甘露寺さんの婚約者は雨柱   作:宮川アスカ

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間空いてしまい申し訳ありませんでしいたァァァ!
モチベはあるんです。ただモチベしかないんです。
そう。時間が無い。
バイトなんて辞めて他の人のみつりちゃんを見ながら可愛いみつりちゃんを書いていたい人生です。


第6話 いってらっしゃいの

 深い深い闇の底。

 

 そこには2人の男女がいて、お互い血だらけで今にも朽ち果てそうになりながらも、男が女を抱きかかえている。

 

 男は黒髪で、目が見えないのか、その目は固く閉じられている。

 口は頬まで裂けており、その首を覆う様に、1匹の白蛇が巻きついている。

 

 そんな彼に抱き寄せられた女は、桜色の髪をしている。こちらも男同様に血塗れで、ポロポロと泣いていた。

 

 男の方は分からない。けど、女の方は間違いなく蜜璃だ。

 両目にある泣きぼくろも、その綺麗な桜色の髪も、間違えるはずがない。

 

 だけど、蜜璃は俺に気づいてくれない。

 蜜璃の目には、あの男の事しか写ってない。

 

 なんで。なんでだ。

 

 2人とも今にも消えてしまいそうなのに! 蜜璃は泣いているのに! 

 なんでそんな幸せそうなんだ! 

 

 嫌だ。待って。置いていかないでくれ! 

 

 

 

 

 

 蜜璃、俺を1人にしないで……

 

 

 

 

 

「……キ、テ」

 

 ……声が聞こえる。

 

「オキテ」

 

 痛い。何者かに頭を叩かれている。そんな感覚。

 

「みつ、り……」

 

 視界が徐々に徐々に開けていく。

 

 ………………ん? 

 

 んん? 

 

 俺の目の前には1羽の鴉。頭には花飾りが付いており、なんだかモジモジしている。

 

 うーん。これはあれだ。蜜璃の鎹鴉だ。

 

 段々と脳が覚醒していくのが分かる。

 

「……夢か」

 

 笑えない。俺はどうやら、随分悪い夢を見ていたらしい。

 

 それにしても随分といい匂いがする。

 寝ぼけ眼で匂いのする方へと足を運ぶと、そこには朝食を作る蜜璃の姿が。

 

「あっ! おはよう緑雨さん」

 

 俺が来たことに気づいたのか、こちらを振り返った蜜璃は、まるで花が咲いたかのような笑顔で挨拶をしてくる。

 

「うん。おはよう」

 

 良かった。彼女はまだ俺の事をちゃんと見てくれている。そばに居てくれている。

 

 いやはや。本当に悪い夢だ。

 

 

 

「うん。今日も美味しい」

 

「ほんと? よかったぁ〜」

 

 俺の言葉に、蜜璃はホッと一息つく。

 

 蜜璃と付き合い、同時に同居を始めてから約半月が経った。

 お互いを名前で呼び合う位にはお互い慣れてきたと思う。

 蜜璃の料理の腕も、最初に比べれば大分向上された方だ。

 

 言ってはなんだが、当初の蜜璃の料理の腕前は、そのぉ、なんと言うか、……まぁ、酷いものだった。

 俺は両親がいなくなってからと言うもの、家事は全て1人でこなしていた為、最低限の料理はできる。

 ただ、どうしてもと言う蜜璃の要望に答え、俺と千寿郎(俺は任務がある為、主に千寿郎)が料理を含めた家事全般を教えたわけなのだが……

 

 どうやら彼女、才能があるのは剣術だけでは無いらしく、どんどんと料理の腕を向上させているのだ。

 

「けど、ごめんなさい。食費にこんな使わせてもらっちゃって……」

 

「ん? あぁ、別に気にしなくていいよ」

 

 蜜璃の言葉にそう答えながら、俺は机に並べられた大量の料理を見る。

 まぁ、俺も最初は驚いたさ。聞いてはいたけど、まさか本当に力士3人分の量を食べるとは……

 ただ、それは彼女にとってのマストだ。日によっては、それ以上の量を食べる事もある。

 それ故に、ものすごい量の食費がかかるのだ。

 けど、別にそんなものは些細な事だ。柱の給料ってのは中々に良い。

 家系関係の金銭事情は全て蜜璃の自由にしてもらっている。

 

「それに、俺は幸せそうに食事してる蜜璃を見るの好きだし」

 

 どうせ俺1人じゃ、任務任務で稼いでも対して使わないのだ。

 それなら、好きな人が幸せな表情をしてくれか方が良いに決まってるだろ? 

 俺は、そんな蜜璃を1番近くで見ていたい。

 

 

 

「今日は柱合会議なんだっけ?」

 

 蜜璃との楽しい朝食も終え、身支度を済ませて家を出ようとすると、何時もの様に蜜璃が玄関先まで見送りに来てくれる。

 

「うん。蜜璃は今日も杏寿郎の所で稽古?」

 

「うん!」

 

「そっか。杏寿郎の稽古は大変だろうけど頑張ってね」

 

 杏寿郎の稽古は中々にスパルタだ。そんな稽古にヒィヒィ言っている蜜璃の姿が目に浮かび、少し苦笑いをしてしまう。

 ただ、蜜璃は弱音を吐きながらも、きっと最後までやり遂げるんだろうな。

 

 そんな事を考えながら、蜜璃から日輪刀と羽織を受け取る。

 

 継子と言うのは、基本その柱の元で住み込みで修行するものなのだ。

 それを蜜璃は俺と同居しながら、通うような形で、杏寿郎の元で継子をやっている。

 継子の稽古は、それも杏寿郎の稽古となれば、相当大変なものだろう。にも関わらず、蜜璃は嫌な顔一つせず家の事をしてくれている。

 

 毎朝起きれば、料理を作ってくれていて、何時も俺を見送り、そして出迎えてくれる。

 俺の日常に起きた変化は、そんなちょっとした事だ。

 だけど、そのちょっとした変化が、今は何よりも幸せだ。

 

「それじゃあ、いってきます」

 

「うん。いってらっしゃい。あっ、そうだ緑雨さん」

 

「ん?」

 

 ドアを開けようとすると、蜜璃に呼び止められる。

 

「ちょっとこっちに来て」

 

 うん? なんだろうか? そんな事を思いながら、蜜璃の方に近寄ると、蜜璃が少し背伸びをする。そして、蜜璃の顔が俺に近づいたと思ったその時──ー

 

 

 

 チュッ

 

 

 

 一瞬。本当に一瞬の出来事ではあったが、柔らかい何かが俺の口を塞いだ。

 

 

 

「緑雨さん頑張ってね」

 

 

 頬を赤く染めながらも笑顔でそう言う蜜璃が目に映る。

 

 

 …………ん? んんんん? 

 

 

 その表情を見た瞬間、止まっていた思考が一気に動き出す。

 

 同時に何が起きたのかも、一瞬で理解出来た。初めての経験だと言うのに。

 

 

「ッー〜〜〜!」

 

 

 あぁ、もう。本当に俺の毎日は幸せだ。

 

 なんでかって? 

 

 俺の恋人が可愛いすぎる。




次回は柱合会議!
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