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どこか遠い宇宙の果て。陸地の十分の九は天をも衝かんとする巨大な樹木によって形作られた大森林が覆い尽くす世界があった。
頂の見えぬ巨大な植物によって日の光は隠され、地上は昼であっても薄暗い。
またその巨大樹の影響で酸素濃度は非常に高く、あらゆる生命体が山のように大きいのだ。
地上のほとんどが森に覆われ、虫や鳥でさえかつての姿を大きく上回る巨体を得た世界で、ほぼ完全に存在していないといっても過言ではない数少ない小さな草原の中央。
一人の青年と二人の少女が、鳥や龍でさえ浴びることが難しい日の光を、その身いっぱいに浴びながら眠っていた。
まず、青年の名はエリュシオン。かつて全世界に存在する生物の始祖として、最初に天下に現れた龍神の最後の生き残り。
エリュシオンを両脇から挟み込むような体制で眠っている二人の少女の名は、【シアラ】と【トライン】。
あらゆる龍の中でも最後に生まれた聖龍の子である。
「ふわぁ……」
「んん……」
最初に目を覚ましたのはトライン、少し遅れてシアラが目を覚ます。
「お天道様ひとりじめだぁ」
シアラは起きた後すぐに立ち上がり、真上を通過しつつある暖かな日の光を一身に浴びながら草原を走り回りはじめた。
「シオン、起きて。もうお昼だよ」
一方トラインはまだとっぷりと眠っているエリュシオンを起こそうと体を揺らす。
「ふあぁ~…………よく寝たぁ……」
エリュシオンはあくびをしながら体を起こし、目をこすりながら立ち上がった。
シアラはエリュシオンのあくびが聞こえた途端に方向を変え、二人の元へと走り寄る。
「おはよう。シアラ、トライン」
「えへへぇ……える起きたぁ……まだあったかぁい……」
シアラはエリュシオンに抱きつきデレデレと表情を緩ませ、トラインはその二人をほのぼのとした笑顔で見つめる。
「シオン、今日はどこに行くの?」
トラインはエリュシオンの胸に顔を埋めるシアラの頭を撫でながら、次の目的地を聞いた。
エリュシオンはしばし目を閉じ、考えると、ゆっくりと後ろを振り返る。
「誰かに
「え?」
「喚ばれてる?」
意味がわからないと言いたげな
エリュシオンはシアラとトラインに背中を向け、一本の大木の元へ歩みよる。
はたして、その木の根元には美しい鏡が浮かんでいた。
「誰かが
そう言うと、エリュシオンは二人の方へ向きなおり、問う。
「どうする?顔も知らない誰かの喚びかけに答える?」
シアラはすぐに満面の笑みを浮かべて万歳のポーズをとり、エリュシオンの言葉に答える。
「さんせーい!なんか楽しそうだもん!」
トラインは少し迷ったが、観念したように問いに答えた。
「エリュシオンが行きたい場所なら、私もついて行く」
二人の答えにエリュシオンはうんうんとうなずいた。
「それじゃ、決まりだね」
エリュシオンは再び鏡の方へ体を向ける。
刹那。
鏡から光が放たれ、三人を包んで消えた。
同じ頃、トリステイン学院の教室内。
「ルイズゥ……まだ終わんねーの?……」
「ミス・ヴァリエール……これで通算39回目の失敗ですよ」
桃色の髪の少女が、教室の中央に描かれた魔法陣の前で儀式を行っていた。
儀式の様子を眺めている黒髪の青年、【
全身から汗を垂らし、今にも死にそうな表情の少女……【
次学年への昇級試験の内容が自身の使い魔となる生命体、つまり召喚獣を自力で取得することであるからだ。
この世界の
「ここまで召喚を失敗するなんてな!流石ゼロのルイズってところか!」
一人の男子生徒が笑いながらルイズを煽る。
他の生徒らも大笑いするが、ノクティスはすました顔で言い放った。
「うるせーよお前ら。今に見てろ、あいつはとんでもねえ
ノクティスの言葉を聞いたルイズは、少し肩が軽くなったような気がした。
「ミスタ・コルベール。もう一度だけお願いできますか?」
意を決してコルベールに儀式の再開の許可を願う。
コルベールはゆっくりとうなずいて、答えた。
「わかりました、ミス・ヴァリエール。これで最後ですよ」
「ありがとうございます」
ルイズは魔法陣の前に立ち、目を瞑る。
そして深呼吸をし、文句を唱え始める。
{千の海、千の空の果ての
詠唱が終わった瞬間に魔法陣が輝き始め、無数の光の粒が浮かぶ。
光の粒は少しずつ魔法陣の中央に集まって行き、やがて大きな光の球となったかと思うと、眩い光を放った。
部屋にいた生徒たちは眩しさのあまり目を手で覆い、使い魔は主人の背後に隠れる。
しばらくして、青白い光は消え、魔法陣も輝きを失った。
「お、おい!どうなった!?」
まだ目が眩んでいるのか、ルイズは目を擦りながらも魔法陣の方を見た。
ルイズの視界には、端正な顔立ちの青年がいた。
驚きと戸惑いが混ざったような呆けた表情の少女に、青年はいたずらっぽく口の端を持ち上げ、言う。
「《