時雨の緊急任務 ~リベンジ~   作:雷電Ⅱ

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夏イベント始まりましたね
緊急事態宣言している県が多いため、休みの日は外で遊ぶよりも艦これなどゲーマーになるしかないようです
因みにワクチン接種はしてきました。いよいよ私の体は5Gに接続されたり、磁気を帯びたりする日が来るかもしれません(笑)


第46話 F-14の末路と大改装案

 ??? 

 

 平穏な海の上空に突如として小さな雷雲が立ち込めた。雷雲が突然発生するのは流石に考えられない。通常なら入道雲のような雲が雷を発するが、そんな雲ではない

 

 漁をしていた漁師達は初めての異常気象で唖然としていたが、次の瞬間、何かが飛び出してきた

 

 それは低空でしかも目にも止まらない速さで飛び去っていった。超音速で飛行していたため、衝撃波が漁船に襲った。窓ガラスは全て割れ、漁師達の鼓膜はやられた

 

 

 

「ここは何処だ!」

 

「あのクソ艦娘め! 磁気ワームホールを起動させやがって! 警備の奴らは何をしていたんだ!」

 

 パイロットと航空士は悪口雑言でワメいていた。F-14は2人乗りであるため、前後席で罵りあっていた。しかし、僚機がいない。硫黄島から飛び上がった2機のF-14は、進路上に異様な雲が突如発生した。積乱雲かと思ったが、急速に発達するのは見たことはない。慌てて旋回してかわそうとしたが、間に合わずそのまま突っ込んでしまった。眩しい光と轟音を晒され、機体が何処を飛行しているかは分からない。警告音がけたたましく鳴っている。だが、そんな異常現象は直ぐに終わり、晴れた空に出た

 

「ダメです。硫黄島と連絡が取れません。無線が通じません」

 

「機体に異常は?」

 

「無線以外は特にありません」

 

「なら、作戦続行だ。不法侵入した艦娘は、恐らくフィラデルフィア実験の研究をアメリカから奪った事に気づいたんだ。逃げるためと破壊するためにな」

 

 パイロットは吐き捨てるように言った。実は硫黄島で研究していたのはフィラデルフィア実験の研究の内の1つを浦田結衣がアメリカから奪ったのだ。研究施設は結衣が研究員諸とも完全に破壊した。最も、アメリカは南米との戦争と大統領自殺でそれどころではなかったが。

 

 駆逐艦エルドリッジが透明化したり瞬間移動する能力はそこから来ている。港湾棲姫達はやられたのは、そこから生まれた超兵器である。調べた所、駆逐艦エルドリッジが瞬間移動出来るのは磁気ワームホールと呼ばれるもので移動しているのだと結論付けた。アメリカは超兵器として使っていたが、こちらは別の目的で研究していた。それは別の世界に繋ぐ手段である。浦田重工業の時は偶然とはいえ、別世界のトンネルを見つけた。そこは半世紀以上の未来の日本であり、高度な文明を持っていた。浦田社長は技術と武器をこの世界に持ってきて世界を変えようとした。しかし、その夢は艦娘と艦娘を率いる提督に邪魔された

 

 今回は別世界へ繋ごうとしていたが、又しても邪魔された。だが、浦田結衣は高精度の機械と一体化した。能力に限度はあれど復元は出来るだろう

 

「2番機スカー2は恐らく墜落したかと」

 

「そうだな。雲に突っ込む前に落ちるのを見たよ」

 

 パイロットは見たのだ。僚機に稲妻が当ったのを。本来なら稲妻が飛行機に命中しただけでは墜落することはない*1。だが、磁気ワームホールから発生した稲妻は、普通のものではない

 

「八丈島が見えた。ワームホールで別の場所に飛ばそうとしていたらしいが、失敗したらしいな」

 

 パイロットはにやりとした。何度も伊豆諸島の上空を飛行していたため、島の形も覚えている

 

 だが、妙な違和感があった。今は夕暮れだが、八丈島に街の灯りが見える

 

 ……深海棲艦が現れたため、日本政府は伊豆諸島に住む島民を退避させたはずだ。短期間で移住出来るわけがない。それに、船も何隻か見かけた。軍艦の護衛もつけずに

 

「何か変だぞ」

 

 パイロットが呟いたその時、後席にいた航空士が叫んだ

 

「レーダーに反応あり! 2機こちらに向かってきます!」

 

「フン。懲りないな、大本営は。それで速度は? 何処にいる?」

 

「そ、それが……」

 

 航空士は何故か慌てふためいていた

 

「どうした? 何か答えろ」

 

「速度が……音速を超えてこちらに来ます」

 

「はぁ!?」

 

 パイロットは耳を疑った。超音速ジェット機の開発はまだ当分先のはずだ。浦田社長からは歴史を教えられたし、彼が亡くなった後もジェット機はあるものの、そこまで速くはない

 

「ま、何だっていい。どうせ、極秘に開発した戦闘機だろう。撃ち落としてくれ──」

 

 パイロットが呟いたその時、暁の空から2つの何かが光るのが見えた。と、思ったら物凄い速さでこちらに向かってきて一瞬ですれ違った。パイロットは慌てた。その間もすれ違った機体は、旋回してこちらにピッタリと寄せてきた。パイロットは目を疑った。形は違うが、こちらの機体と同じで矢じり型の航空機だ。色は灰色で、しかも日の丸がついている! 垂直尾翼には、見たこともない部隊章が描いてある。戦国時代の兜を被っている絵だ

 

「ば、バカな!」

 

 大本営がこんな機体を開発出来るわけがない! アメリカやソ連だってまだ作っていない! そう思っていた

 

 たが、紛れもない現実だ。しかも無線が入ってきた! 

 

『Attention,Attention! F-14 aircraft flight,Flying over Ogasawara(小笠原上空を飛行中のF-14に通告する).This is Japan Air Self Difence Force(こちらは日本国航空自衛隊).You are violating Japanese airspace(貴機は日本の領空を侵犯している).Take reverse course immediately(直ちに針路を変更せよ)! 』

 

 パイロットは慌てた。まさか……まさか俺たちは! 

 

 

 

 2022年◯月✕日の17:00にある事件が起こった

 

 哨戒を終え浜松基地へ帰投しようとしていた空自の早期警戒管制機(A W A C S)であるE-767と日本中に張り巡らされているレーダーサイトが突然、小笠原沖の上空で未確認の機体を探知。突然の未確認機の出現に初めは故障かと思ったが、複数のレーダーを捕らえているので、故障という線は消えた。直ちにスクランブルがかけられ、百里基地から2機のF-15Jが飛び立った*2ヘッドアップディスプレイ(H U D)に映されるデータリンク情報を見ながら、目標機のいるであろう方向に向かったが、未確認機の正体を見たF-15Jのパイロット達はまず目を疑った

 

「ブルー2、お前も見ているか?」

 

『はい、見ています。間違いありません! 信じられません! あれはF-14です!』

 

 戦闘機乗りパイロットになって長いこと空を飛んでいたが、こんな奇妙な事は始めてだろう。何しろ、退役したであろうF-14が空を飛んでいる? 国籍マークは無く、変わりに見たこともない紋章が塗装されている。それが、浦田重工業の社印であるのだが、当然F-15Jのパイロットは知らない

 

「こちらブルー1、識別結果を知らせる。目標機はF-14。繰り返す。目標機はF-14」

 

『F-14だと?』

 

「はい、カメラで撮影しました。間違いありません。F-14です。国籍マークは無く、変わりに見たこともない紋章と迷彩色で塗装されています。確かなのは目標機は米国機ではありません。IFFや無線にも応答しません」

 

 司令部も困惑するのも無理もないだろう。アメリカはF-14を2006年で退役。運用している国はイランだけだ。そのイランは日本から大分離れている

 

 日本に領空侵犯する航空機は沢山ある。ロシア機と中国機がほとんどだが、ロシアは北から、中国は沖縄近海からやって来るため、その線も薄い。ロシアの場合は爆撃機で日本一周したらしいが。アメリカもあり得ない。というより、幾ら日本に対しての嫌がらせでも、退役した機体を使って領空侵犯などとこんな馬鹿げた事はしないだろう。訓練ですらこんなことはない

 

 だが、考えている暇はない。何者を分析するのかは上の仕事だ。なので、いつも通り対領空侵犯措置を実施。国際緊急無線ガード周波数121.5MHz、243.0MHzで英語による通告を実施したが、反応しない

 

「目標機、通告を無視。依然として針路変更せず」

 

 

 

 F-14パイロットは焦った。自分の立ち位置がようやく分かった

 

「あのクソ艦娘め! 俺達を未来の日本に飛ばしやがったな!」

 

 パイロットは吠えたが、実際は違った。確かにイントレピッドは自分達は呉鎮守府に転送したが、爆撃しようとした機体はデタラメに送ったのだ。呉鎮守府の場所、つまり緯度経度は知っていたため問題はないが、飛び立つF-14をどうするかは悩んだ

 

 なので、適当に打ち込んだのだ。それがまさか、浦田残党が繋ごうとしているこの世界に送るものとは夢にも思っていないだろう。その装置も暴走して爆発させるようイントレピッドと浮き輪さんが仕組んだため、退路は存在しない

 

「ど、どうします!?」

 

「おい、無線は壊れていたんじゃなかったのか?」

 

「分かりません! さっき回復したみたいです! こちらからも応答しますか!?」

 

 航空士の慌てぶりにパイロットは舌打ちした。何らかの拍子で無線が回復したんだろう。しかし、この世界の硫黄島は自分達のものではない。つまり、逃げ場がない

 

「おい、慌てるな。結衣様なら爆弾を都市に落とすだろう」

 

「え?」

 

「この世界の日本も浦田重工業のものとなる。そのための第一歩を俺達が踏み込むのだ」

 

 パイロットは嘲笑うように言った。実はこのパイロット、浦田結衣を信奉していた。いや、信奉者は意外といる。お金がなく困っている自分達を拾ってくれたのは浦田重工業だ! なら、繁栄繁盛させる手伝いをしなければならない

 

 まずは呉鎮守府を爆撃する予定だった爆撃やミサイルを国会議事堂と都市部に落としてやる! 

 

 そのため、パイロットはF-15Jに向かって中指を立てた

 

 

 

「あの野郎、舐めやがって」

 

 F-15Jは所属不明のF-14のパイロットが下品な手の仕草に腹を立てた。だが次の瞬間、F-14はアフターバーナーを吹かして加速した

 

『所属不明機は針路を変えません。不味いです。あのF-14は大量の爆弾とミサイルを積んでいます!』

 

「落ち着け。司令部、こちらブルー1。所属不明のF-14は速度を上げ領空内を侵犯中。武装しているのを確認した」

 

 1番機であるブルー1は直ぐに報告した。領空侵犯しようとしている機体は戦闘機よりも爆撃機や電波情報収集機(シギント)が多い。希に無人機もあった。だが、ほとんどの場合は領空侵犯手前で引き返す。ワザワザ領空侵犯する必要性すらないのだ。しかし、ここまで堂々と領空を侵犯する奴は初めてだろう。しかも武装までしている。爆弾搭載しているということは……

 

『警告射撃を実施せよ』

 

「了解」

 

 管制官の命令によりブルー1は淡々と返答した。領空侵犯措置では警告射撃した例は過去に1件ある*3。あの時は領空外へ針路変更したが、今回は違うだろう

 

「安全装置解除」

 

 こちらも速度を上げF-14の後を追う。何を企んでいるかは知らないが、こちらも黙っている訳には行かない

 

 引き金を引くと同時にF-15Jに搭載されているJM61A1 20mmバルカン砲が唸り、弾はF-14の近くを通り抜けた。これで相手は諦めるかと思いきや、針路を変えない

 

「警告射撃を実施したが、所属不明機は針路を変更しない」

 

 ブルー1はそう報告したが次の瞬間、F-14からあり得ない行為をした。F-14から爆弾が1発投下されたのだ。形からして燃料タンクではない。しかも大島上空にだ

 

『こちらブルー2! 所属不明のF-14が大島に爆弾投下! 住宅街で爆発を確認!』

 

『どういうことだ!?』

 

 ブルー2も司令部も無線で怒鳴りあっていたが、それも無理もない。恐らく戦後初だろう。現在、所属不明機は明らかに日本を攻撃しようとしている! 

 

『撃墜せよ! 敵機の破壊を許可する!』

 

「ブルー1了解」

 

 司令部もただ事ではないと判断したのだろう。後でマスコミが叩かれそうだが、仕方ない。それにコイツは所属不明だ。外交問題になることは恐らく無い! 

 

 パイロットは怒りを抑えながらF-14の後ろに付いた。何者か知らないが、これ以上は好き勝手にやらせてたまるか! 

 

「ターゲット、ロックオン!」

 

 ブルー1が叫んだその時、F-14から再び爆弾を投下した。今度は大量にだ。それと同時にF-14はターンした

 

「面白い、やる気か!」

 

 ブルー1はF-14が何をしたか瞬時に理解した。空戦を仕掛けるためだ。そのためには邪魔な爆弾を棄てるしかない

 

 その証拠に火器管制レーダーの照射を受けている! 

 

「こちらブルー1。所属不明機はこちらに攻撃を仕掛けてきた。ミサイル接近を確認! チャフ、フレア発射!」

 

 大島上空付近で奇妙な空戦が勃発した。F-14とF-15Jが戦っている。時々、空中で爆発があった。だが、数秒後には既に決着が着いていた

 

 2機のF-15JがF-14のケツにピッタリと着いている

 

 

 

「振りきれません!」

 

「クソ、未来の日本は平和ボケで実験経験はなかったのではないのかよ!」

 

 F-15Jに果敢に挑もうとして空戦を仕掛けたが、空対空ミサイルは悉くかわされ、逆に追い詰められる形となった。動きは全て読まれ振りきれない。それもそのはず。確かに日本は平和ボケで実戦経験はほとんどない

 

 しかし、米軍との共同訓練などで腕は常に磨いている。それに対してF-14に乗っているパイロットは実戦経験はあるものの、相手にしてきたのはレシプロ機か初期段階のジェット機であり、勝って当然の敵と戦ったからである。地上攻撃をしたこともあるが、ハイテク兵器が存在しない世界であるため、寧ろ出来て当然である。弱い相手を沢山倒したからといって強い相手に敵う訳がない

 

 対空ミサイルは全て使い果たした。後はバルカン砲しかない。そう思った時、F-15Jからミサイルが発射された。合計2発

 

 慌ててフレアを発射したが、1発は誤爆したものの、もう1発は直撃。物凄い衝撃が襲い、意識が持っていかれそうになったが、慌てて射出装置のレバーを引いた

 

 パイロットが覚えているのはそこまでだった。パラシュートが自動で開いた衝撃で失神したからである。後部座席に乗っていた航空士の安否確認する余裕なんて無かった

 

 

 

「敵機撃墜を確認。帰投する。──しかし、何者なんだ?」

 

 ブルー1は困惑した。大島の街に爆弾を投下してこちらにも攻撃を仕掛けてきた。しかし、空戦の腕は明らかに低い。所属不明のF-14は人を殺す覚悟はあったものの、戦闘能力は驚くほど低かった。あっという間にケツに着くと04式空対空誘導弾(A A M 5)であっさりと片付けられた。E-767は機影を確認していないことから、他の所属不明機は飛行していないだろう。しかし、バックアップ無しとはいえ、こんな無謀な事をする人はいるのか? 過去にロシアの戦闘機が函館空港に強行に着陸したパイロットも居たが、あれは亡命だ*4

 

 落下傘も確認したが、場所を伝えると百里基地に向けて帰投した。敵とはいえ、パイロット回収は救難隊の仕事だ

 

 

 

 数日後

 

 この奇妙な領空侵犯した事件に日本中は騒然とした。未確認機が突然現れ付近にいた。その所属不明の機体は大島を空爆し、スクランブルで駆けつけた空自の戦闘機が撃墜したからである

 

 ある場所にて緊急会議として陸海空の幹部達は召集された。担当していたパイロット達もである

 

 パイロット2人は先日の領空侵犯していた日を説明したが、幹部達は首を捻った

 

「IFFにも応答しないF-14。民間で運用したものか?」

 

「それにしては爆装するなんて可笑しいでしょう」

 

「新たなテロの可能性もある」

 

「それでは、何処から来たと言うのですか?」

 

 空将は呟いたが、ブルー1である白根2尉は否定した。確かに過去の戦闘機が民間の手に渡り運用することはある。しかし、武装するのは許されていないはずだ

 

 そんな時、誰かが入ってきて敬礼してきた

 

「田村1尉です。例の機体の所属が分かりました」

 

「本当か!」

 

 田村1尉……実は彼はこの世界にやって来た艦娘と接触したことがあり、浦田社長に反旗を翻した人の一人である。その理由は浦田重工業がこの世界から技術を盗み自分達の世界で暴れたのを偶然とはいえ、知ったからである

 

 空将は喜び彼の説明を聞いていたが、数秒もしない内に驚愕した

 

「はっ? 数年前に事故で墜落していた?」

 

「写真に写っている機体番号を頼りに調べた所、イランのF-14で間違いありません。外交ルートを通じてイランに確認しました。訓練の事故で墜落。パイロットは死亡との事です」

 

 田村1尉の報告に幹部達は困惑した。先日にスクランブルしたパイロット2人も写真を食い入るように見つめていた。片方は自分達が撮った所属不明の機体の写真。もう1つはイラン空軍のF-14である。塗装は全く同じだ! 機体番号も一致している! 

 

「機体は回収されましたが、ある日を境に消えたとの事です。しかも1機ではなく6機もです。事実を伏せていたらしく、あれは盗難されたと言って詳細を伝えて来ました。イラン空軍も回収した機体を確認したいと打診してきています」

 

「じゃあ、何だ? あのF-14は幽霊が操縦しているとでもいいたいのか?」

 

 空将は頭を抱えていたが、誰も答えられない

 

「幽霊ではありません。自分は確かに見ました。人が乗っているのを確認しました!」

 

 白根2尉はキッパリと言った。幽霊ならミサイルが通用しない……はずだ

 

 会議がざわめいている所、もう一人やって来た。彼の上司である宮島3佐だ

 

「失礼します。アメリカから連絡がきました」

 

「それで?」

 

 空将は食いついたが、こちらも予想外の答えが入ってきた

 

「はい。あれは貴国が極秘に入手した戦闘機なのか? と聞いてきます」

 

「そんな訳がないだろう!」

 

 空将は愕然とした。購入した事実はない。ということは、アメリカではないのか? 

 

「海自はF-14を所有してはいないだろうな?」

 

「とんでもありません! 訓練用のジェット機すら持っていませんよ!」

 

 海将は咄嗟に反応した。ひどい言いがかりだ

 

「陸自は……言うまでもないか」

 

 陸将はムッとしていたため、空将は何も言わなかった

 

「救難隊は搭乗員らしい者を回収しましたが、命に別状は無いものの意識不明であるため、何も聞けません。もう一人は捜索中です。が、回収した機体を調べた結果、これがありました」

 

 田村1尉はあるものを掲げた。機械部品のようだが、何なのか分からない

 

 だが、白根2尉は気づいた

 

「それって……RF-4Eに積んでいたガンカメラの記憶媒体ではないですか!?」

 

「正確には試作段階の記憶媒体です。しかも改造された形跡があります」

 

 白根2尉の指摘に会議にいた自衛官達はざわめいていた。RF-4Eは航空自衛隊が持っていた偵察機である。その機体は既に退役している

 

「見れるのか?」

 

「損傷していて直ぐには無理です。しかし、あの機体の紋章は知っています」

 

 田村1尉は紋章を説明した。それは勢力を拡大していた宗教団体の紋章と同じであること。そして、その宗教団体は武装しており、数年前に武装蜂起したのである。直ぐに鎮圧されたが

 

 話を聞いた空将は頷いた

 

「分かった。なら、記者会見で事実を知らせる。マスコミや特定の国会議員はヒステリックになるだろうが、近隣諸国もアメリカも今回の件は即座に否定するだろうから騒ぎは無視して良い。イラン空軍はこちらが対応する。田村1尉、映像解析を」

 

 

 

 田村1尉は敬礼して帰り、記憶媒体にパソコンを繋いだ。実は既に映像記録は拾った。だが、映し出されていたものは信じられなかった

 

「何があったんだ?」

 

 そこにはあるものが写っていた。何かを空爆している様子とF-14に向けて携帯地対空ミサイルを発射する人を

 

 しかも、その人は知っている人だ。顔はボヤけていたが、間違いなくあの時雨だ

 

 田村1尉は知らないが、実は浦田残党のF-14には小型とはいえ、ワザと高性能なガンカメラが積んである。浦田残党はなぜそれをしたかというと爆撃する映像を撮っていたからだ。楽しむためである。そのような事は珍しくもないが

 

(無事であって欲しい)

 

 異世界の件は数人の人しか話していない

 

 まだ、彼女達が無事であることを祈っていた。少なくとも、敵の戦闘機はこちらが片付けた

 

 

 

 元の世界・呉鎮守府

 

 F-14が壮絶な末路を辿っている中、呉鎮守府では着々と準備が進められた

 

 柳田教授の案で艤装が進化出来るそうだ。受けた艦娘は時雨武蔵大和の他にイントレピッドとジュゼッペ・ガリバルディに決まった

 

 何故、そうしたのかというと2人の大戦後は大規模改装したからである

 

「アイオワのように決まった未来の軍艦から負担は減らせるのだな?」

 

「そうだ。しかし、アイオワ以外にいるか?」

 

 提督は質問したが、柳田教授は首をかしげた。軍艦を改装して長年使っている国はいるが、限界はあるはずだ

 

「ああ、いる。数名いたが、2人に絞った」

 

「え? 誰なの?」

 

 時雨は興味津々に聞き、武蔵大和は反応した。アイオワ以外に戦後も戦った軍艦なんているのだろうか? 

 

「分かるさ。入ってこい」

 

 提督の合図で2人の艦娘が入ってきた。イントレピッドとジュゼッペ・ガリバルディだ

 

「イントレピッドは空母として、ガリバルディはミサイル巡洋艦として改装する」

 

「え? ガリバルディさんってミサイル巡洋艦だったの?」

 

 予想外の大改装を受ける艦娘に時雨は驚いた。アメリカ艦娘は兎も角、イタリアのガリバルディも戦後で活躍していたなんて

 

 実は提督は艦娘を集め現状を説明した。内容は難しいため省略したが、『艦だった頃の世界』において世界大戦後で改装されて運用したことがある艦娘がいるか問い合わせた

 

 数人は手を上げたものの、個別に呼び出し、その中で2人に絞り込んだ

 

「響であるヴェールヌイと雪風はあまり変わらなかったし、他も似たようなものだ」

 

 提督の説明で納得した。どうやら、既に未来での改装が決まっている艦娘なら出来るらしい

 

「私も戦うわ。F-14を運用出来るよう改装出来れば問題ないわ」

 

 イントレピッドは朗らかに言ったが、実はこれは難しい注文だった

 

 確かに戦後は朝鮮戦争などが勃発したことで、イントレピッドは大改装された。アングルドデッキを持つ、本格的な近代空母に生まれ変わる。ジェット機運用のためのカタパルトも持ち、A-4スカイホーク艦上攻撃機などを持ってはいた

 

「でもF-14は使えないはずだよ」

 

 時雨は指摘した。イントレピッド達が瞬間移動で逃げた際、駐機していた3機のF-14はスクラップと化していた。1機は無事だったが、電子機器はダメになっていて使えそうにもない

 

 精々、博物館行きだ

 

 そう思ったが、明石は違った

 

「柳田教授の魔法にF-14の残骸を使うの。そうすれば、イントレピッドさんが扱える艦載機も出るはず」

 

「そうよ。アイオワだって出来たのだから私も出来るはず!」

 

 イントレピッドは喜んでいた。理屈は不明だが、あの残骸が大改装に使えるらしい

 

 ただ、対潜空母として活躍した空母にF-14が扱えるかは本人も疑問していた*5。ただ、それは何とかなるらしい

 

 一方、ガリバルディは戦後はミサイル巡洋艦として運用されていたらしい

 

 彼女の武装を聞くと戦後は大改装されOTOメラーラ76mm単装砲やRIM-2テリアSAMと呼ばれる艦対空ミサイルを装備していた。だが、彼女は何とポラリス弾道ミサイル発射筒4基まで載せていたという

 

「弾道ミサイルって……確か教授が言っていた核兵器の」

 

 時雨は先日に会議があった核兵器についての説明に弾道ミサイルのことを思い出した

 

 まさか……

 

「そうだ! ポラリスというのは、核弾頭が載せられた冷戦時代のアメリカが作ったミサイルだぜ*6!」

 

「いや、ユーは発射試験のみで実戦配備されてないでしょ」

 

 ガリバルディは自慢げに話していたが、アイオワが突っ込みをいれた

 

 しかし、ガリバルディの話に皆は驚いた。弾道ミサイル搭載? 嘘だろ? 

 

「お言葉だが、提督。奴に核兵器は効かないし、例え効いたとしても放射能汚染で大問題がある。敵地に撃ち込むなら何もいわないが、日本近海で核を使うのは」

 

 柳田教授は呆れていたが、提督は違った

 

「核はいらない。弾道ミサイルはあれば、それで良い」

 

 提督の予想外の返答に皆は疑問に感じたが、時雨は分かった

 

「弾道ミサイルを使って結衣の艤装を貫通させる?」

 

「そうだ。弾道ミサイルはとても速い速度で撃ち込む。その力を利用して浦田結衣に攻撃する。如何に防御力が高くても、マッハで飛行するミサイルには耐えられないだろう」

 

 提督はそう述べたが、実はこの考えは冷戦時代にあった。ソ連は米空母を攻撃する手段として弾道ミサイルを対艦用に出来ないか模索していた時期もあった。冷戦が終わった後も中国は対艦弾道ミサイルを配備している*7

 

「アドミラル、弾道ミサイルは命中精度に難があるの。しかも、航行している船にはとても──」

 

「それは知っているさ。なら、足止めすれば良いのだろ?」

 

 アイオワは疑問を持ったが、提督は何か作戦があるらしい

 

 ともあれ、大改装はガリバルディとイントレピッドに決まった

 

 これで結衣に勝てればいいが

 

 時雨は不安になった

 

 何故なら、浦田結衣がどこにいるのか不明だからだ

 

 何か様子を伺っているようにも見えるが

 

(まさか……ね)

 

 時雨は首を振った。結衣がこの大改装案を知っているなんて

 

 極秘な事案を知ってる訳がない。知っていたら全力で阻止してるはずだ

 

 ……このシステムを奪う事が目的なら

 

 それは無い。そんなことがあってはならない。油断しているのなら、その事を後悔させないと。今は倒す事だけを専念しないと

*1
実は飛行機は稲妻に打たれても損傷する箇所はあるものの、墜落するような事はない。例外としてはあるものの、ほとんどの場合は飛行に問題はない

*2
現時点での百里基地にはF-2の部隊がおり、F-15Jの飛行隊はいない。が、物語の都合上、涙を飲んでF-15J部隊が百里基地に存在している設定である。百里基地にいる空自さんには申し訳ない

*3
これは、対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件のことを指す。沖縄に領空侵犯したTu-16偵察機に対してF-4EJ戦闘機が実弾による警告射撃を行った事件である

*4
これはベレンコ中尉亡命事件のことを指す。MiG25 が函館空港に強行着陸した事件である。この事件により防空網の脆弱性が指摘され、E-2C早期警戒機の購入など防空網に力をいれるようになった

*5
イントレピッドは戦後はジェット機運用のためにカタパルトやアングルドデッキを持っていたが、あくまで対潜空母であるため搭載する数はしれていた。それでもベトナム戦争ではA-4スカイホーク艦上攻撃機を搭載して地上部隊を支援していた

*6
ガリバルディに搭載していた発射筒は本来、潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)システムである

*7
中国は準中距離弾道ミサイル(MRBM)をベースにしたDF-21Dを対艦弾道ミサイルに改装している。ただ、弾道ミサイルは本来、命中精度はそこまで高くないため航行する船舶に対して本当に効果があるのか疑問視する声もある




ネタ
空将「ところで、所属不明の機体は東亜連邦とかカレドルフとか名乗っていなかったか?」
白根2尉「いいえ」
田村1尉「そんな国はありませんよ」
空将「なら良かった。そんな国がいたら即座に防衛出動発令して自力で島を奪還する。常任理事国の力なんぞ要らんわ」
白根2尉(ある漫画を見て期待を膨らませて実写化映画を見て失望した、という人だ)
田村1尉(現実に起こるかも知れない、というテロップが流れたけど、現実では絶対にあり得ない終わり方で終わっていたからな)

『空母いぶき』は面白いです。続編である『空母いぶき GREAT GAME』も読んでみようかな、と思い今読み始めたばかりです。実写化映画?知らない()

ネタ(?)
大改装後
ガリバルディ「ボンジョルノ。 イタリア生まれの最新鋭の核ミサイル巡洋艦ジュゼッペ・ガリバルディだ。宜しくな」
アイオワ「軽巡って何だったっけ?」
時雨「ゲームバランス可笑しくなりそう」
提督「心配するな。敵は核に効かない狂暴な奴(浦田結衣)だから、パワーバランスは狂わない」
時雨「いや、そういう問題ではなくて(確かにアイツは核攻撃受けてもヘッチャラだったらしいけどさ)」


浦田結衣「ククク……」


イタリア艦娘とアメリカ艦娘が大改装(戦後の大改装)します
イントレピッドもガリバルディも改ニになれば、A-4スカイホーク艦上攻撃機やポラリス弾道ミサイルを持ってきてくれるかも知れません(嘘)
残念ながらモビルスーツのガリバルディα、ガリバルディβにはならないようです
チートとか言わない。ちゃんとした史実なので
深海棲艦がヤバくなる?さあ?どうなんでしょう?
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