時雨の緊急任務 ~リベンジ~   作:雷電Ⅱ

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昨日はある映画を見てきましたが、やっぱり面白いです
待った甲斐があった


第39話 対策

 全国に生中継されたテレビ放送に日本はまたもや大混乱に陥った

 

 艦娘の呪いは結局は狂犬病だったし、それを見破れなかった終末宗教団体も力を失いつつあった

 

 ただでさえ艦娘不要論や総攻撃派は役に立たないものだから何を信じていればいいのか分からないのが本当である。海外もやられているのでこれも当てになら無い

 

 本来であれば、第二次世界大戦が勃発し、その後ソ連を筆頭とした社会主義陣営とアメリカを盟主とする資本主義・自由主義陣営が対立する冷戦時代に突入するはずだった

 

 しかし、それは本来の歴史

 

 現在ではそんなものは幻想に近い。ソ連は早くも崩壊し、アメリカは1人の悪魔と南米のコロンビア帝国との戦争で求心力は失いつつある

 

 浦田重工業のせいでナチスドイツも無かったことになり、中国は群雄割拠で国外に目を向ける余裕はなかった。イタリアはムッソリーニが急死したことにより平穏そのものだ。死因はなぜか伏せられているが

 

 不明戦艦『クラーケン』……一般人が深海棲艦の力をもち、戦略兵器並みの能力を持っている

 

 それはニューヨークとそれを守る連合軍を壊滅させアメリカに大打撃を与えるとヨーロッパの方へ向かっていった

 

 当然、ヨーロッパの国々は一致団結して防衛戦を構築していった

 

 ヨーロッパを守る艦娘は既にいない。全員日本へ向かったし、ヨーロッパも艦娘不要論や総攻撃派の影響の事もあり見捨てられる事になった

 

 メディアは裏切りと称したが、軍関係者や政治家どころか大半の一般人は分かっていた

 

 その道を選んだのは我々だ

 

「……銃も大砲もロケットも戦闘機も無力。超兵器すらも。パリやロンドンやベルリンは破壊されました。ロシアはやる気でしょうが、モスクワがやられるのも時間の問題です。ローマを攻めて来ませんが、声明文ではローマ教皇を引き渡せ、と送られました」

 

 スイスの山中に臨時で作られた連合軍の総司令部に、会議が行われた

 

「ローマ教皇だけでなくイギリス王室までもだ。何が狙いか分からないが、各国の皇族に連絡している。アジアでは日本の天皇や大清帝国時代の皇帝*1までもだ」

 

 各国の司令官達や政治家達は悩んだが、アメリカから派遣された海軍少佐は何も言わなかった

 

 階級の問題ではなく、現実逃避している会議に口出す必要がなかった。各国の艦娘達は無事に日本についたらしい。いや、輸送機2機は海上で撃ち落とされた。乗組員の生存は絶望的とのことだ

 

 最新の情報だと呉鎮守府は生物兵器の除染に成功したらしい。また、浦田軍の重要人物である田中を倒したとのことだ

 

(ワシントンと他の艦娘、こちらはもう無理だ。後は何とかしてくれ)

 

 海軍少佐は心の中で呟いた。他力本願ではあるが、自分のやることは少ない。本国では大統領は拳銃自殺し、南米と戦争状態に突入した

 

 ヨーロッパも無理だろう。急遽ではあるが、ヨーロッパ連合であるECを立ち上げ浦田結衣とそれに従える深海棲艦の迎撃の準備をした。お偉いさんは全力で奴を倒す方法を見つけようとした。『人類の絆』とか『人類のために!』などのスローガンが掲げられたが、全て綺麗事だ

 

 何の成果も得られなかった。戦いの名前もパリ防衛戦やベルリン防衛戦など色んな名前がつき、英雄の武勇伝を色々と聞かされたが、実際はただの時間稼ぎでただの綺麗事でしかなかった。その英雄武勇伝も上陸した結衣と深海棲艦を相手に森や市街地を利用したゲリラ戦法で挑むというものだが、相手は化学兵器である毒ガスで一掃されただけ。戦果ゼロだ

 

 話し合いも時間が過ぎるだけ

 

 責任の擦り付けが起こっていたが、誰がやっても同じだろう

 

 誰も口にしないが、皆はこういうだろう

 

 核に耐える化け物相手に一体、何が出来たって言うんだ! 

 

 唯一救いなのは侵攻を停止したくらいである。皆は喜んだが、米海軍少佐は全く思っていない

 

 

 

「田中秦が狂犬病に感染した? しかも、エボラウイルスに罹った全ての艦娘が完治?」

 

『そうだ! どういう訳か知らないが乗り切りやがった! 戦力が足りず東京侵攻は中断するしかない! 増援を求む!』

 

「分かった。──アイツは死んでしまったか。残念だ」

 

 結衣は無線を切るとため息をついた。彼のお陰で今の自分がいるのだから何も思わないとなるとウソになる

 

 しかもテレビ放送で浦田残党と支援してきた終末宗教団体は危機に立たされている

 

 臓器移植で田中秦が狂犬病に罹ったのか兎も角、時雨がそれを見越してわざと感染したのか? 偶然? 

 

 実は時雨を噛んだ犬は、東京テロの前にテロリストの1人が飼っていた犬である。勿論、野良犬を捕まえて飼い慣らしたものである。ある時から急に狂ったかのように吠え始めた事により、テロリストは犬の心配よりも艦娘に噛みついたらいいなぁ、くらいにしか見ていなかった。そして、実際に噛まれた人もいた。しかし、悲しいかな。浦田結衣が暴れた事により、噛まれた者や飼い主は隠れ家の下敷きになって死んでしまった。もし、真相を知っていたら彼らは怒り狂っていただろうが、今は知る者はいない

 

 だがらといって浦田結衣はその程度で悲しんだりしない。あのテレビ放送も駆逐ナ級と空母ヲ級の艦載機を中継して見たが、結衣はある人物に注目していた

 

「フフフ……アハハハハ」

 

 結衣は深海地中海棲姫を召喚(・・)すると早速、準備を始めた

 

 生物兵器は効かなかったのは誤算だが、良いチャンスだ

 

(良いことを思い付いた)

 

 終わってしまった事は仕方ない。だが、そのお陰でここまで能力を高めることが出来た

 

 後はタイミングだ

 

 

 

 呉鎮守府

 

 会議室では重要な人が集まっていた。艦娘数人に502部隊の曹長と小隊長。提督である

 

「それでは会議を始めるが、奴らが生物兵器を持っておる可能性を考えねばならん。柳田教授、エボラウイルスの他に何を持っていると想定する?」

 

 提督の父親が司会として説明を行った。階級では博士の方が上である。皆の視線が柳田に集まった。彼も参加している。というより、参加させられた

 

「あー。多分、持っていないでしょう。持っていたとしても精々、取り扱いが簡単な炭疽菌くらい」

 

 柳田の説明に皆は互いに視線を合わせた

 

 もう持っていない? 

 

「どうしてそんなことが言えるの?」

 

 時雨は真っ先に質問をした。時雨は駆逐艦娘の代表として自主的に手を上げたのだ。白露は行きたかったらしいが

 

「エボラウイルスを取り扱うなら他のウイルスを扱えるはずでは? 例えば、天然痘とエボラウイルスを組み合わせた生物兵器とか?」

 

 加賀は真剣そうに質問したが、柳田は笑いながら答えた

 

「創作としては面白い設定が、それはあり得ない。確かに遺伝子操作の話もあるが、それ自体高度なテクニックが要る上、操作後も感染力を持ち、有効な病原体に仕上げるには難しい。そういうものは大抵マイナス方向に行ってしまう」

 

「しかし、安心は出来ない。エボラウイルスを持っているなら他の生物兵器を持っている可能性もあるはずだ」

 

 長門は苦言を呈した。エボラウイルス以外にも恐ろしい生物兵器を持っていないという確証がない

 

「確かにそう思われても仕方ない。だが、浦田重工業がエボラウイルスをどうやって手に入れたかは分かった。502部隊だったっけ? 資料と遺骨を見せたお陰で大体の事は分かった」

 

「あの資料と遺骨だけで?」

 

 小隊長である大佐は驚いた。大久野島で従事していた名簿や研究資料はあったが、大半は政府に回収されていまい、残っているのは事故で亡くなったであろう遺骨だけだ。流石に放置されたままでは可哀想なので、後で墓を作る予定だ。昨日、柳田に大久野島を見せてもらい、生物化学兵器の施設を見せた。昔は軍の施設だが、ある時から浦田重工業の極秘研究所になっていた

 

「あの施設で不審なものがあった。確か中将が気になっていたのものだ。あの施設におもちゃがあったことに」

 

「ああ。子供が遊ぶおもちゃが確かにあったが、なぜあんなものがあるのか分からんわい」

 

 博士は顔をしかめながら言った。実は大久野島の研究所の跡地に子供が遊ぶおもちゃが少しだけあった。なぜ、こんなものがあるのか誰にも分からなかった

 

「僕の推測だけど、その研究所には赤ん坊がいた。その理由は、その赤ん坊はキャリア……つまりエボラウイルスに感染したのも拘わらず発症しない赤ん坊だからだ。抗体を持っていたのだろう」

 

 柳田の推測に皆は顔を見合わせた。子供を現地から連れ出した? 

 

「連れ出したって誘拐?」

 

「いや、恐らくエボラウイルスで村が壊滅した場所で見つけたのだろう。エボラウイルスは村の住民を簡単に死に追いやる病だからな。しかし、抗体を持ち発症していなかったから無事だったのだろう。名前はジェマと勝手に名前を付けたらしい。捜査機関は海外の国から拉致をした事にしたらしいが」

 

 時雨は思わず聞いたが、柳田は否定した。捜査機関は外国人の写真があることに首を捻ったのだろう。真相が分からないため、拉致として片付けたらしい。杉田刑事なら分かっただろうが、生憎彼は担当者ではなかった

 

「連れて帰り育てたのも──」

 

「ウイルスのためだろう。そして死んだ理由は分からない。実験に耐えられなかったのか? それとも生まれつき身体が弱かったのか?」

 

 柳田は浦田重工業の研究者が撮ったであろう黒人の子供を床においた。ジェマと名付けた赤ん坊が育てていた写真だった

 

「でも、教授は何で生物兵器に詳しいんや? 陸奥から聞いたけど、教授は生物兵器開発に従事してたん?」

 

 龍驤は疑うかのように教授を見た。陸奥も時雨も息を飲んだ。視線を感じたのか柳田はため息をついた

 

「そんな訳ないだろ。それに君たちは少し誤解をしている。僕が働いていた三浦会社は製薬会社の事だが、事業拡大して他の分野も手を出していた。防衛産業にも手を出していたし、自衛隊の幹部からも生物化学兵器対策としてのアドバイスして欲しいと頼まれたくらいだ」

 

「生物化学兵器って国際法で禁じられているはずだよ?」

 

 時雨は聞いたが、意外にも提督が答えた

 

「時雨、それは違う。国際法に書かれているだけで強制力はない。それに医学や細菌学の研究、そしてテロ等による生物兵器の防御法の研究という建前で各国とも極秘に開発しているのが現状だ。特に特効薬やワクチン開発には」

 

 時雨は驚いた。柳田どころか博士すら否定していないため本当だろう

 

 実は戦争における化学兵器や生物兵器などの使用禁止を定めた国際条約であるジュネーヴ議定書。そして現代では生物兵器禁止条約(B W C)によって開発・生産・貯蔵等は禁じられている。だが、テロリストや法を無視した戦闘部隊が使われる可能性は否定できない。皮肉なことに生物化学兵器を阻止するためにはウイルスや細菌や毒ガスを調べる必要があるという矛盾を抱えている。特に特効薬やワクチン開発なら尚更だ

 

「流石、提督だ。生物化学兵器にはかじった程度の知識はあるようだ」

 

「褒め言葉として受け取るよ。浦田重工業が生物化学兵器を使うなんて想定していなかったから独学で調べたからな」

 

 提督は素っ気なく言った。深海棲艦ですら生物化学兵器を使われなかったのだから、それを考えると戦艦水鬼改を含む姫級鬼級はそこまで悪い輩ではない

 

「当たり前だが、ウイルスや細菌は人の命令には聞かない。ただ過去に人口を激減したウイルスや細菌はあるのは事実だ。本来はそれを防ぐための研究だが、単純な人は『これは兵器として使える!』という輩はいるのだから手に負えない」

 

「人口が激減した感染症? 感染症がそんなに恐ろしいのがあるとは信じられ……いえ、何でもないです」

 

 加賀は聞いたが、隣にいた赤城は気まずそうにしていたため質問をやめた。しかし、柳田は知っていたらしく指を指した

 

「君は空母赤城だな。確か海上自衛隊の連中から聞いたことがあるぞ。『人殺し長屋*2』だったっけ?」

 

「何でそれを知っているんですか……」

 

「新型のコロナウイルス蔓延の時に海上自衛隊が艦内の感染予防対策を聞きてきてな。自衛官相手に説明をするために色々と調べてたら面白い事例を見つけたぞ」

 

 赤城は落ち込み、他の艦娘は首を捻った。実は赤城は『艦だった頃の世界』において踏んだり蹴ったりだった。加賀も似たような不名誉なあだ名*3が付けられたのも有名である

 

「それは良いとして、君たちが知っている事と言ったらスペイン風邪だろうな。1918年から2年間に広まった感染症だ。スペイン風邪とあるが、これはインフルエンザの一種だ。全世界で5億人が感染し当時の世界人口の約27%が感染した。1億人以上もの死者を出したパンデミックの1つだ」

 

「聞いたことがあるのう。スペイン風邪で徴兵出来る兵士が居なくなり第一次世界大戦が早まったという話を聞いたことがあるわい*4

 

 博士は頷きながら聞いていた

 

「まあ、そういう説はある。他にも黒死病であるペストや天然痘。鳥インフルエンザもあるが、病原体は無差別に感染させるからとても使いづらい」

 

「特定の人しか感染して発症は無理なの?」

 

「そんなご都合主義な病原体があるか。開発するにしても無謀だ。そんなめんどくさいことをするくらいなら炭疽菌を志願者に感染させ、人口密集地に送り込んだほうがやりやすい」

 

 陸奥も質問したが、柳田は呆れていた。本人も感染症には詳しくないのだから仕方ないのだが

 

「炭疽菌は二次感染。つまり人から人への感染がないなど取り扱いがいいから使われる事が度々あった。実際に僕の世界では過去にテロで使われた事はあったし*5、生物兵器製造施設からの事故で炭疽菌が外部に漏れ周りに被害を与えた事もある*6

 

「だから炭疽菌が使われる、という根拠なんだね」

 

 柳田の説明に時雨は納得した。幾ら感染力や致死率が高いウイルスや細菌があったとしてもコントロールできなければ意味がない

 

「確かにな。鳥インフルエンザの毒素を強めて広まらせて人類を死に追いやりたいのなら別だが、アイツらはそんなことはしない。炭疽菌程度なら対策出来る」

 

「防護服くらい揃えてほしいですよ。生物兵器による攻撃でまさかの不足で立ち入ることが出来ない、なんて勘弁してほしいです」

 

 曹長は頷いたが、明石は呆れていた。エボラウイルス……生物兵器が打ち込まれた時、国防大臣の妨害とはいえ、防護服が無かった事には呆れるしかなかった

 

 ただ、その時は総攻撃派や終末論を唱える宗教活動などのデモ隊すら近づけない状況であったためある意味助かったのは皮肉だった

 

「エボラウイルスの件は大丈夫だろう。免疫があるなら問題はない。仮に使われるものとしたらさっきいった炭疽菌の他で考えられるとしたらペストと天然痘とボツリヌス菌がある。だが、これ等は予防や治療は出来る。勿論、治療は早期にやらないといけないが」

 

「なら、あんたがいたら大丈夫やな」

 

 龍驤は安堵したかのように言ったが、柳田は違った

 

「だが、どんな手を使うか分からない。特に食事には注意しろ。サルモネラ菌をサラダバーに混入させたバイオテロ*7があったのだから」

 

「サルモネラ……では、卵かけご飯は当分止めないと」

 

「……戦いが終わるまでは生食はやめた方がいいな」

 

 鳳翔が青ざめていたが、これは提督も同意していた。相手がどんな手を使うか分からない

 

「教授、狂犬病で田中は死んだけど、浦田側から見たら僕が殺したようなものだよね。報復されない?」

 

 時雨は恐る恐る言ったが、柳田は否定した

 

「あれは特殊な事例だ。それに感染させるには動物を使わないといけない。だが、あの場でも言った通り狂犬病は噛まれたら直ぐに発症するものではない。ワクチンで防げるから使われる可能性はない」

 

 時雨は安堵した。どこまで信用出きるか不明だが、強力な助っ人のお陰で生物化学兵器は防げそうだ

 

 

 

 会議が終わると呉鎮守府は再び浦田残党を討伐するために行動を行った。偵察機や哨戒機は飛ばして警戒していた。そんな時に海外の艦娘がやってきた

 

 ニューヨーク防衛戦で敗れ米海軍少佐が送り出された者達だ

 

「North Carolina class. USS Battleship Washingtonだ。提督はアイツを倒した過去がある。どうか力を貸してほしい」

 

 着くや否やワシントンは切り出したが、提督は頷いた

 

「分かった。そう言えば、元帥からこちらに向かう輸送機が2機撃墜されたと聞いたが、そこに乗っていた艦娘は居たか?」

 

 実は海外の艦娘を載せた輸送機が来ると元帥から連絡があった。しかし、海上で深海棲艦の戦闘機に会ってしまい、2機は撃墜されたのを聞いたからだ

 

「その内の1機はガンビア・ベイとイントレピッド、そしてゴトランドが乗っていた」

 

「そうか……無人島に流れ着いたらいいが」

 

 提督は残念そうに呟いた。既に村雨と如月と吹雪は撃沈された。何とか生物兵器の魔の手から逃れられたが、誰も喜んではいない。鎮守府全体は暗い空気に包まれいた

 

 朝霜が持ち帰ったとした恐竜の卵もそのままにしておいた。朝霜は喜んでいたが、彼女もそうでないといられないだろう。尤も、その恐竜の卵はトリケラトプスだったらしく孵化したとのことだ

 

「兎に角、歓迎はするよ。鎮守府に入ってくれ。アイオワが案内してくれる」

 

 

 

 大本営では浦田残党の対応に追われていた。まだ国内は平穏だが、ヨーロッパは火の海になっているのは既に聞いている。武田は兎も角、浦田結衣が来られるとパニックが起こるのは目に見えている

 

 そして、国防大臣を載せた輸送機が撃墜された。ニューヨーク防衛戦から逃げれたのはいいものの、運悪く撃墜されてしまったらしい。深海棲艦がウロウロしている洋上での発見は絶望的だ。奇跡的に生きていたら、救助隊を送らないと行けないが、今のところは救難信号を受信していない

 

 また、誰かを国防大臣に就かせないといけないが、国会では揉めてるだけで後任は決まっていない

 

 なので、元帥は独断で指揮を取った。法範囲内であるし、『艦だった頃の世界』の満州事変のようなものではないから多分大丈夫だろう

 

「東京襲撃が高いでしょうから、東京防衛軍を編成して守らせています。高射砲、重砲、戦車もかき集めました。対深海棲艦用の兵器だけでは足りませんので通常兵器もかき集めました。有効かどうか不明ですが」

 

「厚木、木更津、霞ヶ浦の基地航空隊も戦闘準備に入りました。何時でも行けます」

 

「浦田重工業の残骸から戦闘艦を押収したものがあります。既に改装は済ませ慣熟訓練は終わりました。後は指示があれば出航させられます」

 

 陸海空軍の部下からの説明を受けていたが、元帥は分かっていた

 

(上陸したらゲリラ戦法でやっつけるという主張は流石にこの場では誰も言わないな)

 

 既にヨーロッパでは毒ガスでゲリラ戦法してる民兵や部隊を一掃してると情報を得ていた。生物化学兵器を使ったのだから報復を! という声もあるが、深海棲艦には身体の造りが違うのか通用しないことはハッキリと分かっていた。だから浦田結衣は堂々とエボラウイルスとかいう生物兵器を呉鎮守府に使ったのだろう。下手に散布して味方がやられたら意味がない

 

「他の都市の防衛は?」

 

「……地方駐屯の部隊に任せるしかありません。呉鎮守府である艦娘が対応出来ると言ってますが」

 

「天皇一家は? 謎の脅迫を何とかしない事もあるが」

 

「那須御用邸に避難しました。説得にはとても苦労したと聞いています」

 

 これを聞いて元帥は一安心した。後は未だに揉めている国会議員達だが、無理やりでも避難させないといけない

 

 文民統制は大事なのは理解できるが、そうは言ってられない

 

 早く武田やその一派を何とかしないと日本もやられてしまう! 

 

 

 

 ??? 

 

 ハロー、皆さん。私はアメリカの護衛空母、ガンビアベイです

 

 第四の壁を破壊してるとか言わないでほしいです。だって誰も居ないから

 

 私は今、無人島と思われる島で遭難しています! 

 

「ここはどこー! ベーイ!」

 

 輸送機が攻撃を受けた事でパラシュート降下しましたが、その海域は落雷と暴風雨だったこともあり、直ぐにはぐれてしまいました

 

 そして、頭を輸送機の破片にぶつけてしまったことにより意識を失い、気がつくと無人島の砂浜にいました

 

 今は壊れた艤装と妖精と仲良くしている浮き輪さんだけです。救難信号も艦載機も送れません。海にも出られません。出来ることと言ったら砂浜に大きくSOSと書くぐらいです

 

「浮き輪さん、どうしよう~」

 

 ガンビアベイ、無人島で頭を抱えていた。助かったのはいいが、もし救助が来なかったらここで生活しないといけない! 

*1
これは愛新覚羅溥儀である。史実では清朝最後の皇帝であり、満州国皇帝にもなった

*2
空母赤城は予算が制約された二次改装により不具合が多発。そして排気が流れ込む場所に居住区を作ってしまったため、窓を開けられなくなってしまい、結果的に衛生状態が悪化。赤痢や結核などの病気が蔓延したことから『人殺し長屋』と不名誉なあだ名が付けられた

*3
加賀の場合は『焼き鳥製造機』とあだ名が付けられた。煙突を艦尾まで引き延ばす誘導煙突を採用したが、お陰で煙路周辺の室温は40度を越え、ほぼ居住不能と化してしまった。おまけに排煙は艦尾に乱気流を起こして着艦の障害になった。下向き湾曲煙突に変えたお陰で改善されたが、日中戦争の初期まではその状態で運用され続けた事もあり、不名誉なあだ名は払拭されなかった

*4
スペイン風邪のお陰で第一次世界大戦終結が早まったのは一説に過ぎないが、両軍とも大ダメージを与えたのは確かである

*5
日本では亀戸異臭事件が代表的なバイオテロである。但し、異臭を放つだけで終わった

*6
これは旧ソ連で起きたスヴェルドロフスクの研究所事故の事を指す。研究所から炭疽菌が漏れ死傷者が出た事件である

*7
これは1984年にアメリカオレゴン州で、カルト教団がレストランのサラダ・バーに自家製のサルモネラ菌をしかけるという事件、シーラ・シルバーマンによるバイオテロの事を指す。地元の選挙結果に影響を及ぼすのが目的だったようで750人が感染し、45人が入院した。史上初のバイオテロとされている




柳田「ウイルスや細菌は種類によっては怖いものもあるからな。油断しないように」
陸奥「そうね。スーパーサイヤ人であるカカロットもウイルス性の心臓病で亡くなった事もあるから艦娘も気を付けないとね。噛まれたらゾンビになるというウイルスや特定の人物を殺すウイルス兵器も浦田残党は開発するかも知らない。特にナノマシンウイルスのせいで地球を滅ぼしてしまった甘党主人公には気を付けないと」
提督「陸奥、何処でそんなネタを見つけてきた?取りあえずドラゴンボールとバイオハザードとメタルギアネタは止めろ。最後のは銀魂ネタだろ」
時雨「加賀さんの天然痘とエボラウイルスを掛け合われたってブラッディマンデイネタでは?」
提督「安心しろ。数年前にエボラ出血熱と天然痘ウイルスの試料が保管されているロシアの生物兵器研究施設が爆発して炎上したから問題ないだろ。ググれば出てくるニュースだから心配ない」
時雨「提督、凄い事を言ってない?」

生物化学兵器の対策は大丈夫そうですね
ゴジラVSコングは見ましたよ
言いたいことは色々あるけどまた今度で
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