Re:ゼロ RTA (極力)原作ルート《完》 作:MOHIGE
5000字越えなので初投稿です。
(追記)
ノミ以下さんの見せ場が余りにも寂しいので台詞追加
前回、庁舎奪還作戦が幕を下ろしたところから再開です。
さて、水路は絶賛氾濫中ですが、『都市庁舎』のボス4体が無事片付きました。
残りのボスはあと一体、『強欲』レグルス・コルニアス、通称ノミ以下さんです。
心臓を止めている間は自身や任意の物体が無敵になる『獅子の心臓』と、花嫁の心臓を使って効果時間を無制限に伸ばす『小さな王』という二つの権能を使い、常時完全無敵になるチート野郎です。が、現在はエミリアの魔法で花嫁を全員コールドスリープさせる攻略法が確立されており、TDN出オチ要員と化しています。
しかし、こいつの一番の問題は出現条件です。エミリアと遭遇していない間は完全ランダムエンカウントとなっており、最悪他のボス戦にすら乱入してきます。イビルジョーかなにか?
レグルスのエンカが固定されるイベントは二つ。
一つは前述した通り、エミリアとの遭遇です。その後強制戦闘が発生し、敗北するとエミリアを攫って行きます。以降は聖堂でシンボルエンカとなるのですが、そもそもエミリアと遭遇事態がランダムですし、いちいち負けるのもロスな上にエミリアも強制離脱してしまうので、このイベントは使えません。
もう一つは強制イベント『水路氾濫』直後です。水路が氾濫すると、レグルスは花嫁達の安否確認のため一旦潜伏場所の聖堂に戻ります。狙うならここ一択です。
ヴィルヘルム「どうやら、そちらも終わったようですな」
ガーフィール「よォ大将ッ!俺様ァ大罪司教全員ぶっ倒すのには間に合ったかよ?」
ミミ「おにーさんボス全部ぶったおしたの!?まじすごー!」
リカード「こっちは雑魚の露払いしかしとらんから暴れ足りんわ。もう残っとらんのか?」
お、広場組が自力で戻ってきましたね。どうやら屍兵コンビ討伐が間に合って強制離脱しなかったようです。
さて、氾濫した水が引いたらさっさと『扉渡り』で聖堂に向かいます。折角タイム短縮が出来たのですからこの勢いで一気に終わらせてしまいましょう。連れていく面子はエミリア一人で十分なのですが、もう最後だし全員で行きすかね。ヴィルヘルムさんは残りHPキツイので居残りですが、ガーフィールは回復済みのようです。ガーフくんもタフやなぁホンマ…
プリシラ嬢はついて来てくれませんが、もう十分過剰戦力なので(特に必要は)ないです。
ではいざ鎌倉(聖堂)
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「クソっ、水門を開けるなんて聞いていないぞ!……チッ、愚図め、さっさと出ろよ!」
対話鏡を睨み付けながら『レグルス・コルニアス』は毒づく。
「はいもしもし、こちらクソレストラン」
「おい!話が違うじゃ――お前は誰だ?」
「ああ俺か?麦藁の一味のコックだ。ウソ。ただの通りすがり」
鉄兜に町人服という異様な出で立ちの男は、とぼけるように肩をすくめる。
「『カペラ』を出せ。いるのは分かってるんだ。僕を余り待たせるなよ、そっちの制御塔はここからでも狙え――」
「やっこさん死んだよ。俺が殺した。…ゴメン嘘。でももうこの街にいないのはホント」
「なに…?」
「つーかもう大罪司教はお前さんしか残ってないぜ。早く逃げた方がいいんじゃねぇか?」
鉄兜の男は飄々とした様子で言う。
「チッ、頭のおかしい狂人か。まあどうでもいいよ。揃いも揃ってイカれた連中の事なんて。僕にはやることがある。他の連中なんて構っていられないよ。僕の貴重な時間が無駄になるだけだからね」
「だからその貴重な時間で逃げたらどうだって…おい、お前の後ろ、なんか凍ってないか?」
「はぁ?何を言って―――何だ、これ」
後ろの壁が凍り付いてる。霜が足元まで延び、靴底を床に縫い付けている。
馬鹿な、有り得ない。僕の身に着けた物に、『凍る』なんて変化が起こるはずがない。
そんなことが起こるとすれば、可能性はただ一つ。
まさか、まさか花嫁達は、全員この氷に――
「お前、お前か…!?お前が、僕の花嫁達を…!!」
「なわけねーだろ。でも犯人ならすぐわかるよ」
けたたましい音を立てて凍った壁が砕かれる。
壁の向こうから、ぞろぞろと人がやってくる。
「おーホンマにおったわ。こいつが最後で間違いないか?」
「そのようだ。この禍々しい気配、ただの町人では有り得ない」
「しかしユリウス、この者の物腰は戦う者のそれとは思えないのだが――」
「まーたお前はそうやって…雑魚だろうが敵は敵!全力でぶっ倒しゃいいんだよ!」
「しかしたった一人を相手にこれは、余りにも卑怯なのでは…」
「んもぅ、クルシュ様ってば甘々な事を…そんなところも素敵ニャんですが」
「んじゃあよォ、こっからは早いモン勝ちッて事でいいよなァ?」
「おーガーフいいこと言った!ミミもどーかん!」
「お嬢なら『カモ1羽を山分けはでけへんなぁ、クズ肉もろても腹膨れんわ』って言ってるね」
「な、なんだお前達は…!誰の許可を得て…ヒッ、まさか、まさかお前達が花嫁達を…!?全員殺したのか!?この、人殺しッ!!…待て、寄るな!!大体、卑怯じゃないか!!そんな大勢でッ!!…よせ、やめろ―――」
「どうした!応答しろ!スネーク!スネーーーク!!……ハァ、出番これだけかよ」
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やっぱり出オチじゃないか(呆れ)という訳でノミ以下さん撃破です。
この後は5章EDになりますが、これにて本RTAは終了です。計測終了点は5章EDのメッセージ消灯時とします。
さて、完走した感想ですが…ぬわああああん疲れたもおおおおん、辞めたくなりますよ~RTA~(テンプレ)
反省すべきガバは多々ありますが、特に大きな反省点はベアトリスのマナ余らせ過ぎという点です。即死MAP兵器「アル・シャマク」さんの使い所さんも無く、途中でカペラおばさんのマナまでバキュームして徒にリソース余りを加速させる始末。こんなに余らせて民族の象徴でも建設するつもりなんですかね?次回以降はこの辺きっちり使い切ってタイム短縮につなげたいところです。まぁ抜本的なチャート見直しを迫られそうですし、もう走りませんが。
他にも細かいガバは沢山ありますし、何度かbiim一族の宿業たるクズ運に見舞われ詰みかける事態まで招きましたが、取り合えず完走できてよかったです(小並)。特に5章の庁舎決戦ではNPCのランダム行動に助けられ、思わぬタイム短縮となりました。捨てるガバあれば拾う神ツモありです。
さてそれでは少し早いですが、この辺でお開きといたしましょう。残りはED垂れ流しですので一足お先にお別れの挨拶をしたいと思います。ご視聴ありがとうございました。
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嵐のように過ぎ去ったプリステラの3日間。
他の王選候補を呼び出し、目の前に美味しい餌をぶら下げ、楽しい腹の探り合い…そのはずだった。少なくとも2日目まではそうだ。
だが蓋を開けてみればどうだ。
大罪司教5人の同時襲撃。都市を丸ごと人質に、聞いたこともない『魔女の遺骨』の要求。そして半日足らずで都市奪還。
全ての王選候補が一堂に集まり、その最大戦力が集結していた幸運はあった。それでも、たった半日で大罪司教5人の制圧は流石に出来過ぎている。
その中心的役割を果たしたのは、エミリア陣営の一の騎士だ。
魔法の才も加護も無く、腕っぷしは並み程度、氷結の魔女の一の騎士『ナツキ・スバル』。
「ユリウス。あのコどない思う?」
「あのコとは…『ナツキ・スバル』の事ですか」
アナスタシア・ホーシンは報告書に目を通しながら、ユリウス・ユークリウスに声をかける。
「一言でいえば、不可解です。私が彼の闘い振りを見たのは『暴食』の時でしたが、彼と対峙した途端『暴食』は動きを止め、直後に苦しみ始めました。それまで戦っていた私から見ても『暴食』は恐るべき敵です。それが何故あのように…」
「せやろな、ウチが見たんも大体そんな感じや」
アナスタシアは顔を上げ、ユリウスに目を向ける。
「…なぁユリウス、あのコは怖いか?」
「不可解ではあります。しかし、体力、知力、技量、マナ量ともに恐れる程ではありません。何より私は騎士、相手が何者であろうと、決して恐れる事はありません」
アナスタシアが小さく息を漏らす。
「…ウチは騎士やない、商人や。商人は計算でしか生きられへん。せやから不可解なモン、計算できんモンは怖い。地震や竜巻相手に商売はでけへん」
『大罪司教』は、さながら悪意を持った竜巻だ。たった一人で街すら壊滅させる。
それを、何も持たないただの少年が打ち払ったのだ。僅か半日で、3度も。
「大罪司教が3人、ウチの目の前で同じようにやられよった。3回続いたら、そらもう計算や。おとぎ話や偶然の類とちゃう」
「…であれば『ナツキ・スバル』は計算できる相手、すなわち対処可能な相手…と言う事でしょうか?」
「そう言えたらええんやけどね。残念ながら逆や」
アナシタシアは嘆息する。
「アレは計算された不条理や。他人のリンガ畑だけ綺麗に吹き飛ばして、巻き上げたリンガを他所の店先に降らせて綺麗に並べる竜巻や。…そんなん、どないしたらええねん」
「…まったく、エミリアさんトコもエラいモン抱え込みよったわ」
※※※
「のうアル、アレと其方は同郷だそうだの」
「なんだい姫さん、藪から棒に」
「其方の同郷は皆ああなのか?」
「冗談やめてくれ。ドゥエドゥエ言うタイプの変態なんて現実にいねぇよ」
「であろうな、妾の美貌に毛ほどもなびかぬなど、物狂いの類じゃろうて。そうそうおってたまるものか」
「ああそっち…?あれはどっちかっつーと病気だな、ミーム汚染的な。しかし珍しいな姫さん。他人に興味持つなんて」
「たわけ、興味などないわ。妾の庭たるこの世界で、妾よりも自由に走り回る犬が気に入らぬだけじゃ」
「言葉の割りに嬉しそうな顔してっけど?」
「ふん、忌々しいがあの野良犬め、妾よりもこの庭に詳しいと見える」
パチリ、と扇子を鳴らし、プリシラ・バーリエルは獰猛に笑う。
「疾うに飽いた庭と思っておったが…斯様な輩が現れるのだから――この世界は面白い」
「…姫さんは犬と駆けっこなんて名作劇場系ヒロインじゃ――ごっふぅっ!?」
※※※
「おいラインハルト、お前の親父、プリステラに来てたんだって?」
ラインハルトの父親にしてアストレア家現当主『ハインケル・アストレア』。彼がプリステラに滞在していた事をフェルト達が知ったのは、全てが終わってからだった。
「ええ、都市庁舎のトイレに立て籠っていたようです」
「魔女教の連中が襲撃してきた間中ずっとか!?よく無事だったなソレ」
「ええ。しかしかなり錯乱しておりました。御祖母様を見たとか…」
「ああ錯乱してんじゃアレだな、家督を続けるのは無理だな」
「フェルト様――」
「オメーは澄ました顔していつも通り突っ立ってろよ。『剣聖』なんて剣振るしか役に立たねぇんだからよ。腹の探り合いだァ汚れ仕事だァなんてのは、向いてる奴がやりゃいいんだよ」
ハインケルは領主としては無能もいい所だ。アストレアの領地は荒れに荒れ、領民の不満は爆発寸前。王選を勝ち上がる為にも、ハインケルから家督をラインハルトに移す必要がある。
多少強引な手段を取っても。
「…にしても、どーなってんだよ『地上最強』!!お前あの兄ちゃんの手伝いしかできてねーじゃねぇか!!兄ちゃんなんかアタシの目の前で大罪司教二人もボコッて見せたぞ!?」
「返す言葉もありません…ふふ」
「主に叱られて嬉しそうな顔すんじゃねーよ!」
※※※
プリステラを発って数日。
クルシュ・カルステンの記憶は戻らず、討伐したはずの大罪司教『暴食』も忽然と消えていた。
プリステラでの目的を果たす事は叶わなかったが、『剣鬼』ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアはどこか晴れやかな面持ちだった。
「その様子だと、胸のつかえは取れたようですね、ヴィルヘルム」
「申し訳ございません、己が主を差し置いて…これまでお掛けした御迷惑、残りの命に代えましても――」
「それは彼の方へ、でしょう?」
「スバル殿ですか…そうですな。彼には返しきれぬ恩義があります」
プリステラ奪還だけではない。クルシュの記憶からは失われてしまったが、カルステン家の悲願『白鯨討伐』に多大な貢献を果たしたのも彼だった。
「して、クルシュ様。『都市庁舎』でスバル殿と轡を並べられたとか」
「ええ…一緒に戦った、と言ってよいのでしょうか?あれは…。私には以前の記憶がありませんが、ナツキ様は以前からあのような方だったのでしょうか…」
「はいはーい!フェリちゃんも一緒に戦いましたー!さぁさぁクルシュ様褒めてください!」
「ふむ…『あのような』とは?フェリス、スバル殿はどのような戦いを?」
「………やっぱニャんでもニャいです。フェリちゃんは清い身体のままなので直結マナポンプとかムカデ人間なんて知らニャいです」
「…どうやら、私は戦場に恵まれていたようですな」
※※※
「ちょっとスバル!あの女の子達、悪い人の仲間じゃなかったじゃない!何が『全部凍らせてヘーキ!ヘーキだから!』よ!!」
「ベティーをおんぶで市中引き回しとかどんな罰ゲームなのよ!精霊虐待で訴えてやるかしらッ!」
「ナツキさんの評判酷いことになってましたよ!?いい加減自重してくれないと、陣営そのものの評判に傷が――」
「お~やおや、ま~た騒がしいねぇ。大罪司教3人と屍兵1人をほぼ独力で撃破、残り2人の大罪司教撃退にも大きく貢献、王選レースのトップを独走する陣営の報告会とは思えない様子だぁ~よ」
騒がしく捲し立てる面々に、ロズワールは微笑みかける。
プリステラでの彼等の働きはまさに望外、このまま大局が決してしまいかねない程の活躍だ。
故に、他の陣営は躍起になるだろう。僅か1年で独走態勢を固めた王選最大の障害、その排除に。
「何よりも速さを優先する君の事だ、早々に大逃げする事は分かっていたぁ~よ。だぁ~が、今回は少々派手に動きすぎたのではなぁ~いかな?他の王選候補達も流石に気付くだろう。最も危険なのは誰か、とね」
ロズワールは片目を閉じ、黄色い瞳でスバルを見つめる。
「さぁ~あどうする?ここからは5人並んでの競争じゃぁ~ない。4対1だ。全てを迎え撃ち、ねじ伏せ、置き去りにして走るかい?君は――」
ふっ、と息を漏らし、ロズワールは微笑む。
「――そうするのだろうね。楽しみだよ」
■■■
はい、ここでタイマーストップ。
次回はリザルト回です。