抜きゲーみたいな島に派遣された対魔忍はどうすりゃいいですか?   作:不落八十八

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短小な防衛線。

 ヌーディストビーチを見渡せる位置に私服の那須は死んだ目をして立っていた。桐香からSS訓練生が訓練の一環としてビーチガイドを手伝うと聞かされていたためだ。もはや終末染みた週末のヌーディストビーチは大変な賑わいと交わいを魅せていた。

 

「……うわぁ。…………うわぁ」

 

 海を除いてほぼほぼ肌色な光景は健全な青年として性欲は込み上げてくるものの、飛び交う青藍島言語と盛った獣染みた乱交具合に理性がテンションを下げていた。彼方此方で素っ裸な男女が交わっては入れ替わり、よくもまぁ萎えないものだなと那須は辟易していた。

 

 もっとも、青藍島に入島するための審査場で一定水準以下の顔面偏差値の者は拒まれるため、入島用の船に乗る事すらできないのを考えると当然なのだろう。この島は性に特化している島だが、あくまで島おこしのために条例を敷いている。

 

 そのため、お互いに嫌悪感を抱かないように、第一印象でアウトな者は入島を許可されない。故に、この島に居る者は、島住を決めた者たち以外の顔面偏差値は中の上の者に限られている。こういった背景があるため、こうも安易にスワッピングできる環境が整っている。

 

「あぁんっ、ディルドぉ! どうして貴方はっ、ディルドなのぉっ!」

「お言葉通り頂戴いたしましょう、ただ一言、これをおちんぽと呼んでください。さすれば新しく生まれ変わったも同然、今日からはもう、ディルドではなくなります孕めおら!」

 

 そして、加えてこのハイテンションだ。青藍島初心者と熟練者の違いはこの青藍島言語の使い方の洗練さにあると言っても良い。カモンベイベー、と言わんばかりのテンションでこれをぶっ放すため、段々とテンションが上がって行き脳内麻薬がどぱどぱと作られて会話が進むのである。それはまるで飲み会で出来上がったゆるふわ酔っ払いのテンションの如く、一人二人と感染するように熱を帯びて行き火炎旋風を巻き起こすように増えていく。その結果がこれである。南国のビーチで乱交三昧という光景が出来上がるのだ。

 

 段々と目が死んでいく那須は早くこの場に居るであろう淳之介を探そうと視線を動かす。そのせいで見たくも無い痴態を見る事になり、見つけるまでの数分の間ハイライトが期限切れのライトのように消えかかる事となる。

 

 漸く見つけた淳之介はやや慣れた様子でヌーディストビーチの魑魅魍魎を捌いているようだった。インポ枠として居るため直に対応する事は無く、差ながらセールスマンのようなトークで他のSS隊員にパスするように対応している。SS側の配慮がしっかりとされている事を確認できて那須は一つ安堵の息を吐いた。

 

 SSに訓練生として潜入させた発端でもあるため、淳之介が不愉快な目に遭っていないかどうかの確認をしたかったのだった。杞憂だったなと小さな溜息を吐いて、ある程度観察し終えたら離れるかな、と思った矢先の事だった。

 

「君、強いでしょ?」

 

 その声は何処かふわふわとする心地にする良いもので、その中に潜んだ戦闘狂の本性が垣間見えてチグハグなものになっていた。視線を向ければ、ただでさえ痴女痴女しいSS女性制服であるのに関わらず、ブラトップ型の胸当てではなく乳首を隠すためのシール、所謂ニップレスを付けただけの少女が其処に立っていた。

 

 確か、と那須が記憶を探ればSS一番隊隊長の女部田郁子と言う名前を思い出した。桐香曰く、戦闘狂で色狂い。楽観的な脳筋タイプでありながら、常識的な一面も持つ少女であると言った説明を受けていた。そして、もしもがあれば、彼女は那須に突っかかってくるであろう人物であろうとも。

 

「先輩、サボりはダメですよ」

「あははー、これも職務だからへーきだよ。それに、ビーチに居るのに裸じゃない違反者を取り締まるっていう大義名分があるんだー」

「……くっそめんどくさ」

「今なんかキャラがブレるような悪態付かなかった?」

「気のせいですよ。それにここはビーチに面しているというだけで内側じゃないので、その大義名分はボクには通じませんよ」

「だよねー。じゃあ、これはどうかな?」

 

 郁子はのらりくらりと御託を宣う那須に近づくと、真正面から抱き締めた。豊満に育った双丘が薄いシャツに押し付けられ、那須の胸板で形を崩した。ニップレスも柔らかい素材で出来ているようで、那須の胸板に押し付けられた時に違和感を持たせない。

 

 だが、違和感を感じるのは那須ではなく、押し付けた郁子の方だった。

 郁子はその性格から過剰なスキンシップを取る事が多く、女性同士でも前から抱き合う事も多々ある。だからこそ、気付いてしまう。那須から男性からは感じない特有の弾力の返しがある事に。薄いシャツ越しに確かに感じるその弾力は女性の胸のそれであり、郁子の鋭い感性がそれがさらしによって隠された乳房である事を看破してしまった。

 

「これが、なんですか?」

「えっ、えっ? 君、お、女の子なの?」

「いえ、男ですよ?」

「でも、この感触は間違いなくちっぱい……。もしかして、チクニーとかよくする?」

「いえ、産まれてこの方その自慰はした事ないですね」

「……せ、先天的な感じ?」

「そうですね、届け出はしていませんがそういう体質なもので」

「そ、そっかー……。なんかごめんね?」

「構いませんよ。もう慣れたので」

「それじゃ、お詫びって事でぇ」

 

 やや困惑した様子で申し訳なさそうな表情になった郁子は押し付けたまま、そっと那須の細い腰に左手を回し、右手を黒いチノパンの股間部へと当てた。そして、段々と声色を甘くして淫靡な笑みを浮かべた。

 

「お姉さんが気持ちの良いこと、し・て・あ・げ・る♥」

「――え?」

 

 枝垂れながら郁子はそう耳元に囁くように甘ったるい声を擽らせた。今まで感じた事の無い未知な感覚に那須はただただ困惑した。脳が擽られるようなふわふわとした感覚が冷えた体を温める湯のように浸透していく感覚。のぼせるようにぼーっとした心地に陥っていく自身の身体に困惑せざるを得なかった。

 

 何せ、那須の身体は自身が持つ媚毒の術によって媚薬関連に対して無効する耐性を持っている。なのに、今感じているそれは媚薬に似たそれであり、似て非なるモノであると那須の勘が囁いている。

 

「ほら、段々と血が集まっていく……。すーり、すり。すーり、すり。次第にアソコが温かくなっていく……。すりすり、すーりすり。此処に温かさが集まって、どんどんおっきくなっていく……。すりすり、すりすり。硬ーくなっていく……」

 

 そして、郁子自慢の催眠誘導ボイスによって下半身に血が集まっていく感覚が始まってしまった。すーりすーりという耳元で囁かれる甘い声に合わせてしなやかな右手が那須の股間を撫でる。段々と硬度を上げていく手応えを感じる郁子は、男性らしい反応に内心安堵しつつ、笑みを浮かべて――段々と困惑し始めた。

 

 郁子はセックスの虜になっている事を自覚しているため、幾多も身体を重ねた戦歴を持っている。だからこそ、こうして前戯として相手の気持ちを昂らせるために奉仕をする事は珍しくない。もっとも、一番隊隊長という肩書もあり、こうして自ら率先して奉仕をするのは久しぶりの事だった。精々が上から撫でて勃起したのを確認したら捕食する、そんなスピーディなセックスが多いし、相手も魅力的な声に溺れて押し倒してくる事が多いからだ。

 

「すっごぉい♥」

 

 故に、今も尚膨張し続けて、右掌を越えて右手首にまで硬さを感じる那須の勃起具合に興奮が高まっていた。今まで食べてきた男性器が短小に感じる程に、那須のそれは魅力的で雄々しいイチモツであった。

 

 シャツは外に出しているためベルトを押し上げる程に膨張したそれの姿を見る事は無かったが、過去最大級のそれに郁子の勘は囁くどころか叫んでいた。これ以上のモノは無い、と。ごくりと生唾を飲んだ郁子はとろんとした雌顔で、発情し始めた身体の火照りを誤魔化す事なく、那須の身体に強く抱き締めた。絶対に逃がさない、これを自分のモノにする、と猛る色狂いの本性が下卑た笑みを浮かべた。

 

「それじゃ、しよっか♥」

「しません」

 

 酷く冷たい声を返された郁子は戸惑いの表情を浮かべて、急速に熱を失っていく右手の感覚に焦りを覚えた。あれ程までに怒張していた男性器は空気の抜けた風船のように萎んで行き、やがて膨らみは消え失せてしまった。消えていく熱に焦った表情で淫靡な手付きで奉仕をするものの、それを取り戻す事は叶わなかった。

 

 対して、催眠誘導ボイスと言う初めて食らった攻撃に動揺と困惑を浮かべていた那須だったが、スイッチを切るように自身の身体をコントロールして勃起を強制終了させていた。傍目から見ればスンッと真顔になって冷静を取り戻したように見えた事だろう。

 

 何を隠そう彼は対魔忍である。忍の授業の一つに房中術が存在し、性欲のコントロールをできるようにするのは当然の事である。もっとも、それをしっかりと完了できるのは今の世代では一握りのもので、大半は練習ではできてもいざと言う時に陥落するケースが多いのは言うまでもない。今や対魔忍のアヘ顔は珍しいものでは無いからだ。

 

 がーんっとショックを受けた表情で那須を見やる郁子。この火照りをどうすれば良いのか、と彼女らしくない様子で、しおらしい態度で見つめる。性欲と言うものは冷水を打っただけでは発散できるものではない。性獣の王めいた郁子であるならば尚更に、内股になって擦り合わせる様子はもどかしいものであった。

 

 どうしたものか、と同じくらいの背丈のため見つめ合ったままで那須は思う。先手を取られたものの一般人である郁子にどうこうするつもりはないため、このまま穏便に終わらせたいのが実情である。しかし、こうも恍惚とした瞳で見つめられると罪悪感を感じてしまう。敵であればぶち殺せば良いが、そうはいかないのが現状である。

 

 辺りを見回し、視界に入ったのは何やら浅瀬の方でトラブルを解消したらしい様子の淳之介と見知らぬ男性の姿だった。彼に助けを求めるか、と一瞬だけ視線を強めて殺気を放つ。非常に軽いもののため視線を受けた事だけが感じ取れるだろう、というぐらいだ。

 

 それに対し、反応したのは二人だった。一人は淳之介で、もう一人はその隣に居た優男だ。振り向くように那須へ視線を向けた二人のシンクロ率は高く、ぶつけた淳之介はともかく、範囲から離れている優男が反応するのはおかしい。

 

 それを察したのか優男は咄嗟に淳之介へとそのまま顔を動かした。つまり、淳之介がいきなり振り向いたからそれに反応したのだとカモフラージュを行なっていた。ただ、それを見抜けない対魔忍ではない。随分と面倒な者に魅入られたな、と淳之介の運の悪さに那須は一つ溜息を吐いた。

 

「こら郁子! お前は桐香様のフォローに入っていた筈だろう!」

「えっ、あっ!? ちょ、レイちゃん!? これはその、見逃して!」

「ゆ゛る゛さ゛ん゛! 良いか! 私たちは皆SSなんだ! 皆の模範となるべき存在だ! それをお前は何度も幾度もイクイクと! 新人も居るんだぞ、これ以上恥部を晒すな! 分かったな!?」

「あぁ~待ってよレイちゃん! 後生、後生だからぁ!! た、助けてダーリン!」

「ダーリンだぁ? ……って、大久か。すまないな、この馬鹿は此方で何とかしておくから行って良いぞ」

「え、ええ。そうしてください。その、大変ですね」

「……分かってくれるか」

「それと、ボクの事は那須と呼んでください。苗字で呼ばれるのは好きじゃないので」

「む、そうなのか。それじゃあ那須君、良い週末を。ほら、仕事へ行くぞ!」

「あーんっ! 待ってぇ! あんな優良物件逃すだなんてぇ! あぁ~~!」

 

 首根っこを掴まれた猫のように引き摺られていく郁子を礼が憤怒の表情で回収して行った。淳之介にコンタクトを取った意味が無くなったものの、状況を脱したからいいか、と那須は肩を落として溜息を吐いた。淳之介の方を見やれば乾いた笑みを浮かべていた。どうやら今の光景は見飽きる程に繰り返されているものらしかった。

 

 今の騒動に乗じて淳之介の隣に居た優男の姿は既に無く、要マーク対象だと那須は気持ちを引き締める。微弱ながらも殺気を感じ取れる者が表の人間である筈が無い。少し対応を間違えたな、と那須は一つ溜息を吐いた。




此処だけの話、五車学園の授業って忍らしいもの無さそうなんですよね。戦闘訓練ぐらいのような気がします。房中術の授業があるなら、処女の対魔忍が居る事に違和感を持たざるを得ないという。または、自慰レベルの房中術とか座学のみだったりするんだろうか?

評価バーに色が何時の間にかついててびっくりしました。
作者が喋りたがりなので感想に対して返信はしておりませんが、しっかりと見させて頂いております。
(返信で今後の展望を語ったり言質めいた事を宣ったりと馬鹿をやらかしかねないので)

励みになりますので、気軽に感想を投げてくれると喜びます。
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