ちなみに、無限列車編は最後に一瞬、煉獄さんの視点に切り替わった辺りからが泣きそうでやばかったです。共感できる人いるだろうか?
あぁ、緊張するわ。
今日のお見合いは、私、甘露寺蜜璃にとって最後のお見合いです。成功してもしなくても。
そんな中、今回のお見合い相手はあの雨柱様らしいのです。
どんな人なのかしら? 柱と言うだけあってやっぱり怖い人なのかな。
考えれば考える程緊張する。お母さんとお父さんは応援してくれたけど、正直、成功する未来が見えません。
しかし、時間が私の為に待ってくれる筈もなく、気が付いた時にはもう部屋の前に到着していました。
……この障子戸の向こうに雨柱様がいるのね。
いいえ! 萎縮しちゃ駄目よ私! どんな結果になろうと、これが最後なのだもの! 精一杯やらなくちゃ!
甘露寺蜜璃、行きます!
小さく深呼吸を1つして、そっと障子戸を開ける。するとそこには、私の想像とは裏腹に1人の美青年が座っていました。
青黒い髪に黒い瞳。透き通る様に白い肌。ガタイの良い殿方を想像していたのですが、スラッとした体型をしています。
はっ! いけない! 相手は雨柱様。ここは私から挨拶をしなくちゃ!
「はじめまして。甘露寺蜜璃です」
「あっ、はじめまして。青梅緑雨です。今日よろしくお願いします」
見惚れていた脳を何とか叩き起して挨拶をすると、雨柱様、基、青梅さんはニコリと笑いながら挨拶を返してくれました。
座っていて分かりませんでしたが、立ち上がった青梅さんは背も高くて、よりスタイルが良く見えます。
私が今まで見てきた男性で1番かっこいいと言って間違いないです。こんな人でもお見合いをするんですね。
お見合いが始まってから結構時間が経ちましたが、青梅さんと話す時間は、私にとっては一瞬の様に感じています。
青梅さんは、とても優しく気さくな方で、とても素敵な男性です。
青梅さんが言うには、お見合いは今回が初めてらしく、なんでも、今まで女性とお付き合いした事は無いとの事。
やはりこれだけ素敵な方だと、理想も高いのでしょうか? だとすると悲しくなります。いえ、分かってはいた事ですけど……
そんな事を考えていると、そもそも言い寄られた事も無ければ出会いも無いと言っています。
ええ!? 世の女性は何故、青梅さんの様な素敵な方にアプローチをかけないのでしょうか? 謎は深まるばかりです。
「私、このお見合いで最後にしようと思って。もしこれが駄目だったら、鬼殺隊に入隊しようと思ってるんです」
「んん? なんで鬼殺隊に?」
どうやら私が鬼殺隊に入ろうとしている事に疑問を持っているようです。
あぁ、驚いてる顔も素敵!!
「私、自分より強い人がタイプなんです。だから鬼殺隊に入って柱になればそう言う人に会えるかなって」
さりげなくアプローチをかけてみます。まぁ、自分より強い人がタイプなのも、このお見合いが駄目なら鬼殺隊に入ろうと思っているのも事実ですが。
けど……
私は本当にこれで良いのかな?
もしこのまま、青梅さんとのお見合いが成功したら嬉しい。
でも、この黒髪も、大好きなご飯を我慢するのも、力を抑えて生活するのも、全部偽りの私。
私はこれから一生、本物の私を隠して生きていくの? もしこのお見合いが成功したとして、青梅さんが好きなのって、本当の私?
ううん。多分違う。だって本当の私は私自身が抑え込んでいるんだもの。私自身が見せようとしていないんだもの。
青梅さんが私を好きになってくれても、きっとそれは、偽りの私だ。
「ところで甘露寺さん。俺に何か隠してる事ない?」
そんな時、まるで私の心の中を読んでいたかの様な言葉を、青梅さんがかけてきました。
どうして? そんな素振り1度も見せてなかったはずなのに。
力も加減出来てるし、ご飯も一般女性と同じ量しか食べてないのに。
「なっ、なんの事でしょうか?」
いきなりの出来事に、声が上擦ってしまう。
「いやぁね。極微小な変化ではあるんだけどさ。なんか甘露寺さんが無理している様な気がして」
青梅さんは本当に人の事をちゃんと見ている。私の事を見てくれている。それがほんの少しだけ嬉しく思ったりもします。
……けどそうか。私、無理してたんだ……
本当の事を話したら今までの殿方の様に幻滅されてしまうかもしれない。
……それは嫌だなぁ
けど、私は青梅さんには嘘をつきたくない。
ちゃんと、本物の私を見てほしいんです!
そこからは、まるでダムが崩壊したかの様に、特異体質の事、今までのお見合いが失敗してきた理由。本当の事を全て話しました。
「ごめんなさい。本当はいっぱい食べて、力も強くて、髪の毛も派手な色で。全然お淑やかな女の子じゃないんです。
せっかく、多忙な雨柱様の時間をもらってお見合いしてると言うのに……」
私がやっていた事は、相手の方の貴重な時間を潰しているのだから、決して褒められた行為では無い。
青梅さんがどんな顔をしているのか知るのが怖くて、俯いてしまう。
しかしそんな時、1つの手が、私の頭の上に乗せられました。決して大きくはないその手。けど、とても暖かな手でした。
「そんな顔しないで。せっかくの可愛い顔が台無しだ。
周りの目を伺って甘露寺さんが我慢する。そんなのおかしいだろう?
もしも君の事を好きな人が現れたとしても、それは偽りの君の事が好きなだけだ。それで良いのか? そんなの良いわけがない。
確かに黒髪で少食でお淑やかな甘露寺さんも素敵だった。
けど、桜色の髪も綺麗で良いじゃないか。俺の友人にだって派手な髪の奴はいる。それに、力が強いって事は、自分の大切なものを沢山守れるって事だ。
もっと自信を持っていい。甘露寺さんは充分素敵な女性だ」
こんな事はじめて言われました。
この時、私が本気で青梅さんの事を好きになったんだと思います。
私の頭を撫でてくれた手が、今度は私の手をガッチリと握ってくる。
そして、青梅さんが机に乗り出すようにした為、お互いの顔は目と鼻の先。
ち、近い! 青梅さんの顔がこんな近くに!
きっと今の私は、茹でダコの様に真っ赤になっている事でしょう。
「甘露寺さん。いや、蜜璃さん! 俺と────」
青梅さんがそこまで言った所で、バサバサと鳥が羽ばたく様な音が聞こえ、1羽の鴉が部屋に入ってきました。
「カァー! 緊急! 緊急! 一般隊士ガ下弦ノ鬼ト戦闘中! 青梅緑雨、スグニ北東ノ町ヘ向カェェ!」
あっ……
いきなり鴉が喋り出した事に驚きを覚えていると、握られていた青梅さんの手は離されてしまいました。
「すみません甘露寺さん。急な任務故、俺はここで!」
青梅さんはそう言いながらお辞儀をすると、立ち上がり、障子戸の方へ歩いていく。
「あっ、あの!」
青梅さんの手が障子戸にかかった時、咄嗟に声が出てしまいました。
もっと、青梅さんと一緒にいたい。せっかく私の事をちゃんと見てくれる、本気で好きになれる相手を見つけたのに。
ここで一言、いかないで欲しいと引き止めれば、青梅さんはここに残ってくれるだろうか?
いや、きっとそん事はないだろう。会ったばかりだけど、何となく分かる。
私が何と言おうと、きっと青梅さんは行ってしまう。
だから──―
「青梅さん。お気をつけて」
私は今どうな顔をしているだろうか? ちゃんと笑えてるかな?
「……はい」
青梅さんはそう言うと、走り出して行ってしまいました。
お見合いの席で私1人。
あぁ、結局最後の最後まで失敗だったなぁ。
けど、今後やる事は決まった。私は鬼殺隊に入る。
けど、今までとはちょっと目的が違います。
鬼殺隊の一員となって、また青梅さんと会う為に。
はい。両者視点のお見合い終わりました。
みつりちゃんの口調が未だ定まりません。ピエんです。
ちなみに現時点での年齢は、
緑雨…18歳
みつりちゃん…17歳
煉獄さん…18歳
って感じです。
鬼滅は細かい時系列が曖昧だから若干の矛盾が生じるかもですが、その時は大目に見てください。