俺事、
俺は困惑してる。
「何故こんな事をしたのかね。」
「......。」
何故こんな事になってしまったのか。ふと気付けば知らない所を歩いていて、いきなり目の前が真っ暗になって、そしたらおかしな所に連れてこられたのだ。
「...ふぅ、君も年頃なのは分かる。だがね、下着泥棒なんてしたらいけないのは分かるよね?」
「......。」
目の前の人が警官だと言うことは分かる。しかも黒髪ロン毛の美人さんだ!此処は交番であり、職務質問されてるのは分かる。誰が下着泥棒なんてするか!俺でした!道端で顔に何かが張り付いて手に取ると女性の下着だった。頭が真っ白になったよ。
そんで肩を叩かれて振り向いたら
「窃盗、及び住居侵入罪の容疑だ。その上で君に幾つか訊きたい事があるんだ。」
「....はい。」
何故、何故!
「き、君の好みの下着はこれで、にお、匂いや、よよ容姿は持ち主の女性が好ましいのだろうか...ど、どうなんだ?」
俺はいったい何の職質を受けてるんだ!?
「....あ、あのー。」
「べ、別に他意はないのだ!単に、君は容姿や匂いとか何か特徴性を持って行っているのかと思っただけで...。」
じゃなんでテンパってるんだよ。完全に自分の興味の内容だろ!
「と、兎に角だ!女性から渡すのはともかく、勝手に入って盗んでその場で、嗅ぐ!など、け、けしからん事だ!例え男性であってもな!もし、我慢ができないなら、わ、たしのを渡そう...うん、そうだ、それが良い。流石に脱ぎ立ては、は、恥ずかしいからタンスに仕舞ってるので良いなら、渡すが、どどど、どうだろう?」
いや待て、いや待て、いや待て!!とんでもねえ情報が多過ぎて頭が回んねぇよ!この人マジで何言ってんの!?
すると後ろで調書を録っていた婦警が呆れた風に振り返った。
「
「ん!?そ、そうか。失礼、だから男性相手だととても緊張してしまって。不謹慎な発言だった。」
沸騰してる位に顔を赤くしている婦警の安津さん(交番だから巡査かな?)は顔を隠す素振りを見せた後、一度咳払いをして此方を向き直る。まだ耳まで赤くなっているが。
「それで君は彼処で何をしていたか訊きたい。答えてくれるか?」
「...えっと、知らない道に出たんで歩いていたら目の前に何かが覆い被さって、そして手に取ったら...」
「それが女性の下着だった、と。そんな夢や妄想のような事が起きる筈ないだろう。人が飛ばされる程の突風がない限り下着のような布切れが飛ぶなんてないのだから。」
おっ、仰る通りで...。
「....まぁ、無くはないがな。」
「あるんかい!!」
定説を語った後にそれを否定するんだ。
「寧ろ下着が飛んでくる事例が多い。」
「なんで!?」
どんな風が吹いてんだ!?
再び後輩さんが振り向いて説明される。
「良くあるんですよ、無風なのに下着が飛んでくるの。原因はその近辺の女性が男性に、あー風で私のパンティがー(棒)って感じで全力投球してくるんですよ。それで下着を持った男性に、きゃーこの人下着泥棒(棒)と叫んで冤罪を作って年齢住所連絡先を聞き出して、その繋がりを持とうとするんですよ。良かったですね、私達の巡回中に見つかって。」
ニコリッと微笑む後輩さんもかなり美人さんだけど、それを聞いた俺の心境は恐怖に支配された。
怖ぇよ!!新手の冤罪痴漢並みに怖ぇよ!何なの、行き遅れな女性が強硬手段使ってんの!?その件数が多いってどうなってんの!?
「
...この後輩さんの言い回しがイラッとくるな。
いくら国家の犬だからって言って良いことと悪いことあんだろうが。
と考えていると安津さんと呼ばれた婦警が注意する。
「コラッ、お前こそ失礼な事を言うな。言葉次第では
「はーい、失礼しました~。」
態度悪っ!ん?男性保護法ってなんだ?
「度々失礼な事をした。兎に角、君に容疑が掛かっているがこの下着の持ち主にも確認してくる。大抵は無実なケースが多いからな。なのでもう少し此処で待ってて貰っても良いかな?」
「....まぁ、それで疑いが晴れるなら。」
「よし、ならば此処で待っててくれ。
「はいはーい、先輩行ってらー。」
「....お願いだから言葉遣いは直してくれ。」
安津さんは席を立って取り調べ室から出ていく。この部屋に後輩さん...米納さんという婦警と二人っきりになる。
「はい、どうぞ。熱いから気を付けてねー。」
「あっ、ありがとうございます。」
米納さんからお茶が入った湯飲みを受け取り、ゆっくり啜って喉を潤す。
「はぁ、流石に肝が冷えた。」
「こっちも仕事だかんねぇ、男性であっても逮捕するのが決まりだから。」
安津さんが座っていた席に米納さんが座り、同じ柄の湯飲みでお茶を飲んでいた。だがさっきから引っかかる事が気になった。
「あの、さっきから男を優遇するような事を言っているのですが、どうしてです?」
「えっ、そりゃ男性保護法があるからに決まって...。」
そこまで言うと米納さんが開いた口が閉じないような驚いた表情をした。
「まさか、本当に箱入りの坊っちゃんなの?」
「いや、これでも社会人だし、24歳だし。サラリーマンの修羅場は潜り抜けてきているつもりですよ?ただ男性保護法とか知らない法律?が出てくるので。」
「えっ、じゃ奥さんは?大抵は二十歳で結婚するのが一般的なんだけど。」
「いやなんだその一般論!二十歳で結婚できるならしてるわ!彼女なんか一度もできたことねぇよ!逆に羨ましいわチキショー!!」
米納さんから来る質問に嫉妬と悔しさな人生に机を
「......へぇーそうなんですか。」
ゾクリッ...と神経を伝った。米納さんが発した言葉に恐怖を感じ取った。恐らく神経質になって変に過敏になってるんだろう。
「という事は貴方は24歳独身で現在彼女募集中って事で宜しいんですか?男に気があるわけでなく?」
「お、男に気って、そんなの無いわ!彼女が欲しいに決まってるだろ!そんなに性癖が腐ってんのかあんたは!!」
気のせいと振り払い、今一番振り払うべき事を否定する。少し気が立っていたので強く米納さんに訴えるように顔を見て言った。
「...へえぇぇぇぇぇぇ。」
片手を頬に当てて話を訊いている米納さんの顔が、口が歪んでいるような錯覚起こしそうな笑みを浮かべ、長く発せられる声には納得、そして強い歓喜に満ちていた。さっき言った罵倒などお構い無しに此方を獲物を見る目で見詰めていた。
「っ!?」
急激にゾワゾワゾワゾワッ!と神経に虫が肌を走ったような不快感を感じた。思わず体を仰け反り、椅子が揺れるが倒れずに済んだことなど気にしてられない。下着を顔にぶつけられ詐欺よりも今は米納さんが一番怖く感じた。
「どうしました?」
「いっ、いえ何でも。」
恐らく思考に浸っていて気づかれてないのだろう。でも絶対に仕掛けてくる!俺はそう予感した。兎に角、安津さんか他の人が来るまで我慢だ。
「...ねぇ?」
米納さんが立ち上がりテーブルの此方から見て右端に沿いながら近付いてくる。
「もし、私が貴方の彼女にしてって言ったら...。」
米納さんは婦警の着衣のボタンを外していく。自然に隠れていた白に近い肌が見え始め、ワイシャツの影から女性特有の膨らみを覗かせていく。だけど俺が感じたのは色情的なピンクよりも圧が掛かったマゼンタ、いやそれよりも濃い色が米納さんが纏っていた。
「貴方は、私を貰ってくれる?抱いてくれる?」
俺の目の前に来た米納さんはテーブルに手をついて座っている俺と真横から目線を合わせてきた。そして横目で見て胸元の開いたワイシャツから覗く緑色に守られた柔らかそうな双丘が目の前にあった。
「......。」
いや怖じ気づいてないよ?据え膳なんてそんな、ヘタレテナイヨ?ただね、米納さんの目がね。
『はよ抱かせろ!はよ抱かせろ!』
って言ってる気がするよ。男が狼処か子犬になってしまうよ。興奮できねぇよ。縮こまるわ!!
「....無言って事は良いって事で良いのね!?」
ファッ!?
ドッダンッ!
この音は何か分かるか?
正解は米納さんが俺が立ち上がろうとしたら後ろから両肩を押さえ座らせられ、テーブルに置いていた俺の右手を痛くない程度に押さえつけた。
イヤー、コノ人、強スギルヨー。
「逃げないで、私に身を任せれば良いのよ。」
艶かし気な言葉で耳に囁く米納さん。
だけどさー。
「ハァハァハァハァハァハァハァハァ...!」
激しく興奮していらっしゃるので熱の籠り過ぎた吐息が耳にダイレクトに掛かってますから。逆に興奮しねぇよ!すっげぇ今怖い!
「あの、米納さん。流石に警察がこんな事したら不味いんじゃ。」
「....。」
横目で答える俺に対して米納さんはグイッ!!と俺の座っている椅子をスライドさせ向きを換えさせられる。
そして真っ正面に向けられて再び両肩をガッ!!と痛くない程度に押さえつけられ。
「大丈夫大丈夫アナタは壁の染みを数えてる内に終わるから!」
と興奮度MAXに美人な顔は目を見開いて顔面崩壊しそうな程にニヤケきっていた。
いや全然大丈夫じゃねぇよ!すげぇ早口だし、そんな落ち着きのない顔なんて見るか見ねぇか位に見たことねぇ顔だよ!そんな在り来たりな言い回しがある時点で録な事ないって定番だろうが!
俺は米納さんの両腕を掴んで離そうとする。
俺より細い腕なのにビクともしないんだが!?
「大丈夫、始めては痛いかもしれないけど絶対に気持ちよくなるから!天国見せてアゲルッ!」
いやーこの小説R18系列になっちゃうぅぅぅぅ!!
「....おい。」
するとこの場にいなかったもう一人の声が聞こえた。すると米納さんはビクッと動かなくなり、興奮がいきなり冷めきり、錆びた鉄が擦れるように部屋の扉の方を向いた。
「あ、安津、先輩。」
「....。」
安津さんは扉からスタスタと俺と米納さんの方に無言で近付いてくる。俺達の目の前まで来た安津さんはまだ無言だった。そんな様子に米納さんは先程の軽い言葉をかけ始めた。
「は、ははは!早かったッスね。それでどうなりマ"ッ!?」
二人の姿がぶれて、気づいた時には安津さんが米納さんの顔面を掴んでアイアンクローを決めていた。米納さんの体が浮いており、安津さんの腕を掴んで抵抗するがその場で固定されたかのように微動だにしてなかった。そしてメキッ..と音がなった時、米納さんがもがき始めた。
「あたたたたたたたたっ!?先輩っ、頭が割れる!割れちゃう!!」
「このっ、馬鹿者がぁっ!!二人揃って懲戒免職になるつもりかぁ!!」
安津さんの気迫は凄く、もがき苦しむ米納さんに容赦なく体裁を強いている。
「だからってパワハラッ!暴力はいけないと思いますが!!もうやめっ、頭がパーンッってなる!飛び出ちゃうぅぅ!!?」
「抵抗する強姦魔に体裁を持って止めるのは常識だ。出ないと被害者を人質に取られかれないからな。そして、貴様の発情しかしない脳味噌が潰れる程度だ。別に構わんだろう。」
「いやっ駄目ですから!脳味噌飛び出ちゃ駄目ですからっ!!もうヤバッ、頭が変形するぅぅぅぅ!」
米納さんが先程よりもがき始めるが一向に安津さんは力を緩める様子はなかった。
ここの女性ってどれだけ力強いんだ。
すると米納さんは体の力が抜けたかのように首だけでぶら下がった。
しっ死んでる!?あっでも手がピクピク動いてるからまだ生きてるようだ。
安津さんはそのまま申し訳なさそうに此方を向いた。
いや、人の頭を掴んだままの状態だと怖いのですが。
「本当に申し訳なかった。私が目を離した隙に部下が迷惑をかけた。何処か痛みや怪我はないか?」
「い、いえ、何もされませんでした。ちょっとドキドキしましたけど。(びっくりして...)」
その話を聞いていたのかまだぶら下がっている米納さんが左手を上げて握り拳に親指を立てていた。
「...。」
それを見た安津さんは掴んでいる手に力をいれたようだ。メキッと再び音が鳴って米納さんが脱力した。
本当に丈夫だな、この人。
「兎に角本当にすまなかった。下着の件も確認した処、男性保護団体が既に動いて自白したようだ。という訳で貴方は無実だそうだ。拘束してすまなかった。」
おっとまた知らない単語が出てきたぞ。
「家の近くまで送ろう。また被害にあってもお互い困るからな。」
「...それなんですが、多分ですけど、俺の知ってる世界?じゃないと思うです。頭がおかしいかもしれないですけど。」
「...なんだと。」
「ササキ様、此方へどうぞ。」
その後、安津さんに事象を説明して本部の方にかけよって、とても偉い人と合うことができるようになった。本部へ送ってもらい、秘書さんが待っており、安津さんと米納さんとはその場で別れた。本部の中を秘書さんに付いていくが、道中通りすぎる女性職員がガン見で此方を見ており視線が突き刺さってくる。初めて見られる事に嫌悪感を感じた。元の世界の女性に対して反省をもって気を付けようと思う。奥に行くにつれて人の気が少なくなってきた。すると米納さんや下着を投げつけられた事を思い出して秘書さんの方を覗き見た。秘書さんは進む方を真っ直ぐ見ており、此方には向いておらず表情も興奮してる素振りを見せず落ち着いている。
大丈夫...なんだろうか。
と思っていると秘書さんが此方に気づいて不審に思ったようだ。
「何か?」
「あっ...いえ何でも。」
振り向き様に見た姿に、あぁ美人だなっと思う半面、この人も...って想いが少からず警戒心が湧き出る。
その様子を見た秘書さんが自身の顎に指を添えて可愛らしく首を傾げた。すると「あぁ..。」と納得した声がした。
「大丈夫ですよササキさん、私は旦那一筋ですから。」
と左手薬指に嵌めた指輪を見せた。
既婚者だったんだ、この人。
「そもそも通ってくる女性からの視線と私の態度の差に疑問もありましょうが、既婚者でも第一婦人以外はなるべく気を付けた方が良いかと。まぁそれでもまだ旦那に構ってくれるだけ有難いでしょうけど、みすみすその立場を手放す人も稀ですが。」
安心させようとしてるのか警戒しようとしてるのか、どっちなんですか!?
「...第一婦人って事はこの国は...。」
「...国処か世界規模で一夫多妻制ですね。」
まさかか、こんな美人が多い所で一夫多妻とか本の中しか無いと思えるが、既にこのように世界の女性と強烈なスキンシップを与えられた自分としてはそのデメリットを警戒しろと囁かれた。
「...何が問題で。」
「...年々男性の出生率が減ってきまして、それに伴い男性の体力低下が主な原因となりました。男性が減っていくにつれ女性の性欲が異常に増しました。それはもう骨までしゃぶるかのように。それ故に国は男性保護法を制定し、一夫多妻制にする事にしたんです。」
「なっ、なるほど。」
秘書さんが淡々と冷静に説明する内容に俺はとんでもなく恐ろしい世界にきてしまったんだと理解してしまった。
「あっ、体力低下もありますが、短命という訳でなく主に過労や腹上死が主に取り上げられたりしますね。」
なんて恐ろしい世界だ!
秘書さんに付いていくと木彫りでできた高級そうな二枚扉の前で止まった。秘書さんがノックをすると木の独特の心地い音が響く。
「長官、ササキ様をお連れしました。」
と秘書さんが言うと、「入って良いよぉ。」と帰って来た。
「失礼します。」
「し、失礼します。」
どんな
「よくいらっしゃいました、ササキさん。」
ドデカイ部屋の真ん中に厳ついテーブル、そこに構えていたのは華奢な体の可愛らしい人だった。高い声だが中性的で違和感を感じたが、この世界は話の通り女性率が高いようだ。
「....何か勘違いをされてるようですね。大丈夫ですよ~、私は既婚者ですから。さぁ此方へど~ぞ~。」
のほほんとした様子で厳ついテーブルから手前のソファーに座り、向かい側のソファーに誘われる。秘書さんをチラ見すると頷かれたので向かい側のソファーに座る。
「自己紹介しますね、私は
どうやら柔そうな雰囲気な人だがとても上の人らしい。
もう少し怖い人が来ると思ったが。
「早速だけど君を拘束した箱勤務の二人、襲われたって聴いたんだけど、首切って大丈夫かな?」
いきなりぶっこんで来たー!
「いや、そこまでしなくても」
「駄目だよ、少しでも甘さを見せると其処に過剰に漬け込まれるよ。男性優遇という建前の檻ではそこまでしないと、この社会には厳しくしないと、ね?」
とんでもねぇ怖い人だ!?
「いや、でも本人達には謝られたので、それに
「んー、甘いねササキさん。それを只の
.....怖ぇ、怒らせたくない人だー。どっかに監視カメラ合ったんじゃねぇのか。
「....せめて始末書と減俸で。」
「...まぁそうしとくよ。」
せめて安津さんはと言うべきだったか、良くしてくれた手前で弁護したけど。流石にトップに立つ人だ、野獣を取り締まるのに甘さなんてない
「それと、さっきの勘違いなんだけど。」
夏さんは立ち上がって俺に近づいていく。まさかまた襲われるのか?
「ササキさん、掌を出してもらっても?」
何か渡されるのか?と思い、右手を広げて夏さんに差し出す。夏さんは俺より小さい位の両手で俺の右手を支えだした。
「えいっ。」
いきなり夏さんはそのまま俺の右手を支えたまま、腰を突き出したのだ。ダイレクトに股間部に右手が吸い込まれて
「うおいぇあわあぁー!?」
いきなり股間を押し付ける変態行為に心臓も思考も体が椅子から立つ程に飛び上がった。自分から股間を押し付けて触らせてくる輩が何処にいる。目の前だよ、バッキャロー!!
「そんな驚かないで下さいよ、
付いてる訳ゃねぇだろ!俺は男....ん?
「えっ、男性ですか?」
「そうですよ、男です。」
どうやら俺の早とちりだったか、こりゃ土下座で.......いや、待て待て待て待て。自分から同性相手に自身の象徴を好きに触らせる奴なんて同性愛者以外居ないんじゃないか?
「もしかして夏さんってそういう...。」
「いえいえ、胸板で判断されると、そういう女性の方に失礼かなっと思って同じ物が付いてるのを確認して貰えればと思いまして。」
「いやいやいや、普通はしないでしょ。なんでそんな抵抗心が無いんですか?」
「.....ふふふ、何でですか?」
再びソファーに座った俺に夏さんは近付いて顔が急接近する。やんわりにこやかだが真っ直ぐ俺を見ていた。
「毎晩奥さん達が交代で我が物顔で触れられれば分かるんじゃないですか?」
口元は微笑んでいるが目が
「....アッ、ソウデスカ。」
これは訊かなければ良かった事だったらしい。
「さて、現時点でのササキさんをどうするかですけど。」
再びやんわりとにこやかとして向かいのソファーに座った夏さんは片膝を抱えて今後について話し始めた。元の世界に戻れるか不明、その場しのぎでどうするかと言う事だろう。
「異世界転移なんて芸当できたらこの世の女性はササキさんの世界の男性を誘拐、強姦しかねないですからねぇ。今の所そんな報告は上がってません。」
そんな頻繁に俺の世界で神隠し事件が起きたら大事になるわ。まぁ、今神隠しにあってるの俺だけど。
「取り敢えず共同居住区に一軒程物件を押さえたので其処で生活して下さい。衣類に関しては配達しますので書類を出しますね。連絡先を渡しますので訊きたい事があれば
何から何まで世話になってしまってるが、昼間だけというワードでなんとなく察してしまう。それに対して羨ましさが少しあるが、この世界を知って哀れみと恐ろしさを感じた。
「なんか腫れ物を見るかの様ですが、これがこの世界の既婚男性の平均の上位ですから。普通なだけですから。」
別世界の普通を説かれるとは、違和感をというか、言葉の概念の重みや闇を感じるなぁ。
「あとは.....あれかな。」
夏さんが思い出したかのように言うが、少し言葉に出しずらそうにしている。どんな問題が。
「ササキさんには一緒に生活して頂くボディーガードを選んで欲しいんです。」
「ボディーガード、ですか?」
その言葉だけでVIP感が湧くが厳重過ぎでは?
「甘いですね、まるで落とし穴なんて無いかのように歩いていたら地面から全裸の女性が出て来て穴に引きずり込まれそうな人の顔をしてる位に甘ったるいです。」
「言い回しが生々しいのですが!?」
それはジョークと取って良いんだよな!?
「勿論理由はありますよ。公共居住区なんですから女性がいます。ですが男性が一人で住んでいたら忍び込んでいつの間にか襲われるケースがあります。男性特区でも良いんじゃないかと思いましたが、彼処は申請が通り辛く、この世界のルールが難しいかもしれないので、ガードマン兼サポーターとして何人か派遣してその場にいなければなりません。」
なるほど。だがそれだけの理由が夏さんが言い澱む訳がない。とすれば...
「それで派遣されるのは...全員女性です。男性は体が弱くて、其処に付いてくれる人が居なくて。」
ですよね~....。
「それじゃ行きましょうかササキさ」
「長官、もう退勤時間です。後は私に任せて帰宅を。」
夏さんが俺の手を引いて立たせようとしたら秘書さんからストップが掛かった。退勤時間ならしょうがないだろう。
「えぇぇぇ!まだササキさんと話がしたいです!」
「駄目ですよ、だって。」
俺の手を離さない夏の手を秘書さんが掴んで近くのソファーへと押し座らせて顔を見合わせた。
「今晩は私の相手をして下さるのでしょ?その為には少しは休んで性が付く物を食べて私の相手をして欲しいんです。それとも此処で致しますか?」
「いや、此処にはササキさんがいるから、ヒウッ!」
色っぽい声で夏さんに言い、秘書さんはそのまま夏さんの耳元に顔を近づかせて、小さくカリッと聞こえたと思ったら夏さんの体が跳ねて脱力した。
あぁ、そういうご関係ですか。
すると秘書さんは何もなかったような顔で此方を向き直った。
「それではササキ様、長官はお疲れなので私がご案内致します。さぁ参りましょう。」
凄く強引な感じだが、取り敢えず返事をして付いていこうと決めた。
「アッハイ。」
「
部屋を出て行く俺に夏さんはソファーに沈んだ状態で此方に手を振った。
夏さん、完全にふやけてますよ。
「では、尺が長くなったのでパッパッと決めましょう。」
あぁ、作者が飽きてきたのね。
秘書さんと次の部屋に向かうと、其処に数人の女性が一列に並んでいた。彼女達はかなり美形揃いだが、まるで機械のように動きに乱れが全くなかった。チラチラと此方を見ているようだが姿勢は崩してない。
「彼女達は男性護衛の試験を受けて合格した者達です。ササキさんは彼女達の内数人と交代制で生活して頂きます。」
「えっ、マジで!」
俺としては歓喜物だが懸念も忘れるべからず。
「一緒に生活して襲われるって事は...。」
「勿論そんな事は無いと言いたいですが、そんな事があれば資格剥奪ものです。ですが
「...政府絡みで落としに来てるだと!?」
ヤバイなそれ。
「...最低でも三名選出して下さい。成績上位者から並んでいますので端から適当に選んでも構いません。なんなら知り合いが居てくれれば尚更メンタル的にも安定性が保たれるかと。」
まぁそれが妥当なんだけど、通常の考えならすぐに選んでお願いするけど。
でもねぇ。
「「「「「.......。」」」」」
彼女達の無言で此方を見る視線が強すぎて威圧されてしまうのだ。この仕事に誇りとかではなく、「婚活しに来ました。必ず物にする!私を選べ!!」という強い意思を感じざるおえない。この人達大丈夫だろうか。
益々悩まされる現状に頼りになりそうな人は居ないか自分の中で査定していく。どっこいどっこいで絞ってきたが最後の一人が選びにくい。
「(安定してくれる人が良いんだけど、誰が...。)」
すると一人最近出会った落ち着いている人が思い浮かぶ。
「.....一人、確認したい人がいるのですが。」
「...という訳で、私は異動してきたという訳だが。」
「....本当にすいません。」
俺の隣に交番勤務の安津さんがいる。現在この世界で出会った女性の中ではかなり安定している人だ。秘書さんに確認したら彼女も未婚であるが体力成績事態は良い方なのでだったらしく採用してくれた。護衛の方は最も威圧が弱い方から二人を選んで先に準備してくれている。
「そう謝れては此方も立つ瀬がないのだが。長官に減給の提案してくれて助かっているんだ。此方が謝罪するのは兎も角、責める気はない。ないのだが....。」
安津さんは言い澱むが次に来る言葉を待っていると溜め息をして話し始める。
「貴方は私を性欲無しの淑女だと思ってはいないか?私だって男性に対する性欲がありやまっているんだ。まだ出会ったばかりで距離を取っているが慣れてしまったら無理矢理襲ってしまうかもしれない。まだ間に合う。長官に掛け合って別の人を手配しよう。」
文句のように言っているが期待と歓喜が隠せてなく、尚且つ異性に対しての免疫が無いと見た。そのヘタレ具合に俺としては精神的に穏やかな風に感じた。
「あ、ははは。安津さんには悪いと思ってます。お仕事と思って、元の世界に帰る方法見つければ終る事ですから。どうかお願いします。」
とは言え安津さんに無理をさせ過ぎる訳にはいかない。此方も此方でサポートをしつつメンタルを維持させないと。頭を下げて俺はお願いした。
「...頭を上げてくれ、其処まで言われては断れない。承った、これから貴方の生活を支えて、その身を必ず護る。安心してくれ。」
カッコいい、俺が女性ならその言葉で惚れかねない。
これから安津さんに護衛の二人に世話になるだろうけど、もしもの時の為に俺も護身術とか習っといた方がいいかな。元の世界に戻る方法も皆無で長くなるだろうし。
「はい、宜しくお願いします。」
握手しようと俺が手を差し出すと、安津さんは一瞬顔が強張り視線を明後日の方を見始めた。そして恐る恐る手を近づけて握手してくれる。
あれ?俺嫌われてる?
「....失礼なのだが、君は性欲旺盛なのかな?」
「え、なんで!?」
苦笑気味に訊いてきた安津さんの質問に俺は流石に不意を突かれた。なんでそうなるかが俺には分からない。
「...社交辞令なのだろうが、この世界では女性は男性に手を触れられるだけで発情する者が殆どなのだ。素手触れるなどもっての他、最悪
ワオッ、俺ノ常識ガオカシクナル~。
どんだけ理性の壁が薄いんだよ、この世界は。
この世界の常識を勉強しないと。
「...もう良いか?」
「あっ、すいません。」
安津さんに言われ手を離した。安津さんは握手した手をもう片方の手で握りしめて視線を反らしている。若干顔が赤いようにも見える。...しっかりしてるようで柔らかい手立ったな~。
「兎も角、護衛の二人も待たせてる!もう行こう!」
思い出したように先に行こうとする安津さんを追いかけて歩き出す。揺れる黒髪が綺麗に見えた。
プルルルルルルル!プルルルルブツッ!
「....すまない、米納から迷惑電話だ。」
「...迷惑。出なくて良かったんですか?」
「あぁ、この異動の件で嫉妬や恨み言での文句ばかりでな。後で電話をかけ直すよ。はぁ....。」
「......御世話になります。」
この世界の闇(?)は深いようだ。
ぶっちゃけ良さげな文章が思い付かず諦めてしまった。これ以上は甘ったるい妄想しかできなくて書けぬ。