CSのアニメ一挙放送で見たことあるからわかるんだけどねぇ。あ、ちなみに推しはウォーズマンです。コーホ!コーホ!」
と言うわけで今回は飛ばして次の質問です!マイスイートザナディウムさんから頂きました!
――楓子さんって特撮系も行けるくちですか?行けるくちならウルトラマン,仮面ライダー,スーパー戦隊,メタルヒーローの4つからそれぞれ好きな作品を教えて下さい。
楓子「いけるくちです。特撮は子ども向けだけど『子供騙し』じゃないから話の作りとかちゃんとしてて好きですね。ただすみません、メタルヒーローは見てないので語れません。ギャバンとかシャリバンって名前はわかりますけどね。なので他3つで好きな作品は
ウルトラマンならティガとネクサス。ティガは平成一発目っていうのやそれまでのウルトラマンから心機一転再スタートって意味もあってか新たな原点って感じでいいですね。もちろんストーリーも最高ですしね。ビジュアルも最高ですね。ちなみにティガは当然としてカミーラも好きですよ。彼女の3000万年越しのティガに向けた激重感情の病みストーカー具合とか、でも彼女の深層心理の中で抱えてた願いとか、とっても好きです。
ネクサスは挑戦的過ぎて賛否分かれるのもわかりますけど私はあの重たいストーリー大好きですよ。あんな闇病みな話をよく土曜の朝に放送しようと思ったね!とは思うけど。変身者が引き継がれるって設定とか新しくてよかったですね。ちなみに姫矢ネクサスが好きです。
仮面ライダーならオーズです。最初はぶつかってたアンクとの相棒感が話を重ねるにつれて絆を深めていく過程が最高ですね。グリード達のその存在ゆえのゆがんだ欲望とか、それゆえのアンクの葛藤とか。だからこそ彼の至った『答え』、あの最終回は泣けましたね。ここまでいわばお察しかと思いますが推しはアンクです。
スーパー戦隊なルパンレンジャーVSパトレンジャーが好きです。それぞれの正義のためにそれぞれのやり方でギャングラー(敵)と戦うのがいいですね。パトレンメンバーがルパンメンバーの正体を知らないために交流を深めていくのがまたよかったですね。ルパンメンバーもあとがつらくなるのわかってるのに仲良くなることをやめられない感じの葛藤とか、正体知らないこそ地雷踏んだり過去を救われたりっていうのがよかったですね。推しは両レッドです」
とのことでした!
と言うわけで今回はこの辺で!
また次回もお楽しみに!
~大正コソコソ噂話~
堕姫の帯が潜んでいた大穴は善逸の活躍で発見。原作のように囚われていた遊女たちは無事解放されました。そして現在楓子達に合流するために向かっています。