時雨の緊急任務 ~リベンジ~   作:雷電Ⅱ

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秋刀魚イベントをやっていますが、まさかヘッジホッグが実装されるとは思いませんでしたね
イベント海域も楽(今までが鬼畜だったこともあるが)であるため、気軽に秋刀魚漁をしていきますか


第56話 大戦艦総攻撃

 伊8は結衣によって鎖でグルグル巻きに縛られ吊り下げられていた。そのため、攻撃ができない

 

「離して!」

 

「フン、素直に離すと思うか?」

 

 伊8であるはっちゃんはもがいたが、潜水艦であるとはいえ如何に艦娘といえど何重にも巻かれた鎖を引きちぎるほどの力はない

 

「ピンポイントで攻撃したら……」

 

「そんなことをしたらはっちゃんに当たるっぽい!」

 

 時雨は不意にミサイルでのピンポイント攻撃をしようとしたが、夕立は止めに入った。如何にミサイルやレーザー射撃による単装速射砲でも味方に当たってしまう

 

 頭に血が上がって判断を鈍らせないのが最善なのだが味方が、しかも知っている者があの浦田結衣に捕まるとなると冷静にいられなくなる。夕立は羽交締めしてまで時雨を止めようとした

 

「夕立、放して!」

 

「ダメっぽい!」

 

 二人が争っている時、海面から何かが現れた。結衣の後方から海面が盛り上がったと思ったら、蛇のような姿をした黒い生き物ものが現れて結衣にかみついてきた。はっちゃんは悲鳴を上げたが、蛇のような生き物ははっちゃんに興味は無いらしく、それどころか結衣が手に持っている鎖を簡単に嚙み砕いたのだ。そのため、はっちゃんは鎖に縛られたものの結衣の手から離れる事が出来た。拘束されたままだが

 

 しかし、結衣は拾う余裕もない。それどころか相手が何者か分かったからだ

 

「チッ。戦艦レ級か」

 

「ヒヒヒ。人風情ガ(ちから)ヲ得タカラト言ッテ調子二乗ルンジャナイヨ」

 

 何処に潜んでいたのだろうか? 戦艦レ級は海面から浮上して姿を現すと魚雷を大量にばらまき始めた

 

 戦艦レ級……それは艦娘や鎮守府にとってはとても悩みの種であった。戦艦レ級は戦艦でありながらも艦載機も持ち、雷撃戦も出来る。いや、戦艦が魚雷発射管を持ったり、艦載機を持ったりすることは特に珍しいことではない

 

 戦艦レ級の恐ろしい所は戦艦の欠点が存在しない事である。普通なら戦艦が空母並みの艦載機を持つとなると何かしら犠牲を強いられるからだ

 

 しかし、戦艦レ級はそんな欠点がない。火力だけでなく防御力も高く、簡単に倒せる相手ではないからだ。補給も何かしらでやっていけているのだろう。それは深海棲艦側に聞かないと分からないが、相手が素直に教えてくれるわけがない

 

 そんな戦艦レ級はとても敵だと悩みの種だが、共闘とはいえこれは有り難い状況だった

 

 恐らく、戦艦レ級は海底に潜んで待っていたのだろう。艦娘が捕まって提督が攻撃に渋っているのを見て仕方なく現れたとみるべきか

 

「何処に潜んでいたか知らないが、艦娘のために戦うとは深海棲艦側も地に落ちたな」

 

「深海棲艦二歩ミ寄ッテ力ヲ盗ンダ人二言ワレル筋合イハナイ」

 

 戦艦レ級も以前とは違うのか結衣が放つレーザー光線がまともに受けて中破しても引き下がるどころか至近距離で砲撃した。双方とも激しい戦闘が行われたが、艦娘達もただ見ている訳にもいかない

 

 まずは仲間を助ける事だ。

 

「一番先に助けるよ」

 

 チャンスとばかり白露が現場に急行し、伊8が海面で双方の戦闘から逃れようと身をよじらせている所へ向かった。砲撃のせいであちこち水柱が上がったが、白露は臆せずにはっちゃんへ近づき担いで逃げる事に成功した。途中、戦艦レ級が放った砲弾が運悪く命中したためはっちゃんも含めて白露も大破してしまったが、命に別条はない

 

「はっちゃんがいないなら早く攻撃を!」

 

「今度は戦艦レ級がいる!」

 

 時雨はやっと障害が無くなった事で攻撃しようとしたが、今度は武蔵が指摘した。表面上とはいえ、停戦協定を結んだ相手だ。これだと協定違反となってしまう

 

 だが、戦艦レ級の猛攻を結衣は軽くあしらっている

 

「その程度の力では倒せないぞ」

 

「傷ツクネ。私ハElite級ナノニ……」

 

 戦艦レ級は膝をついていた。戦況はあっという間に覆され今では戦艦レ級が絶体絶命になっている。予想はしていたものの、戦艦レ級でも歯が立たなかった

 

「ダメだ……援護しようにも……」

 

 長門が歯軋りしていたその時、再び海面が盛り上がり何か巨大なものが現れた。双方の頭をもつ艤装怪物が現れた。戦艦水鬼改の艤装怪物が結衣を抑えようとしている。レーザー兵器でうめき声を上げたものの取り押さえる事に成功。また、戦艦水鬼改自らが結衣の艤装に手を突っ込んだ。恐らく内部から破壊しようとしているらしい

 

「オイ、何ヲシテイル! 抑エテイルンダ! サッサト攻撃シロ!」

 

 戦艦水鬼改は結衣の激しい抵抗を受けながらも無線で怒鳴った。無線なのでここにいる艦娘だけでなく鎮守府にいる者も聞いているだろう

 

『しかし……お前まで……』

 

 提督が応えたが、提督も予想外だったのだろう。まさか、深海棲艦がはっちゃんを救ったどころか結衣を抑えている事に。本来なら提督は躊躇なんてしない。それだけ、判断に迷っている証拠でもある

 

「イイカラヤレ! 我々ハ人類ヤ艦娘トハ違イ人命尊重ナドトイウ価値観ハ持ッテイナイ!」

 

 戦艦水鬼改は怒鳴り返した。既に戦艦水鬼改の身体はレーザー光線を体に貫いている。このままでは本当に死ぬだろう。敵なのに、今ではこちらのために戦っているのだから

 

『やむを得ん。雷撃しろ!』

 

 提督の命令で待機していた雷巡や軽巡。そして潜水艦娘は酸素魚雷を大量に発射した。酸素魚雷は性能だけ見ると申し訳なく、速度も50ノット近くまで出せ威力も高く、雷跡も出さない。メアリー・イザベラの時は大破させて足止めに成功したのだ

 

 旧史では活躍できなかったが、今は違う。射程距離のせいで誤爆*1はあり得るかも知れないが、不明戦艦『デビル』に致命的なダメージを与えるのを考えると安いものである

 

 既に北上大井、そして木曾は酸素魚雷を積めるだけ積んだため、被曝して誘爆しないかヒヤヒヤしていたらしい*2。阿武隈も含めて魚雷オンリーは大変気を遣った

 

 だが今、敵は足止めされている。このチャンスを逃すわけにはいかない。戦艦水鬼改や戦艦レ級も巻き添えを食らうかもしれないが、不思議と抵抗感はなかった。以前までは海域をめぐって戦ってきたのだから。なので、手持ちの魚雷が無くなるまで撃ち続けた。潜水艦娘も発射したのだろう。

 

「手持ちの酸素魚雷を連続して撃つなんて初めてだよねー」

 

「この作戦は滅茶苦茶よ」

 

 北上も大井も呆れながらも魚雷を発射すると直ぐに魚雷発射管に次弾を装填した。本来ならそんな余裕はないが、敵が足止めされているならチャンスだ。本当は一点集中で側面攻撃するつもりだが、雷巡軽巡潜水艦だけでなく、駆逐艦娘も魚雷を発射しているため結衣は四方八方から魚雷が近づいてきているのだ

 

「貴様、死ぬつもりか?」

 

「構ワン。私ヲ継グ者ナゾイクラデモイル」

 

 結衣は怒鳴ったが、戦艦水鬼改は拘束を緩めようとしない。結衣はレーザー光線で魚雷を破壊しようとしたが、酸素魚雷は純粋酸素を動力源に使用しているため航跡をほとんど引かない。肉眼では魚雷の動きを捕らえられていないため、ソナーで捕らえられているものの、どこを走っているのか正確には分からない。仮に発見出来たとしても魚雷は水面下で走っているため、上手くねらえない。光が屈折するからである

 

「おのれ!」

 

 結衣は怒り狂ったが、それよりも早く魚雷が命中。しかも、数本ではなく計98本である。元々、魚雷は炸薬量が多く数本当てれば装甲がある戦艦でも撃沈は可能であるため、本来ならオーバーキルとも言えよう

 

 旧史では日本海軍は酸素魚雷を開発したが、実戦ではあまり活躍しなかった。遠距離にいる敵を無誘導の魚雷で当てるのは至難の業だったからである。しかし、威力は本物であるため今回の作戦で全て使う事にした

 

 魚雷が立て続けに命中し爆発。海面が大きく盛り上がり弾けた。金剛達や長門型が持っている36cm主砲弾や41cm主砲弾が落下した時よりも遥かに巨大な水柱が吹き上がり、浦田結衣だけでなく戦艦レ級と戦艦水鬼改の姿を隠した。くぐもったような爆発音が轟き、海面はより一層濁っていった。余りの水飛沫と爆発音に、艦娘達も近づくことも出来ない。応援に駆け付けたイージス艦『あいづ』は反転して逃げたが、優子が操縦しているSH-60対潜ヘリは距離を保ちながら警戒していた。水柱からレーザー光線が照射され撃墜されるかも知れない。だが、そんな心配は無用だった。

 

 潜水している潜水艦娘は魚雷による大量の爆発に耳を抑えて退避していた。ただ潜水艦娘たちは魚雷を全て使ったため、手元に残っているのは水上爆撃機『晴嵐』数機である。対艦攻撃出来るとはいえ流石に晴嵐だけではどうしようもないため、後方に待機している潜水母艦である迅鯨で補給するしかない

 

 その間も魚雷による爆発が続く。敵艦に突っ込んだ魚雷の爆発が収まるよりも早く。次の魚雷が炸裂し新たな水柱が噴き上がる。海面は衝撃によって沸騰したように沸き返っている

 

 大型の台風に遭遇したとしても、これほどではあるまいと思わされるほどの狂騒だ

 

『おい、奴はどうなった?』

 

 不意に提督が無線を寄越した。こちらの現場と鎮守府との距離はそう遠くない。双眼鏡で一部始終の成り行きはみているのだろう

 

「待って。今、確認しているから」

 

 時雨は水上レーダーを凝視しながら答えた。大和武蔵だけでなくアイオワもイントレピッドも息をのんだ。レーダーには微かに反応がある

 

 それが敵なのか、それとも戦艦水鬼改なのか……

 

 

 

 魚雷は全て命中して爆発したのだろう。ほどなくして水柱が全て崩れ、海面の狂騒が収まった。皆は不明戦艦『デビル』である浦田結衣がいた

 

「敵だ!」

 

 時雨は叫んだが、視野に入った光景に満足の声を上げた

 

「効果あった! 敵は大破している!」

 

 浦田結衣はまだ浮いていた。いや、満身創痍といっていい。艤装は爆発の影響でズタズタにされ主砲の砲塔も煙を上げている。砲身は全て曲がっているため、鎮守府の射程圏内であっても撃てないだろう。そして何よりもあの恐るべきレーザー光線が飛んでこない。

 

 レーザー砲が破壊したのか、それとも自己修復が出来ないほど電子機器が破壊されたのか

 

 結衣自身も怪我をしており、重症で動けないらしい

 

「やった! ザマー見ろ!」

 

「天龍ちゃん、そんな事より補給は済んだ?」

 

 天龍と龍田は刀や薙刀を杖替わりしながらも、結衣がダメージを負っている事に歓声を上げていた。近くには補給艦である速吸から燃料弾薬を受け取って再戦するつもりらしく、二人は中破しても撤退する気にはならないらしい

 

 どの程度の損傷を与えたのかは分からないが、雷撃による爆圧で相当な打撃になったはずだ。空爆による核攻撃とは違う攻撃手段であるため、結衣も対処が出来なかったのだろう

 

 ……核魚雷が有効かどうかは流石に分からないが

 

 だが、相手は自己修復機能を有している。既に回復しようとしているに違いない。どういう原理か分からないが、これを逃すようなことはしない

 

「旗艦大和より各艦へ。攻撃開始!」

 

「「「「てっー!」」」」

 

 大和の号令と共に他の艦娘は一斉に砲撃を開始する。レーザー砲の射程距離は不明だが、今はそんな事を気にする場合ではない。敵とは言え、戦艦水鬼改と戦艦レ級の犠牲を無駄にするつもりはない。2人は恐らく撃沈したのだろう。しかし、弔うのは後だ。村雨、如月、そして吹雪も撃沈し戦死したのだ。彼女たちも報われない

 

 時雨は残った対艦ミサイルを全て発射した。出し惜しみする必要性もないし、敵が健全かどうかをみるためだ。敵がミサイルを迎撃するかと思いきや、結衣は逃げようとしないどころかそのまま対艦ミサイルの攻撃を受けた。爆発が起こり、砲塔は破壊した

 

「レーザー砲は破壊した! 今なら攻撃できる!」

 

「いいぞ! この日がくるのを待って居たぞ! 各艦、距離を取りつつ攻撃……島風! 接近するな!」

 

 武蔵は戦艦娘に砲撃するよう命じたが、島風が猛スピードで浦田結衣に急接近している。至近距離で攻撃するつもりだ

 

「五連装酸素魚雷──え?」

 

 島風は雷撃しようとしたが、敵は何と機銃で応戦している。しかも艦娘達が使っている機銃ではなく、CIWSである。バルカン砲による銃撃で島風が持つ魚雷が誘爆してしまった

 

「Shit、まだ生きている!?」

 

「構うな! 撃て、撃ち続けろ!」

 

 アイオワは驚愕したが、長門は驚きもしなかった。以前の戦闘も結衣の生命力は知っている。砲弾の雨が結衣に降り注いだが、CIWSはなぜか健全であろうことか砲弾を迎撃したのだ

 

しかし、艦娘達は引き下がらない。それどころか被弾しても必死になって攻撃していく。朝潮は叫びながら主砲を乱射している。生真面目な性格である朝潮も浦田結衣の前では冷静にならないみたいだ

 

「大和さん、今ならいける!」

 

 時雨は判断した。敵は動きが鈍い。F-14による空爆や戦艦の砲撃で反撃する能力は失われている。レーザー砲は破壊したのだろう。健全なら反撃している!

 

「提督、今がチャンスです!」

 

『ガリバルディ! やれ!』

 

 提督が無線で叫んだと同時に遠くの海域から何かが飛び出した。それは煙を吐きながら高速で上空に上っていく。と思ったらこちらに落ちてくる! 時雨はレーダーで確認したが、その速度に驚愕した。速度は音速の十倍らしい

 

「退避して! 弾道ミサイルが来る!」

 

 ガリバルディが発射したポラリス弾道ミサイルの速度はF-14ジェット戦闘機よりも断然早い。皆は一斉に逃げた。弾道ミサイルがどんなものか分からなかったが、春か遠くからミサイルを発射したのに、短時間で飛来するとは艦娘のほとんどは思わなかったからである

 

 一応、アイオワは説明していたが、ほとんどの者はピンと来なかったからである。ただ、今回の弾道ミサイルは核弾頭ではなく、通常弾頭である。それでも命中すれば如何に艦娘でも大破するだろう。最悪の場合、即死するかもしれない。超人である浦田結衣でも死ぬはずだ

 

 ガリバルディが発射したポラリス弾道ミサイルの数は4つ。その内の三発は結衣に直撃した

 

「ぎゃあああぁぁぁぁ!」

 

 火柱と巨大な水柱が上がり、結衣は悲鳴を上げた。これには応えたのだろう。爆風で艦娘達は腕を覆ったが、皆は逃げなかった。折角、作戦成功したのだ。誰もが敵が死ぬのをこの目で見たいのだろう

 

「やったっぽい?」

 

 夕立は叫んだが、時雨は複雑な気がした。演技とは思えない。かといって、核攻撃でも死ななかったのに魚雷と弾道ミサイルの直撃で死ぬとは思えなかったからだ

 

「分からない! 提督、死んだかどうか確認する?」

 

 時雨は無線で聞いたが、提督から予想外の答えが返ってきた

 

『何、バカな事を言っているんだ! まだ、あいつに近づくな! 陸攻による攻撃をしてからだ!』

 

 流石に提督はこれで敵を倒したとは思っていないらしい。相手が死んだフリをしているかも知れない

 

 既に命令を出したのか、東から妖精が操る銀河や一式陸攻が飛来してきた。中にはDo217まで混じっている

 

「思い知れ!」

 

 武蔵が叫んだと同時に陸攻隊が攻撃を仕掛けてきた

 

 

 

 

 浦田結衣と艦娘の戦いが終わろうとしている時、陸では新たな展開が起こっていた。502部隊が攻勢を仕掛けたのだ

 

 元々、特殊部隊ということもあり、小隊長である大佐も作戦前に戦車部隊から五式戦車と装甲車を数台借りたらしく(本人にはそう言っていたが)、巧みに隠していた虎の子の戦闘車両を使う事にした

 

 浦田残党は混乱した。まさか戦車を持っているとは思っていなかったからである。また、化学生物兵器戦は教授から学んだため対処出来たのである。防護服とガスマスクで接近されては自慢の毒ガスは最早、何の役にも立たない

 

「よし、敵を追い詰めろ!」

 

 曹長は部下に指示を出した。戦闘車両は流石に生物化学兵器対応しているものではないため離れた所で攻撃をしていた。尤も、操縦しているのはあきつ丸と神州丸である。艤装を纏って海に出るとは違うが、二人は五式戦車が気に入っていた

 

「この戦車を買いましょう!」

 

「ダメだ」

 

 神州丸は目を輝かせながら言ったが、曹長は笑いながら首を振った

 

 

 

 そんな戦闘を武田副社長は遠くから忌々しく眺めていた。戦車を持っている情報は知ってはいたが、502部隊は特殊部隊であるため退役した旧式の戦車だろうと思っていたからだ。だが、いざ戦ってみるとまさか最新の……日本陸軍としては……戦車が現れるとは思っていなかったからだ

 

 とは言え、数は少ないだろう

 

「どうせ、他所の部隊から無理して貰った戦車だろうが……来るなら来い。対戦車地雷を踏んでくず鉄になるがいい」

 

 武田副社長は戦闘車両が現れたのに備えて対戦車地雷を持っていたのだ。実際に警察車両や軍の車両を数台爆破させたことには成功している

 

「まあ、接近されたらこちらにも考えはある」

 

 武田副社長は呟いたその時、部下が駆けつけた

 

「武田さん、警察から連絡が来ました」

 

「交渉のために連絡してきたのか。寄越せ」

 

 遠くにいる仲間との連絡のために電話回線は確保しているため、警察も知っているのだろう。寧ろ驚きはしない

 

 武田副社長は受話器を取った。すると、電話越しから例の刑事からの声が聞こえた

 

『お初にお目にかかります。私は──』

 

「その声、私の邪魔ばかりする杉田刑事だな。役に立たない板倉とかいう刑事と違って優秀で驚いたよ。今度は何の用だ?」

 

 武田副社長はわざと退屈そうに言ったため、遠くから何か喚き声が聞こえた。相手は数人いるらしい。警察が何とかして軍よりも先に逮捕したいらしい

 

『それは光栄です。戦争の最中、申し訳ないのですが、本日は貴方にお知らせがありまして。貴方とお話がしたい人物がいます』

 

 直ぐに杉田警部が答えたが、武田は首を捻った。誰だ? そんなに親しいものはいないはず……。しかし数秒後、話したい相手が誰だったか分かった

 

『あなた……聞こえている?』

 

 武田は驚いた。相手は……私の妻だ。いや、元妻だった人だ。妻子を置いて私は去った。なぜ今となって妻が……まさか

 

『杉田刑事から聞いた。もうこんな事は止めて。お願い、帰ってきて』

 

 妻は涙声になっていた。どうやら、私の履歴を調べたらしい

 

「なるほど。浦田重工業が存在していた頃だったか。仕事優先のあまり私から去った妻を利用して投降するよう説得させる。杉田刑事のやり方か」

 

 武田は動揺したものの、切り出した

 

『貴方は浦田社長と浦田結衣に洗脳されている! 目を覚まして罪を償って!』

 

 妻は今や泣いていた。どんな姿か想像できる。しかし、彼は気づいた。離婚したとはいえ、妻の立ち振る舞いは分かる。武田警部の頭脳は優れている。しかし、私の人生や思想を知らないだろう

 

「悪いが、やらなければならない事がある」

 

『そんな事はない。息子も貴方を心配している!』

 

「私のやっている事は日本のためでもあり、世界のためでもある。そのためには多少の血は流れるのは仕方ないことだ。君と息子は家から……いや、広島市から出て行ったのは正解だ。寧ろ、そうして欲しかった。真実を知り亡き浦田社長から何をすべきなのかを教わった」

 

 武田は淡々と答えていた。寧ろ、これは想定内だ。杉田警部は確かに優秀だ。こちらの潜伏先を当ててくる。だが、流石の杉田警部も予想外の事が起こるだろう

 

「これは運命なのだ。全てが終わったら、君にも分かる。浦田社長から渡されたプレゼント。あの絵本だ。もう捨ててしまったが、あの惨劇を止めるためだ。だが、それを止めるためには究極兵器が必要だ。必要であれば躊躇いなく使う」

 

 武田は伝えるだけ伝えた。どうせ、逆探知しているだろうし、録音もされているだろう。だが、これは知らなければならない。仮に悪魔になろうが必要不可欠だ

 

 浦田結衣の戦艦のコードネームが「悪魔」とは正にピッタリだ

 

 妻は黙ったままだが、やがて返事が来た

 

『分かったわ。必ずやり遂げて。新世界のために戦うのよ』

 

 その直後、電話越しから怒号が聞こえてきたが、どうでも良かった

 

「フン、第二次世界大戦が起こしたのが悪いのだよ」

 

 

 

 警察・指揮所

 

「どういうつもりですか!」

 

「どうって、私は説得させただけ」

 

 警察関係者が騒ぐ中、杉田警部は武田の妻に詰め寄った。苗字どころか身分も偽っていたため彼女の居場所を突き止めるのには苦労した。杉田警部は彼女が浦田残党のリーダーとして暴れていることを知っていた。しかし、協力を拒否していたため説得するのに苦労したのである

 

 生物化学兵器を使って艦娘達を攻撃している事に驚き、説得すると言って来た。他の刑事は、彼女を共犯者と疑っていたが、杉田警部はそうは思っていないのである

 

 なぜなら、離婚するのに身分を偽ることまでするのだろうか? しかも、浦田重工業の重役人の給料は、とても高額だ

 

 しかし、杉田警部は武田を侮っていたのである。妻も共犯者ではなかったが、逮捕に協力する気配も無かった

 

「もう家族による説得は無理です」

 

 騒ぎの後、板倉刑事に連れ去られる武田の元妻を鶴川巡査長は見送りながら言った

 

「……離婚してもなお、夫を信じるとは……何かあるに違いありません!」

 

 杉田警部はパトカーへ走った。鶴川巡査長も慌てて乗った

 

 杉田警部が乗ったパトカーは猛スピードを出し、警官の制止を振り切ってある方向へ向かった

 

「502部隊が浦田残党を、艦娘達が浦田結衣を追い詰めているらしいです」

 

「でしたら、これで終わりますね」

 

「そうは思いません」

 

 知らせを受けて鶴川巡査長はこれで悪夢は終わったと思い笑顔になった。が、杉田警部の表情は険しく鶴川巡査長の顔から笑顔が消えた

 

「君は呑気でいいですね」

 

「だって勝っているんでしょ? 戦争は軍に任せるしかないです」

 

 鶴川巡査長は口を尖らせた。尤も、鶴川巡査長の意見は正しい。拳銃一丁で武装勢力に立ち向かうなんて無理だからである

 

「だといいのですが」

 

 杉田警部は呟いたが鶴川巡査長には聞こえてなかったらしく反応しなかった

*1
例として重巡最上は、敵艦隊に向けて発射した魚雷が命中せず揚陸艦『神州丸』などに命中してしまい誤爆してしまった

*2
酸素魚雷の燃料の圧縮酸素は爆破事故の危険があり、その誘爆で沈む艦も少なくなかった。例として重巡『鈴谷』は酸素魚雷の誘爆で沈んでしまった




朝潮(ハロウィン衣装)「敵がレーザー砲とかいう超兵器を使うならこっちは魔法で戦います!」
夕立「流石にそれは不味いっぽい」
天龍「艦これにファンタジー要素あったか?」
大和「というより、ハロウィン過ぎていますよ……」
アイオワ「いよいよ魔法と科学の戦いが!」
時雨「アイオワさん、喜んでどうするの?」
朝潮(ハロウィン衣装)「では早速……『スターライトブレイカー!』『エクスプロージョン!』『ブラックバーニング!』」
魔法の呪文を唱え度に相手から凄まじい爆発が立て続けに発生したが、誰も歓声を挙げない。それどころか皆は心の中でツッコんでいた
時雨・夕立・アイオワetc((((どこかで聞いたことがあるような呪文だ))))
提督(何で『魔法少女リリカルなのは(高町なのは)』と『このすば(めぐみん)』と『遊戯王(ブラックマジシャンガール)』の魔法攻撃なんだ?)

艦これアーケードではハロウィン衣装の朝潮は実装されたが、雷撃はなんとステッキを振ると魚雷を召喚したり、主砲を発射したり……
やはり朝潮は魔法使いだった??
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