時雨の緊急任務 ~リベンジ~   作:雷電Ⅱ

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いよいよある巡洋艦が改二実装ですね
矢矧か、それとも最上か……
そしてやっと緊急事態宣言解除来ましたね。変異種がどうなるか、分かりませんが


第24話 戦闘 ~姿を現した雄猫~

 その日、海は異様な緊張と静けさが漂っていた。深海棲艦の動きが観測されなくなったからである

 

 それと同時に、正体不明の電波で世界中に発信したからである

 

『浦田重工業は戻ってきた。本日より、浦田は世界平和に向けて戦う。我々は国連や大国の権威と影響を根絶やしにする。我々の世界は生まれ変わる。奴らの国々は死にかけだ。解放や降伏勧告など生温い。壊滅させてやろう。かつての世界大戦の参戦国は歴史と共に燃え尽きるだろう』

 

『浦田よ、永遠なれ』

 

 浦田重工業の残党が日に日に増しているのは確実だ。浦田結衣が再び深海棲艦を支配下に置こうとしているのは明白だ。戦艦水鬼改が他の深海棲艦を率いて徹底抗戦しているが、押されているらしい。何しろ、結衣のある距離に達するとテレパシーで洗脳されてしまうからである

 

 厄介な相手であるためどうすることもできない

 

 そして、それは艦娘も同じと言えよう。呉鎮守府では警戒体制に入った。

 

 艤装も装備も強力なものも装備している。改修はほどほどだが、問題ないだろう。基地航空隊も陸攻だけでなく、局地戦闘機を揃えた。また、念のため呉周辺に住む住人は退去してもらった。周辺住民の一部は反発したが、毒ガス攻撃を受けるかもしれない、と説明されると一目散に逃げ出した

 

「ニュースが役立つ日が来るとは」

 

 提督は半ば呆れていたが、時雨は余り納得していない。テレビでは浦田残党は毒ガス兵器を持っている、と報道していたが、それが元は日本軍のものだとは報道していない。面子とプライドを守るためならやるだろう。若しくは国防大臣の独断なのか? 

 

「提督さん、何かやることはあるっぽい?」

 

「無いよ。いや、もうすることがないな。資源は腐るほどあるし、できる限りの大改装もした。後は、戦いに勝つことを祈るだけだ」

 

 夕立は質問したが、それは以前にも同じことを言っていた。提督は咎めもせずに同じことを答えている

 

 しかし、提督も他の艦娘も同じ心情だろう。資源も今や保管倉庫から溢れ出すくらいの貯蔵はあるし、改修も改装も施してある。武蔵達も回復した

 

 武蔵は勿論、赤城加賀や金剛比叡もやる気満々だ。PTSDになった人は居ない

 

 また、アイオワのお陰で携帯地対空ミサイルであるスティンガーを多数用意できた。高射砲がないが、ミニガンであるCIWSも四つ配備した。これは艤装用ではなくて、実物だ。ジェット機は兎も角、攻撃ヘリなど持っている事も想定しないと行けない。高射砲は撤去した。今は必要ないだろう

 

 変わりに秋月四姉妹と磯風浜風に任せた。磯風浜風は乙改に改装したからだ。更にフレッチャーもジョンストンも参加させた。国連軍の海外艦も攻撃される可能性もある。外国の軍隊を攻撃したら国際問題になるが、浦田結衣はそんなのは知ったことでは無いだろう

 

 また、陸には502部隊を配備した。土嚢を作り、高台には重火器を配備した。迫撃砲も装甲車も持ち込んだ。艦娘であるあきつ丸と神州丸はそちらに回した。陸軍出身だから慣れてるだろう

 

 だが、幾ら防御を固めても不安が増す。特に時雨やアイオワはそうだった。浦田重工業がなくてもやる相手だ。浦田重工業が崩壊しても尚、五年間で密かに準備したのだろう。逮捕した者は全く更生すらしておらず、浦田副社長である武田と浦田結衣が復活したら歓迎される始末だ。特に浦田重工業に働いていた者や恩恵を受けていた人たちにとっては喜ばしいものである

 

 よって、手のひらを返すかのように裏切る者もいるだろう。現にあちこちでデモや暴徒が多発している

 

 武器も以前のように優れた物を持ってるに違いない

 

「刑事さん、そして警察の方々はもう来なくていいですよ」

 

 杉田警部が犯人逮捕のために滞在したいと電話で申し出たが、提督は断った

 

『どうしてです?』

 

「必要なのは兵器や兵士であって警官ではありません」

 

『……ちょっと待ってください! まさか、貴方は──』

 

「刑事さん、貴方は残党である田中秦と武田副社長を追ってください。後は過激派組織も。覚悟は出来ている」

 

 提督はそういうと受話器をおいた。その場にいた曙は提督に注意をしていたが、杉田警部は分かっていたのだろう

 

 防衛は着々と進んでいたが、ここで話題が起きた

 

「問題がある。あの国防大臣、こちらの援護を拒否した」

 

「なんで!?」

 

 提督室での会議で数人集まっていたが、提督から思わぬ報告を受けた。時雨は信じられなかった。友軍を見捨てる?? 

 

「ガス攻撃を防ぐために分散命令を拒否したらこうなった。だが、あの新しい国防大臣は元からこちらを嫌っている感じはあった。気にするな。元帥だと攻撃を受けたら防衛のために援護するから心配するな、と言われた。空軍からは『攻撃を受けたら駆けつける』と言われた。だが、来ない可能性もある。国防大臣が出撃命令を取り下げたらどうなる事か分かったものでもない」

 

 提督の説明に全員が険しい顔になった。現状において文民統制である以上、上からの命令は絶対だ。流石にやりたい放題は出来ないが、何かしら理由を言えば出撃拒否されるかも知れない

 

「だが、戦力は十分だ。洗脳した深海棲艦の数は不明だが、返り討ちにしてやれ。あっちがやってくるなら、探す必要が無い」

 

 

 

 その日の夜、各員は緊張の余り全員が起きていた。流石に皆を夜更かしする訳にもいかないので交代で仮眠を取るようにした

 

 だが、提督はアイオワと時雨をコッソリと呼び今後の話をしていた

 

「明日来るだろう。実は厚木飛行場の偵察機が見たこともない飛行機を見たと言ってきた。しかも、計測が出来なかったと」

 

「What?」

 

「もしかして!?」

 

 時雨とアイオワは驚愕した。それが何なのか想像がつく。ジェット機だ! 

 

「機種は!?」

 

「不明だ。しかも妖精仕様ではなく実物だ。まだ残っていやがった。大久野島から航空機らしき部品が見つかったからまさかと思ったが」

 

 時雨は提督の説明に目の前が真っ黒になった

 

 一体、どうやって? 提督によると大久野島でF-4でもミグでもないらしい

 

「結衣は向こうの世界で中東に行った可能性があるわ。But、何なのか分からない」

 

 アイオワは頭を抱えた。戦闘機については専門外であるため、何なのかは分からなかった。取り敢えずジェットエンジンであるのだけはわかった

 

 だが、何処から調達したのだろう。アイオワは浦田重工業が反乱した際にMig21やT-72などのロシア製兵器を確認している事から浦田社長は武器商人から購入しただけでなく、結衣が密かに並行世界で中東に行ったのではないか、と推測した。中東は紛争が良く起こっていた。中東戦争を始め、ソ連によるアフガン侵攻やイランイラク戦争。湾岸戦争に加えて9.11テロによるアフガン戦争やイラク戦争など起こっている

 

 つまり、中東は武器が沢山ある場所だ。結衣はそこを目につけたのだろう。劣化ウラン弾も現地の米軍から盗んだのだろう

 

「もういい。どんな機体だろうが、独自改修だから本家と比べて性能は落ちているだろう。だが、記録によると深海棲艦にハイテク兵器を載せて追い込んだんだ。ハイテク兵器を我が物に出来たのは自衛隊やリリの能力だけじゃない。何かあるはずだ」

 

 提督は諦めかけていた。奴等は狡猾だ。こちらも戦力を上げているが、どうも向こうが上だ

 

「ミーの世界では何かあったら原子力空母や爆撃機の支援が来た。でも、居ない」

 

「提督、ごめん。地下でもし倒していたら──」

 

 時雨は地下で生首の結衣と対面した時を思い出していた。もし、固まらずに駆逐艦の主砲を撃ち込んでいたら倒せていただろう。しかし、時雨は恐怖と衝撃で金縛りのように固まっていた

 

「近くにロボットが居たんだ。止められていたさ。悔やんでも仕方ない。撃沈した者は居なかったが、初めて艦娘から戦死者を出すかもな」

 

 提督が首を振っていたが、最後の言葉に時雨は反応した

 

 あの時と同じだ。また、仲間が失われる。深海棲艦であるボスは縄張りから逃げれば追ってこないが、結衣や浦田残党は違う

 

「僕はやるよ。刺し違えてもあいつを倒す」

 

 

 

 翌日1000

 

 呉の街は静かだ。だが、町の間をぬって呉鎮守府に近づいてくる

 

 勿論、鎮守府付近を警戒していた502部隊の兵士と神州丸が放った艦載機によって発見されていた

 

「敵複数接近。40名以上の敵がきています」

 

「あいつら民間人だ。学生運動や過激派が盛んだったが、これは違うな」

 

 神州丸と曹長は提督と部隊長である大佐に報告した

 

『そうか。やはり』

 

「どうしました?」

 

『いや、神州丸や502部隊、そして艦娘全員に聞いてほしい。田村1尉の第二次世界大戦から半世紀後の歴史をを改めてみたが、おもしろいことが分かったよ。なので、朗報と悲報がある。朗報は浦田重工業と浦田結衣が暴れたお陰でソ連は史実よりも早く崩壊、中国は新たに生まれた新国民党が中国大陸を制覇しようとし、朝鮮半島はとある独裁者に成り行く人が亡くなったためとても分断もなく大人しくなった。これで『並行世界』である近隣諸国問題は半世紀以上も起きないぞ。極東は平和だ。朗報だろ?』

 

 提督の皮肉に神州丸は思わずにやりとした。亡くなった浦田社長の悲願である『世界攻撃で平和を得る』はある意味、達成された訳だ

 

『悲報は極東問題を浦田残党はかき集めた。数年後に出現するであろう赤軍や過激派や学生運動をこちらに味方につけた。浦田重工業は日本に夢や思想を植え付けた。『自分たちに付いてくれば平和で平等な世界を築ける』と。言っている。だが、あいつらのやっていることは侵略だ。それだけははっきりと言う』

 

 提督の無線の説明に皆は黙って聞いていた。時雨やアイオワなどから聞いていた浦田重工業が復活して攻めてくる。深海棲艦や人間を味方にしている。今入るほとんどの艦娘は時雨が経験した一周目の世界を知らない

 

 だが、一周目の時と比べて多いし、頼もしい

 

『提督、敵の艦隊を発見。ですが、空母ヲ級と重巡ネ級、後は駆逐艦ばかりです。静かに接近しています』

 

『他の艦隊も確認。こちらは戦艦ル級ばかりです。しかもノーマル』

 

『湾内に軽巡ツ級と駆逐二級発砲せずに鎮守府に接近』

 

 先日のサリンから回復した赤城と加賀の報告に皆は隠れながら緊張していた。こちらの手の内を明かしたくないからだ。尤も艦載機を上げて撃破すればいい。だが、倒すべき者は結衣である。敵を倒せば洗脳は溶けるだろう。結衣が現れば四方八方から一斉に攻撃する。そのためには弾薬を惜しまずに使う。レーザー兵器であれミサイルであれ対処できない可能性がある

 

 物量作戦で結衣に挑む方向にしたのだ。陸からの攻撃は502部隊とあきつ丸、神州丸が対処してくれる

 

 化学兵器だけでなく生物兵器を使われたら終わりだ

 

『提督、こっちは準備出来ているよ。何時でも戦える』

 

「そうか。では、戦いの合図を鳴らせ」

 

 提督の命令で時雨は物陰から躍り出て接近する駆逐二級に砲弾を叩き込んだ。砲声と爆音が引き金となり、駆逐二級と軽巡ツ級は一斉に砲撃を時雨に向けて開始した。だが、それよりも早く時雨は物陰に隠れた。軽巡龍田と天龍や陽炎達が対処した。まだ序盤だろう。あっという間に十以上の軽巡駆逐艦隊は撃沈した

 

 更に基地航空隊と空母組は艦載機を上げた。空母ヲ級を始末するためである

 

 練度も高く性能が良い機体に空母ヲ級の艦載機では、叶わなかった。あっという間に撃沈されてしまった

 

 しかし、こちらも無傷ではなく神風や五月雨が小破してしまった。直ちに入渠され代わりを配置した

 

 一方、陸の方でも同じだ。武装勢力が近づくや否や小銃や軽機関銃を問答無用でぶっ放して来たのだ

 

 502部隊は直ちに応戦。たちまち激しい銃撃戦が行われた。しかし、相手は軽武装であり、重火器は持っていないようだった。代わりにこちらは64式小銃(浦田重工業時代に奪った銃。名称は変えなかった)を始めスナイパーや重機関銃、さらには迫撃砲まで持ち込んだ。

 

 流石に無闇に撃ち込むと街は瓦礫となってしまうのでカ号の観測によってピンポイントで狙い撃ちにした

 

「隊長殿、バスが来ます」

 

 曹長も銃を手にとって発砲していたが、あきつ丸の報告を聞いて直ぐに双眼鏡で見た。バスは奪ったものだろう。兵員輸送用にしたのかと思えば、どうも違う。バスの中で何か大きな黒い物が二つある。何なのかは知らないが、やらせてたまるか! 

 

「全員、バスを狙え! 集中砲火だ!」

 

 曹長の命令により兵士はバスに向けて銃弾を浴びせた。神州丸に至っては配備していたM2重機関銃を手に持って抱えるとそのまま撃ち込んだ

 

 バスの近くにいた敵兵達は大混乱に陥ったが、黒いものは爆発物だったらしくバスは盛大に爆発した。炎と共に薄気味悪い煙が上がり近くにいた敵は苦しみながら悶えている

 

「二度と毒ガスなんて使うな」

 

 曹長は吐き捨てるように言った。どうやら、バスには爆弾とガス容器だったらしい

 

 あれをバスに乗せて突撃させるつもりだったのか? 

 

 ともあれ、敵兵は叶わないと思ったらしく逃げ始めた

 

「撃ち方止め! ──中佐、撤退した。砲撃聞こえたが、海からも攻撃されたのか?」

 

『そうだ。あれは──』

 

「分かっている。威力偵察だ。武器弾薬のチェックをしろ!」

 

 相手は正規軍ではないので、浦田残党にとってはあの規模は使い捨てらしい。いや、違う意味で役に立ったと言えばいいのか

 

 

 

『話が違うじゃないか! 相手は陸戦なんていない! 憲兵は軽装で簡単に倒せるって言ったじゃないか!』

 

「すまん。情報が違っていた。これから第二波攻撃をする。待っておけ──全く泣き虫が」

 

 民兵を雇ったリーダーの無線連絡に浦田副社長であった武田はウンザリしていた。泣き声に混じって報告してきたが、無視していた

 

「安保闘争や学生運動は口先だけだったんだな」

 

 武田は浦田社長から歴史を学んだが、本来起こるであろう赤軍や闘争など民衆の過激派人間を使った。だが、史実では戦った相手は日本の警察官くらいである。後は人質取ってハイジャックするくらいか。だが本格的な、しかも正規軍と戦った事なんてない。よって、ヤル気満々の502部隊を前に尻尾を巻いて逃げていた

 

 しかし、武田は金で雇った民兵なんて鼻から信用なんてしていなかった

 

 どうせ世の中は自分たちで変えられると勝手に思い込んで武器を手に取った集団だ。ベトナム戦争やソ連や安保闘争や在日米軍基地が居たら違っていただろうが、そんなものは結衣や浦田社長が潰したお陰で存在しない。本格的な戦争を目の当たりにして目が覚めると簡単に逃げようとする。だが、制裁をしたらこっちが悪と認定される

 

 実際に連合赤軍と呼ばれる武装勢力はリンチや制裁を行ってために離脱者が続出して自滅したのだ

 

 なので、こいつらは消耗だ。如何に気づかれないようにするかがミソだ

 

「フン、傭兵なんて信用ならん。──結衣、敵の鎮守府は要塞並だ。お前が行ったら四方八方から狙い撃ちされる。物量で倒されるぞ」

 

 武田は無線で結衣と連絡を取った。現在は別行動しているが、場所は秘匿している

 

 確かに結衣の能力は凄まじい。熱線とかSFだ! だが、無限に撃てるものではない。過剰に攻撃を受ければ流石に危うい。しかし、結衣は余裕だ

 

『問題ない。こちらも考えがある。それより、あれを使って攻撃させろ。リリの力で復元出来たのだから使うべきだ』

 

「そうだな。分かった。後、例のものは空気砲で頼むぞ! 間違ってもミサイルが入った砲弾をミサイルの弾頭に積んだり火砲で撃ったりするな! ウイルスは熱に弱いからな!」

 

『心配性だな。そんなのは科学者に言われたぞ。私がそんな人に見えるか? それより、さっさと空爆しろ。奴等の対空能力をみたい』

 

 結衣は無線を切った。しかし、心配はしていない。問題なのは虎の子である隠し兵器だ

 

「キャットワン、こちらはキングだ。鎮守府を攻撃しろ! 奴等に、特にアイオワとか言う艦娘に一泡吹かせてやれ!」

 

『了解、攻撃態勢に移行する。爆撃まで五分』

 

 無線からは淡々としたパイロットの応答があった。彼らは以前はF-4やMIg21の戦闘機乗りだが、先の内戦で鎮圧されたときに機体を捨てて脱出。逮捕され刑務所に幽閉された。だが、こちらの忠誠は緩いで居なかった

 

 用意した機体にいち早く馴染みあっという間に飛ばせたのだ

 

「頼んだぞ」

 

 武田はニヤリとした。硫黄島から飛んだのだから滞在時間は知れている。だが、パイロットは優秀だから問題ないだろう。対空能力が気になるが

 

 

 

 鎮守府

 

「敵、来ないっぽい」

 

「うん、諦めてくれればいいんだけど」

 

 あの戦闘の後、時雨達は昼飯を取った。戦闘配食である握り飯だが、それで十分だ。他の艦娘もいる

 

 あの小規模で攻めてきたのだから、周りは拍子抜けしたのだ。戦艦組は一度も大砲を発砲していない。いや、正確には空母と軽巡駆逐艦組が早く倒してしまったからである

 

 だから張り切って出撃しようした大和は敵を撃退した報告を聞くと少し落ち込んでいたが

 

「何か驚く兵器を持っていたりしてな!」

 

「……流石にジョークが酷い」

 

 江風は笑いながら言ったが、ジョンストンは気が気でなかった

 

 アイオワから大まかな事情は聞いている。ジェット機を持っているとなるとお手上げだ。まだ攻撃ヘリならいいが

 

 ワイワイ話している中、無線が入ってきた

 

 提督だ。だが、緊迫した声が無線を通じてきて連絡してきた

 

『緊急事態だ! 超高速の飛行物体三機が接近! 迎撃に向かった空軍の橘花を無視してこちらに向かっている! 警戒せよ!』

 

「HARRY UP! 敵が来る!」

 

 提督の無線連絡に和んでいた場所は一気に張りつめていた

 

「アイオワさん、何が来ると思う?」

 

I don't know(しらないわ)。検討もつかない」

 

 時雨はアイオワに聞いたが、アイオワは首を横に振った。何が来るのか検討も出来ない

 

「敵発見! あそこです!」

 

 秋月が叫んだと思うと、いきなり高射砲を撃ち始めた。何か見たに違いないが、ほとんどの艦娘は何があったのか検討もつかなかった

 

 だが、電探を所持している艦娘は気が付いていた。電探には確かに三つの反応があった。問題は速度である

 

とても速い! 橘花や火龍と比べ物にならない! 

 

「あ、あれは……What!?」

 

 アイオワは双眼鏡で覗いたが、敵の機影を確認できたのだろう。驚愕していた

 

 時雨は聞き返そうとしたが、いきなり凄まじい轟音が鎮守府上空を鳴り響いた。迷彩色の矢じりのような飛行物体が呉鎮守府の上空を擦過し、衝撃波で建物のガラスが飛び散った

 

 数は3。F-4でもMig21でも違う

 

 だが、時雨は機体を見て驚愕した

 

 大きい! 一周目の世界で深海棲艦仕様の機体で見たことはあったが、実物で見た物は初めてだ! だが、明らかに上空を飛んでいる機体の方が力強いようにも見える

 

 一方、アイオワは敵の機影を確認したため混乱していた

 

 そのため、報告が遅れたのだ

 

「F-14!? どういう事! トムキャットを何で持っているの!?」

 

 アイオワが混乱するのも無理もない。上空を飛んでいるのは間違いなくF-14だ。だが、平行世界……田村1尉がいた世界ではF-14は既に退役している。いくら退役した機体をアメリカが闇市場で売る訳がない

 

 いや、浦田重工業はF/A18などのジェット機を作っていたが、あれは真似て作っただけだし、深海棲艦仕様のためのプロトタイプだ。そのため、本家とは大いに劣る。外見は似ているだけで中身は全然違う。また、F-4もMig21も空自から奪ったり中東から買ったりしていたが、あれは骨董品だ

 

 しかし、F-14は流石に無理だ。アメリカから奪うなんて!? 

 

「トムキャット? まさか、アメリカから奪ったの!?」

 

「あり得ない。トムキャットは艦載機よ! 空母を運用していないのになんで!」

 

 アイオワは啞然としていたが、アイオワ所属の熟練見張員の報告を聞いてハッとした

 

「米海軍のマークではなくて緑白赤の丸いマーク? IRIAF? まさかイランから奪ったの!?」

 

 アイオワは驚くと同時に納得した。F-14を運用しているのはアメリカの他に運用している国がいる。それはイランである

 

 イランは1974年にアメリカからF-14を購入した。しかし、イラン革命が起きた事により両国の関係は悪化。アメリカは部品供与をストップされ、パイロットや整備兵は投獄や拷問を受けたが、イラクとの戦争が勃発すると前線へ復帰

 

 本家のトムキャットと比べて大いに活躍したという

 

 現在でも独自改修や部品の国産化などによって一定の稼働率を確保しておりF-14はイラン領空を守っている

 

 アイオワは一瞬、状況を整理したが、同時に浦田重工業がジェット機の技術を我が物にしたことに納得していた

 

 憶測でしかないが、生前の浦田社長はガラクタとは言え、使えるものは何でも取り入れたらしい。F-14もイランイラク戦争で撃墜された機体、もしくは事故等で墜落した機体を持ち帰ったのだろう

 

 別に不思議でもない。F-117Aステルス攻撃機が撃墜された時、ロシア中国はガラクタを手に入れてステルス技術を取り込んでいる*1! 

 

「敵、反転してくるよ! アイオワさん!」

 

「スティンガー持ってきて!」

 

 アイオワが叫ぶと同時にF-14は鎮守府と艦娘に向けてミサイルを発射していた

 

 

*1
F-117ステルス戦闘機が撃墜され残骸はロシア中国に渡ったともされている




F-14
様々な映画漫画に登場しマクロスゼロに登場したVF-1 バルキリーのモデルにもなったとされた機体

0F-14は既に米海軍は退役した機体である……と言いたい所だが、実はイランはまだ運用している
整備性はF-15よりも難でアメリカからの部品供与がストップしても独自改修でイランは飛ばしている
イランイラク戦争においては『大活躍であった』だったらしく、本家であるアメリカよりも戦果を挙げている
設定は墜落したF-14の機体を密かに搔っ攫い、研究された
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