折角なんで艦娘型録参を購入しました。いや~、鈍器ですね(笑)
しかし、内容はとても充実していて楽しめました
ここでは画像を上げる事は出来ませんが、艦娘紹介は丁寧です
まあ、書店に足を運んだのはウマ娘のアンソロジーコミックも買うためでもあるのですが
某県刑務所
ある刑務所の面会室には杉田警部と鶴川巡査部長が待っていた。ある容疑者の事情聴取である
待つこと数分後、刑務官が武田副社長を連れてきた。彼は囚人服を着せられ、且つ手足には手錠と足枷が嵌められていた
武田副社長は素直に座るとガラス越しで杉田警部と向き合った
「お久しぶりです。今日来たのは──」
「お世辞はいい。そういうのは好きじゃない。罵倒するなら勝手にしろ。そういうのは聞き流す」
杉田刑事は朗らかに挨拶したが、武田副社長は囚人にも関わらずふんぞり返っていた
呉戦争にて浦田結衣が破れたのを見届けると武田副社長を率いる部隊は降伏した。数人は自害したため502部隊と共に自殺を止めるのに苦労した
「浦田社長と同じですね。犠牲を払ってでも目的を達成させるべきだ。人類のためと言いながら人類を攻撃した。矛盾だらけです」
「だからどうした? 部下も妻も息子も同じだ。人間性で訴えても意味はない」
杉田刑事は微笑んでいたが、目は笑っていない。こんな奴と出会ったのは初めてだからだ。殺人犯や知能犯を逮捕させたことがある杉田刑事だが、彼はこの男に反省させる手段が見つからないからだ
ある種の狂気。その狂気を本人に気づかせることは自分には出来るのだろうかと
「浦田社長が第二次世界大戦と呼ばれる戦争を防ぐために深海棲艦を操り世界を攻撃した事は知っています。貴方も同じでしょう。しかし、貴方は禁忌ともされる生物化学兵器を開発し使用した。それは許されないことです」
「何を言っている? 私は日本軍のやり方を学び使用しただけだ。これは正義だ」
「何の罪もない艦娘達に使用する事がですが!」
杉田刑事は声を荒げた
「罪? 罪とは何です? 人を殺し物を破壊する事しか能がない兵器に制裁を与える事の何がダメなのか? 彼女達は存在しない時間軸である第二次世界大戦や冷戦の異物だ。戦争の火種を排除して何が悪い?」
「彼女達は国……いえ、人類をを守る存在です! それを……それを大量殺戮集団と同じ扱いにしないで頂きたい! ……大量殺戮しているのはあなた方でしょう!」
杉田刑事は立ち上がり、鶴川巡査部長は必死に押さえていた。ここで問題を起こしたら追い出されてしまう
「私は浦田社長からある漫画を読まされましてね。その漫画の主人公は広島の原爆の被害者、そして被曝している事を理由に第三者の暴力や殺人を正当化していた。それて物語の最後には原爆投下を正当化していたのだよ。早期に降伏しなかった軍が悪いと。広島長崎の犠牲が無ければ平和は掴みとれなかった、と」
武田副社長は静かに語ったため杉田刑事は固まった。考え直したのか彼は座った
「何がいいたいのです? ポツダム宣言を早期に引き受けなかった軍部が悪いと?」
「違うな。あの漫画はアメリカに性善説を持ちこみ、反戦平和の癖に原爆投下を正当化したのだよ」
武田副社長は苛立ちを隠せずに言った。どうやら、武田副社長は杉田刑事が浦田社長が持ち込んだ歴史の書物を読んだと判断したらしい。別世界とはいえ、第二次世界大戦の情報は極秘だ。それを読むのは難しくないはずである。事実、杉田警部は浦田重工業の遺産である歴史書物を読んでいた
「最強の兵器を造り上げたら使いたくなるのは人間の本性だ。アメリカが浦田結衣に核攻撃したのをみれば分かることだろう」
「彼女は無事どころか艦娘に対して核攻撃を行った」
「そうだ。しかし、それは正義のためにだ。アメリカやロシアと一緒にしないで貰いたい。ああ、君個人の感想なんて聞きたくない。国内犯罪しか活躍出来ない刑事は戦争が理解できるとは思えないからな」
武田副社長は指を指しながら言った
「杉田さん、もうあいつに何を言っても無駄です。彼らは他人のせいにして己の行為を正当化しようとしていますから」
鶴川巡査部長は助言したが、杉田警部は無視した。しかし、一方で相棒の言い分はわかる
所詮、自分達は警察官だ。もし艦娘や深海棲艦、そして浦田重工業が現れなかったら第二次世界大戦や冷戦は起こっていただろう。核兵器は実用化したのだから史実通りになるのは目に見えている。そして提督や艦娘達の忠告よりも国益優先に走った結果、艦娘不要論まで生まれてしまった
安全保障なんて自分達が政府機関へ口に出す事は決してない。軍人でも政治家でもなく一個人の警察官に何が出来よう?
「浦田重工業が現れる前の国内情勢を知らない訳でもあるまい? この国は病に犯されていた。富国強兵という名の病に。お国のためと言いながら利益優先のために戦争を仕掛けた日本に。満州鉄道利権……いや、中国利権のために戦争を起こしたらどうなっていたか。歴史通り満州事変が起こったらどうなっていたか? 君達は徴兵制により兵士になっていたか、特高*1になって反対の声を取り締まるか。浦田社長も私もその病を治すために活動していた」
「貴方も病に犯されている。正義という名の病に」
武田副社長の演説に杉田警部は静かに言った
「確かに史実通りなら悲惨だったでしょ。しかし、あなた方はその悲惨を別の悲惨に変えただけです。重い病に罹っているのは貴方ですよ?」
意外な指摘に武田副社長は目をぱちくりした。予想外だったのだろう
だが、彼は直ぐに笑った
「確かにそうかもな。では、そんな病を君は治せるのか? ん? 我々はまた立ち上がる。種は撒いた。もう共産主義社会主義や軍国主義といった下らない思想は存在しない。我々の思想は生き残り国家転覆し浦田重工業が別の形で繁栄するのを願っている。我々が死刑になろうと、浦田結衣が敗れようとな」
まだ、軍事裁判は起きていないが、彼らは死刑になるのは必須だろう。しかし、彼らはそんな事は気にしていない
「そうですか。なら、我々警察はそれを取り締まるだけです。どんな理由があろうと殺人を犯してはならない」
「その強気、何時まで持つかな? 浦田社長は常に言っていた。人類は慈悲深い天使ではない、と。正義と気取っている警察だけでなく艦娘やそれを指揮する提督や護衛している502部隊の本性が出るのが楽しみだ。死刑執行されたとしてもあの世で浦田兄妹と共に楽しみに見ているぞ」
武田副社長はニヤニヤしていた。思わぬ反論に杉田刑事は何も言えなくなった
そんな時、鶴川巡査部長は口を開いた
「生物化学兵器や核兵器によって乱暴される世界が平和ですか? そんな危ない兵器が使われて無実の人が死んだら、貴方はどう償うのですか?」
「償う必要性はない。さっきも言っただろう。原爆を広島長崎に落としたアメリカは知らん顔だ。まあ、私なら世界大戦を防ぐために使ったと言うよ」
「いや、それは別世界の歴史で──」
「この世界でも核を使った国は反省しない。謝罪賠償反省すると本当にそう思うか? いや、絶対にいない! この世界の米露が何をしたのかを思い出せ!」
武田副社長の凄みで鶴川は固まった
「ロシアが深海棲艦に対してヨーロッパもろとも核の炎で焼き払おうとした。アメリカは浦田結衣や深海棲艦に対して原爆水爆を使った。それで、誰か反省したか? 米大統領みたいに自決するのは稀だ。まあ、浦田結衣は当然のように反省なんてしないだろうさ。我々もな。君のような誹謗中傷や倫理を持ち出しても痛くも痒くもないさ。気に入らないなら拳銃で私を射殺をしてみろ。我々を倒したかったら法律ではなく実弾で殺れ」
武田副社長は挑発していた。尤も、二人は拳銃なんて今は持っておらず、面会室には警察でも持ち込めない。杉田警部は口を開きかけたが、刑務官が時間です、と言われたため杉田警部は椅子から立ち上がると面会室から立ち去った
「艦娘達は深海棲艦以外にあんな敵と戦っていたんですね」
帰り道に鶴川巡査部長は不意に口をした
「ええ。人を守るために人を殺める。しかし、そのため憎しみを生まれ報復して人を殺めるといった事象が連鎖的に起きてしまう。大いなる矛盾に出口は無いものですかね」
杉田警部は疑問を口にした。こればかりは解決できない事だ
(人を殺めない手段はあるのでしょうかね?)
〇×県警察署
杉田警部と鶴川巡査部長は警察署についた。浦田結衣が東京を攻撃したため、建物が破壊されたため臨時で部署として使っていた
元々、その警察署で働いていた警官もいるため、人数は過剰である。しかし、入ってきた二人はある光景を見て驚愕した
「え? 何あれ?」
職場の机には大量の札束が置いてあった。事情聴取で連れて来られたであろう人も多くいる
「お金の落とし物にしては多くないですか?」
「ああ。大量に押収されたお陰で一課の俺たちまで動く始末だよ」
鶴川巡査部長が何気なく呟いた声に後ろから誰かが嫌味たっぷりに言ってきた。慌てて後ろを振り返ると板倉警部が不機嫌そうな顔をしていた
「これは何ですか?」
「偽札だよ」
「はい?」
杉田警部は質問したが、予想外の返答に困惑した
「作りは中々のものだが偽札だ。呉戦争が終わった数日後に買い占め騒動があっただろう。数人が偽札を使って大量の商品を買い占めした連行される者がいた。その他にも恐喝で子供から奪ったお金で使った。拾ったお金で物を買った。寄付金と称して貧困層に札束をばら撒いた者がいた。逮捕した人は外国人からお金をもらったなどと供述しているだけで手がかりが無い」
板倉警部の説明に杉田警部は机にあったお札を手に取って見た。勿論、手袋をした上でだ
確かに作りは精巧だ。しかし、よくよく見ると本物のお札と違う所がある。言い換えれば、知識が無い人と見破る事は難しい
「透かしまでありますが、細密画線は使用していません。しかし、素人では見抜けない精巧さです。偽札に気づく人は少ないでしょう」
「この偽札のせいで消費が活発になり、その影響で供給が追い付かず商品が値上がりしている。しかも、あの戦争が終わった直後だから日本経済は大打撃を受けている」
「でしょうね。これは金儲けするための単なる愉快犯ではないのは確かですね」
板倉警部の不機嫌な言葉に杉田警部は言った
(愉快犯でないとするととんでもない事です)
杉田警部は内心では冷や汗をかいた。愉快犯でないとすると最悪の事態だ
大本営
元帥は後処理に追われていた。呉戦争で艦娘達の働きのお陰で浦田結衣を倒し浦田残党を捕まえることが出来た。また、苦戦していたとはいえ、北海道侵攻していたロシアの部隊は制圧された。それでも捕虜は多く、現在はロシアと交渉している最中だ
「あ、あの……無理をするとまた倒れてしまいます」
「医者から薬を貰ったから大丈夫だ」
後輩が心配そうにしていたが、元帥は断った。兎に角、やる事が多い。海外情勢は不明だが、ヨーロッパで核爆発した情報は無い。そのため、ロシアの艦娘にはそう伝えたが、ガングートは半信半疑だった。ロシアの政治情勢は不安定であるため無理もないだろうが
(原子爆弾が開発されたという情報は聞いてはいたが、まさか大量に使われるとはな)
復興は政治家に丸投げするのはいいとして……経済関連は元帥が関与することではない……厄介な兵器が現れた
もし、深海棲艦が世界から居なくなったとしても核による睨み合いが起こるだろう。現に各国とも核開発に力を入れていると情報が入っている
そんな中、部屋に入ってくる者がいた
「元帥君、よく浦田残党と浦田結衣を討伐してくれた。これで人類の勝利の一歩に踏み出せた」
(艦娘や指揮をしている中佐には感謝しないのだな)
国防大臣の労いの言葉に元帥は受け流した。国防大臣が艦娘や提督に感謝するよう説得することは諦めていた
「そんな事より深海棲艦のボスと勝手に休戦協定を結ぶのはいただけないものだ。幾ら私が捕まったとしてもだ」
「仕方ありませんよ。そんなことより国会の会議には行かれないのですか?」
元帥は呆れたように話を切り出した
「偽札問題ですよ。戦争後の事もあり、物価は上昇。あちこちで暴動が起きています。治安出動で兵士達も駆り出されています」
戦争直後に何処から現れたのか偽札が市場に出回った。この偽札の大量の出回りにより物価が上昇した。駄菓子屋で安く売られていたお菓子が高級菓子並みの値段に上がってしまった。しかも、偽札の作りは精巧であるため、見破ることが難しく物を売らない店も少なくない。そのため、一部の市民は暴動が起こり、国会議事堂へ押しかけている。警察官が足りないため、軍も出撃する騒ぎとなった
「アメリカやロシアでも偽札が出回っていて大変らしい。噂では深海棲艦の仕業と言われている」
「そんなデマに踊らされるとは情けない。あんな異形の化け物がそんな知能を持っている訳がない。まあ、本当に深海棲艦が偽札を作ったとなれば話は簡単だ」
国防大臣は嘲笑うと部屋から出て行った
「相変わらずの反応だな」
廊下を歩きながら国防大臣は呟いた。確かに東京は半壊した。だが、これをチャンスと国防大臣は思ったのだ。ゆくゆくは総理大臣になれるかも知れない。この事態を解決すれば国民は注目を浴びるだろう。紙幣の見直しも出来るが、これは誰も話していない。機密情報だからだ。実は国防大臣はある案件で造幣機関に関わっていた。だから精巧に作られた偽札が出回っても解決できると楽観していた
(今の総理が失脚すればいずれは私が選ばれ──)
国防大臣はそんな事を考えている中、秘書が慌ててこちらに向かって走ってきた
「だ、大臣。大変です!」
「どうした。そんなに急いで。いいか。直ぐに──」
「これを見てください!」
秘書に書類を押し付けられたため国防大臣は面倒くさそうに紙面を見たが、書かれた文章に彼は顔色はみるみるうちに青ざめていた
(バカな……アイツらはサル並みの知能しか持っていないはずでは!)
国防大臣は慌てた。これが明るみに出たら総理大臣の椅子の話どころではない!
呉鎮守府
「柳田教授のお陰で予定よりも早く快方されるようですね」
大淀は持ってきたお茶を机に置きながら言った。軽傷であった艦娘も今では元気になっている。流石に重傷を負った艦娘が快方されるのは時間がかかるが、それも数日後には快方されるだろう
「ああ。ただ浦田結衣は倒せたから柳田教授は今後そこまで協力はしないだろう」
「娘さんも帰りたがっていましたから。ところで、浦田結衣の亡骸を触らせていいのでしょうか? 何かを採取していたと明石が言っていましたが」
大淀は疑問を投げかけた。確かに柳田優子は向こうの世界である自衛隊の命令できたのだろう。本人も吉村海将の命令で来た、言っていたため間違いない
「死亡確認はしたし、死者蘇生なんてしない。恐らくリリと呼ばれる機械の残骸回収のためだろうが、こちらが止める理由も無いからね」
大淀が不安がっていたが、提督は否定した。浦田結衣の亡骸が厳重に保管していた。と言っても、遺体はミイラのように干からびており、艤装はただのガラクタとなっていた。自分の父親と明石が念入りの調査でもう死体であると宣言したため蘇るといったホラー展開は起きないだろう。しかし、悪用を防ぐため地下に厳重に保管している
「今は再建が先だ。それよりも物価が高いから満足なものが買えないな」
提督は頭をかきながら言った。偽札が出回っている事は聞いている。そのため、備蓄していた食糧庫で食いつないでいるが、長くは持たない
「赤城さんと加賀さんはとても落ち込んでいましたよ。商店街へ行ってもほとんどの店が閉まっていると嘆いていました」
「開いていても買える値段なんてない。取り敢えず、あの二人には釣り竿を渡しておいた」
提督は不満そうに言った。経済情勢については管轄外であるが、生活に支障が出ているとなると無視は出来ない。自給自足の生活になるかも知れない
そんな時、時雨が入ってきた。遠征から帰ってきたので報告に来たのだろう。しかし、時雨の表情は深刻だ
「提督、ちょっと来てくれる?」
「休戦協定を破ったと戦艦水鬼改に知られたらどうするつもりだ? 遠征で資源回収の任務のはずだ」
「無視できない事が起こったからだよ」
「攻撃されたからか? 資源も回収できていないとなると無断で攻撃しかけたのか?」
港には軽母ヌ級の死体が置かれ遠征の艦娘六人(時雨、吹雪、如月、大鷹、村雨、海風)がいたが、提督は驚くどころか呆れていた。休戦協定は二か月間だったが、もし攻撃してしまうと協定違反であるのは明白だ
「違うんだ。これを見て」
時雨は写真を見せた。遠征で私物のカメラを持っていたらしい。だが、写真を見て提督は今度こそ驚いた
「どういうことだ?」
そこに映っていたのは深海棲艦の空母群だ。空母ヲ級や軽母ヌ級へ編成されたものだ。しかし、艦載機は爆弾や魚雷を装備していない。何かを大量に積めた袋を抱えている。しかも、とても多い
「ただ事ではないと思いコッソリと艦戦で撃ち落としました。それで中身を調べてみたらこれが出てきました」
話を聞くと大鷹は九六式艦戦改を発艦させて追跡させ各地方に散らばる深海棲艦の艦載機を撃墜したという
そして袋の中からあるものを取り出した。それを見た提督は愕然とした
「な、これは一万円札? しかも、大量に」
「それだけではないんです。不審に思い、遠征を中断して追跡したんです。軽母ヌ級に気づかれて止む無く攻撃しましたが」
吹雪は間髪入れずに説明した
「軽母ヌ級は反撃してきませんでした。そして、大破したところを捕まえて調べてみたら、あれが」
如月はあるところに指を差した。それを目で追っていた提督は目を見開いた
大量の紙幣の山だ。何も知らない人から見たら喜ぶだろう
しかし、提督は違った。偽札かどうかは専門知識を持つ者でないと見破れないだろう。しかし、深海棲艦が日本の紙幣をばら撒くのは初めて聞いたが、明らかに悪意でやっている
しかも、海外の紙幣まで混ざっている
中国紙幣やインド紙幣まである
「冗談だろ」
提督は呆然とした。予想外の事態に流石の提督も頭がついていかなくなった
「提督……深海棲艦は攻撃して来ないと言ってきたはずですが」
一緒に来ていた大淀も予想外だったらしい。深海棲艦は休戦協定を守っていなかったのか?
「砲撃や空爆で攻撃したりはしない……そうか! そういうことか!」
提督は悪態をついた。砲撃や空爆で攻撃しないのなら別の手段で攻撃したと見ていい。恐らく、深海棲艦の狙いは鎮守府ではない。そして、爆弾や魚雷で日本を攻撃はしていない。
そんな中、夕張がこちらに走ってきた。大本営から連絡らしい
通信室
『奴らは日本経済を攻撃している。提督、早急に艦隊を編成して偽札を製造している深海棲艦の拠点を見つけ攻撃しろ!』
「お言葉ですが無理です! 資源も少なく、負傷している艦娘も多い中で出撃は無謀です! 仮に出撃したとしても勝ち目はありません!」
通信室では怒鳴り声が響き渡っていた
『奴らは休戦協定を破った! 戦えるのは君たちだけだ!』
「防衛大臣の気持ちは分かりますが、今現在で出撃しても無駄死にするだけです! 浦田結衣との戦いでまだ立ち直っていません! それに、そちらでは深海棲艦や艦娘をやっつけられるといった超兵器があるでしょう!」
『浦田結衣の攻撃により大半は破壊され、物価の上昇で民衆は暴動が起こっているため、兵士は治安維持に出動しているから出せない!』
「事情は分かりますが、無駄な犠牲は払えません。出撃ですか? いいでしょう。丁度、予備の
提督はそう怒鳴ると通信を切った。尤も、ヘリなんて無く、仮にあったとしても操縦できる優子2尉も拒否するだろう。要はハッタリである
「提督、そんな事をしたら──」
「心配するな。それよりも出撃準備を進めてくれ」
時雨は声をかけたが、予想外の命令に皆は驚愕した
「て、提督! 無理だよ!」
時雨は愕然とした。まさか従うつもりなのか?
「違う。流石に正面から戦え、なんて言わない。そんな事よりも気になる事がある。国防大臣からの出撃命令は今のが初めてだ」
抗議しようとした艦娘だったが、提督の言葉に皆は何も言わなくなった
「ご自慢の超兵器は浦田結衣によって破壊されたから泣きついてきたのでは?」
「だとしても、あんな命令なんて出さない」
大淀が思いついたかのように言ったが、提督は否定した
「偽札と関係があるのかな?」
「それは分からない。だが、プライドを殴り捨ててまで頼み込んだとなれば、何かしら重要な事を抱えているのは確かだ。それなら、こちらも一連の出来事の原因や経緯を調べないとな」
時雨は提督がニヤリとした表情を見て何をしようとしているのか分かった。深海棲艦を倒さずに事態を収拾する案を提督は思いついたかもしれない
(だけど、何で偽札?)
時雨は戦艦水鬼改の思惑が分からなかった。経済攻撃しているのは確かだろうが、なぜ今となって経済攻撃しているのだろうか? 今のところ、偽札事案で艦娘が非難されてはいない。政府は批判されているが
しかも、遠征によって艦娘は資源を蓄えるのだから経済攻撃してもそんなに痛手はならない
確かに食材が手に入づらく間宮さんと鳳翔さんは嘆き、食事も質素になってはいるという問題点はある。下手をしたら艦娘は漁船みたいに食糧確保のために漁をしないといけないかもしれない。過去にサンマ漁を手伝ったことがあるが、このままだとベーリング海へ行ってカニ漁や太平洋沖まで行ってクロマグロ漁をしないといけない
「大和さんも困っているから頑張らないといけないね」
「そうだな。海鮮料理ばかりは流石にキツイからな」
特に間宮さんが作る食事を楽しみにしている大和や赤城などの大食艦が嘆いているのは問題だ。それは解決しないといけない
時雨「提督、もしかして深海棲艦はカリオストロ公国にあるカリオストロ城と手を組んだのでは?」
提督「冗談にしてはきついぞ」
時雨「国防大臣に伝えようよ」
提督「あるのか、そんな国やお城は?」
勿論ありません
※偽札を作る事は通貨偽造罪にあたります
無期又は3年以上の懲役になるので良い子は真似しないように
偽札が出回り赤城加賀などの大食艦が嘆いている中、国防大臣はなぜか酷く動揺しているらしく……
次話は来年の1月8~10日辺りに投降します
それではよいお年を