ラスダンの駆逐ナ級後期型IIelite×4はやめて欲しい!
ただクリスマスプレゼントでは二式水戦改★3を選んだ。これは地味に嬉しいかも
ある海域にて
「はぁ……はぁ……」
天龍は膝をつき刃こぼれした刀で体重を支えながら息切れしていた。頭から血を流し、服はボロボロでどう見ても大破している。意識も朦朧としていて何が起こっていたのか把握できていないかった
(遠征でこのザマか……この海域で敵が現れたという情報は無かったのに)
天龍は周りを見た。遠征で一緒についてきた暁、雷、電、ヴェールヌイ、龍田も大破して倒れこんでいた
遠征の帰還中、敵と遭遇して戦闘があった。いや、戦闘とは言えなかった。一方的だった。遠距離からの砲撃により、大混乱したのだ。正体不明の敵に襲われたのだから
妨害電波によって通信は遮断されたので救援は来ないだろう。ふと、目の前が暗くなった。誰がの影が天龍に入ったのだろう。意識が持っていかれる寸前なので気が付かなかった。何のために改二になったんだ!
「弱いな……さあ、沈めてやる!」
嘲笑いながら、しかも深海棲艦とは思えない声がした事から敵は深海棲艦ではないかも知れない。天龍は目を閉じ、覚悟を決めた
だが、聞こえたのは砲声ではなく銃声。拳銃だった
「起こせ。まだ攻撃はするな」
「仕方ないな……」
聞き覚えのない男性の声が聞こえたと思うと、次第に意識と視界が回復していった。目に映ったのは、小型ボート三隻と大型船一隻、そして海面に立つ謎の女性。真っ黒い巨大な砲塔を装備している艤装を身に着けこちらを冷たい目で見ていた
(あいつがボスなのか……?)
作業員や兵士達が船に乗っている中、一人だけ格好が違っていた。歳は30代後半だろうか? 黒いスーツを身にまとい、右の頬に一筋の傷があった
小型ボートが天龍達を包囲し、武装した人が気を失っている龍田達に銃を向けている。その男が近づくと天龍に聞いて来た
「一息つくんだな。聞きたいことが山ほどある」
天龍は兵士達に無理やり立たせると男は質問した。だが、彼が口を開く前に兵士が近づき報告した
「浦田副社長。姫級の深海棲艦と博士達を捕らえ、東京で作戦はほぼ成功しました。直ちに次の作戦に移行します」
「なっ!? 浦田副社長!?」
天龍は驚愕した。まさか、浦田副社長が生きていた? すると、こいつらは残党なのか?
「私の名は武田だ。まあ、どっちでもいい。副社長は事実だからな。それで、お前の部隊はこれで全員か?」
武田は興味なさそうに天龍に質問した。ここで下手な行動をしない方がいい
「駆逐艦と龍田に治療をしてくれ」
天龍は即答した。捕虜であれば脱出の機会は来る。ただ、過去に結衣が時雨に対して拷問した事があるので期待はしない方がいい
「仲間の心配をしているのか?」
武田はため息をつくと拳銃を手にした。次の瞬間、捕らえられた暁に拳銃をつきつけたのだ
「おい!」
天龍は焦った。艤装は大破しているため、軍艦の防御力は無いかも知れない。最悪、死ぬかもしれない! だが、拘束されてはどうしようもない
しかし、天龍も予想もしなかったようなことが起きた
武田は拳銃を暁から別の男に向け引き金を引いた。男は予想もしていなかったのだろう。胸に撃たれ、そのまま海に落ちた。その場にいた者は、何も反応もしない。それどころか、撃たれても抗議の声すらしていない
「憂いは判断を鈍らせる。平和党の使い走りなぞ、必要ない」
武田は吐き捨てるかのように言うと天龍を睨んだ
「だから、お前達は我々を一掃出来ないんだ。悠長に楽園を築いている間、我々は立ち上がった。もう海も空もお前たちのものではない。陸も手に入れてやる」
天龍は武田の言葉を無視して必死に考えた。提督なら救援を寄越すはず! だけど、五体満足で居られるのだろうか?
「見せしめに処刑するまで捕らえておけ。弾を無駄にするな」
武田は撤退の合図をすると同時に天龍は意識を失った。誰かが天龍の後頭部を殴ったからである。天龍の意識は深い闇に落ちていった
1200
天龍達が捕まったとされるテロリストのアジトに潜入する部隊が整った。出撃したのは白露型駆逐艦である5隻(白露、時雨、村雨、夕立)、朝潮型駆逐艦(朝潮、荒潮、満潮、山雲)、軽巡(川内、神通)
このメンバーで決まった
重巡や戦艦はオーバーキルになるため見送られた。但し、空からの監視は必要はあるため、航巡である最上と航戦の扶桑山城、空母である赤城加賀は援護という形だ
これらの艦娘は全て改二であり(朝潮は改二丁)、赤城も加賀も改二として大改装されている。夜戦仕様も改装は出来るが、今は要らないだろう
残りは待機となった。但し、何かあれば直ぐに駆けつけるよう命じてあるとのこと
出発は二手に別れた。駆逐艦と軽巡は兵員輸送車に、最上扶桑山城と赤城加賀は海上で待機となった
「おい、全員乗ったか?」
「いいよ! 次こそ夜戦で戦おうよ!」
「次の機会があればな。運転手、出してくれ」
提督が戦闘服で助手席に乗り込んだ際に、待機している艦娘に聞いたが、1人はしゃいでいるのを確認すると運転手に命令を出した
「提督もいかなくていいのに」
「仕方ないだろ。親父達と遠征に行った天龍達を迎えにいかないといけないと同時に超人計画を実行した人達を尋問しないといけないから」
時雨は心配したが、提督はそうでもなかった。国葬に呼び出されたと思ったら、立て続けに事件が起こる
「もし、メアリーという人が結衣のような力を──」
「心配するな。現場は鎮守府からそう遠くない。戦艦と潜水艦が駆けつけてくれる」
時雨は指摘したが、提督は出撃前に述べたブリーフィング通りの事を言った
本来なら空襲で叩きたいのだろう。しかし、港とはいえ街が近ければ周りにか被害にあうのは確実だ
時雨と提督が話している最中、白露は手を上げて質問したが
「そういえば、応援はあるの?」
「曹長が率いる502部隊の一個小隊。後は警察の特殊部隊」
「え? 警察ですか?」
神通は首をかしげた。警察の捜査はあるかもしれないが、なぜ軍の応援が無いのだろう?
警察庁
ゼロ課の杉田警部と鶴川巡査部長の二人組は刑事部長に呼ばれた。二人は平然としていたが、刑事部長は機嫌が悪い。それもそのはずで、警察官の中にシンパやスパイが混じっていたのだから無理もない。上層部だけでなく、マスコミ相手に対応しないといけないのだから無理もない。そして、逮捕者を多く捕まえたのは、今回の警備担当ではないゼロ課の人間だ
「──ですから、あのテロリスト達は鎮守府から引き渡されたのであって」
「どうせ、宴会してどんちゃん騒ぎしていた所を逮捕しただけだろ! 誰だって出きる!」
鶴川巡査部長は経緯を説明していたが、刑事部長である警視長は全く信用していなかった
十人のテロリストを1人も傷つけずに逮捕した、という報告には全く信じていなかったのだ
実は逮捕したそのテロリスト達はポーラと伊14であるイヨがお酒を飲ませたものである
提督は酔っぱらいのテロリストを置いておく訳にもいかないので、情報を引き出すとゼロ課に連絡して引き取って貰ったのである
テロリストも艦娘(ポーラとイヨ)に無理矢理お酒を飲まされた、という恥(?)を晒す訳にもいかないので事情聴取の際は「暇だったので宴会してました」と嘘をついた。意外なことに警察は信じてはいたが……余りに常軌を逸脱している事もあるが……、刑事部長は違った
ただでさえ、警察内部にテロ行為に手を貸した裏切り者がいるだけでなく実行犯であるテロリストを逃がしているのに、よりによって何でゼロ課という二人組があっさりと捕まえているんだ!?
そのため、ゼロ課には褒美と罰を与えた。褒美は休暇。罰は勝手な行動をした事によるお叱り
「まあ、いい。現在は警視庁が総動員でテロリストの逮捕に向かっている。平和党の逮捕も時間の問題だ。お前達は疲れているだろう。三日間、ゆっくり休むといい」
「分かりました。それでは」
杉田警部はお辞儀をすると部屋を出た。鶴川巡査部長は不満だった
休暇は聞こえがいいが、それは厄介払いのようなものである。ゼロ課は今や左遷の部署のようなものだ
だから、ゼロ課が手柄を挙げることに刑事部長は不満だったのだ
「鶴川君、今はいいでしょう。情報だと、手柄は警察庁に譲るから艦娘を動かしてほしいと連絡があったらしいですよ」
「親や部下が大事なら助けにいくのは当然ですよ」
「確かにそうですが、私にはそうは思いません。本当にテロ殲滅するのなら重火器は要らないはずです」
鶴川巡査部長は推測を述べたが、杉田警部は否定した。本当に救出のためだけに動かすのだろうか? 犯罪者の逮捕は艦娘の仕事ではない。警察も実行部隊は持っているし、対テロ対策の訓練も幾度もやっている。浦田重工業の暴走のお陰で作られた警察の特殊部隊だ。まだ極秘ではあるが、いずれは公表するだろう。人質に取られたのなら、まずは警察に頼み込むのは普通ではないだろうか? 大本営は艦娘に救出作戦を命じていない。となると……
「軍も動いるが、何かを警戒しているかのように完全に及び腰です。本来ならあり得ない。鎮守府に行って聞き込みに行かないと」
杉田警部は休暇の件は完全に無視するつもりである。目の前の事件を取り組まないのは自分のモラルに反する
杉田警部はある写真と書類を持って車に向かった
「つまり、この事件は警察の手柄にさせるつもりですか?」
神通は驚いていた。自分達はただ働き?
「超人計画は確実に葬らないといけない。全てを封じる手段なんてないが、目の前の事は集中しないといけない」
提督は元から手柄なぞあげるつもりでいた。超人計画……人が深海棲艦の力を得るための計画。理論上では、超人的な能力と軍艦並みの火力を得られる改造人間である。もちろん、そんな力を得るためにはハードな壁をクリアしないといけない。そのハードな壁は強い負の感情も必要である
「心配するな。後で大本営に全員分の一ヶ月の給料増額の請求書と 2週間の長期休暇を申請させるから」
「そこはちゃんとするんですね」
「細かいわね」
提督の意外な言葉に荒潮と満潮は呆れていた。そこはちゃんとするらしい
そんなことを話している間に装甲車は停止した
「現場につきました」
「よし、行け!」
運転手の報告に提督は命じた。後部の扉が開き艦娘全員が外に出る
提督は行かない。指揮する者が戦う事はない
『聞こえるか?』
「感度良好だよ、提督」
時雨は提督の無線チェックに応じた
『502部隊は反対側から入る。無理はするな。いいな、こっちの目的はメアリーイザベラと超人計画だ。テロリストの殲滅や逮捕は502部隊に任せておくんだ。使用武器はゴム弾のみだ』
『もう、やってるぞ。見張りと警備システムはクリアした。早く来い!』
無線で曹長が割り込んできた。既に見張り等は無力化したらしい
「じゃあ、こっちは本来の任務に集中出来るね。夜戦なら更に良いのに!」
川内は一番乗りで建物に入る。確かに見張りがいない
502部隊はともかく、艦娘には非殺傷武器でやるよう命じた。勿論、ゴム弾は100%安全ではない。しかし、艦娘は小火器には耐えられるため落ち着いて狙えるのだ
……502部隊が既に突入しているため、使用する事は無いだろう
天龍達が無事だといいが
艦娘と502部隊がアジトに突入する数時間前
建物内部にはテロリストが大勢いた。警察官の服装を着ている者、銃器を持っている者、機器のチェックをしている者
そして、遠征組である天龍龍田と第六駆逐隊がいた。彼女達は檻の中におり、鎖で縛られていた。天龍と龍田は誰かに痛め付けられたのか、ボロボロで倒れていた。暁は電と雷、そしてヴェールヌイを庇うように檻の隅で怯えていた
狂暴な2匹の犬が艦娘に飛びかかろうと吠えまくっている。鎖に繋がれているが、引きちぎりそうな狂暴である
しかし、テロリストの大半は負傷者だ。テロ事件を起こしたのはいいが、やはり都内で起こすのは分が悪い
駆けつけた警察官や軍と交戦する事になり、逮捕者や戦死者が大勢いた
警察も内部にスパイがいるのか必死になっている事から、こちらを全力で潰すだろう。艦娘の大型飛行艇が飛んでいた事からこちらの位置はバレるのも時間の問題だ
そのため、こちらに足を運んできた平和党首が顔を真っ赤にして怒鳴り散らしたのだ
「貴様は一体、何をした!?」
「おい、犬に気を付けろよ。噛まれたらただでは済まないぞ」
「人の話をきいているのか!?」
平和党首は詰めよったが、武田は手で制した
「文字通り、暗殺してやった。帰還中だった艦娘も捕また。後で公開処刑するつもりだ」
「お陰で我が党は、他の党やマスコミから叩かれまくっているぞ! 警察も強制捜査をして来た! 確かに厄介者を攻撃しろ、と命じた。だが、これは何だ!? 誰が真っ向から戦争を仕掛けろと言った!?」
平和党首の怒鳴り声は、施設内に鳴り響いた。近くに牢屋に閉じ込められていた天龍達も嫌ほど聞こえた。天龍はボロボロになって倒れているにも拘わらず、歯を食いしばって武田と平和党首の両者を睨んでいた
「何だ? お前は国会質疑であれほど『艦娘は悪魔だ!』や『人間は、艦娘たちの御機嫌伺をしながら生きて行かなくちゃいけなくなる。下手をしたら、国を乗っ取られるかも知れない! 人間は皆殺しか、奴隷になってしまう!』とか言ってたのではないか。お前達が国会で呑気に議論している中、こっちは生きるか死ぬかの戦いをしているんだ。今更、怖じ気づいたのか? 国会でデモ行進なんて誰でも出来る。だから、確実なやり方を実行したまでだ」
「もっと賢いやり方があるだろ! 誰のお陰で生きていけると思っているんだ、浦田重工業の副社長はその程度なのか!?」
平和党首は高飛車になっていたが、無理もない。本来、テロというのは警察や正規軍相手に真っ向から勝負するものではない。例外はあるが、それは装備が万全である時だけだ。武田のお陰で警察内部のシンパはあぶり出される結果となってしまった
もう情報網が使えない!
「物事がうまく行かない事もある。それに、警察や軍隊が来ようが、こちらには切り札が2つある。その前にお客さんがいる。紹介しよう」
武田は怒り狂う平和党首を他所に指を鳴らした。扉から現れたのは武装した数人の人だ。誰かを捕まえたらしい
それは……
「クソ、博士! 大佐ー!」
天龍は叫んだのも無理もない。提督の父親と護衛していた502部隊の将校である大佐だ。恐らく、テロ攻撃の際に捕まったのだろう
「そこに座らせろ。やあ、狂人さん。我々が再稼働させた超人計画の産物は?」
「お前は何をしておるのか分かっているのか!」
博士を無理矢理座らせ聞いたが、武田が聞いたのは罵倒だけだ
「分かっているよ。最高の兵器を産み出した」
「バカは死んでも治らないとはこの事だな」
大佐の方は殴られたのか、所々怪我をしている。だご、テロリストはそんなのお構い無しにテロリストに殴られた
「アンタはそこの元特殊部隊の
「何の事だ? 何を言っている? どういう事だ?」
博士は答えなかったが、平和党首は訝しげに話しに割り込んできた。平和党首は武田の言っている事が分からないらしい。そのため、尋問のやり取りがついていかない。艦娘を捕まえたのは自警団の力ではない?
「やれやれ、浦田社長が嘆くのも無理もない。無能は権力者だけでは無かった。いいでしょう。出てきていいぞ」
武田は合図をした。天龍達や博士は分かっていたため、扉の方を睨んでいたが、頼の者は何なのか興味そうに見ていた
だが、現れたものを見てほとんどの者は驚愕した。現れたのは1人の女性である。しかし、周りが驚いているのはそこではない。彼女が装着している黒色の艤装だからだ。大砲があることから戦艦だろう。しかし、テロリストが持っている武器とは違って禍々しいものだ。そして、彼女が放つ威圧感と殺気。姿からして海外の者だろう
そして、彼女が両腕には何かを抱えていた。何かを痛め付けたのだろう。ボロボロだった
右腕は身に覚えがある。あきつ丸だ。戦艦相手には分が悪かったのだ。だが、もう片方は博士だけでなく天龍も暁達も驚きを隠せなかった
「嘘……だろ?」
天龍が驚くのも無理はない。それは集積地棲姫だからだ。集積地棲姫は陸上型の深海棲艦だ。遠方の出撃に度々悩まされていた強力な姫級がやられている
眼鏡は割れ、髪はボサボサになり、巨大な金属の籠手を付けていた両腕はボロボロだ
「我々がやる事は深海棲艦と艦娘を超える超人の育成だ。アメリカやロシアなどのタカ派に話を持ち掛けたら協力してくれたよ。特に隣にいるCIA局員は、浦田重工業のやり方には賛同してくれてね」
「ミスター武田。素晴らしい。我々だけでは実現出来なかった。これで深海棲艦を倒せる」
隣にいた白人の男性は手を叩いていた。嬉しくて堪らないのだろう
「本当にアイツが──」
「ああ、知っていると思うが、彼女がメアリー・イザベラだ。10歳で殺人を犯した者だ」
博士は呆然としている所を武田はさらりと説明していた。どんなに秘密にしていても秘密の保持は難しい。しかし、情報だけ分かっても対策や取り締まりなど行動してしまっては意味がない
「無関係の人をこんな姿に──」
「それは違う。これは私の意志」
博士は武田に非難しようとしたが、メアリーは即座に否定した
「天龍……そう、アンタ達を知っている。新聞で見た。そして、憧れたの。ミス浦田に」
「どういうつもりだよ。あんな奴に憧れているなんて」
天龍は檻にもたれながらも必死になって噛みついた。遠征で一方的に攻撃を受けたのだ。待ち伏せらしいが、こんな卑怯なやり方に天龍も怒りを露にしていた
「誰だって憧れるわ。結衣の強さに、姿に、不死身の能力に。全ての人の能力を超えたかった」
メアリーは遠くを見つめるように言った。メアリーは喜んでいた。子供のように
だが、今の彼女は深海棲艦を超えた兵器だ。現に姫級を倒したのだ
「オ前、コンナ事ヲシテ只デ──」
「あっ?」
意識はあった事が気にくわなかったのだろう。メアリーは集積地棲姫とあきつ丸を床に叩きつけると蹴飛ばした
「弱者の癖に生意気な! 必死に物資ヲ庇ッテ馬鹿ミタイ! 今度ハ敵デアル艦娘モ庇ウノ?」
「痛イ……ヤメロ! オ前ノヨウナ人間ニハワカリモシナイダロ!」
メアリーは蹴りを連発しているが、集積地棲姫は失神しているあきつ丸を庇いながら攻撃を受けている。恐らく、実地テストと称して深海棲艦の姫級と艦娘を攻撃したのだろう
そんな残酷の中、誰かが発した。信じられないという風に
「武田……どういうつもりだ? 何をしている?」
こんなやり取りを見て平和党首は喜びもしていない。まるで幽霊をみたかのように真っ青になっていた
「確かに艦娘も深海棲艦も排除しろと言ったが、超人計画を再稼働を命じたことはない。お前は化け物を産み出そうとしているのか!」
平和党首にとっては、予想外だろう。いや、聞かされていなかったというべきか。だが、武田は平然としていた。彼にとっては平和党首の反応は想定内なのだろう
「慌てるな。これは当然の結果だ。超人計画を有効活用している。人類を進化させるための実験だ。深海棲艦や艦娘相手に戦わせる力を試行錯誤に研究している段階だ」
「何を言って──」
「鈍い野郎だな。捕虜としている博士や檻にいる艦娘は既に私の言ってる事は理解したぞ。人類の危機なら全人類を進化させ人の限界を超える存在でなくてはならない」
平和党首が首を向けたが、博士や天龍どころか暁達まで唖然としていた。幼い姿をしている駆逐艦娘まで分かったというのか!?
「人の……限界を超えた存在って」
「人を支配する条件は権力と武力だ。不足しているのは武力だ。なら、危険性のある超人計画を再稼働するのは当然の事。生理的に怖いからといって罵声と弾圧は知能が低い者がすることだ。誰でも出きるが根本的な解決にもなっていない。忌々しい存在を排除するためには、戦うための戦力を備えるのは当然の事」
「そんなことが許されると思うのか!? 兵士だけでなく一般人を兵器にするなどと!」
「ん? お前は深海棲艦や艦娘に勝ちたいのではないのか? それがお前達平和党の宿願ではないのか?」
武田は既に平和党首を呼び捨てている。武田にとっては平和党の傘下に入ったのは、いい隠れ蓑だったらしい
平和党首が反論出来ずに身体を震わせている所、天龍が噛みついた
「お前……日本……いや、この世界に新たな怪物を産み出すつもりか? 人間まで化け物になったら意味がないだろうが!」
天龍は珍しく声を荒げていた。普段の天龍は口こそ悪いものの面倒見の良い姉御肌な性格を指して仲間想いな面がある。しかし、今の天龍は本気で怒っている。鎮守府では滅多に見られない姿だった
「それは違うな、天龍。本来、炭素をベースとした人の肉体はあまりに脆弱だ。人の肉体が、1000度以上の高温に耐えられるか? 大量の放射線に耐えられるか? 超高速に飛行する航空機にかかるGに耐えられるか? 長期間の絶食に耐えられるか? 強力なウイルスや細菌がいる環境下に耐えられるか? 超人計画ならそれらの苦を耐えられる。どちらが優れた身体か、考えるまでもあるまい。これから先は激戦が予想される。当然の選択だ。お前達も改装を重ねてパワーアップしているのではないか?」
「俺は艦娘だけど、人を蔑んだりしねーぞ!」
天龍は激昂した。確かに艦娘の身体能力は優れているだろう。艤装をつければまさに超人的な能力をもつ。しかし、艦娘でも体調が悪ければ風邪は引くし、怪我もする。人とあまり変わらない
しかし、艦娘は人を支配しようとは考えてはいない。そもそも、彼女達にとっては司法権力や政治権力なんて興味も無かった
「今はな。だが、人というのは対象物が安心という保証がないと怯える生き物なのだよ。永遠の安心なんて存在しない。神様から悪魔討伐用の武器を手にするまではね」
「誰もが好戦的とは限らない。浦田社長だって艦娘や第二次世界大戦を恐れるあまり攻撃したんだろうが」
「それの何が悪い? ナチスドイツ誕生阻止やソ連崩壊、満州事変やシナ事変阻止どころか原爆開発も阻止した。しかし、深海棲艦や艦娘を駆逐し全滅させたとしても結局、人は争うのだよ。実際に総攻撃派は新兵器開発に熱心だ。その矛先は他所の国に向けられるのも時間の問題だ。それを防ぐためには感情を捨て論理の世界を築かないといけない」
「しょ……正気かよ!」
武田は偉大な計画を読み上げるように堂々と語った。それを聞いた天龍は戦慄した。どうやったら、こんな結論に達するのか知りたいくらいである
「天龍ちゃんは下がって……ねぇ……感情を無くしたら人は操り人形になるんじゃない~? それは退化よ?」
龍田はいつの間にか意識を取り戻したらしい。しかし、表情は穏やかではあるが、目は全く笑っていなかった。寧ろ、怒りが見えかくれしている
「龍田も天龍も改ニという大改装していて気付かないとは嘆かわしいな。感情を無くして完全な論理の世界を作るというのは進化した証拠だ。感情に流されて目の前の問題を解決しない方が大問題なのだよ。寧ろ、お前達の方が生物としては優れている。唯一、問題があるとすれば太平洋戦争とやらの世界からやって来た事ぐらいだ。争いの火種をもってきた艦娘もその計画を実行した博士にも問題があるのだよ」
「……っ!」
龍田は武田の主張には言葉を失った。この人、本気だ! 百以上の国を破壊させ人の感情を奪う気だ!
誰が反論しても同じ答えをするだろう。しかし、それに反論する者が居た。博士だ
「感情にはメリット、デメリットはあるのは当然の事じゃ。しかし、超人計画を悪用して人々から感情を無くして何が残る?」
「悪用? 違うな、改良だよ。深海棲艦や艦娘という化け物を倒すには、それを超える生命体を生み出さなくてはならない。それだけの事よ」
武田の主張に博士も唖然とし、大佐も固まっていた。いや、テロリスト達も同様だ。困惑している。どうやら、情報共有していなかったらしい
「どうした? 気に食わないというなら、降りてもいいぞ。そこの党首も同じだ。これよりも合理的な代案があるなら教えてほしいくらいだ」
「誰もそんなのは嫌よ!」
武田は辺りを見渡したが、誰かがはっきりと声を上げた。幼い幼女だが、誰が言ったのかは明白だ
暁だ
「機械の部品ではないわ!」
「フン、艦娘も総攻撃派も艦娘不要論者も同じか。結衣が言った通りだな。『その程度の安易な考えがお前達人間の限界だ』。正にその通りだ」
「結衣も感情的になっていたがな」
武田の主張に博士は反論した。結衣の戦いは何処か慢心している所があった。本当に海戦を熟知しているのなら、戦艦よりも空母を選ぶはずである。しかし、結衣は戦艦に拘る。戦いよりも相手を痛め付ける方を好んでいるのだろう
「そうだな。だが、あれほどのパワーだ。先の戦いでも1人で大和型戦艦や空母とやりあえるのだから問題ない。多少は目を瞑ったが。今はメアリーに期待しているつもりだよ」
どうやら、結果が良ければ経緯はあれど、多少は目を瞑る人らしい。だから浦田社長の側近になれたのだ。今は目的のためなら例え他国でも手を組むらしい
そんな時、武装した人が部屋に入り込んだ。武田に駆け寄り耳打ちした
「はぁ。どうやら、警察と軍と艦娘が来たらしい。何をしている! さっさと防衛網をしけ!」
武田は部下に対して戦うよう命じた。武装した人達は直ぐに動いた。今後どうするか、よりも目の前の事を何とかしないといけない
逮捕されるのは勘弁だ。恐らく、無期懲役か死刑だろう
怒号と掛ける足音の最中、集積地棲姫は床にうずくまりながらも見た。メアリーの右腕を。手術の跡がある
そして、その右腕は見覚えがあるような……
いや、実際には見ていないが写真で見たことがある
「マサカ、アノ男ハ……移植ヲ……」
集積地棲姫は最悪の事態になるかもしれないという危惧が頭に思い浮かべたが、直ぐに否定した
そんなバカな事があるか
集積地棲姫……アーケード版でも登場するみたいですね。早くボコ……戦いたいものです
今年も残す事、僅かです
最新話を年末年始で上げるかどうかは現在のところ不明です
それでは良い年を