これが諦めないって事だああああRTA、はぁじまぁるよー!
ついにあすか先輩を取り戻すぞ大作戦が発動しました。恐ろしい相手であるあすか先輩のカッチャマから果たして北宇治吹部は先輩を取り戻す事が出来るのでしょうか・・・。出来るに決まってんじゃん(揺るがぬ意志)
だって走者やるもん!カッチャマの目の前で絶対絶対楽器吹き鳴らし続けて勝ってやる!諦めなければやれる事見せてやるんだ!
その証拠に既に手筈は整い段取りも完了ですので後は何とでもなる筈だ!スキップするだけで終わり!閉廷!以上おかえり!あすか先輩!
さあホモちゃん!走者に勝利の証の選択肢を!プリーズ!!
『それでもこの楽器を手にしていられたなら』
来た来たこれを・・・ってあれ?ここの選択肢こんなんだったっけ?
『吹き続けていられたなら』
???え?え?
『他人事じゃない人生で初めて』
『………』
う、上?
『私はその辺の石ころじゃないって事を証明できるんだ』
ちょっとマジでこれゲームディスク間違えてないよね?こんなんしゃべりだす高校1年生がいたらやべえ奴だと思われるよ応援するけども。
ま、まあとにかくステータス画面を確認です。あすか先輩の演奏レベルは・・・・・3!(ダディャーナザン)
じゃなかった3倍です!凄い・・・こいつはカッコいいな!(語録無視)
あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦は大成功です。当代北宇治高校吹奏楽部左右両翼の覚醒は成りました!
ちなみにですがこの左右両翼という名称は走者が勝手に名付けているだけです。
このゲームはどの年代にも二人だけプレイヤーより演奏レベルが常に1だけ上回るキャラがいて、今回はみぞれちゃんとあすか先輩でした。
捕捉ですが黄前ちゃんが2年生の時にはみぞれちゃんと傘木さん、3年生の時には高坂さんと秀一兄貴になります。これらキャラには演奏レベルが3倍になる覚醒パワーアップイベントが必ずあるのでRTA御用達のキャラともいえますね。
2年次3年次ともに面白いこと間違いなしです。まあ走者は走りませんが。だれか走って(はあと)走者も走ってんだからさ(豹変)
それはさて置きこれで北宇治吹部は清良女子に匹敵するほどの演奏レベルになりました。全国大会まではまだ日があるのでこれよりは練習練習!!あるのみです。
体力とやる気に注意し、ヒロネ先輩と一緒に練習を忘れず、たまにコーヒー(ウド)を飲んで、自分と周りの音楽に毎日耳を傾けてセンス値を磨いて、と。
―――さあついに来ました!
吹奏楽コンクール全国大会。次回でこのRTAは終わりにできると思います。ま~だ時間かかりそうですかね~?(煽り)
まま、そう焦んないで。
RTAに正解なんて無いですが、どの走者にも有るのは只一度も先頭を譲らなかった事実!を、偉大なる先駆者兄貴たちに倣って走者も皆様にお見せできると思いますので今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
◆
「あすか先輩を連れ戻すぞ大作戦。…ですか?」
「うん、そう。あ、作戦名を考えたのは私じゃないよ。香織先輩」
居残り練習をしようとした空き教室の片隅。西日照らす真剣な表情の先輩が口にした言葉を、私は腑に落とそうとしたんだけれどもやっぱりというか少しも出来なかった。
「…あ~…なるほどぉ。でも夏紀先輩、あすか先輩のお母さんってホント怖い人なんですよ?先輩に誰とも会わせないんじゃ、」
「それでも。私達北宇治高校吹奏楽部にはあの人が必要なんだよ。久美子ちゃん」
「それは………。はい」
「このメモの通りにやれば大丈夫!」
「え?メモ?」
―――駅前幸富堂の栗まんじゅうがいちばんオススメだよ!
「わぁ、可愛い字ですね~。 何ですか?これ」
「あすか先輩のお母さんの好物なんだって。これさえ持っていけば万事オッケーっ」
「本当にそう思ってます?」
「――え?う、うん」
「私の眼を見て言ってみて下さい」
「…オッケー………」
「はぁああぁぁ……。気が重いですよぉ、私にあすか先輩のお母さんを説得してこいって事ですよね?そんな事出来るわけが、」
「大丈夫。出来るよ、久美子ちゃんなら」
「どうしてそう思うんです?」
「だって久美子ちゃんは持ってるから!」
「え?一体何をです」
「色んな問題をクリア出来る能力だよっ!
明日の放課後、晴香先輩は部活を休んであすか先輩の家に行って先輩のお母さんを説得するから、久美子ちゃんも一緒に行って説得してほしいんだよ。お願いっ!」
「は?え? 待って下さい何で明日なんです?」
「明日の夕方ならあすか先輩のお母さんは確実に家に居るからだよ」
「何でその事を知ってるんです?」
「香織先輩情報。あすか先輩関連の事なら何でも知ってるからね」
「それは……流石ですね…」
「でしょ? それで、どうかな。やってくれる?」
「………」
・・・・・。
「あ、あれ?もしかして本当に、ダメ?」
「ああ、いえ。夏紀先輩は聞いてないんですか?」
「え?何が」
「桃の事です」
「帆高ちゃん?」
「あすか先輩のお母さんに一人で会いに行くらしいですよ」
「ゑ?」
「ですからアイツあすか先輩のお母さんに、」
「待ってちょっと待って。行動はともかくワケを言って。何であの子が忠臣蔵よろしく討ち入りしようとしてるの?一人四十七士なの?」
「やっぱり聞いてないんですか?」
「今初めて聞いたよ…。晴香先輩も知らないんじゃないかな……。その帆高ちゃんは?」
「あ~…、そういえば今日は珍しく居残り練習しないでさっさと帰っちゃいましたね」
「! まさか」
◆
銀色のキイに黄昏色の太陽光が反射して、眩しさに眼を細めるその視線の先にあすか先輩のお母さんは立っていた。
現在地は和菓子屋さんから少し歩いた川の見える小高い場所。…断られると思ったけど、この人は私の後を付いて来てくれていた。
手提げの楽器ケースから取り出したクラリネットを見つめながら、悟られないようにして、私は深く息を吸う。
『―――え?人を感動させる演奏をしてみたいの?桃ちゃん』
宣戦布告をした今日のお昼休みの時のこと。
私は学校の廊下でばったり出会った一人の先輩に問いを投げていた。居ても立ってもいられなかったからだ。
『私じゃなくてヒロネ先輩に訊くべきじゃない?フルートパートだよ?私』
貴女の演奏にはいつも感動しているからですと返すと、ポニーテールが綺麗な希美先輩は静かにお辞儀をして変わらず笑顔で私に言った。
『それは嬉しいな。ありがとう。――でもね?そういうのは教わったとしても、桃ちゃんには身に付かないと思うよ?』
何故ですか。
『技術で感動する人もいれば、聴いた音楽を自分はこうこうこうって解釈して感動する人もいる。単純に音が良いからって人もいる。つまり感動っていうのは、音楽と一緒で自由なんだと思うんだよ。受け取り方、聴いた人次第で無限に広がり続けるんじゃないかな』
それはつまり。誰かを感動させたいなんて考え自体が間違いって事ですか?
『それは間違いじゃないよー。そういった想いや感情があるから音には色とか重さが生まれるんじゃない? 清良の音楽なんて正にそう。あれは凄い音色だもの。北宇治だって負けてないけどね』
・・・・・。
『それでも誰かを感動させたい。――認めてほしい聴いてほしいと思うならね?桃ちゃん』
はい。
『今の自分の想いも含めた全力を音に込めるしかないよ。まあそれが、私達にとっては一番難しいんだけどね』
―――記憶の想起が終わる。足に力を込める。眼前に見える恐ろしい大人は、心底くだらない物を映しているような瞳で私を見ている。決めつけている。それを覆す。
「お願いします」
勝負は、今。ここ。恐らく演奏は一度きり。次はない。
今の自分が出来る最も自信のある演奏をこの人に。最もミスをしないだろう演目をこの人に?
………いや、今は違う。
「聴いて下さい」
過去現在未来。全てを含めた全力を。自信も私も何もかもを、今ここに。楽器に。
――その為に自分は生きていたのだと。明日も明後日もそんな先の事なんて分からないけれど今までは。そう、私の今までは今日この時の為にあったのだと。
そして全てが終わった時、もう何もかもが真っ白になって燃え尽きて、それでもこの楽器を手にしていられたならきっと。吹き続けていられたならきっと。他人事じゃない人生で初めて、私はその辺の石ころじゃないって事を証明できるんだ。
だから響け。
固くなっている肺と胸を深呼吸でほぐし、眼前の大人を眼に宿して私はゆっくりと楽器に息を吹き込んだ。込める想いは、これからも今も只一つだと信じて。
どうか響け。