時雨の緊急任務 ~リベンジ~   作:雷電Ⅱ

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北京オリンピック、始まりましたね
冬イベントの情報も中規模と告知されたけど、いつもの事でしょう

それはそうと……
今回の話は「もしかするとあり得たかもしれない」話です
この作品でありがちなオチで終わりますが、果たして……


第68話 IF 無条件降伏した世界

 時雨はふとある場所に立っていた。よく分からない場所に。いや、道路標識や店の看板をみて日本語が書かれてあるから日本の何処かだろう

 

 だが、人々は慌てふためき逃げていた。車に荷物を乗せたり、スーパーに押し入って物を物色したり……

 

 取り締まろうとする警官も見当たらず、それどころか警察もそれどころではないらしい

 

 あちこちで車が玉突き事故を起こしており、運転者同士が罵りあっていた

 

「あの?」

 

 時雨は尋ねたが、両者とも無視。まるで時雨に眼中が無いかのように慌てふためいている

 

「まさか」

 

 時雨はある疑念が確信に変わった。こういう光景は前にもあった。あの時は浦田結衣の過去の映像だ。四次元空間という奴か? 

 

 だが、今回は違うようだ。年代は不明だが、少なくとも時雨達がいた数年後の世界だろう

 

 しかし、その割には混乱しているが

 

『……状況を分析した結果、もしテロ行為であれば由々しき事態です。また全域で停電が続いています。住民は屋内待機を命じられました』

 

 衝突事故を起こし動かなくなった車からラジオが聞こえた

 

『あー……あれは深海棲艦なのか分かりませんが、陸上でも活発に動いています。そうなると新種が出現した事になります。遠くからしか見えませんが、かなりの数がいます』

 

 内容は断片的だったが、事態を把握した

 

 陸上でも活発に動ける深海棲艦? そんな事、あり得るのか? 

 

『各都市は敵によって完全に包囲されました。……速報です。国連は無条件降伏を全て受け入れた模様です』

 

 時雨は耳を疑った。無条件降伏? 

 

 何が起こっているのか分からないが、どうすることもできない。人にも聞けないし、テレビもない

 

『戒厳令も敷かれ、兵士は基地に帰還。武器の返却と待機を命じられました。我が国だけでなく、アメリカ、ロシア、イギリスなども同様の状況との事です。停電後、外部からの情報は途絶えがちですが、各国政府の多くは協力を表明しているとの事です。これに反発する一部の部隊は未だに抵抗しており──』

 

 時雨はラジオを聞いていたが、突然、銃声が発砲した。時雨は驚き、目をやった。どうやら、暴動する市民に対して銃を発砲したのだ

 

 回転式拳銃を急いで装填して発砲している警官もいる事から、発砲は珍しくないのだろう。現に遠くから発砲音が聞こえる

 

『──各国は米国の主導のもと交渉に入りました。統治の第一段階として……資源採く……高度な……ザザー』

 

 ラジオまでもイカれたのか情報は何も入ってこなかった。だが、気になるのがあった

 

 統治? 深海棲艦が人類を統治? 戦艦水鬼改は確かに手強い相手だが、人類を統治することは毛頭ない。それか変わったのか? 

 

 そんな疑問を他所に視界が暗くなった。目が見えなくなった訳ではない。場面が変わるためだ

 

 しかし、次に映り込む場面は断片的だったが、ショックを受けるものだった

 

 テレビに映るニュース画面だったが、どれも衝撃を受けた

 

『政権譲渡は平穏に終了』

 

『各国政府は協力の姿勢を見せました』

 

『国連が全面降伏を受け入れ電力が復旧しました』

 

『軍は解体され、警察機関も一新されました』

 

 そして、町の看板が映し出された

 

 平和の象徴である白い鳩が描かれた絵に『平和(peace) 団結(unity) 調和(harmony)』と英語日本語両方デカく書かれていた

 

 が、時雨にはとても真に受けることが出来なかった。何せ、その看板は街のあちこちにあるのにもかかわらず誰も見向きもしないのだから

 

 そして、大きなコンクリートの壁は建てられていた。都市部を囲っているらしく、閉鎖されているようだ

 

 そして捨てられた新聞の一面を見た。年月日の箇所は破られていたため年代は不明だが、一面に『レジスタンス、全員逮捕。国を挙げてテロと戦う』とデカデカと描かれてあった

 

 都市には巨大な建造物が建てられていたが、ここは未来なのだろうか? 

 

 だが、戦争の跡が無いのに都市の空気はとても重苦しかった

 

 未来改変する前の時のような地獄絵図でも無く、深海棲艦によって地上が攻撃されているものでもない

 

 また、最大の問題は艦娘……自分たちの存在となる痕跡が全くないことだ

 

 深海棲艦の新種がニュースで報道されているのに、自分たちのことはほとんどない

 

 電器店で飾ってあるテレビでは『レジスタンスは制圧された』というテロップは流れたものの、レジスタンスの首謀者は全く映っていない

 

 レジスタンスは自分たちの事だろうか? そうだとしたら、この都市を支配しているのは……

 

 だが、そんな疑念を他所に場面は反転し目の前が暗くなった

 

 そして、次に映ったのは広場だった。野球場にしてはとても大きく、観客も大勢いる

 

 時雨は知らないが、その場所はアメリカのニューヨーク市内にあるヤンキー・スタジアムだった。しかし、時雨はヤンキー・スタジアムに行った事が無いため分からなかった

 

 そのスタジアムでは何やらパレードが行われていた

 

 そのスタジアムの中央にある人が演説していた。英語だったため分からなかったが、報道陣の中に通訳者が通訳してカメラに語っていたため時雨は日本のマスコミの近くに行き通訳を聞いた

 

『──全世界の皆さん。素晴らしき夜にようこそ。皆で団結し分かち合う。今日は世界平和を記念して今夜は統治者もお迎えします』

 

 演説しているのは太った男性だが、その人は熱心に語っていた

 

『深海棲艦という共通の敵が現れても人類は一致団結しませんでした。いえ、人類の政治は崩壊していた。国連会議でも議会でも街中でも人は互いにいがみ合い人類は深海棲艦によってではなく、自らの愚かな行為によって破滅に向かっていった。ある科学者が対抗策として艦娘を作りあげたが、それも敵わなかった』

 

 この演説で時雨は衝撃を受けた。艦娘でも対抗出来なかった? 

 

『我々は変化が必要でした。導いてくれる誰かが必要でした。結果は歴然としています。就業率は各国とも史上最高。犯罪率は各国とも史上最低です。そして宗教衝突や外交など解決出来なかった問題は今や過去のものになりました。統治者のお陰で世界は再生した。まさにルネサンスです!』

 

 演説者が言い終える前に観客は熱狂に包まれていた。統治者のお陰、とあるが誰なのだろうか? 

 

 辺りを見渡したが、分からない。世界各国の国旗がなびいているが、どれも知っている国旗ばかりだ。ただ、国旗が並べられているポールの中央辺りは旗が無かった。いや、ポール自体がとても長かった。旗はなびいているのは確かだが、明かりが届かなかったため何の旗か分からない。確認しようにも遠すぎるし、近寄れない

 

 その間もセレモニーは続いている。軍楽隊らしき人達が太鼓を叩き、旗を振りながら規律正しく行進している。鎮守府も楽器を取り扱ったりしたりすることもあり、軍も軍楽隊自体はあるため珍しくないが、時雨は目の前にいる軍楽隊*1がどうも好きにはなれなかった

 

 その軍楽隊がどう見てもアメリカのために演奏しているようには思えなかった

 

 いや、あの軍楽隊の所属は何処だろうか? 時雨は辺りを探ったが、統治者が何者なのか分からなかった。深海棲艦にしてはおかしい。浦田重工業の仕業? にしては、やり方が違うような……

 

『──Ladies & Gentlemen(皆さん、どうぞご起立下さい). Please , rise to greet our legislator(統治者を出迎えましょう)

 

 軍楽隊の行進も終わり、演説者が英語で話していたが、通訳者から離れていたため何を言っているのか分からなかった

 

 アイオワ達や英語が出来る提督がいないため仕方ない

 

 だが、観客は総立ちし左手を右胸に当てている。スタジアムの真ん中に女性が立っており、マイクを握りしめ歌い始めた

 

『Mine eyes have seen the glory──』

 

 女性が一人で歌うのも凄いが、どこかで聞いたことがある

 

 確かアイオワやサラトガがアメリカの文化を教えてくれた時に聞いたことがあったような気がした。だけど、思い出せない

 

『──Glory, glory, hallelujah! Glory, glory, hallelujah! Glory, glory, hallelujah! His truth is marching on──』

 

 女性は盛大に歌っており、観客も歌っている

 

 だが、時雨は真っ暗な夜空に何かが近づいてくるのを見た

 

 船が飛んでいる

 

 初めに思ったのがそれだ。その『何か』は聞いたことも無いエンジン音と共に接近している。全体の姿は不明だが、『巨大な鉄の塊が空を飛んでいる』としか認識できなかった

 

「何……あれ?」

 

 時雨は全身の毛が逆立った。何かとんでもない物が接近している。しかも、観客は「統治者」……いや、まるで神のように崇めているようにも見えた

 

 艦娘ですらこんな待遇はされていないのに、観客……いや、世界中の人々は何を崇めているんだ? 誰が世界を支配したんだ? 

 

『──Glory! Glory! Hallelujah! Glory! Glory! Hallelujah! Glory! Glory! Hallelujah! His truth is marching on』

 

 歌が終わると同時に見たこともない巨大な航空機が垂直着陸した。従来のジェットエンジンを使用していないのだろう。噴射によって巻き上げられる砂埃も突風も起こらない

 

 ドアらしきところが開き、そして──

 

 

 

「時雨、起きるっぽい!」

 

 突然の揺さぶりで時雨は飛び上がった

 

「こ、ここは何処!?」

 

「何処って『おおすみ』の居住室っぽい。随分と魘されていたけど、大丈夫?」

 

 夕立は時雨が飛び上がった事に驚いていた。だが、時雨はそれどころではなかった。息は荒く、身体中は汗でびっしょりだ

 

 時雨は辺りを見渡した。窓からは夕日が差し込んでいる。そして思い出した。確か夜戦に備えて仮眠していたんだった。そのはずだ。念のため、確認した

 

「夕立、僕たち今は何をやっているんだったっけ?」

 

「硫黄島上陸の支援のための任務っぽい。陸海空軍が残党を制圧するのを支援……って時雨はどうしたっぽい?」

 

 夕立は説明したが、時雨は何も言わなかった

 

 不自然な行動で夕立が不審に思うのも無理はない

 

「いや、ちょっとした悪夢を見たんだ。心配しなくていいよ」

 

 時雨は安心するようにニコリとしたが、夕立の表情は変わらなかったため、今の時雨の笑顔はぎこちないのだろう

 

「本当に大丈夫だから。だって、僕は色々あったし」

 

「それならいいけど……あまり無理はしないでほしいっぽい」

 

 夕立は時雨がどんな目にあったかは知っていたため、取り敢えずは納得したらしい

 

「それで、硫黄島はどうなったの?」

 

「残党は全て逮捕したから、作戦自体は終わりっぽい。これからみんなも上陸するっぽい」

 

 夕立曰く、予定よりも早く制圧できたらしい。というのも空挺部隊による奇襲攻撃によってあっけなく制圧できたらしい

 

 田中湊も武田副社長も居ないため、統制は取れていなかったらしい。深海棲艦の方からの攻撃も無かった。戦艦水鬼改は停戦協定を守ったという事だ

 

 しかし……今の夢は何だ? ただの悪夢だとしたら、それで済む話だ

 

 だが、こんな話を皆は信じないだろう。あの夢が正夢だったとしても、その夢は明らかに未来の話だ。時雨は預言者でも何でもない

 

 

 

「……悪夢……ねぇ……」

 

 提督に呼び出された時雨は、艦長室にいた。結論から言うと、悪夢の事を提督に話したのだ

 

 何故、こんな事になったのかと言うと、悪夢を見た事で夕立は明石さんに診てもらうよう進言した。時雨は断ったが、夕立は半ば強引に連れていかれた

 

 最初は抵抗したものの、白露や吹雪に睦月如月、挙句の果てには大和にお姫様だっこされて連れていかれた

 

 青葉に見つかってしまい、大和にだっこされている姿を写真にたくさん収められてしまった

 

 提督までも心配され、何があったのかを話すよう言われた

 

 流石に長い間、一緒にいた提督相手には噓は通用せず、正直に話した

 

 話を聞いた提督は、笑いも呆れもせず、ただ真剣な表情になっていた

 

「本気にしなくていいから。ただの──」

 

「スタジアムで観客が一斉に歌った歌は聞いたことがあるって言っていたな」

 

 時雨は気にしないよう言ったが、提督は考えながら聞いて来た

 

「えーっと、英語だったから分からない」

 

「そうか。ちょっと待ってくれ」

 

 提督はそういうと艦長室から出た。数分後には提督はアイオワとサラトガを連れてきた。ただ、彼女たちはレコード数十枚とカセットテープをたくさん持ってきた

 

「Hi、持ってきたよ」

 

「何を?」

 

 アイオワは陽気な挨拶をしたが、時雨は頭がこんがらがった

 

 提督は何をする気だ? 

 

「夢の話だが、君が聞いた歌は有名なものかもしれない。目出度い式典で流すとなると限られてくる」

 

「え?」

 

 そのため、時雨は音楽を聴く羽目となった。アイオワとサラトガは夢で聞いた歌を探す手伝うためにカセットテープやレコードを持ってきたのだ。勿論、スピーカーから流れる曲はほとんど時雨が知らないものだったため、精々夢で流れた歌とは違うぐらいしか分からなかった

 

 しかし、意外にも夢で聞いた歌は早く見つかった

 

『Mine eyes have seen the glory. Of the coming of the Lord; He is trampling out the vintage──』

 

「これだよ! 僕が聞いたのは!」

 

 時雨は飛び上がり耳を傾けていた

 

「だけど、ちょっと違う。ちゃんと聞いていなかったからもあるけど。これは何の歌?」

 

「これは『リパブリック讃歌』というもの」

 

 サラトガはさらりと答えた。聞くことによると、リパブリック讃歌はアメリカの行軍曲に当たるらしい。以前に鎮守府で曲を流したことがあったとの事だ

 

「アメリカでは替え歌で歌詞が変わったりしていますから」

 

「替え歌かどうかは兎も角、メロディーは変わらないはずだ。確かに夢で聞いたんだな」

 

 サラトガは説明をしていたが、提督はサラトガの説明を遮ると時雨に質問した

 

「う、うん。でも、夢だよね」

 

「──そうだな。確かに夢だ。浦田結衣を倒すために使った柳田教授の薬品の影響もあるだろうから、今日は休みな。現段階での任務は哨戒だけだから、休めるうちに休んでおけ」

 

「わ、分かった」

 

 時雨は素直に引き下がったが、内心は納得しなかった。確か、提督の父親はアメリカに行ったことがあったと聞いたことがある。となると、アメリカの事を知っているという事だ

 

 なので、素直に出て行くとこっそりとドアに耳を当て聞き耳を立てていた

 

『──奇妙な現象や報告は慣れてきたが、これは予想外だな』

 

『Yes。だって、悪夢にしてはリパブリック讃歌を聞くなんて』

 

 提督とアイオワは深刻そうに話していた。あの讃歌で深刻そうに話すなんて。恐らく、アイオワもサラトガも時雨の夢について提督から聞いたらしい

 

『アドミラル、考え過ぎよ』

 

『サラ、これは重要な事。時雨が聞いたのは替え歌かも知れない』

 

『そうだな。リパブリック讃歌は確かアメリカでは愛されている曲だ。替え歌になるくらいだ。統治者が何者か知らないが、恐らく統治者を讃歌に変えられてしまっているのだろう。勿論、根拠は全く無いが』

 

 サラトガは否定したが、アイオワと提督の指摘によって何も言えなかった

 

『明日になったら伝えるはずだけど、君たちに言っておく。硫黄島の件は『磁気ワームホール』を鹵獲する事だ。イントレピッド達は脱出の際に壊したと言っているが、修理して稼働させたかもしれない。だから、柳田親子がその装置の分析作業にかかっているが』

 

 提督の説明に時雨は驚いた。磁気ワームホールを鹵獲するつもりだ

 

 しかし、同時に納得するところもあった。確かに残党が修理させ稼働させるかもしれない

 

『ああ、大丈夫だ。まだ稼働していないから心配することはなかった。だけど、柳田教授は初めての機械を見て頭を抱えていたよ。一緒に作業を手伝っていたターズも高電圧に突っ込んでしまって危うく壊れる一歩手前だったらしい。本当かどうかは分からないが。それは兎も角、柳田教授から修復作業に入ったという連絡を受けた30分後に時雨の様子がおかしいと夕立から聞いた』

 

 提督の説明にアイオワとサラトガが息を飲む声が聞こえた

 

『まさかとは思うが……いや、そんな訳は無いか』

 

 時雨はこれ以上、長居は無用と判断して静かに去って行った。提督が何を考えているか想像がつく

 

 時雨や仲間が生物兵器によって全滅一歩手前の所を大和たちは平行世界を伝って田村1尉がいた世界へ行こうとしていた。しかし、提督の父親である博士によると、平行世界……つまり、別次元の世界は無数にあるという

 

 実際に大和たちは恐竜の世界へ行ったり、エジプト文明のピラミッドを目撃したりしていた

 

 写真どころか、恐竜の卵まで持ってきたのだから信じるほかは無いだろう

 

 ……そうなると……僕が見た夢は……

 

「あれはただの夢だ」

 

 時雨はそう言い聞かせた。そんなことがあってたまるか

 

 

 

 戦争の末、艦娘が敗北し統治者とやらが世界を支配し、それどころか神のように崇められている世界線などあってはならない事だ

 

 浦田重工業でさえ失敗したんだ

 

 そんな世界線は存在してはいけないんだ

 

 

 

 翌日

 

 時雨はニコリとしなかった。悪夢はもう見ることは無かったが、悪夢についてどうしても頭から離れられなかった

 

 だが、現実にはそんなことは起こっていないため、夢と割り切っていた

 

 それにこちらには大和がいる。柳田教授に無理を言って新大和に大改装し、荷電粒子ビーム砲とやらをぶちかませば統治者もやられるだろう

 

 以前、大和はこんな事を言ったことがあった

 

「また強敵が現れたら、私は新大和となって戦います。仮に私が大改装に失敗して身体が木端微塵になろうとも戦って勝ちます」

 

 皆は止めとけ、と言われ大和も一緒に笑ったが、時雨は見逃さなかった。大和の目は笑っていなかった

 

 

 

 硫黄島

 

 硫黄島の秘密基地は軍が制圧し、逮捕者は本国へ送還した。彼らは法の裁きを受ける必要があった。あちこち空爆したんだ。それなりの罰を与えるべきだろう

 

 戦闘が終わると提督と艦娘達は上陸した。イントレピッドやガンビアベイは一度足を運んだことがあって直ぐに目的の場所へ着いた

 

「提督。こっちです」

 

「パパが磁気ワームホールを起動できるようにしたって」

 

「そうか。なら、帰れそうだな」

 

 陸奥と優子は提督と艦娘達が近づいてくるのに気が付くと歓迎してくれた。2人は喜んでいるだろうが、どこか寂しそうだ

 

 折角、陸奥や他の艦娘と会えたのにまた別れるとなると寂しくなるのは仕方ない

 

「この世界で観光はしたんだろ?」

 

「はい」

 

「だけど、まだやりたいことがある。教授は何処だ?」

 

 提督は教授に用があるらしく、陸奥と優子に案内された

 

「柳田優子二2尉が帰られるなんて寂しくなりますね」

 

「うん」

 

 大和が話かけられても時雨は上の空だった

 

 それに気づいた大和は時雨に言った

 

「……時雨。私の意志は変わっていません。もし、強敵が現れたら、例え命を落とすことがあっても全力で戦います」

 

「大和さん」

 

「アイオワさんから聞きました。私は戦うために作られた戦艦。それを全うするためです」

 

 大和は周りの艦娘に聞こえないよう言った。恐らく、時雨の悪夢について聞いたのだろう

 

「ですから、貴方だけ抱え込まないで」

 

「うん」

 

 時雨は頷いた。あれは夢かも知れない。だが、もし正夢だったら、全力で戦うまでだ

 

 

 

 そう思っていると提督が帰ってきた。後から柳田教授が付いて来たが、目にクマができている

 

「これから任務を伝える。ああ、その前に重要な情報を伝えないとな。残りのF-14の行方が分かった。これを使って確認しに行くぞ」

 

 提督の任務に皆は騒然としたが、意外にも皆はそこまで動揺はしていなかった

 

「異常な事が起こり過ぎてみんな感覚が麻痺しちゃっている」

 

「ふふふ」

 

 時雨の呆れに大和は笑った。まだまだ頑張らないといけないらしい

 

 

*1
軍隊に音楽を演奏する部隊があるは国内外に隊容を見せつけるためであり、一種の軍事行動でもある。自衛隊では『音楽隊』として活動している。パレードの起源は某テーマパークではなく軍隊である




時雨「夢で聞いた曲とちょっと違うような……」
提督「もしかしてこれか?」
時雨「結構、明るい曲だけどこれは何?」
提督「ある家電量販店が流すメロディー」
時雨「何処から持ってきたの?」


え?時雨が見た夢はただの夢かって?
さあ……どうなんでしょう
次話はF-14が行ったであろう世界へ
ということは……


※今回初めて歌詞(使用楽曲情報)を使いました
リパブリック讃歌自体は著作権が切れていますが、今回は日本語訳はせず原曲の一部をそのまま掲載しました(流石に替え歌はNGですが)
勿論、歌詞使用のガイドラインに沿って執筆しましたが、もし間違っているという指摘があればメッセージ等で知らせて下さい
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