鬼は鬼殺隊のスネをかじる   作:悪魔さん

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このあと、遊郭編以上の修羅場が待ち構えてます。


蝶屋敷襲撃編
第二十九話 面倒見の良さと稽古の厳しさは別物だぞ。


 無限列車での一件の後、杏寿郎は緊急の柱合会議に出席した。

 今回の任務は、途中合流した新戸の部隊との共同戦線により、脱線時に怪我をしてしまった点さえ除けば最小限の被害で済んだ。上弦の参が襲来するも、新戸の地雷を踏んだことで怒りを買い、翻弄された挙句に撤退した。

 上弦と遭遇した鬼殺隊士は、柱も含めて数多の数が闇夜に葬られ、その腹に収まってきた。感情的になったせいで新戸は苦戦を強いられたが、上弦と遭遇して誰も死ななかったというのは奇跡に等しい。

「二百人の乗客は誰も死なず、剣士(こども)達も全員生きて帰ってこれた。下弦の壱と上弦の参との連戦、よく頑張ったね杏寿郎」

「いえ! 俺は新戸のお膳立てを無下にしてしまった! 柱として不甲斐無いばかりです!」

「そんなことはないよ。しかし、まさか新戸を本気で怒らせるなんてね」

 今回の会議で話題になったのは、あの新戸が激怒したことだった。

 新戸の印象は人それぞれだが、大体は悪い印象だ。悪巧みや人をコケにするのが楽しそうだの、いつも遊んでるだの、真心がこもってない時が多いだのと散々だ。一応親しい間柄の人間からは堅苦しさがなくて柱より接しやすいとのことだが、やはり悪い部分が目立つ意見が多い。

 そんな新戸が、激怒のあまり下弦を嬲り殺そうとし、上弦を一時的に追い詰めた。新戸が怒っている場面をほとんど見てない自分達にとって、それは衝撃的な出来事だった。

「その上弦ってのは、新戸をどうやって怒らせたんだ?」

「……俺でも腹に据えかねる言葉だ」

 拳を凄まじい力で握り締める杏寿郎。

 その意味を察したのか、伊黒は恐る恐る尋ねた。

「……先代の奥方、か?」

 伊黒の指摘に、杏寿郎は無言で頷いた。

 というのも、伊黒は過去に炎柱だった頃の槇寿郎に救われた身。その縁で煉獄家と親しく、槇寿郎が荒んでいった経緯も知っているのだ。

「……煉獄、てめェの母親と新戸(あのバカ)はどういう関係だったんだァ?」

「それについては、私の口からも説明しないとね。杏寿郎、いいかな?」

「勿論!」

 快活な返答に耀哉は微笑むと、新戸の過去を語り始めた。

「元々新戸は、鬼に成った直後に槇寿郎が拘束して連れられてきたんだ。その時から新戸は鬼として特殊でね……フフッ……! あの第一声と言ったら……!」

(お館様の思い出し笑い! 素敵!)

 新戸が初めて本部に連行された時のやり取りを思い出し、笑みを溢す耀哉。

 敬愛する主君の意外な一面に、甘露寺はきゅんとなった。

「……お館様、新戸は一体何と言い放ったのですか?」

「当時の当主は父だけど、私も傍に居てね。父が何者か尋ねたら、新戸は「あなたのスネをかじりに来ました」と答えてね……!」

 いきなりぶっ飛んだエピソードに、杏寿郎以外は唖然。

 鬼になった時点で、今の新戸は完成していたようだ。

「その後、当時の柱達と処遇を相談していたんだけど、その間新戸は何度も居眠りをしてね」

「鬼なのに、柱達の前で居眠りするのか……」

 しみじみと呟く義勇に笑いが込み上げてきたのか、宇髄と無一郎、しのぶら女性陣が頬の内側や唇を噛んで震えている。

「居眠りに飽き足らず、お腹が減ったからと一汁三菜を要求したり、肌が痛いからと屋敷に上がったり、眠いから寝床がどこか隠に尋ねたりしてたよ。今でもよく憶えている」

「ぶふっ!」

 真っ先に吹き出したのは、やはりと言うべきか甘露寺だった。

 ただでさえ今も奇行が目立つというのに、十五年も前からぶっ飛んでたとは。

 文字通りのやりたい放題ぶりに、伊黒も膝を思いっきり握り締めて耐えている。

「そこで私の父は、今までの鬼とは違う稀有な存在と判断し、ひとまずは本部預かりとして柱一名の監視を条件に不問としたんだけど、十日ぐらいかな? 柱達が「人を喰うより質が悪い」と苦情を訴えてきてね。第一発見者である槇寿郎に一任させたんだ」

「それは全責任を槇寿郎殿に押し付けたということでは……?」

「そうだね」

 悲鳴嶼の疑問をあっさりと認めたお館様。

 さすが産屋敷家、何事も強かである。

「そんな中だったな……ある日父上は新戸の怠慢ぶりに業を煮やし、「将棋で勝ったらしばらく置いてやる」と言った」

「結果は?」

「三番勝負で父上の全敗だ」

 その言葉に、一同は息を呑んだ。

 鬼になってからなのか、元々の素質だったのかは不明だが、人生初の将棋で相手にいきなり全勝するとは。もっとも、新戸は博打で生計を立てることができるので、彼自身の勝負強さもあったのかもしれないが。

「今思えば、新戸の策士としての才能はそこから開花したのかもしれんな」

「私もまだ目が見える頃に新戸と指したことがあるんだけどね……恐ろしく強かったよ。父もコテンパンにされたそうだ」

 さらに出てきた耀哉の証言に絶句。

 聡明な鬼殺隊当主すらも、新戸には及ばないのか。

 だが言い方を変えれば――

「先代の奥方は、あの新戸を打ち負かした唯一の人間だというのか……!」

「……強かったのか」

「ああ、百回挑んで一度も新戸は勝てなかったそうだ。しかも敗北の度に母上から指導を受けたそうだ」

「マジかよ……」

 鬼殺隊随一の頭脳派である新戸を、瑠火は将棋で一度も勝利を譲らなかった。

 それ程までの差が、あの二人にあったのだ。

「誰もが手に負えなかった新戸に敗北を教え、その全てを受け止めたのは間違いなく母上だ。新戸は母上を裏切る真似はしない」

「私もそう思っているよ、杏寿郎。たとえこの先、鬼殺隊と袂を分かつことがあったとしても、瑠火殿の記憶が在り続ける限り人を護ってくれるはずだ」

 断言する杏寿郎に、耀哉は賛同した。

 常に飄々とした昼行灯で、時に鬼らしい傲慢さや凶悪性を見せ、狡猾に立ち回る新戸。疎まれがちな彼も、今もなお瑠火に対しては敬意を払い続けている。

 新戸と瑠火がどこまでの関係だったのかは、想像するしかない。事実、一番身近であった煉獄家の面々ですら二人の関係の全てを把握できてないし、新戸自身も詳しく語ろうとしない。

 それでも、新戸は瑠火への想いを忘れず、彼女の影を追い続けている。それが全てを物語っている。

「……いずれにしろ、今回の無限列車の件で、新戸は弟子を巻き込めば任務で大きな戦果を挙げてくれることがわかった。きっちりかっちり働かせないとね。皆も協力してね」

『御意!』

 

 

「ぶへっくしょん!」

「……師範、大丈夫ですか?」

「何か俺に労働の魔の手が忍び寄った気がしてな……」

 盛大にくしゃみをする新戸は、右手に風呂敷包みを、左手に酒壺を携え蝶屋敷の入院病棟へと向かっていた。

 今回の任務で合流した、炭治郎達の見舞いに来たのだ。

「金平糖で満足してくれりゃあいいんだが……」

「師範、あんなカスの見舞いなんかしなくていいですよ」

 獪岳はそう吐き捨てるが、新戸は不敵に笑って返答した。

「獪岳……人に親切にしときゃあ、自分(てめェ)に良い事があるってよく言うだろ? 人に何か与えてりゃあ、その対価がちゃんと自分に返ってくる。人間ってのァ、手ぶらの奴より何かしら持ってる奴の方に集まるモンさ」

「!」

「ありがたいことに、鬼殺隊は()()()()()()だ。今時の若い衆はちょっと飴与えただけですぐ堕ちる」

 新戸は黒い笑みを浮かべながら、病室の扉を開ける。

 そこには、ベッドに座る三人の少年と、見覚えのある一家が居た。

「あっ! 新戸さん!」

「よう、炭治郎。頭以外は柔かったんだな」

 新戸は欠伸をしながらイスに座り、グビグビと酒壺の中身を煽った。

 すると、二年前の件で蝶屋敷に移ることになった竈門家の柱である葵枝が、新戸に頭を下げた。

「新戸さん、炭治郎がお世話になってます」

「そんな大層なことじゃないですよ、葵枝さん。ガキの世話は昔から得意ですから。あと炭治郎、これ見舞いの金平糖だ。皆で分けな」

「こ、こんなにいいんですか!?」

 見舞いの品の中身を知り、ギョッとする炭治郎。

 アイスクリームやチョコレートが広まる時世だが、金平糖は今もなお裕福なお菓子という認識ではあるようだ。

「あとでお姉ちゃんにもあげないとね!」

「お姉ちゃん、金平糖大好きだし!」

「そうだな、今回の任務は禰豆子も頑張ったようだし」

 新戸の見舞いの品は、うまく作用した様子。掴みは大丈夫なようだ。

 すると、葵枝は見慣れぬ二人に気がついた。

「あら、そちらは……」

「稲玉獪岳です」

「し、不死川玄弥っす……」

 会釈する二人に、葵枝は微笑みながら挨拶する。

「二人は俺の弟子だ。獪岳は俺の右腕で、玄弥は炭治郎の同期だ」

「そうなの! この度は炭治郎が……」

「わ、わざわざ言わなくていいですよ!」

 頭を下げる葵枝に、アワアワする玄弥。

 獪岳はジト目で見やると、今度は炭治郎達に目を向けた。

「竈門。あのカスは相変わらずか」

「カスじゃなくて善逸です! ……善逸は確かに小心者ですけど、強くて優しいから頼りになりますよ」

「擁護してるようでしてないよねそれ!?」

「ハッ、てめェにゃ丁度いい評価じゃねェか」

 信頼してるのか貶めてるのかわからない評価をする炭治郎の言葉を聞き、盛大に嘲笑する獪岳。

 そのゲスい笑みは、悪巧みを仕掛ける時の新戸と全く同じモノ。彼も染まってきているようだ。

「っていうか、いつの間に稲玉って苗字名乗ったの!? そこは桑島じゃない!?」

「あのジジイと違うんだよ、師範は。俺を正しく評価する善人だ」

「善人って言葉から一番程遠いのに!?」

 その言葉にカチンと来たのか、獪岳は貼り付けた笑みで善逸を締め上げた。

 善逸はギャーギャーと喚くが、問答無用。笑っていない笑顔で弟弟子を躾ける様子に、さすがの炭治郎と伊之助も気の毒に思った。

「……で、どうするつもりだ? 今回の件で、上弦のヤバさはわかったろ」

「っ……はい」

 酒を飲みながら尋ねる新戸。

 炭治郎も――元も含めて――十二鬼月と遭遇・戦闘したことはあるのだが、猗窩座は異次元の存在だった。あの領域は柱かそれ以上の強さがなくては、呼吸どころか瞬きすらままならない。

 しかし、あの領域に達しなければ、鬼舞辻無惨の頸など夢のまた夢だ。

「そこで提案なんだが――」

「待て、新戸!!」

 驚く程に大きな声で、柱合会議を終えた杏寿郎が殴り込んできた。

「竈門少年達は俺の〝継子〟にする!! 手出し無用だ!!」

「えっ!?」

 杏寿郎の宣言に、炭治郎達はギョッとする。

 継子とは、平たく言えば柱候補生。次期柱として直々に育てられる新参の隊士であり、柱よりも希少な存在だ。まだ出会って一ヶ月も立っていないが、才能を見込まれるのは炭治郎達にとって嬉しい話だ。強くなるには、やはり柱に選ばれるのが早い。

 だが、ここで新戸が待ったをかけた。

「えー……お前ダメだって。弟子入りした奴ら全員逃げ出したの忘れてんの? 面倒見の良さと稽古の厳しさは別物だぞ」

「むっ! 何を言う、甘露寺は継子を経て柱になったぞ!!」

「本来の源流から滅茶苦茶離れてっけどな。っつーか〝炎の呼吸〟からどうやれば〝恋の呼吸〟になんの?」

「それは知らん!!!」

 堂々と言い放つ杏寿郎に、新戸は溜め息を吐いた。

「……まあ、炭治郎の〝ヒノカミ神楽〟に一番近いのは炎かもしんねェけどな」

「そこまで理解しているなら、なぜ譲らん!」

「禰豆子鍛えられないし、血鬼術使えないじゃんお前」

 新戸の一言に、杏寿郎は固まった。

 それが両者の決定的な違いだった。

 新戸は剣腕は然程ではないが、鬼であるために血鬼術を用いた訓練が可能だ。それに加えてズバ抜けた思考力を持ち合わせているため、変化に富んだ修行を行うことができる。実際に鬼と戦っている状態での稽古は、確かに新戸でないと不可能だろう。

 現に獪岳と玄弥は、新戸の血鬼術を用いたぶっ飛んだ鍛錬を積んでいる。

「もう鬼殺隊は鬼との共闘という方針になってる。模擬戦と言えど鬼との共闘を実現できるのは俺んトコだけだぜ?」

「ぬぅっ」

「それに炭治郎と禰豆子は一緒に鍛えた方がいい。〝万が一の場合〟の備えにもなる」

 新戸の言葉に、杏寿郎は唸った。

 禰豆子の唯一の懸念事項は、鬼化の進行による暴走状態。

 通常の人喰い鬼と違い、禰豆子は新戸と同様、人を喰わない鬼ながらも強力な能力を秘めた極めて稀有な個体である。しかし()()()突然変異体である新戸と違い、禰豆子は新戸よりも無惨の血が濃いことが珠世の研究で判明しており、暴走の確率はゼロではない。

 そして禰豆子は、新戸の血も取り込んでおり、新戸の血鬼術を行使できる可能性がある。それ程の鬼が暴走したら、甚大な被害が生じるだろう。

(まあ、あえて思い切って暴走させちまった方が、禰豆子の精神力強化の面で()()()()()()()アリだろうけどな)

 新戸は心の中で呟くが、さすがに一家の反発を買うと判断して口には出さないでおいた。

 すると、兄弟子に散々締められた善逸が、ようやく落ち着いた様子で新戸に尋ねた。

「あ、あの……新戸さん、だっけ? 兄貴達がやってる修行って、どんなの?」

「……獪岳。言ってみん」

「……はい」

 善逸に知られるのが非常に癪といった表情ながらも、獪岳は丁寧に説明した。

「師範との修行は、昼に行う時と夜に行う時がある。必ず体調が万全であること前提だ」

「昼と夜とでは、修行内容は違うんですか」

「昼は主に座学、夜は師範との組手を行ってる」

 至極簡潔で、なおかつ意外な内容に、一同の興味が集中した。

「座学だと? どういうことだ?」

「何ていうか、戦い方を学ぶんです。師範は剣腕よりも頭脳戦が大事っつってるんで……」

「戦術指南か! 成程、新戸だからこそできるな」

 玄弥の証言に、杏寿郎は納得した様子で首を振る。

 心と体だけでなく、思考や判断を司る「頭脳(あたま)」も鍛えるという訳だ。こればかりは、頭脳派である新戸だからこそできる芸当だろう。

「して、夜の修行は? ただの組手ではあるまい」

「ええ。夜は師範が容赦なく血鬼術や嵌め手搦め手を仕掛け、時々上弦の弐がちょっかい出してきます。最近は夜の訓練も全集中の呼吸の使用制限がかかっていて、一定時間全集中の呼吸の使用禁止なんて時もあります」

『えっ?』

 夜の修行内容に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう炭治郎達。

 血鬼術を容赦なく使う相手に加え、夜間での実行は、より実戦に向いたものだ。いつでも鬼殺隊は鬼達に有利な夜の中で戦うのだから、さながら実際の戦闘のように緊張感のある組手と言えよう。

 ただ、全集中の呼吸の使用制限を課すのは想定外すぎた。その上、鬼殺隊に与している上弦の弐が時々ちょっかいを出してくるというのだから、夜の修行は混沌と化しているだろう。そんな実戦以上の修羅場で、獪岳と玄弥は己を鍛えているのだ。

「……嫌な奴だな。さすがにおかしいぞ……」

「いいだろうが別に! 強くなりゃいいんだよ、強くなりゃあ」

 杏寿郎にドン引きされつつも、新戸は炭治郎に先程の続きを始めた。

「……それでだ、炭治郎。さっきの提案についてなんだが……()()()()()

「え?」

「本当なら俺が引き取りたいんだが……ここは間を取って、()()()寿()()()お前らを鍛える」

 その言葉に、炭治郎だけでなく善逸と伊之助も驚愕した。

 現役の柱と、鬼殺隊随一の頭脳派が、手を組んで若者三人を指南するというのだ。

「贅沢だろ? だがお前らの代は期待できる。これくらいの我儘は許されるさ。本当ならしのぶの継子であるカナヲも巻き込めれば最高だったんだがな」

「カナヲはダメだったんですか?」

「心身共に申し分ないが、蝶屋敷の面々がこぞって反発しちまってな」

 新戸曰く、蟲柱(しのぶ)の継子である栗花落カナヲも引き取るつもりだったという。

 しかし新戸の日頃の素行不良ぶりに加え、親密な関係である童磨が女性に目がないこともあり、その内に食べられてしまう――どっちの意味かは不明――として断固反対の姿勢を取ったため、諦めざるを得なかったとのこと。

 日頃の行いは、やはり大切な時に響くようだ。

「まあ、そんなことはどうでもいい。ともかく、お前ら三人はしこたま鍛える。剣術や呼吸法は杏寿郎が、それ以外の技能や組手は俺が担当する」

「ちょっと、勝手に話進めないでくんない!? まだ心の準備できてないし!! そんな厳しいの参加したくもないし!!」

「別に逃げてもいいぞ。逃げたら鬼殺隊内での全ての女性との接触禁止令を〝上〟に要請するだけだから」

「わかりました!! やります!! やりますよこの悪魔!!」

 逃げ道をしっかり塞ぐ新戸に、善逸は怒りに満ちた声で鳴きながら叫んだ。

 しかし狡猾な新戸にとって、悪魔は褒め言葉である。

「俺もやるぜ!! 親分だからな!! 腹が減るぜ!!」

「師範、コイツ何言ってるのかよくわからねェ」

「まあ……やる気あんならいいんじゃね?」

 謎の鼓舞をする伊之助を尻目に、炭治郎へと視線を向ける。

「……お前は?」

「やります! それで皆を護れるなら!」

「わかった……ひとまず怪我は全部治せ。話はそっからだ」

 新戸は三人の答えを聞き、満足気に笑った。

 

 その三日後、最悪の事態が蝶屋敷を襲うことになるなど、新戸自身も知る由も無かった。




【ダメ鬼コソコソ噂話】
新戸の日輪刀は、猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石という日光を吸収した特殊な鉄に加え、新戸自身の血の鉄分が混入されてます。無機物である日輪刀を媒体として血鬼術を放てるのは、己の血液の一部が血鬼術の発動に反応しているからです。


【特報】
次回、ついに〝アイツ〟が蝶屋敷に……!
新戸にとって過去最凶の敵が、鬼一文字を背負って鬼殺隊に災厄をもたらす!!

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