Twitterでアンケート取ったら川内さんがぶっちぎりでした。
 この夜戦バカ、幼馴染度が高いな。

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 久しぶりに会った小学校時代の悪友との出来事を改変して作りました。
 ちなみに自分も悪友も男です。彼女ほしいわー。


幼馴染の川内と買い物に行くだけ

 テンテンテンッ テンテケテンテンッ テンテンテンテンテンッ!

 

「んべっ……!」

 

 いきなり耳元で流れ出した大音量の着信音。夢すら見ずに爆睡していたところを無理やり起こされる。

 

「ぁんだよぉ~、休みの日に仕事の電話してくんなよぉ~……」

 

 地獄の7連勤の末に勝ち取った3連休初日。ほっといてくれよ~、今日は惰眠を貪るんだよ~。

 まだ覚醒しきっていない状態で枕元に置いてあるスマホを手に取る。我が安眠を妨げる愚かな輩め! 吾輩が貴様を地獄の果てに引き摺り下ろしてくれるわぁ!

 

 

 

《着信 “in side river” 》

 

……………………友人からでした。

 

「ぅあい、もしもし~?」

『もしもしー? 元気ー?』

「元気に寝ております」

『ありゃ、起こしちゃった?』

 

 壁にかかった時計を見れば時刻はちょうど正午を回ったところ。昨日は21時に布団にもぐったから15時間寝ていたらしい。

 …………さすがに寝すぎだな。腹も減ったし、そろそろ起きるか。

 

「いや、ちょうど起きようと思ってたところ」

『なら良かった』

「それで? 急に電話してきてどうしたん?」

『買い物に付き合ってもらおうかと思ってさ』

「いいよー」

『……即答だね?』

「久しぶりに電話してきた友人の頼みを無下にするほど非情じゃありませんことよ」

 

 というかぶっちゃけ暇だったし。日用品の買い出し以外にどこか出かけるつもりもなかったし、旧友と遊べるならちょうどいい。

 

『どのくらいで出てこれそう?』

「着替えて髭反るだけだし30分で支度できる」

『早いね。じゃあ待ち合わせ場所どうしよっか』

「買い物ってあそこのデパートだろ?」

『そうそう』

「じゃあドングリ公園でいいべ」

『オッケー。じゃあドングリ公園に30分後ね』

「はいよ。また後で」

 

 俺の家から徒歩5分にある近所の公園で待ち合わせを約束して電話を切る。

 

「まあ、もう着替え終わってるんですけどね」

 

 さすが俺。電話しながら着替えるなんて楽勝ですよ。

 …………まあ、髭反って顔洗うから上半身は脱ぐんですけどね!

 

「効率の無駄ー」

 

 せっかく来た白Tシャツをまた脱ぎながら洗面所に向かうのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 自転車にまたがり、途中の自販機で買った缶コーヒーを一気に呷る。酸味の少ない苦みとカフェインを思う存分に堪能していると、同じく自転車に乗った旧友が公園内に入ってくるのが見えた。

 

「うい」

「おぉ、やっはろー」

 

 片手を挙げて声をかけるとすぐに気付いて自転車を横付けしてきた。

 

「っていうか今、1回通り過ぎたろ」

「いや~、久しぶりすぎて顔忘れちゃった☆」

「薄情者めー!」

「キャー!」

「ゴブゥ!?」

「………………あっ、ごめん」

 

 ふざけて軽くパンチしたら華麗に避けられてカウンターを脇腹に喰らいました。グフッ、良いボディブローだぜ……。

 

「ほんじゃ、戯れはこのくらいにして行きますかね」

「オー! レッツゴー!」

「テンション高杉くんかよ」

「私の苗字は河内(かわうち)だっつの」

 

 そうでした。河内川内って名前でしたね。

 

「違うわい!!」

「ゴッベルゥア!!?」

 

 2発目のボディブローは、10分くらい動けない威力でした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「到着!」

「目的地に着きました。案内を終了します」

「久しぶりに会った幼馴染がカーナビになっていた件」

「なにその需要がなさそうなラノベタイトル」

 

 河内のセンスに疑問を覚えながら駐輪場に自転車を止める。

 やってきたのは市内でも1番デカいデパート、道路を挟んだ向こうには同じく市内最大のホームセンター。連絡通路でお互いを往来できる便利な商業施設だ。

 

「で? 何を買うんだっけ?」

「妹の誕生日だからプレゼントをね」

 

 イヤリングにするんだー! と意気込む河内。

 

「お前、妹なんていたっけ?」

「船の方だよ」

「……ほぉん? なるほどね?」

「明らかに分かってない顔だね」

 

 船のことはサッパリ分からん。コイツが『川内』って名前の船になったことは知ってるけど、それ以外は興味ないから調べてすらいない。

 

「見てこれ! 可愛いでしょ!」

 

 そう言って見せられたのは、河内と2人の女の子が笑顔で並んでいる写真。バッチリ武装してますやん。これ一般人が見たら不味くね?

 

「これ軍事機密とかじゃない? 俺あとで消されない?」

「ダイジョブダイジョブ」

 

 なんで目を逸らしながらカタコトなんだよ! 怖えよ!

 

「それじゃあジュエリーショップにレッツゴー!」

「れっつらごー」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「高い!」

「そりゃそうだろうよ」

 

 モノホンの宝石が付いてるイヤリングしかなかったじゃん。そりゃ高いよ。安くても6桁円はするよ。

 

「全然足らなーい……」

「いくら持ってきたんだよ」

「3万円……」

「普通のイヤリングなら足りるんじゃね?」

「神通ちゃんには安物つけてほしくないの!!」

「えぇ…………」

 

 フードコートの片隅。机に突っ伏してブーブー文句言ってる幼馴染のご機嫌を取るために、さっき下の特設コーナーで買ったプリンを差し出す。

 

「なにこれ、いつ買ったの?」

「お前がトイレ行ってる間に」

 

 ちなみに1個300円でした。プッチンプリンより小さいくせに倍の値段がするってどういうことよ。

 

「ぁんま~い!!」

「そりゃ良かった」

 

 満面の笑みでプリンを食べ進める幼馴染を見て味の良さを確認。もう1個取り出して自分も食べる。

 甘いものに目がない女子こと河内さん。すっかりご機嫌な様子でプリン完食。

 

「で、どうするよ?」

「どうしよぉ……」

 

 駄目だ。本題に戻ったらまたションボリ河内だ。プラスチックのスプーンを齧るな。割れたら危ないだろうに。

 

「そういえばマンガも買いたいって言ってたな。書店にでも行くか?」

「でもぉ……」

「気分転換でもいいからちょっと書店を覗いてこいよ」

「あれ? 一緒に来ないの?」

「トイレ」

「なるほど。じゃあ先に行ってるね」

「おう、すぐに行くわ」

「ごゆっくり~」

「大きい方じゃねえよ」

 

 肩を落としながらエレベーターを上がっていく河内。書店は3階、ジュエリーショップ関係は2階だったな。

 

「やっべ、漏れる漏れる」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「おまた…………せ?」

 

 書店に行くと、レジ近くで袋を抱えたままションボリしてる河内の姿があった。

 

「買ったのか?」

「違うの! 私は悪くない! 面白そうなマンガが悪いの!!」

「とりあえず落ち着け」

 

 マンガ買ったくらいでそんな取り乱さなくても良いだろうに。

 

「それより腹減ったし、飯食べようぜ」

「うん…………」

 

 もう15時ですよ。今日まだプリンしか食べてないし、さすがにお腹減ったよ。

 

「金ないなら飯くらい奢ってやるからさ」

「ていうかお腹、大丈夫? ずいぶん長かったじゃない」

「別に下痢とかってわけじゃないから安心しろ」

 

 1階のフードコートに降りて食事を買ってから、さっきプリンを食べた席に戻ってくる。うーん、二度手間。さっき食べときゃ良かったわ。変にプリン食べたもんだから余計にお腹減ってきちゃったよ。

 俺はラーメン、河内はカレー。ちゃんと男の甲斐性ってやつを見せてやりましたよガハハ。

 

「なんか、ごめんね」

「やめろ気持ち悪い」

 

 元気が取り柄なお前が元気なくしてどうするんじゃい。調子狂うからやめてくれ。

 

「でも、本当にどうしよう。イヤリング買うお金もうないよ」

「そう言うと思ってここにイヤリングを用意しております」

「うん、そうだね。用意しないと――」

 

 紙袋を河内の方に置いてラーメンをすする。うーん美味い。これはカロリー罪で処罰される味ですな。

 

「……………………え?」

 

 どうした河内、キョトンとして。カレーが不味かったのか? 俺のラーメンを少し分けてやろうか?

 

「いや、えぇえええええええ!?」

「おいバカ大声出すんじゃない恥ずかしいだろ」

「どどどどうしてなんでどうやって!?」

 

 おいやめろ身体を揺さぶるんじゃないラーメン食べにくいだろ。

 

「あ、あんな高かったのに!?」

「あんな高いの買うわけないだろ」

「えぇ!?」

 

 単純な話だ。別に宝石に限らなくても品質の良いアクセサリーってのはある。それこそ数千円から数万円まで幅広い値段でな。

 俺はただ、河内が気に入っていた深緑色のエメラルドがはめ込まれたイヤリングに似ている硝子細工のイヤリングを別の店で探しただけ。そういった硝子細工の製品はホームセンター側に多いってのは地元民なら誰でも知ってる話だ。

 トイレを出て3階に行くついでに2階の連絡通路を渡って買い物してから河内のところへ向かう。実に簡単なミッションだったぜ。

 

「お前は宝石にこだわってたけど、無理に背伸びして買ったもんプレゼントされて妹さんは喜ぶような奴なのか?」

 

 首を横にブンブン丸。ツインテールが犬の尻尾のように横へ振れる。

 

「ならそれで良いだろ」

「う、うん。ありがとう……」

 

 いまいち納得できていなさそうだけど、とりあえず受け取ってはもらえた。

 

「お、お金は払うよ。いくら?」

「いらんいらん。たかが数千円、痛くも痒くもない」

「そういう訳にはいかないでしょ!」

「あーはいはい分かった分かった。じゃあ5千円」

 

 川内から五千円札を受け取る。

 

「よし! この金でクレープ食いに行こうぜ!」

「えぇ!? ちょっと!?」

 

 プリン、ラーメン、クレープ。うーんこれは内臓脂肪の味ですね! 明日体重計に乗るのが怖いぜ!!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「……………………お?」

「あっ、着いちゃったね」

 

 食事を満喫しての帰路。昔のことや近況を話していたら、大きな門と軍服姿の人たちが見えてきた。

 

「ここまで来たのは初めてだな」

 

 軍の施設だから近付くことはなかったけど、なかなか圧倒される門構えをしてるな。

 

「じゃあ、ここで」

「おう」

 

 手を振って別れの挨拶をする。

 

「ああ、忘れてた。これもお前のだ」

「んぇ?」

 

 カバンに入れっぱなしで渡しそびれていた紙袋を渡す。

 

「1ヶ月遅いけど、誕生日おめでとう」

「えぇ!? ちょ、ちょっと!?」

 

 なんだよ。友人に誕生日プレゼント渡すくらい普通だろ。忘れてたけどな! ゴメンよ(小声)。

 

「さすがに悪いよ!」

「いいんだよ。大したもんじゃないから」

 

 注連飾りっぽい髪留めだ。イヤリング売り場の近くにあったけどたまたま目に留まったから買っただけ。特別高いってわけでもない。

 

「まあ、気に入らなかったら捨ててくれ」

「……本当にもらっていいの?」

 

 どうぞどうぞ。大したもんじゃなくて悪いな。

 

「じゃあまたな。今度は年末年始にでも会おうぜ」

「……うん! 約束だからね!!」

 

 おぉ? 急に元気を取り戻したな。元気なのはいい事だ、うん。

 

「バイバーイ!!」

 

 両手をブンブン振ってくる幼馴染に手を振り返して自宅に向けて自転車を漕ぎだす。

 久しぶりに楽しい休日を過ごせた。帰りにスーパーで食材でも買ってくかな。

 

『晩ごはんはカレーをしょもうする!』

 

 ……………………なんだコイツ。ちっこい人形か?

 

『カレーをつくれ!』

 

 生きてんなコレ。生暖かいしほっぺたプニプニだし。珍妙な生物だな。

 

『カーレーエー!!』

 

 はいはい分かった分かった。じゃあ今晩はカレーにしましょうかね。

 

 

 

 中学生の頃に死んだ犬以来の新しいペットが出来たのでしたってな。

 




那珂「……川内ちゃん」

川内「ん? なぁに?」

那珂「このイヤリング、調べたら4万円くらいするんだけど」

川内「うぇえ!? だってアイツ5千円だって言ってたよ!?」

神通「姉さん…………」

那珂「川内ちゃん…………」

川内「わ、私は悪くないもん!」

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