時雨の緊急任務 ~リベンジ~   作:雷電Ⅱ

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何だかんだで艦これも8周目ですね
イベントも近いから楽しみです


第29話 円盤型航空機と戦争勃発寸前

 呉鎮守府が生物兵器を撃ち込まれ対応に追われている間、日本や他国は変化していった

 

 日本は「切り札」とも呼べる新兵器を着々と準備している間、他国も同じだった

 

 特に国を超えての兵器共同開発という行動は人類団結の大きな転換になる

 

 浦田重工業が壊滅し深海棲艦の脅威が晒され艦娘が戦っている中、国際社会では『連合軍』が着々と進んでいった。要は国連設立の足掛けにもなる

 

 これについては大まかには史実と同じだが、違う点と言えば枢軸国が居ないのである。ドイツも日本も連合軍に仲間入りしていた

 

 ドイツでは、ヒトラーが居ないため国家社会主義ドイツ労働者党はそこまで権力は無く、ロシアもソ連崩壊から立ち直っている。ただ、ロシア大統領は例のあの人である。彼も密かに悪運強く生き延びていた

 

 初めは深海棲艦と呼ばれる人類共通の敵との戦いのために人類は一丸となって戦うべき思想はあった。国境民族人種宗教を越えての団結なのだから一見すると素晴らしいものであった

 

 しかし、どんなに素晴らしき考えでも横道にそれるのが現状である。次々と新兵器が開発され、深海棲艦にダメージを与えられるようになると、今度は艦娘不要論が出始めた。史実でも戦闘機不要論などと唱えていた者もいたくらいだ*1

 

 いや、それだけならいい。不要論と唱える人は所詮は短絡的な考えである。だが、今度は新たな考えが生まれたのだ

 

 その名も『総攻撃派』である。地球環境度外視による攻撃で深海棲艦を殲滅するという考えである

 

 なぜ、度外視なのか。それは原爆の開発である。核の開発は何処でもやっていた。しかし、手探り状態であったため各国は基礎研究くらいである。アメリカだけでなく、ソ連ドイツは愚か日本もしていた*2

 

 例え関係者を始末しても他の人が継いで行う。また、アインシュタインもコッソリと生存していた事もあり、アメリカでは原爆開発に成功したのだ

 

 アメリカ政府は喜んだが、一つ問題があった。原爆の重量はとても重い。平行して実用化に漕ぎ着けた爆撃機B29はあるものの、本土からビキニ環礁までは遠すぎる

 

 そのため、別の所に基地を作らないといけない。よって、中国に交渉を持ちかけた。物資や武器輸出(中国国民新党が中国大陸を制していたが、まだまだ内戦であった)の援助する代わりに航空基地を設立すること

 

 中国代表は渋ったが、内戦をいち早く終わらせたいため受け入れた。場所は南京にした。本来なら上海にしたかったが、深海棲艦の艦載機による空爆をくらう恐れがあったため、そこを選んだ。深海棲艦は内陸部には攻撃しない習性があったため、その場所を選んだ*3

 

 陸軍はB29の性能を他国に知られてしまう恐れがあり反対したが、米大統領は押し切り、南京に米航空基地を設立しB29爆撃機を進出させた。また新型爆弾である原爆を運び深海棲艦の拠点攻撃を行った

 

 数か月前に艦娘たちがビキニ環礁でキノコ雲を見たというのはこれである。効果はあったかは分からないものの、戦艦レ級や北方棲姫や湾港棲姫だけでなく戦艦水鬼改の姿も確認されたため提督は効果なかったと判断した

 

 だが、米国を初めとする数か国は喜んだ。深海棲艦の巣である場所を破壊した事には大々的に宣伝したのだ

 

 そして、敵である浦田結衣が復活し浦田残党の規模が大きくなったことで、意外にも米国も欧州も喜んでいる節があった。政界を引退したチャーチルもガッツポーズをしていたらしい

 

「艦娘の前哨基地である呉鎮守府が落ちたようです。なんでも生物兵器を使ったとか」

 

「そうか。メアリー・イザベラやCIA局員を失った事は痛かったが、これで我々の大義名分が出来たわけだ」

 

 新たに当選した米大統領はニンマリとしていた。車椅子の大統領が暗殺されたのだから報復するのは当然かもしれない。だが、米大統領の野心は高かった

 

 日本では浦田重工業と呼ばれるテロ組織が反乱を起こし世界中を攻撃した。復興はしているものの立ち直るには時間がかかる

 

 現在、浦田残党は東南アジアや中東を拠点としているらしい。賛同している者は多く、武田と呼ばれる浦田副社長が指揮を取っている。日本が浦田のものになったら尚更いい。対日戦を行う理由も出来る。日本を浦田重工業の魔の手から解放したと称して占領するのも手だ。アジア進出への橋頭堡とする。ロシアが進行してきたとしても、地政学的に絶海の島国は堅牢な要塞になる。日本政府の出方は不明だが、少なくとも国防大臣はこちらを歓迎しているようだ

 

 特にコードネームである『クラーケン』のこと浦田結衣を殺害出来れば、こちらの株が上がる。正義は我々にある。ロシアの戦車軍団やこちらの空母機動部隊を壊滅させたのだから、軍も国民も議会も戦争賛成である。何をやっているか知らないが、明らかに侵略行為だ。これほど分かりやすい敵は早々いない

 

 なので、米艦娘に敵を撃つよう催促したが、一向に捕まえられない。フィリピンにあった米軍基地を艦娘基地として設営し艦娘を送り込んで浦田結衣狩りを行う事にした。アイオワやサラトガやフレッチャーがいたが、呉鎮守府にいたため使用できない。イントレピッドやガンビートなど空母娘が索敵しているが、敵は熱線のようなものを使っているらしく、全機撃ち落とされ簡単に振り切られると嘆いている。偶然にも戦艦娘サウスダコタと会敵し交戦したが、返り討ちにされた。日本の駆逐艦娘を抱えていた事もあって、及び腰になった事もあったが、それこそ捕まった時雨であった

 

 敵を仕留められない事に痺れを切らした米大統領は別の案を立てた

 

 ドイツからやって来た偉大な科学者によって作られた新型航空機を使う時である

 

 中国の南京の航空基地に送り込むことにはほとんどの将校は反対したが、責任者や他の技術者の熱心な説得によって仕方なく送り込んだ

 

 問題は敵である『クラーケン』の位置だが、依然として不明だ。しかし、そんな中朗報が来た

 

「大統領、『クラーケン』が我々の艦娘と交戦中です」

 

「仕留めたのか!?」

 

「いいえ。前回と同様、こちらが不利です。何しろ、熱線は戦艦の装甲を簡単に貫通する始末で」

 

「そうか。早速、出撃命令を出せ! ……囮としては立派に働いてくれたよ、サウスダコタ」

 

 大統領はニヤリとした。結衣が捕まらない理由が分かっていなかったが、こちらを攻撃するときは姿を現す。米大統領も流石に結衣の擬態能力については把握していなかった

 

 

 

 某海域

 

「ふざけるな! 負けるかよ!」

 

 サウスダコタは肩で息をしながら砲撃していた。呉鎮守府が生物兵器を受けたという報告を受けて駆け付けたが、アイオワの苦しそうな通信を聞いたため近寄ることが出来ない。対生物兵器なんてやった事が無いのだからどうすることもできない。帰路についていた所、再び結衣の奇襲を受けた。サウスコンダを初めとする米艦娘は応戦。16inch三連装砲Mk.6は吠えているが、敵はへっちゃらだ。敵は結衣以外に軽巡ツ級と駆逐ナ級が2体ずついるが、敵の火力で押されている。寧ろ、敵の熱線で砲身が爆発してしまう始末だ。それどころか、熱線が艤装の配電盤を貫通。レーダーと通信が使えない状態になった

 

「電気回路が! イントレピッド、航空支援を!」

 

「ネガティブ! 艦載機は残っていない!」

 

 イントレピッドは泣きの涙だった。熱線は限りがあると思い、多数の艦載機を投入。第二次世界大戦ではこれは上手く行ったが、目の前の敵は異質だ。しかも、敵のダメージが与えられていないように見える

 

「撤退しましょう!」

 

「しかし!」

 

「今ここで戦っても無駄死によ!」

 

 大破してよろけるヒューストンは撤退を進言した。確かに他の艦娘も苦戦している。サミュエル・B・ロバーツは頭から血を流していてアトランタに支えているし、ガンビアベイも瀕死の重症をしている

 

「分かった。Withdrawal(撤退)よ!」

 

 サウスコンダは撤退を決めた。これ以上、粘っても勝ち目はない

 

 だが、相手はしつこく追跡してくる。増援が無ければ、生きる道はないだろう。しかも、浦田結衣はしつこく追跡している。フィリピンの米軍基地まで後を追うどころか、基地そのものを壊滅されるかも知れない

 

 覚悟を決めようと刺し違え覚悟で挑もうとしたが、攻撃をする直前、海面から何かが浮上して結衣を襲ったのだ。サウスコンダは勿論、結衣自身も予想外だったらしく相手の体当たりを諸に食らって海面に叩きつけられた

 

 軽巡ツ級や駆逐ナ級は応戦しない。出来ないのだ。何しろ、相手は戦艦水鬼改だったから。深海棲艦のボス相手に盾突くことは出来ない。戦艦水鬼改が攻撃するな! というテレパシーを使っている事もある

 

「クソ、お前何故ここに!」

 

「待チ構エテ居タ! オ前ガドンナニ擬態能力ガ優レテイテモ、性格マデハ変ワランダロウ! 艦娘ヲ執拗ニ狙ウ戦艦ル級ナンテイヤシナイ!」

 

 戦艦水鬼改と結衣は海中で取っ組み合いが始まっていた。互いに至近距離からの砲撃と近接戦闘で滅茶苦茶だ。戦艦水鬼改の怪物艤装は結衣を殴り飛ばし結衣はレーザーで反撃する

 

「私ニ洗脳ハ通用シナイ。指揮権ト仲間ハ返シテ貰ウゾ」

 

「進化ってやつか! だが、断る!」

 

 結衣と戦艦水鬼改の戦闘が再び行われようとしていた。ボス争いともいうべきか

 

 一方、サウスダコタは困惑していた。結衣が深海棲艦を乗っ取ったという事についてはアイオワから聞いている。だが、どちらも応援できない状況だ。戦艦水鬼改は結衣や浦田重工業は敵対しているものの、所詮は敵である

 

「殺し合っている……どうすればいい?」

 

 イントレピッドはどうするか指示を仰ぐが、サウスコンダは決まっていた。深海棲艦同士の争いなんてめったに見ない。片方は深海棲艦とは違うが

 

「勝った方が私たちの敵になるだけだ」

 

 サウスコンダはそう答えた。漁夫の利にはならないだろう。殴り合いするだけなら問題ないが、敗北確定の戦闘なんて御免だ

 

 そんな中、無線に連絡が入った。上層部からだ

 

『サウスダコタ、君たちは直ちに攻撃を中止して安全な場所へ退却せよ』

 

「どういう事?」

 

 サウスダコタは困惑した。こんな命令は初めてだ

 

『現場海域に新兵器が来る。二機の新型戦闘機だが、これは強力なものだ。光学兵器で二体を焼き殺すが、ボスである敵を一掃すれば海は人類の手に取り戻すだろう。そうすれば戦争は終わる』

 

 上官は言うだけ言うと無線を切ってしまった

 

(光学兵器? 新型戦闘機? 何なの?)

 

サウスダコタは困惑したが、兎に角、命令は命令だ。現場を離れるよう仲間たちに促し、撤退した。だが、数キロ進んだところで防空巡洋艦アトランタから高速で近づく飛行物体をレーダーで探知したといって来た

 

「叩き落す?」

 

「待って、味方かも?」

 

 サウスダコタはアトランタに射撃を中止させた。味方なら上官からこっぴどく怒られる。しかし、そんな事を心配する必要性はなかった。何しろ、円盤のような姿をした飛行物体が、通り過ぎたのだから

 

「あれは何?」

 

「UFO?」

 

 ヒューストンとアトランタは啞然としていた。かろうじて米軍のマークが描かれていたのを確認出来たため味方だろう。二機のUFOが接近しても戦艦水鬼改と結衣の争いは止めていない。眼中にないのだろう。戦艦水鬼改の怪物艤装は気づいたらしく威嚇するために咆哮を上げていた

 

 次の瞬間、二機の円盤飛行物体から目がくらむような光をサウスダコタたちの目を射て、思わず覆った。爆発炎上と共に高熱のためか大量の水蒸気と奔騰している

 

「熱っ!」

 

 降りかかる水飛沫も熱湯のように熱い。二機の謎の飛行物体は戦果確認のためか、何と上空をホバリングしている

 

 サウスダコタは頭を整理した。まるでパンケーキか何か空を飛んでいるイメージだ。結衣がF5Uフライングパンケーキを作って艦載機にした、というのは聞いているが、あれは航空機の一つだ。だが、上空を飛んでいる飛行物体は何か違う

 

 どういう原理で飛んでいるか全く分からない

 

「もしかして……ハウニブ?」

 

「はぁ? それは都市伝説よ?」

 

 ヒューストンは何気なく呟いたが、アトランタは呆れていた。ハウニブはドイツが第二次世界大戦中に極秘に開発したとされるUFO型戦闘機である。音速を超えて飛び、戦車砲や光学兵器を搭載しているというトンデモ兵器である

 

 勿論、こういった事実は無い

 

 湯気と煙が収まると二体の深海棲艦は消えていた。戦艦水鬼改も『クラーケン』である結衣も確認できない

 

 遠くでは結衣に随伴していた軽巡ツ級や駆逐ナ級、そして戦艦ル級は全速力で逃げている。敵わないと見て逃げているのだろう

 

『サウスダコタ、戦艦水鬼改とクラーケンを確認できるか?』

 

「……っ!? 居ない」

 

 一瞬の出来事だったため、サウスダコタたちは呆気に取られていたので急な無線が入ってきたことにより驚いきながらも応えた

 

(何かドイツ訛りが入っていたような……)

 

 サウスダコタは困惑しつつ周囲を捜索した。だが、敵の姿は無し。二体とも撃沈したのだろう

 

「了解、艦娘たちは撤退せよ」

 

「逃げている軽巡ツ級はどうするの?」

 

「放っておけ。こちらも燃料が持たない」

 

 無線は判を押すかのように無線連絡を終えると、そのまま飛び去って行った

 

「私達はお払い箱?」

 

 勝ったとはいえ、なぜか喜ぶ気にはならない。『艦だった頃の世界』とは違うとはいえ、手柄を横取りされたような気がする

 

 サミュエル・B・ロバーツは不意に聞いて来た

 

「ねえ……逃げて行った軽巡たちに戦艦ル級って居たっけ?」

 

「え?」

 

 サウスダコタは面食らった。そう言えば、浦田結衣は戦艦ル級を随伴していなかったような……

 

 

 

 ??? 

 

 ある無人島にて異様な建物が立っていた。そこは深海棲艦の拠点としていた。人類からの攻撃は日に日に増しており、通常兵器も通用するものが出てきた。更には原爆攻撃で拠点の一つであるビキニ環礁を失ったが、仲間は死んでいない

 

 人類はありもしない戦果に喜ぶ始末だ

 

 だが、厄介なのは結衣の存在である。テレパシーで洗脳しようとしてきている。対策は練っていたものの、相手も進歩していた。何しろ、ただの戦艦ル級と思いきや、いきなり変形して奇妙な戦艦の姿をした結衣が現れるのだから

 

 激戦となって何とか持ちこたえられたが、テレパシーで操られた姫級鬼級を連れ去られていった。追跡しようとしたが、相手が強すぎた。何しろ、レーザー光線というぶっ飛んだ兵器を放っているのだから

 

 戦艦水鬼改は数人の深海棲艦を選んで奴を追うといい、拠点の指揮は湾港棲姫に任した。北方棲姫も頑張って警戒している

 

 無線で敵と接触し交戦したと連絡を幾度と聞いたが、つい先ほど連絡が途絶えた。何があったのか? 深海棲艦全員が不安になっていた所、一緒に行っていた戦艦レ級が返ってきた。だが、随伴していたのは焼け焦げた戦艦水鬼改と怪物艤装だった

 

「何ガアッタノ!? 結衣ニヤラレタ?」

 

「違ウ。人間ノ手ニヤラレタ。見慣レナイ戦闘機ニ!」

 

 戦艦レ級は烈火ごとく怒っていた。戦艦レ級はテレパシーの影響を受けないよう後方待機していたが、謎の飛行物体にやられたのを目撃した。沈む戦艦水鬼改を戦艦レ級は引き上げて曳航していった。まだ、生きているが虫の息だ

 

 北方棲姫は起きるよう身体をゆすったが、戦艦水鬼改は起き上がる気配もない

 

「手当ヲ。……コレデハ結衣ヲ倒セナイ」

 

 折角、邪魔である浦田結衣を倒そうとしているのに、まさか人類に邪魔されるとは思いもしなかった。浦田結衣は人類にとっては敵ではなかったのか?

 

 世界は浦田重工業や浦田結衣にとっては敵なのではなかったのか? 

 

 

 

 一方、米政府は喜んでいた。ハウニブにはガンカメラが積んであり、戦闘記録は取ってある。一方的ともいえる戦闘に軍も政府関係者も大変満足していた

 

「あんなものが実現出来るとはな」

 

「当然です。勝てない要素はありません」

 

 近くにいた新型戦闘機の開発責任者は自信満々で答えた。彼の名はハンス・カムラーである。ハウニブ型航空機を作り上げたのも彼である

 

「君が持ち出した話はチンプンカンプンだったが、こんなものを作れるとは。超音速なぞ、まだ未来の話だと思っていたが」

 

「それもそのはずです。常温による超伝導……つまり電気抵抗をゼロにする事で、これを利用すると一種の反重力が生まれ、ジェットエンジンを併用すれば音速を超える事なぞ難しくない事です。深海棲艦の未知の元素や艦載機を解析したお陰で実現できるとは思いませんでした」

 

「済まないが、サッパリわからん。しかし、ともかく君たちドイツの科学者が我々アメリカよりも数十年先をいっているのは確かのようだな。ドイツとの兵器共同開発も悪くはない」

 

「おほめにあたって恐縮です」

 

 カムラーは一礼した。どうも芝居かかった男だ

 

「我々はこのハウニブ型航空機……通称『ヴリルⅡ型』の改良増産を進めています。これで深海棲艦を一掃出来ます」

 

「そして、深海棲艦を倒した暁には今後脅威となる敵も倒さないとな」

 

 カムラーは自信満々に答えたが、米大統領は違っていた。強力な兵器があれば、敵なしである。日本も新兵器を開発しているらしいが、これは実用化していないだろう。ヨーロッパでも数々の新兵器を生み出して一定の戦果を挙げているらしいが

 

「艦娘の力を借りずとも脅威は排除した。後は殲滅するのみだ」

 

 米大統領は命じた。これで戦争に勝ちハワイを奪還できるだろう

 

 

 

 硫黄島

 

「こっぴどくやられたな」

 

「あの新型戦闘機のせいだ。あんなものがあるなんて」

 

 武田の言葉に結衣は不満だった。米艦娘を追跡した所、戦艦水鬼改からの奇襲を受けた。こちらの洗脳には対策しているらしく、全く効かない。そのため、取っ組み合いになったが、今度は謎の飛行物体によってやられた

 

 しかも、光線兵器を搭載しているらしく、こちらの装甲を貫いた。下手すれば死んでいたかもしれないが、運よく生き残った。戦艦水鬼改は諸に受けて暗い海に沈んでいったが

 

「時雨のお陰だよ。あの兵器があっても生き残れるのだからな!」

 

 早速、時雨の運の高さが結衣自身に反映されていった。光学兵器だろうと、ビクともしない

 

「どんな兵器か調べているが、これほど強力なら世界は再び暴力や軍事力による支配は行うだろう。振り戻しがかかる」

 

 この時の暴力と軍事力の支配というのは、冷戦時代から現代までの話である。ワームホールを通じて知っているのだ。第二次世界大戦を防ぐためには参戦国を徹底的に叩かないといけない。どんなに強かろうが、結衣は1人。相手は多い。これでは浦田社長が提唱する世界平和の彼岸が達成されない。副社長も同じだ

 

「そうか。数が少ない、兵器が少ないからか。戦争なんて私からしたら遊園地のようなものだ」

 

「いや、しかし……あの円盤飛行物体の力を身に染みたはず。それに絶対的な力が無ければ誰も従わない」

 

「だからって泣き寝入りしないわ。やられたからには徹底的に叩かないとね」

 

 結衣は中波周波数でメッセージを送った

 

『クラーケンから米海軍に次ぐ。今から三時間後にロサンゼルスを吹き飛ばしに行く』

 

 しかも平文でご丁寧に英語で送ったのだ。これを見た武田は目をぱちくりしていた

 

「何を考えている、結衣?」

 

 武田は啞然としていた。別にロサンゼルスを吹き飛ばすのはいい。だが、わざわざ敵に教えて襲うなんて聞いたことが無い

 

そんな彼らを、一人の少女が見つめていた

 

 いや、彼らは気づかない。心臓を移植されたため映像を見ているのか? それとも幽体離脱なのか? 

 

「何でこんな事に……」

 

 時雨は悲しげな表情を浮かべていた。自分が倒れた事については覚えている。目が覚めたと思ったら、結衣の近くにいた

 

 心臓を移植した影響なのだろうか? しかし、今はどうでも良かった。自分は死んだかどうか分からない。だが、これは現実だという事は認識していた。幸いと言うべきか、結衣も自分が幽霊になった事には気づいていない。これからすることは醜い争いだ

 

 博士や軍医がウイルスの治療法を探している中、外では欲のために戦争が起ころうとしている

 

 人類のために戦っていたのに、人類同士は勝手に争う。これでは意味が無い。提督や他の艦娘が見たら、失望するだろう

 

「タイムスリップの作戦の意味が無くなる」

 

 何をやろうとしているのか分かる。やられたらやり返す。シンプルだが、恐ろしい。自分たちが生物兵器によって倒れている間、敵は醜い争いを行おうとしている……

 

身を挺してまで世界を救う価値はあったのだろうか? 

 

 

*1
意外かも知れないが、1930年代に戦闘機無用論は存在していた。当時のエンジンの性能の段階で一時、多発の爆撃機の方が単発の戦闘機よりも速かった時期があったため「単発戦闘機では爆撃機に追いつけないのだから戦闘機は無用」ということになった。勿論、これは直ぐに無くなったが。戦車不要論やミサイル万能論などもあるが、結果は似たようなものである

*2
但し実用化レベルの研究はまだ達していない

*3
B29において史実においては成都に航空基地を作り、九州に爆撃した事もある。尚、日中戦争は起きていないため南京に航空基地を建設している。余談だが、実際に南京には空軍基地(南京空軍基地)は存在している




UFOと言ったらハンス・カムラーは必須ですね(親衛隊ではあるが、UFOを巡る陰謀論にしばしば登場したりしている)
深海棲艦に通用するであろう新兵器「切り札」の1つ、ハウニブが登場
スペックは空想科学の域だけど、旭日の艦隊やストライクウィッチーズ(ネウロイだけど)などにUFO(円盤型飛行物体)は登場しているから問題無い(多分)!

ドイツの科学力は凄いのは当然。何しろ、爆死したシュトロハイムだってサイボーグで生き返らせたくらいだから(違う)

まあ、UFOについては前作でも登場しましたし(F5Uフライングパンケーキが)
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