鬼は鬼殺隊のスネをかじる   作:悪魔さん

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令和四年度、最初の投稿です。


第二十八話 夢に出そうで怖いわ。

(なぜだ……なぜなんだ!?)

 激情に駆られた新戸のデタラメな戦いに、猗窩座は劣勢に立たされていた。

 新戸の基本戦術は、化け物じみた思考力を最大限活用した「戦略」――相手の土俵に立たず、搦め手嵌め手を主軸にあらゆる要素を利用して敵を屠る、敵対者にとっては厄介極まりない頭脳派だ。凶悪なまでの思考力の高さは、鬼の中でも頂点に君臨する術者である童磨すら上回っている。ある意味で正攻法である猗窩座にとって、冷静時の新戸は相性が悪いと言える。

 しかし激昂した今の新戸は、血鬼術全開のゴリ押し。戦略も戦術もへったくれもない、ただの力業なのだ。同じ土俵であれば、武術の鍛錬を数百年怠らず続けた猗窩座が絶対的に有利である。

 有利であるはずなのだ。それなのに――

(武の道や鍛錬とは程遠い男が、なぜこんなにも強い!?)

 怒り狂う新戸の強さは、猗窩座の予想を裏切った。

 思考とは冷静時にこそ真価を発揮する。怒れば怒る程に冷静さを失うので、普通に考えれば思考力を封じられた新戸は窮地に立たされる。なのに、猗窩座は新戸の攻略が未だできないどころか、同じ土俵のはずなのに押されている。

 畳み掛ける斬撃の嵐に、反撃しにくい。

(コイツ自体の剣の腕はさほどではない……となると、やはりあの刀か!!)

 武闘家としての勘か、猗窩座は新戸の「絡繰り」に少なからず気づいた。

 

 新戸のオリジナルの血鬼術である「追儺式」は、斬撃と剣圧を操る能力。己の日輪刀を媒体とするため、日輪刀と同じ効果の攻撃を広範囲に放つことができる。――この時点で、並大抵の鬼には絶望を与える程の凄まじさを誇るが、追儺式は()()()()が存在する。

 それが〝赫醒刃〟。媒体の刀を鬼の怪力で圧力をかけることで、高熱を帯びた赫い刃と化させる技だ。発現した赫い刃は、斬撃に加え灼けるような激痛をもたらし、鬼の再生能力を阻害する効果を有するのだ。

 

 鬼殺しの特性を遺憾なく発揮する新戸は、まさに全ての鬼の天敵と言える生物だった。

「〝追儺式 鬼こそ〟」

 殺意に満ちた声と共に、極太の赫い斬撃を放つ新戸。

 猗窩座は回避し、一瞬で間合いを詰める。懐に潜り込まれた新戸は、その拳打を脇腹で受けてしまう。続けて左目を手刀で潰され、回し蹴りを食らって吹っ飛んだ。

「新戸さんっ!!」

 炭治郎は悲痛な叫びを上げる。

 新戸のことをよく知る杏寿郎も、穏やかではなかった。

(怒りで完全に冷静さを欠いている……!)

 怒りのあまり、避ける余裕がなくなっている。

 感情的になった状態での真っ向勝負は、いくら新戸でも不利だった。

「ははっ! 理性だけでなく知性も飛んだか!!」

 ゆっくりと大量の血を流しつつも立ち上がる新戸を、猗窩座は嗤った。

 今のアイツは恐れるに足らない――そう言っているかのようだ。

「俺は杏寿郎とも戦いたい! そろそろ終いとしよう!」

 猗窩座は全身に力をみなぎらせ、絶技である〝破壊殺・滅式〟を打ち込まんと地面を思いっ切り蹴った。

 そして、その拳が新戸の身体を貫かんとした直後。

「〝鬼剣舞 ムギリ膳舞〟」

 

 ドゥッ!

 

「ぐあっ!?」

 新戸は全方向に赫い斬撃を渦のように展開させた。

 まんまと引っかかった猗窩座は、赫い斬撃に斬り刻まれながら宙へ吹き飛ばされた。

 そして新戸は、別の血鬼術――矢琶羽の頸を取り込んで得た〝紅潔の矢〟を発動。己の体に矢印を突き立て、吹き飛ばされた猗窩座よりも数メートル高い地点まで跳躍した。

「よもや、いつの間に別の血鬼術を!?」

「何て熟練度なんだ!」

 複数の血鬼術の使い手と知った杏寿郎は驚愕の叫びを、炭治郎は練度の高さに感嘆の声を上げた。

 対する猗窩座は、空中で打ち上げるために仕掛けたと悟り、すかさず衝撃波をぶつけようと虚空を打ったが……。

「〝(おに)(おど)し・(ひいらぎ)〟」

 

 ドゴォ!!

 

「があああああああああっ!?」

 跳躍した新戸が大きく刀を振るった途端、衝撃波すら押し潰す程に強烈な剣圧が発生。

 轟音と共に猗窩座は、地面に大きな亀裂が生じる勢いで叩きつけられた。それと共に、肌がじりじりと痛んだかと思えば、突如として()()()()()()、猗窩座は断末魔の叫びを上げた。

 赫醒刃で放つ剣圧は、陽光に似た効力の熱を帯びている。言わば衝撃を伴う熱波をぶつけているようなモノで、それを受けた鬼は凄まじい圧力を受けながら火達磨にされるのだ。

「ぐっ……ぐおおおおあああぁぁぁぁっ!!」

 不死であるはずなのに、焼き殺される恐怖と戦慄が襲い掛かる。 

 猗窩座は炎に包まれながらも、〝(さい)(しき)万葉閃柳(まんようせんやなぎ)〟で地面を殴りつけ、発生した衝撃波で剣圧を吹き飛ばす力業で脱出。その際の風圧で己を包み込んだ炎もかき消した。

 が、それを新戸が許すわけもなく、〝紅潔の矢〟による高速移動で猗窩座を猛追。間合いを詰めて接近戦を仕掛けた。

(速いっ!!)

「死ね」

 新戸が殺意に満ちた声を上げると、日輪刀の刃が突然発火した。

 爆血だ。新戸の血が爆ぜ、鬼殺しの炎が猗窩座に牙を剥いた。

「〝(ばっ)(けつ)()(くう)()(しゃ)〟」

 

 ドドドドドドッ!!

 

「があああああああっ!!」

 空中で繰り出す、燃える斬撃の嵐。

 足場も逃げ場もない虚空の制空権を掌握した新戸の攻撃に、猗窩座は滅多斬りにされる。

 そのまま地面に落ちると、新戸は追撃して刀を大きく振るった。

 

 

           *

 

 

(……何という戦いだ)

 その様子を見ていた杏寿郎は、もどかしさを感じていた。

 本来ならば、鬼狩りである自分が戦わねばならない。だが、新戸の周囲への被害を省みない荒々しい戦いに、身を守るのが精一杯。助太刀に行ったところで、足手まといどころか巻き添えを食らって無駄な怪我を負ってしまう。

 今まで新戸の真っ向勝負を見たことは無い。 

 彼が純粋な戦闘、いわゆる正攻法で戦うところを見たのは、鬼殺隊でもごく一部の人間――関わりが深かった実父の槇寿郎や元花柱のカナエぐらいだ。

(本気で暴れると、こうも恐ろしいのかお前は)

 新戸の真の実力に圧倒されているのは、何も杏寿郎だけではない。

 その場に居合わせた炭治郎と伊之助も、息を呑んでいた。

(強い……全力の新戸さんは、上弦の鬼と同じ強さなんだ……!)

(……俺達の出る幕じゃねえ。入ったら死ぬ)

 本気で殺しにかかる両者。

 死を絡め取ろうとする鬼の宴に、鬼殺隊士(にんげん)の介入は許されなかった。

 

 

 乗客の手当てを終えた新戸の弟子――獪岳と玄弥も、遠くからその攻防を見守っていた。

「師範……」

「っ……」

 心配そうな声を上げる玄弥に対し、獪岳は悔しさを滲ませ拳を強く握り締めていた。

 獪岳は新戸の一番弟子であり、()()()()()()()()()()()()()()()()()新戸という男を慕い、その背中を追いかけている。ゆえに新戸に背中を預けられるように強くなりたいと願い、ひたむきに努力してきた。

 だが、蓋を開ければ力の差は大きすぎた。下弦の壱との戦いでは蹂躙し、そのまま上弦との連戦。自分だったら手も足も出ないところだ。

 何が一番弟子だ……! そんな劣等感が、己の心を蝕んでいく。

(俺は……()()()()()とはもう違うってのに……!!)

 その時だった。

「……俺だって!」

「!? おいカス! 何する気だ!」

「カスじゃねえよクズ!」

 玄弥が新戸から貰った狙撃銃に、弾を込めた。

 あの異次元の戦いに、頸を突っ込むつもりだ。

「てめェ、師範の足引っ張ろうとすんじゃねェ!!」

「うるせえ、ここで逃がして溜まるかよ! 師範はいつも言ってただろ、「戦いにおいて卑怯は作法」だって!! これは試合じゃねえ、生き残りを懸けた殺し合いなんだ! 手助けするなっつー方が理不尽だ!!」

「っ!!」

 玄弥の言葉に、獪岳は目を瞠った。

 それと共に、新戸からの教えを思い返した。

 

 ――獪岳、玄弥、いいか? 過程は重要だが、求められるのは常に結果だ。ぶっちゃけ全集中の呼吸とか会得できなくても、鬼を殺せりゃあ合格。杏寿郎にも昔言ったが、殺し合いに善悪や正邪を求めるなよ。

 

「……わかったよ、カスが」

 獪岳は覚悟を決め、刀に手を添えた。

 

 

           *

 

 

 激化する戦い。

 しかし、戦局は大きく移り変わろうとしていた。

「ハァ……ハァ……」

「……何だ、その程度か」

 息を荒くしながら煙草の紫煙を燻らせる新戸に、猗窩座は冷たい眼差しを向けていた。

 新戸は鬼として稀有な存在であり、人間の血肉を喰らわずに強力な血鬼術を駆使することができるが、消耗しないわけではない。複数の血鬼術を同時に長時間使用すれば、その分体力は削られる。

 新戸が戦術戦略を主軸とするのは、思考力が最大限に発揮されるのは勿論、血鬼術の長時間使用による体力の消耗を最小限に抑えるためだ。血鬼術は消耗するが、思考力は冷静でいれば消耗することは無い。

 だが、今回の新戸は違う。煉獄瑠火というかけがえのない想い人との「記憶」を穢されたことで、完全に頭に血が昇って〝自分らしくない戦い〟を仕掛けてしまった。言わば相手の土俵に立ってしまい、じわじわと追い込まれてしまったのである。

 その上、猗窩座の再生力とタフさは新戸の想像を遥かに超えていた。強化された下弦の壱すら一方的に弄る程の実力を持つ新戸でも、猗窩座を消耗させるのは至難の技だった。

(ちくしょう、少し頭に血が昇りすぎた……どうする? このままあえて逃がすか? いや、杏寿郎は万全な状態だ。討ち取るのは不可能じゃねェ。……だが()()()()()は避けなきゃならねェ)

 しかし、追い込まれ消耗したことで、逆に新戸にとって最大の武器である「思考力」が復活した。

 新戸は相手の様子を伺いながら、必死に考えを巡らせる。

(地力では劣るが技術面では互角、頭脳戦を仕掛けりゃ俺が上だ。だが徒手空拳じゃあ間合いを制される。血鬼術もこれ以上使ったら動けなくなるかもしれねェ……クソッ)

 追い詰められた新戸は、汗を拭いつつ次の手を考える。

 しかし、ここは戦場。敵が律儀に待ってくれる道理など無い。

「死ね、新戸!」

「ぐっ……!」

 先程まで劣勢だった猗窩座の反撃。

 目にも止まらぬ速さで繰り出す拳の乱撃に、新戸は刀と鞘の二刀流で必死に捌いていく。

 だが武人としての場数は遥かに踏んでいる上弦の参には、血鬼術の乱用で消耗した新戸には荷が重かった。

 ――このままじゃあマジで()られちまう。日の出まで持ち堪えられるか?

 新戸はそう考えた、次の瞬間!

 

 バァン!!

 

「なっ!?」

「!?」

 突然の銃声。

 それと共に吹き飛ぶ、猗窩座の右腕。

 新戸はまさかと思い、銃声が聞こえた先に目を向けると、そこには玄弥がいた。

「玄弥、お前……!」

 弟子が助太刀をするとは思ってなかったのか、新戸は目を瞠った。

 さらに続いて――

「師範!!」

「獪岳!?」

 獪岳が抜刀しながら猗窩座に斬りかかる。

 が、当然その動きは見切られており、猗窩座は獪岳の一太刀を躱して手刀を見舞った。

 ――しかし、今の獪岳は新戸の一番弟子。それくらいは()()()()()

「食らえ、カス鬼!」

 獪岳は手から何かを投げつけた。

 それは、目眩ましの砂だった。

「小賢しい真似を、弱者が!」

 猗窩座は瞬時に背後に回り、獪岳の頭を砕き割ろうと拳を振るった。

 が、それが仇となった。

「よくやった、一番弟子!」

「何っ!?」

 何と同時に新戸も猗窩座の背後に回っており、真後ろから仕込み杖を振るって胴を斬りつけた。赫醒刃となった仕込み杖は、新戸の鬼特有の怪力もあって一気に半分まで食い込んだ。

「ぐううう!?」

 灼けるような激痛に悶える猗窩座。

 そこへ獪岳が飛びつき、頸に斬りかかった。

「うああああああっ!!」

 その一振りに、命を乗せて。

 全身全霊の一撃を、猗窩座の頸に叩き込む。

 師である新戸には到底及ばないが、たゆまぬ努力で鍛え上げ研ぎ澄まされた雷の如き剣閃は、頸に少しだけ食い込んだ。

(このガキ!!)

 猗窩座は怒りに身を任せ、獪岳の頭を潰そうと拳を振るった。

 が、直後に赤い矢印が両腕を突き刺し、千切り飛ばされそうになる。

「っ! 小守、貴様ァァ!!」

「誰が()らせっかよ!」

 〝紅潔の矢〟で両腕を封殺され、凄まじい剣幕で新戸を射殺さんとする猗窩座。

 その時だった。

(!! しまった、夜明けが近い!!)

 東の空が、白み始めている。

 鬼殺隊の絶対的な味方、太陽だ。この状態で朝日が昇ると、猗窩座は日光に滅却される。

 逃げなければと焦れ始めた時、あの赤い矢印が今度は両足の甲を貫いた。――まるで地面に縫い付けるかのように。

「ヒッ!」

 猗窩座は声を引き攣らせた。

 新戸の目論見を、本能が感じ取ったのだ。このまま陽光に晒すつもりなのだと。

「王手だ!! 詰ませるぞ獪岳ゥ!!!」

「はいっ!!」

 ズボラでチャランポランな新戸とは思えない、凄まじい気迫。

 それに続いて獪岳も叫び、文字通り命を削る思いで力を込めた。

杏寿郎(きょうじゅろ)ォォ!! ()れェェェ!!」

「っ!!」

 新戸の言葉に、杏寿郎は我に返ると一瞬で距離を詰めた。

 狙うは、頸。

「〝炎の呼吸 壱の型 不知火〟!!」

 赫き炎刀を構え、紅蓮の闘気を舞い上がらせながら斬りかかる鬼狩りに、猗窩座は戦慄した。

 ますます明るくなる空、逃がそうとしない新戸と鬼狩りの餓鬼、爆発的な加速で突進する炎柱……新戸の言う通り、このままでは詰まれてしまう。

 猗窩座は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべると、強引に体を引いて両手両足を引き千切った。

『!?』

 これには全員が度肝を抜いた。

 その隙を見逃さず、猗窩座は瞬時に引き千切った四肢を再生させ、思いっ切り地面を蹴った。着地と同時に朝日が昇ったのか、皮膚がじりじりと痛むのを覚えて背筋が粟立った。

(最悪だ……誰も殺せなかった!!)

 木々の間を走りながら撤退する猗窩座は、心の中で悪態を吐いた。

 

 自分の見通しが甘かったのは、認めよう。真っ向勝負を仕掛けた新戸の強さは、猗窩座の予想を裏切った。自分達の主が()()()に一任してでも抹殺したがるのも納得がいった。

 だが奴と戦っていると、どうしても苛立ってしまう。まるで何かと面影を重ねているような……。

 

(クソ……クソクソクソォォ!!)

 

 煮え滾るような怒りを抱えたまま、猗窩座は森の奥へ急いだ。

 鬼狩りを一人も殺せなかった、決して忘れることのできない恥辱の敗北だった。

 

 

           *

 

 

「おい待て!!」

「深追いは止せ……どの道追いつけやしねェよ……」

 暗い森をねめつける獪岳に、新戸は血反吐を吐いて口を拭った。

「師範! 大丈夫ですか!?」

「大丈夫に見えるかよ、カスが」

「ああ!?」

 全てが終わって駆けつけた玄弥だったが、獪岳の一言にカチンと来たのかメンチを切り始めた。

 新戸は「元気だなァ、おい」と笑いかけつつも、その顔には柄にもなく悔しさが滲み出ていた。

「……新戸、すまなかった」

 一方の杏寿郎は、申し訳なさそうな顔で謝罪した。

 新戸があそこまで追い詰めたというのに、頸をとらえることができなかったことが、相当参っているようだ。

 柱として不甲斐無い――そう言いたげな表情だ。

「……別に俺が勝手にやったことだ、一々謝んな」

「新戸さん……」

「炭治郎も伊之助もだぞ。これは防衛戦だ。乗客が一人でも殺されてたら鬼狩りとして敗けてた」

 その言葉に、一同は目を瞠った。

 鬼殺隊は、鬼から人を護る組織。鬼殺隊の隊士が鬼から人を護れなければ、決して忘れられない屈辱的な敗北である。

 言い方を変えれば、鬼を取りのがしても人さえ護れれば十分。取り逃した鬼は誰かが代わりに討ち取ってくれるかもしれないし、また相対するかもしれないし、限りなく低い確率で無惨に粛清されるかもしれないが、上弦を相手に生きて帰れれば万々歳だ。

 鬼を斬れなかった度に己を責めては、心身が()()()()

「……あー、ムカムカする……!!」

 新戸は頭をガジガジと掻いて、苛立ちを露にする。

 自分の想い人をコケにし、一番触れられたくない過去の記憶を土足で踏み荒らした鬼を逃がしたのは、新戸にとっても痛いコトだった。

 あんな安い挑発に乗らなければ、相手の土俵に乗らなければ、もっとうまく立ち回れたかもしれない。

「……これ瑠火さんが知ったら怒るだろうなァ」

「とりあえず枕元で説教だな!!」

「やめろよ、夢に出そうで怖いわ」

 新戸は引きつった笑みを浮かべながらも、懐から煙草を一本取り出して紫煙を燻らせたのだった。




【ダメ鬼コソコソ噂話】
新戸は通常の戦法と激昂した状態の戦法とで、強さが異なります。

通常の戦法は嵌め手搦め手主軸であり、かなり戦略的です。あらゆる手段で相手を翻弄する上、絶対に真っ向勝負を仕掛けないので、敵対者にとっては非常に厄介です。
激昂した状態の戦法は真っ向勝負で、感情任せなので周囲の被害も考えず戦います。血鬼術も出し惜しみせず発動するので、一撃の威力は通常時よりも遥かに高い反面、後先考えないので体力の消耗が早い上に味方が巻き添えを食らいやすくなります。

今回の場合、新戸は唯一にして一番の地雷を踏まれたことで感情的になっていたために消耗の激しい戦いをしてしまい、なおかつ猗窩座も再生力が最上位クラスなので、前半は新戸が優勢でしたが戦闘が長引いたことで後半は猗窩座が優勢になりました。
もっとも、新戸にも相性があるので、激昂した状態だと玉壺あたりなら普通にボコれます。


それと次回あたり、新戸の日輪刀に隠された「ある秘密」を紹介しようと思います。

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