無惨はあることについて日々イラついていた。
*とある下弦の作者さんの作品の二番煎じです。優しい目で見てください。

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タイトル変更しました
元タイトル:【二番煎じ】無惨様は最近やたら目につくオリ主SSついて下弦にパワハラするようです

現タイトル: 【二番煎じ】無惨様は一部の最強無双ハーレムオリ主SSついて下弦にパワハラするようです


【二番煎じ】無惨様は最近やたら目につくオリ主SSにて下弦にパワハラするようです

ここは無限城

鬼の始祖、鬼舞辻無惨の根城である空間の歪んだ城。

 

そんな城に今宵、無惨より数字を与えられた選ばれし鬼、十二鬼月の下弦のみが全員招集されていた。

突然の招集に下弦の鬼たちは動揺を隠せずにいた。何の前触れもなくいきなりパワハラ上司(鬼舞辻無惨)に呼び出されたのだ。動揺するなと言うのも無理な話だろう。

 

ベン、と突如として城内に響く琵琶の音、下弦の鬼は全員音の発生源に注意を向ける。そこには1人の女がこちらに視線を向け、佇んでいた。

 

「(誰だ…この女は?)」

 

ふと誰かがそう思った次の瞬間、その女が口を開いた。

 

「頭を垂れてつくばえ、平伏せよ」

 

その言葉を聞いた下弦たちは反射的に頭を地面に打ちつけ、身体を震わせ恐怖していた。細胞レベルの恐怖、目の前にいるのが自分たちの主である鬼舞辻無惨だと理解したからである。

 

「も、申し訳ありません…御姿も気配も異なっていらしたので」

「誰が喋って良いと言った?貴様どもの下らぬ意思で物を言うな。私に聞かれたことにのみ答えよ」

 

下弦の1人が弁明しようと言葉を並べたがそれがさらに機嫌を損ねたようだ。そして鬼たちは無惨の次の一言を聞き逃さぬように耳を澄ませた。

 

「私が問いたいのは一つのみ。何故に下弦の鬼は転生系オリ主の名前に『神』や『夜』という漢字を入れ、その作品の世界観に合わない転生特典を与え、安い無双をさせるのか」

 

「発想がウケて日間ルーキーランキングの末端に乗ったら終わりではない。山もあり、谷もある物語を完結まで書くことの始まり」

 

「ここ数年上弦の顔ぶれは変わらない、発想が良く物語としてバランスがとれており、自分の好きな物を書いてランキング上位を取ってきたのは常に上弦の鬼たちだ」

 

「しかし下弦はどうだ?何故何度もオリ主の名前をイタくする?何故ヒロインが恋に落ちる動機が軽く所要時間が数秒なのだ」

 

彼が話しているのは小説投稿サイト『ハーメルン』のことだ。鬼舞辻無惨はこのサイトにハマっており、複垢を使い自分が面白いと思った作品には評価10を、つまらないと思った作品には評価1を大量に送りつける読み専ユーザーだ。無論、鬼も全員がこのサイトを利用しており、作品を投稿している。

 

「(そんなこと俺たちに言われても…)」

 

そもそも趣味で投稿しているのだから他人に内容をとやかく言われる筋合いはない。ましてや面白くないと判断したのならブラウザバックし、視界に入れなければ良いだろうと下弦の一人がそう思ってしまった。

 

「そんなことを俺たちに言われても…なんだ?」

「(不味い!思考が読めるのか…!)」

「何が不味い?…言ってみろ……!」

 

無惨は己が血を分け与えた部下の心を読むことができる。

それは一部の鬼を除き、全ての鬼に作用する。彼の不幸はこの情報を知らなかったことだろう。

無惨は腕を肉塊にして伸ばし、自分に無礼を働いた者を掴み上げる。顔は怒りに染まっている、許す気は毛頭ないのだろう。

 

「お許しくださいませ!鬼舞辻様!!どうか!どうかお慈悲を!!」

「無論、小説の内容は自由だが私の目が届く範囲にあるのが悪いのだ」

 

瞬間、肉が潰される音が城内に響き渡り、下弦の陸、釜鵺は血溜まりへと姿を変えた。彼の謝罪は無惨の耳には届かなかったようだ。

その光景を見た他の鬼は、返答を間違えれば命が無いということを深く理解した。

 

「お前はいつも小説を書く時私の好きなカップリングの片方をオリ主とくっつけているな?しかもどの作品も好きになる動機が軽い」

「いいえ!!そんなことはしていません!」

 

次に問われたのは下弦の肆、零余子だ。彼女は自分の推しをオリ主と何が何でもくっつける小説を量産しており、どの作品をくっつけた後の描写は適当だ。

 

「私は貴方様の推しカップリングには手を出していません!!Fateの小説を書いた時も私は貴方様の推しカップリングである『士剣』には手を出していません!ヒロインは遠坂凛にしました!」

 

零余子は許されようと必死に言葉を並べていく、彼女は無惨の推しカップリングを把握しており、言われたことに身に覚えがないのだ。

 

「黙れ、私は『士凛』も好きなのだ。そしてお前は私が言うことを否定するのか?」

「…ぁ」

 

無惨の伸ばした口の生えた肉塊によって彼女は喰らい尽くされた。

立て続けに2人、下弦の鬼が殺された。残りの鬼たちは死を逃れようと必死に脳を働かせる。

 

「(ダメだ…お終いだ…俺の大量の脳死でオリ主を強化してニコポナデポハーレム無双させた作品がバレたら確実に殺される)」

 

「(なら…逃げるしか!)」

 

そう思い立った下弦の参、病葉は出口のない空間の歪んだ城の中を全霊を持って駆ける。出来るだけ遠くへ、出口の方へと駆けて行く。

 

「(今からでもハーメルンを退会して作品をエタらせれば!)」

 

己自身の生存を賭け、病葉は足を動かしながらスマホを操作する。

 

「(愚かだなぁ)」

 

下弦の壱はそう考えながら病葉の逃げゆく姿を見ていた。その間にも彼はハーメルンへとアクセスし、己のアカウントを削除しようと指を動かした。

ようやくアカウント削除のボタンが視界に映った……が

 

「私は、単に最強系オリ主やハーレム無双を否定しているのではない。やるからには読めるものにしろ。強さの根拠や物事への葛藤を作りオリ主を『最強ハーレム製造機』ではなく『人間』にしろと言っている。」

 

「(やられている!?)」

 

気づいた時には首から下の感覚が無くなっていた。

無惨は彼の首をもう用はないと言わんばかりに投げ捨てる。

 

「もはや十二鬼月は上弦のみで良いと思っている。私を楽しませる小説を書けない下弦は"解体"する。」

 

「最期に何か言い残すことは?」

 

無惨が最期の情けで残された2人に声をかける。解体するとは言ったものの下弦が自分に利益をもたらすことまだカケラは期待しているのだろう。

 

「私はまだお役に立てます…!もう少しだけご猶予をいただけるならば必ず!お役に!」

 

下弦の弍、轆轤が声を上げる。

 

「具体的にどれほどの猶予を?お前はどのような役に立てる?」

「学びます!小説の書き方を学び!貴方様の求める面白い小説を書き、ランキング上位をとります!」

「ふむ…では原作はFateとし、何年で取る?そしてその小説の主人公の名前を答えよ」

 

轆轤の顔に喜色が浮かぶ、自分は今チャンスを与えられんとしているのだ。と

 

「二年!…いや一年あれば!それと主人公の名前ですが、神月 白夜でs」

 

轆轤の言葉が止まった。いや、無惨に捕まれ止められたのだ。

 

「貴様…私が言ったことを忘れたのか!……もういい、貴様には少し期待したが気のせいだった」

「違います!私は!」

「黙れ、全ての決定権は私にあり、私の言うことが絶対である。イタい名前の主人公が出てくるSSは大体が駄作だ」

「色々と偏見が過ぎるだろぉぉぉぉ!!!」

 

轆轤は最後のチャンスを掴みきれずに死亡した。いや、お前生死が賭かってるんだから言われた言葉くらい覚えてろよ。

そして最後に残されたのは下弦の壱、魘夢だ。だが彼の顔には焦りや諦めなどの表情はなく。この状況を受け入れているようだ。

 

「最期に言い残すことはあるか?」

 

先ほどと同じ質問、それが再び問いかけられた。

 

「そうですねぇ…私は夢見心地でございます。私も常々無惨様と同じことを思っていたので、私の気持ちを代弁してくれてありがとう。幸せでしたぁ…」

 

彼は心底幸せそうに笑みを浮かべながら答えた。そこには嘘偽りはなく、本心で言っているということが無惨にはわかった。無惨は同じ思考の者と出会えたことに少し機嫌を良くし、彼に再び問いかけた。

 

「ほう…貴様には私の考えが理解できるのか、では貴様はどのような作品を書いた?Fateか?それとも最近流行りの呪術廻戦か?」

「……いえ、わたしは読み専なので。」

 

その瞬間、空気が凍った、無惨もこの返答は予想していなかったようで唖然としている。しかしそれも一瞬のこと、すぐに無惨の顔は怒りに染まる。

 

「自分では小説を書かない、書けないのに他人の小説にとやかく言うとは、甚だ図々しい…死に値する」

 

こうして、残された最後の下弦も床の染みとなり、下弦の鬼たちは1人残らず抹殺された。最後に城内に残ったのはぶつくさ言いながら日間ルーキーランキングに張り付く鬼舞辻無惨と夢小説を読み漁る未来の上弦の月、鳴女であった。

 

 

 

 


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