清霜もいつか誤記で「戦艦」となるかも?
……ゲーセン行こうかな
上空では二機の戦闘機が急行していた。四式戦闘機「疾風」である。それは、艦娘が操るものではなく、人が乗る戦闘機であった。四式戦闘機のスペックは史実とあまり変わらない。違う所といえば稼働率はそこまで悪くなく、所属も空軍である。この世界では新たに空軍*1は設立された。浦田重工業の事件の後、軍の体制を見直しの際に新しく設立したものだ。そのため、人事や指揮系統の調整は難しかったが
局地戦闘機や陸軍の航空機のほとんどは空軍所属に変更された。噴式戦闘機はあるが、まだまだレシプロ機がメインである
それはともかく、彼らの任務は偵察である。何かあったのかを上層部に報告するのだが、テロリストが潜伏している現場にたどり着くなり絶句した
「地震でも起きたのか?」
「馬鹿野郎! 局地的な地震なんてある訳ないだろ!」
二番機は叱咤したが、一番機がそう思うのも無理もない。現場付近の建物は滅茶苦茶になっていた。地震が起きて建物が倒壊しあちこちで火災が発生しているのを見れば勘違いするのは仕方ない
現場の状況を報告する
ふと、湾内を見ると何か赤い糸のようなものが見えた。探照灯か何かかと思っていたが、違う。その光は拡散されずに真っ直ぐ空に向かって延びている。そして、たまに見える爆発音も聞こえる。
何だ? 花火? それとも照明弾?
「三時の方向! 見えるか!」
「ああ、見える。海に立っているのは艦娘か? 無線で質問を──」
二番機が無線で答える中、突然、赤い光が疾風を貫通した。ガソリンに引火したのか、散華した
「本部! 謎の攻撃を受けた! 敵は──」
一番機の搭乗員は慌てて報告したが、一番機も光線が貫いた。燃料に引火はしなかったものの、搭乗員は既に死亡。一番機は煙を引きながら東京湾の沖合に落ちた
その地点には艦娘の主力艦隊がいた。戦艦重巡の艦娘艦隊がいた
「敵がいます」
「分かっている……」
長門は敵影を見て呟いた。同一人物のはずなのに、あの五年前とは違う敵がいたような錯覚を覚えた
まずは航空攻撃を仕掛けるべく、赤城加賀、そして翔鶴瑞鶴に艦載機をありったけあげた。サラトガやも参加している。航巡である鈴谷や熊野もである。機種も様々だ。噴式景雲改やF6F-5や烈風改二、TBM-3D、瑞雲改二など。中には九九艦爆など旧式も混じっている。兎に角、相手は航空戦力はそんなに持っていない。艦戦は十分に持っている。例え熱線でも物量で押し通す事が出きると考えていた
しかし、現実は非情だった。結衣は赤い光を放っていった
急降下爆撃を行おうとしていた彗星やF4U-1D、雷撃コースを取っていた流星改やTBM-3Dなどは撃墜された。爆弾や魚雷の誘爆によって消し飛ばされ、艦戦は翼を瞬時に焼ききられ、錐揉み状態になって墜落する。アイオワはハープーンミサイルを一発発射したが、結衣の手前で瞬時に撃墜された
航空機もミサイルも目標の手前で熱線を浴びせられ片っ端らから撃墜されてしまう。しかも、偵察に来たのであろう空軍の戦闘機も撃墜されてしまった
「ダメです! 効果ありません!」
「もういい。アイツには空からの攻撃は全く効かない」
赤城の悲痛な叫びに長門は引き返すよう言った。もうコイツに過去の教訓は通用しないだろう。それに負傷者を曳航されて撤退させることに成功した。陸奥がやられていた事には悲しんだが、今はそれどころではない
「艦の種類は不明。ミーにも似ていない」
アイオワは双眼鏡でマジマジと見た。意識を辛うじて保っていた最上から詳しく状況を聞いていた。支援無しでコンバート改装をしたことには驚いたが、その形状は見たことあった
(アーセナルシップ……)
アーセナルシップ……アイオワは聞いたことがある。20世紀末に構想し、建造を予定していた戦闘艦である。艦隊の打撃戦力として展開するものとされた構想でミサイル母艦ともいえる艦である。大火力・大型の船体であるため「21世紀の戦艦」とも言われていた。しかし、アメリカはこの計画を中止した。原子力空母と違って対費用効果がそこまで高くないからである。他の国もこんな軍艦を作ろうとしない。まだ、ミサイル駆逐艦やイージス艦などを複数建造した方が現実的だ*2
しかし、ここでは違う
(人型になったならとんでもない脅威……)
結衣の場合は海上だけでなく内陸部まで行ける点である。深海棲艦のような制約もないため、自由に行ける
ミサイルの雨が降ればたまったものではないだろう。結衣は既に小中国を屈服させるくらいの力を手に入れたのだ。下手したら大国までも屈服させることが可能かもしれない
「取りあえず、艦の種類が分からないのであれば何か名称があった方がいいな」
「名称……では戦艦ヒラヌマ*3、もしくは戦艦カデクル*4というのは?」
武蔵の呟きにサラトガは提案したが、他の艦娘は否定的だった。特に榛名と翔鶴は激しく首を横に振った
「流石にネーミングセンスは大事かと」
「では、『クラーケン』というのは? 異論はない?」
榛名は不満そうに言っていたが、アイオワは提案した。実はアメリカにおいて、兵器の名称をつけるのはよくある。第二次世界大戦では零戦を『ジーク』極致戦闘機である雷電を『ジャック』などと呼んでいた。冷戦ではロシア海軍の941型原子力潜水艦を『タイフーン』と呼んでいた。『タイフーン』はNATOコードネームではあるが
クラーケンとは北欧の伝承に登場する巨大な海の怪物である。皮肉なことに相手にはピッタリかも知れない
「クラーケンか……良いだろう! 目標は結衣であるクラーケン! 攻撃開始!」
長門の号令に戦艦重巡は一斉に突撃した。航空攻撃で無理なら砲雷撃戦に持っていくしかない!
最大戦速で皆は突撃したが、まだ距離は縮まらない内にミサイルが襲ってきた
結衣は戦艦からアーセナルシップに変形(コンバート改装)させると対艦ミサイルを発射させた。
変形も素早く、アーセナルシップに変形するとミサイルを撃ってきた
「
「ECM起動! CIWS発射!
アイオワは即座に命令を下した。アイオワは『艦だった頃の世界』において太平洋戦争後も健在だった。第二次世界大戦だけでなく、朝鮮戦争やレバノン内戦なども従事していた。兵装も改装を重ね、対艦ミサイルであるハープーンや巡航ミサイルであるトマホークまで持っている。艦載機もSH-60ヘリを載せている。後は簡易的ではあるもののCIWSを大量生産した。CIWSは個別防御システムであるため、容易だ。この世界において、現代兵器仕様の再現は出来た。資源は膨大な量を伴うため普段は使わない。いうなれば決戦兵器である。これは一部の人や艦娘にしか言っていない。本国にいるサウスコンダやワシントンも黙っていた。一週目の世界において経験しているからである
あの悪魔が蘇るんじゃないか?
そんな気がした。モンタナ級戦艦が現れたときは肝を冷やしたが、バックアップである浦田重工業は既に存在していない事や仲間が健在だったこともあり、難なく倒した
だが、モンタナは囮だった。本体は回復していた! しかも、一周目の世界と違って滅茶苦茶厄介な軍艦をしている
(アーセナルシップなんて……ミーがいた世界の米軍でも放棄した軍艦よ!)
対艦ミサイルがチャフに惑わされ誤爆したり、CIWSによって迎撃しながらもアイオワは青ざめた。性格のお陰なのか、浦田結衣が原子力空母を選ばなかっただけでも良かったが、アーセナルシップは不味い。未来の軍艦は一部を除いて装甲は持っていない。排水量は大きいが、駆逐艦だ。戦艦を作る必要なんてない
しかし、アーセナルシップは違う。大きさからして駆逐艦ではない! 大きさはタンカーに近い!
「確か
「いいから走れ、アイオワ! そのための艦砲射撃だろ!」
アイオワの独りごとに武蔵は怒鳴った。実は軽巡駆逐艦を連れてこなかったのはそのためである。単純に威力不足だからだ
酸素魚雷なら期待できそうだが、それは当てたらの話だ。もう誘導魚雷も対策しているだろう
出来る事としたら、接近して41cm以上の主砲の大砲を立て続けに当てるしかない! 重巡の20.3cm主砲や金剛型戦艦の35.6cm主砲でも傷を負わせることが出来るかもしれない!
しかし、防空艦……特にイージス艦を保有していない艦娘にとっては悲劇だ。ミサイルの雨を完全に防ぐのは不可能だ。足柄姉妹や古鷹達はミサイルに命中した。CIWSはバルカン砲とはいえ、全て防ぐ能力はない。特に物量攻撃されたら対処仕切れない
「51cm主砲の最大射程に入った! ぶちかます! アイオワ、ミサイル使え!」
「OK! オープンファイアー!」
距離は縮まったものの、このままではミサイルの餌食だ。だから、相手をけん制する必要はある。武蔵の命令にアイオワはハープーンとトマホークを発射した。武蔵も51cm主砲を発射した。最大射程であるため、初弾で命中するのは難しい。だが、相手も警戒するはずだ。しかし、アイオワがミサイルを発射したと同時にアイオワも対艦ミサイルを受けてしまった
「っ!? 戦艦は簡単に沈まない!」
第三砲塔がやられているが、無事だ。こちらも戦艦。対艦ミサイル程度で沈むわけがない。大和武蔵などの戦艦は無事だ。流石に対艦ミサイル程度では、戦艦の装甲を破ることは出来ない。金剛型は危ういが、それでも頑張っている
だが、重巡はほぼ全滅だ。大破して立ち往生している。若しくは、戦艦ではなく、重巡を始末するために対艦ミサイルを撃ったのか
浦田結衣は効果ないと判断したのか、アーセナルシップは変形し、あの戦艦に変貌した。艤装を変えると同時に51cm主砲らしきものをぶっ放した。らしきものというのは、主砲の正確な口径が分からないからだ。だが、前回の戦いで武蔵改二と戦った相手だ。51cm主砲を製造することも可能なのだろう。ドイツでは80cm列車砲があるらしいが
「射程に入り次第、撃てー!」
長門の号令に大和も武蔵も砲撃を開始した。砲から火が噴き、砲声が辺りを轟かせた
「伊勢攻撃隊行けー!」
日向も伊勢も改二であり、改装航空戦艦である。41cm主砲以外にも瑞雲をたくさん積んできた。瑞雲改二(六三四空)は飛び立ちながら爆撃進路を取る
瑞雲立体攻撃をする気だ
「お返しだ」
日向は呟きながらも41cm三連装砲改二を撃った。戦艦同士の砲撃戦が開始された
「そのまま撃てー! 相手は1人だ!」
長門は叱咤しながらも攻撃命令を下す。自分たちは幾度も深海棲艦とやり合っていた。時に駆逐艦クラスなのに強力な攻撃する姫級鬼級もいた。ミサイルという現代兵器もアイオワで習ったし、浦田結衣の攻撃パターンだけでなく、性格も習ったはずだ
時雨が一周目の世界で見てきたのだから
しかし……
「瑞雲がやられた!」
「熱い!」
「鉄が融解してるネ! なんて熱量……」
伊勢は青ざめ、榛名は光によって被弾した。金剛は敵の新たな攻撃に硬直している。従来とは全く異なる攻撃手段
アイオワやフレッチャー、そして時雨が言っていた新兵器である高出力レーザー砲。対艦だけでなく、対空にも使える代物。しかも、光であることから実弾と違って真っ直ぐ撃てる! 『艦だった頃の世界』においても熱線なんて実用化していない
それを敵は何らかの方法で実現できたらしい
しかし、だからと言って怯むわけにはいかない。こちらもたくさんの主砲を撃っているが、確実に当てている。ジグザグに動いているため狙いづらいが、至近弾だけでなく、直撃弾を数発命中している。だが、相手は全く怯まない。長門も敵の砲撃を受けたため、被害が出ている
「全砲門、薙ぎ払え!」
大和は46cm三連装砲改を一斉射撃した。46cm主砲も改装され、五年前よりも攻撃力はアップしている。結衣はジグザグに走りながら攻撃をしたが、不意に足を止めた。そのため、大和の一斉射撃を諸に受けた。結衣は大爆発を起こした。徹甲弾が装甲を貫通し弾薬庫に引火したのだ。あれほど、46cm主砲弾をたくさん食らったら、いくら戦艦でも無事ではいられない
そう思ったが……
「なっ!?」
爆炎の中から大和に目掛けて何かが飛んできた。それが銛であることが瞬時に分かったが、急にはかわせない
艤装に数本命中したが、爆発しない。その代わり、何かに引っ張られる力を感じた。銛に鎖があった。敵がまだ健在だ! 武蔵と長門は慌てて大和を掴もうとしたが、既にそこには大和はいなかった。引っ張る力は強力で、大和の抵抗も空しく引っ張られていった
「大和さん!」
霧島は追いかけたが、霧島は突然見えない力を受けて大破された。引きずられながらも大和は何が起こったかは分かる
「やあ、大和! お前もやってくれたよな~♪」
「ひっ!」
引っ張られる力は収まったため、大和は立ち上がったが、大和の目の前にはニヤニヤしている結衣がいた。戦艦の艦名は不明だが、アイオワが『クラーケン』と呼ぶのも納得だ
アイツは戦艦ではない! 化け物だ!
「主砲、はっ──あああぁぁ!」
「高出力レーザーは便利だな。装甲を一瞬で融解して弾薬庫を引火させてくれるんだから。お前の首を貰う」
大和が動くよりも早く、結衣は46cm三連装砲改にレーザーを照射。砲塔は爆発し、流石に大和も堪えた
大和が膝をつくのを結衣は見逃さなかった。右腕を剣のようなものに変えると大和に振り落とした。いくら大和が艦娘とはいえ、人の体だ。つまり、急所は同じ
慌てて手で防ごうとしたが、間に合わない! 長門武蔵が逃げるよう言っているが、恐怖で体が思うように動けない
大和の首筋に刃が迫る
不意に爆発音した。いや、正確には結衣の後方に水柱が上がった。長門武蔵ではない! 魚雷だ! 誰が撃った? 後方にはいなかったはず!
結衣は慌てて大和から離れ皆から距離を置いた。形成を立て直すためだ!
その間、大和に武蔵や長門たちが来た
「大和、しっかりしろ! 時雨……お前、無事なのか……」
「大丈夫だよ」
時雨は焦った。無線で救援を呼んだが、答えたのは夕張だった。夕張は上手いこと隠れていたため被害は免れたが、工作艦である明石のような能力なんて無い
しかし、携帯用の高速修復材は持っていたので回復することが出来た
「敵は何処!?」
「長門さんが戦っている……今は任せて」
時雨は回復するや否や夕張は聞いたが、夕張が答えるよりも先に湾内で爆音が聞こえた。何が起こっているのか、大体予想は出来る
時雨は夕張の静止を無視して海に向かった。正攻法では難しいだろう。しかし、奇襲なら可能だ。アイツは装甲があるため、慢心している
天龍龍田が教えてくれた。どんなに強かろうが、性格が変わるわけがない!
そのため、接近して酸素魚雷を放ったが、危うかった。結衣は大和の首を切り落とそうとしていたのだ。タイミングを間違えれば、大和は死んでいたかもしれない
撃沈という生易しいものではなく、最悪な最期を迎えている
「ちっ。折角、大和の首を取ってお前に見せようとしたのに。邪魔しやがって」
結衣はため息をつきながら言ったが、全員は相手を悠長に聞く気はない。夕張の携帯高速修復剤のお陰なのか、夕立や白露も駆けつけてきた。軽巡である神通や川内もいた。どうやら、援護するために自力で来たのだろう
艦娘は何も言わない。鎮守府で平和に暮らしていた振る舞いなんて今はしていない
あるのは怒り
結衣も感じたのか、短い言葉で言った
「来い、少し遊んでやる」
「全艦、攻撃! 続け!」
長門の号令に皆は一斉にかかった。駆逐艦から戦艦の主砲が発射された。凄まじい爆発音が鳴り響いたが、大半は空中で爆発している。戦艦の主砲弾はレーザー砲で迎撃しているのだ
そんな中、アイオワはあるものを発射した。対艦ミサイルだ。まだ、持っていたらしい。しかし、結衣は迎撃せず突進してきた対艦ミサイルを素手でつかむと比叡に向けて投げ返した
「ひえー! ロケットを投げ返した!?」
既にCIWSの弾は切れていたため、比叡はハープーンを諸に受けてしまった。主砲も発射され、直撃を受けた長門、金剛、榛名は大破された。しかし、艦娘は被害をものともせずに突っ込む。川内は魚雷を発射しようとしたが、発射する直前に体当たりをされた。単純な攻撃だが、効果は絶大であり川内はそのまま倒れてしまった
結衣は大和相手にしたように首を斬ろうとしたのか、手を刀に変えて川内に向けて振り落とした。だが、そんな刃を受け止めるものがいた
それは伊勢だ。伊勢は刀も装備しており、接近戦でも出来る。だから、受け止めることが出来る。後方から日向が結衣の後方から斬ろうと刀を振り上げていた
後ろががら空きであるため、出来る事だ
しかし、相手はそんな生易しいものではなかった。結衣は日向を主砲で吹き飛ばすと、もう片方の腕で伊勢を殴り飛ばした
肉弾戦は一瞬であったが、二人は戦闘不能になってしまった
その隙に時雨と夕立は突撃した。主砲魚雷の同時攻撃をするために。結衣を殺すことは不可能だが、大破して戦闘不能にすることは可能だ
そのため、日本海軍がお家芸である酸素魚雷なら可能だ。さっきの攻撃でも効果はあった。修復はされているものの、確かに効果はあった
どんなエネルギーで動いているか知らないが、限界はあるはずだ!
「「てー!」」
夕立と時雨は同時に掛け声を上げながら持てる武器を発射した。もう後がない。命中さえすればなんとかなる……
……はずだった
「酸素魚雷か。散々手こずったが、今の私には無力」
「ぐっ……」
夕立は気を失って大破し、時雨も攻撃を受けて中破になっていた。懐に入れば、何とかなる。51cm主砲らしき戦艦の主砲も仰角を取りづらくなると踏んでいた。だが、対空砲と思われていたレーザー砲も強力だ。一瞬で戦闘能力を奪った
時雨は海面に倒れ、結衣の足に踏まれていた
結衣が刀を振り落とした直後、結衣の右腕が変形した刀は吹き飛んだ。正確には砲弾に持っていかれたのだ
「やらせはせん!」
武蔵の主砲弾が右腕を吹き飛ばしたのだ。マグレなのか、それとも本当に狙ったのか
武蔵は再び攻撃したが、結衣は主砲とレーザー砲を四方に飛ばした。武蔵だけでなく大和もアイオワも大破してしまった
「フン。中々面白いな。遠距離攻撃だけでなく、接近戦でも複数相手でも出来るとは。腕の再生も早い」
「深海棲艦を下につかせて、何をする気なんだ?」
結衣は自身の腕が再生されたことに歓喜している中、時雨は何とか勇気を振り絞って質問したが、結衣は単純だった
「お前達と深海棲艦との戦争を止めるためだ」
「嘘だ!」
「まあ、待て。深海棲艦を使って世界を作り替えるためだ。邪魔な国や組織を潰すためだ。……お前には個人的な恨みはあるけどね」
最後の結衣の冷たい声に時雨はゾッとした。あの事件で時雨を初め他の艦娘は成長した。兵装も進歩し、時雨自身もPTSDを克服した。だが、敵も別の形で進歩していった
ここまでかと覚悟を決めていたが、結衣はため息をついていた
「まあ、うじゃうじゃと来ては面倒だ。それに、私は簡単には殺さない。地獄を見る前に仲間と共に楽しく過ごすんだよ。幸福した分、恐怖のどん底に落とすのが楽しみだ」
結衣は言い放つと湾外に向けて走っていった
「お終いだ……」
時雨は悔し涙を流した。赤城加賀さん達はいるが、止める事は不可能だろう。上空には日本空軍の戦闘機が飛んでいたが、結衣を倒せるとは思えない
浦田結衣は逃げてしまった
戦闘結果……戦術的敗北C
浦田結衣
コードネーム『クラーケン』逃走
それではまたお会いしましょう