時雨の緊急任務 ~リベンジ~   作:雷電Ⅱ

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第7話 襲撃

「今のは!?」

 

 付近で爆発音が鳴り響いた時に時雨が皆よりも早く反応した。煙が見えるか否や警備している警察官は混乱する民衆を抑えていた

 

 だが次の瞬間、警官達の間で驚愕すべき行動を起こした

 

「なっ、お前! 何を!」

 

 警官隊の数名が何と同じ警官に銃を向けて発砲した。警官達は突然の出来事で撃たれた。慌てて反撃しようと銃を手に取る警官も居たが、何と反乱してきた警官はサブマシンガンを持っていたのだ。通常の警察官は拳銃しか持っていない事もあり、たちまち全滅してしまった

 

 

 

「警察官同士戦っている?」

 

「早く車へ!」

 

 陸奥が警官の戦いに驚いていたが、神州丸は鋭く言った。神州丸は只事ではないことを理解するとやることはひとつだ

 

「提督、急いで!」

 

 時雨は提督の腕を掴むと全速力で走った。後ろで何やら提督が言っていたが、少なくとも暴走した警官達へ向けての罵倒だった

 

 陸奥も夕立も駆け出し、神州丸が発砲しているであろう拳銃の銃声が鳴り響いた

 

 腕は良く、時雨の前に立ち塞がりこちらに銃口を向けている警官へ一発で倒しているのだ。走りながらチラリと倒れている警官を見ると頭部から血が出ていた

 

 だが、時雨は警官の死体よりも警官の服に装着している武器類に驚いた

 

 サブマシンガンだけでなくグレネードやアサルトライフルなど持っている。どう見ても警察標準の武装ではない

 

「陸奥、早く車の準備をしろ! 後は頼むぞ!」

 

「敵の見分け方はどうするの?」

 

「こちらを撃ってきている奴等を攻撃しろ!」

 

 トランクから艤装や武器を取り出しながら提督はテキパキと指示した。しかし、時雨は兎も角、夕立は人に向けて撃つ事は難しい。いや、人を倒す事に抵抗を感じている訳ではない。我先に逃げようとしている民間人に流れ弾が当たる危険性があるため撃てないのだ

 

 提督も拳銃で応戦していたが、提督は特殊部隊の人間ではない。相手は物陰に隠れるなどしてかわす始末である

 

 まして、機銃なら兎も角、軍艦の主砲になると二次被害が懸念される

 

 襲撃する相手は、それを利用していることもあるが

 

 そうしている間も銃弾の雨が車に降り注ぐ。その場に応戦していた警官隊は全滅した。応援が来るまで時間がかかるだろう

 

「提督、危ない!」

 

 陸奥が叫ぶと同時に車の前に立ち塞がった。時雨は陸奥の行動に驚いたが、敵の1人が何をしているかを見て愕然とした

 

 何と敵の1人がバズーカを持っているのだ。M9バズーカが火を吹き、ロケット弾は陸奥に命中。盛大に爆発したが、陸奥は耐えきった。戦艦の防御力では、対戦車ロケットでは倒せないのだ。その代わり、敵は陸奥を集中砲火した。銃弾の雨が降り注いだ

 

「ちょっと! いい加減にして欲しいんだけど!」

 

 陸奥は苛立ちながら叫んだ。確かに艤装を付ければ、小火器の打撃では問題はないだろう。だからといって気持ちいいものでは無い。また、相手もバカではない。M9バズーカ砲を持ってきている事から、テロリストはこういうのを想定している

 

「う、撃っていいっぽい?」

 

「ダメだよ! 民間人がいる!」

 

 夕立が撃つか迷い、時雨は止めさせた。観客の人や来賓の人達は逃げたが、腰を抜かして動けない者や泣きわめいている者もいる。駆逐艦の主砲ではオーバーキルどころか、街を破壊しています。対空機銃で応戦しているが、敵は物陰に隠れているため狙い付けない

 

 時雨達は苦戦していたが、それでも時雨は敵がただ者ではない事ははっきりとした

 

 何かしらの軍事訓練は受けている! 

 

「陸奥、車のエンジンをかけろ!」

 

「で、でも」

 

 陸奥が抗議しようとしたが、バズーカを持っている敵が一発で倒れた

 

 神州丸が拳銃一丁で応戦している

 

「陸奥は早く運転席に! エンジンを回して!」

 

「相手はただ者ではないわ! 私達の艤装ではオーバーキルの武器しかないわ!」

 

 陸奥は反論したが、神州丸から返事はない。その代わり、神州丸は敵に向けて一発発砲。遠くにいたロケットランチャーを持っている敵がくたばった。距離は結構あるのに、拳銃一発で遠距離の敵を仕留めるのは早々居ない

 

「分かったわ! 時雨と夕立は応戦して!」

 

「「分かった(っぽい)」」

 

 陸奥はここは神州丸に任した方がいいと判断して運転席に素早く向かった。時雨と夕立は陸奥と入れ替わるように応戦した

 

 小火器でも駆逐艦娘相手には効果は薄い。なので、隠れている敵に向けて機銃掃射した

 

「当てなくていい! 牽制になるから!」

 

「分かったっぽ──」

 

 夕立は返事するのが終える前に夕立が見えない力で吹っ飛び、地面に叩きつけられた

 

「対戦車ライフルだ! 気を付けろ!」

 

 提督は夕立の飛ばされ方を見て敵の武器を見破った。艦娘相手に対戦車ライフルは耐えたが、威力までは相殺されなかった。夕立は平気だが、代わりに艤装に穴が空いてしまった

 

 夕立に駆け寄ろうと時雨は動き始めたが、嫌な視線を感じて咄嗟に動きを変えた

 

 その時、時雨の前方の道路に突然、コインよりも大きい穴が出来た。狙撃者は時雨を狙っている! 

 

「神州丸さん! スナイパーが!」

 

「分かっている。さっきの銃撃でスナイパーを発見した」

 

 神州丸は即座に車のトランクからスナイパーライフルである九七式狙撃銃改を取り出した。そして、立ったままスコープを覗くと同時に引き金を引いたのだ

 

「ボーイズ対戦車ライフルをもっているとは油断できませんね」

 

 神州丸の狙撃能力に時雨は舌を巻いた。恐らく、敵のスナイパーが夕立も時雨も何処にいるのか分からなかったのだ。神州丸は着弾で分かったらしい。特に神州丸の身体能力は凄まじい。手榴弾が投げられてもキャッチし即座に相手に投げ返しているのだ

 

 防戦ではあるが、それなりに耐え抜いている。そして、ようやく車にエンジンがかかった

 

「早く乗って!」

 

「よし、乗って脱出するぞ! 時雨、夕立も中へ!」

 

 陸奥と提督の合図で二人は飛び乗るように乗った。神州丸は拳銃と狙撃銃で確実に倒しながら車に乗り込む

 

「よし、出せ!」

 

 提督の叫びと同時に車は急発進した。現場には人気はおらず、道路には死体があちこちあるだけだ

 

 いや、一人の人間がいた。その者は警官服を来ていたが、肢体には目をくれず無線機を使って次のように話していた

 

「標的1が逃げた。黒い送迎用車に乗っている」

 

 

 

 都内の道路は混乱していた。爆発が複数と銃撃戦があったことから蜘蛛の子を散らすように民間人は逃げた。また、警官同士で戦闘があったことから、警官も重要人物を護衛に専任するしかなく、マスコミも戦闘に巻き込まれたことからこちらも逃げるしかなかった

 

 そんな混乱している道路から一台の黒い車が猛スピードで走っていた。明らかに道路交通法違反なのだが、今はそれを引き留める警官はいない

 

 その黒い車は銃痕の痕だらけだが

 

「信じられん! 攻撃されるなんて!」

 

「情報は何も聞いていなかったの!? テロの予兆は?」

 

「無い!」

 

 車の中で時雨は聞いたが、提督は首を振った。こんな大規模なテロを起こすのには、準備が必要なはずだ

 

「鎮守府まで走れ!」

 

 提督は叫んだ。それはある意味、正しい判断かも知れない。賀鎮守府からそう遠くない。艦娘も少数だが502部隊の人もいるため、安全だ

 

 但し、1つ問題があった

 

「提督さん、無線が繋がらないっぽい!」

 

「僕のもダメ! ノイズしか聞こえない!」

 

「ここ一帯に妨害電波を流しているのか? これは只のテロではないな!」

 

 艦娘同士の無線だけでなく警察無線も軍用無線も雑音ばかりで繋がらない。国葬であったため、暗号化無線は持っていない

 

 これでは鎮守府どころか、博士達と連絡が取れない。博士だけでなく、502部隊の大佐もあきつ丸も無事だといいのだが

 

 車を走らせる中、突然脇道から一台のパトカーが現れ、サイレンを流しながら追跡した

 

「警察が来たっぽい」

 

夕立は喜んだが、その喜びは直ぐにぬか喜びとなった

 

何とパトカーから警告なしに銃撃してきたのだ。しかも、アサルトライフルで

 

「警察じゃない! 敵だ!」

 

「本当に警察じゃないの?」

 

「特殊部隊ですらない普通の警官が軍用銃なんて持ってる訳ないだろ。偽物だ! 排除しろ!」

 

 時雨はまさか警官が攻撃するとは思っていなかった。しかし、提督は追跡している警察は偽物であると見破った

 

 相手は車を走りながら連射して撃っていることから、命中率は悪い。陸奥の回避運転もあるだろう。しかし、マグレで当たることもある

 

 時雨はパトカーを排除すべくパトカーに主砲を向けた。この距離では当たるが、外すと不味い

 

 陸奥がハンドルを切らない限り、外すことは無いだろう

 

(残念だったね……提督は殺らせない)

 

 時雨は心の中で呟くと主砲を発砲。パトカーは大破し吹っ飛んだ

 

「提督、敵を排除した」

 

「陸奥、もっとスピードを上げろ!」

 

「もう限界よ!」

 

 時雨の報告を聞いた提督は陸奥に命じたが、陸奥はそれどころではなかった

 

 交通統制されていたとは言え、爆発と銃撃で車と人が道路上、ごった返していた。陸奥は、紙一重で回避しながら車を進めていたが、あまり早く走ると事故を起こしてしまう

 

 そのため、思うように進めない。そんな中、後ろから一台のバイクが車や人をすり抜けながら高速で迫ってきた。ヘルメットのせいで素顔は見えないが、ライダーは拳銃を持っている。車に近づくや否や発砲し始めた

 

「また敵だ!」

 

「警察は何をやってるんだ……神州丸、排除しろ!」

 

 時雨の警告で提督は瞬時に指示した。今まで潜んでいたのか? それとも、数年前からひっそりと計画していたのか? そんな情報は無かったが

 

 だが、それは鎮守府に帰って分析するしかない。命令を受けた神州丸は、返事はしないものの、二丁の拳銃で応戦。神州丸が放った銃弾は全て敵が乗っているバイクに命中。バイクは横転し、ライダーは道に放り投げられた

 

「よくやった! また、来るぞ!」

 

 提督は叫んだが、またバイク三台がやってきた。しかも、再びパトカーもやってきている

 

 警官とライダーが持っている銃は全てこちらに向けている

 

「警察は何をやってるんだ! 陸奥、急ブレーキをかけろ!」

 

「分かったわ!」

 

 陸奥は提督の命令の意図を理解したのだろう。陸奥はブレーキを踏み、時雨達は身体が持っていかれないように踏ん張っていた。急ブレーキをかけたことにより、バイク二台は慌てて回避したが、バイク一台はこちらの車に激突。ライダーは道路に転倒した。パトカーも操縦をミスったらしく電柱に激突した

 

 提督は道路で蹲っているライダーを拳銃で射殺すると、陸奥に怒鳴った

 

「早く出せ!」

 

「滅茶苦茶よ!」

 

 陸奥は不満そうだったが、今はそんな事を言ってられない。車は再び発進し、回避した二台のバイクは再び追跡を始めた

 

 カーチェイスが再び始まり、銃撃戦が始まった。銃声と車の爆走に道路にいた人々は悲鳴を上げて逃げているのに、警官はいない。いや、いたのはいたが右往左往している者やパニックを起こしている人達に対応しているのがいるだけでこちらには構ってくれない

 

「反撃しろ!」

 

 提督が叫んだと同時にガラスが突然割れた。陸奥は見えない何かにぶつかったかのように運転席に叩きつけられぐったりとした

 

「陸奥さん!」

 

「夕立、時雨。運転席から陸奥を引っ張り出せ! 俺が運転する!」

 

 夕立と時雨は座席を倒してぐったりしている陸奥を運転席から力強く引っ張り出した。提督は入れ替わるように運転席につくと運転を始めた

 

「陸奥さん大丈夫っぽい!?」

 

「大丈夫。気を失っているだけ」

 

 夕立は心配そうにきいたが、時雨は脈拍をとって生きている事を確認した

 

 恐らく、対戦車ライフルを持ったスナイパーが運転席を狙撃。簡易艤装を纏った陸奥は無事だが、頭部に当たったことから脳震盪を起こしているのだろう

 

 その間、神州丸は2丁両手で持って、追跡しているバイク相手同時に発砲して正確に当てていた。バイクも応戦したり回避したりしていたが、最終的には二台とも神州丸に仕留められた

 

「う、上手いね」

 

「これくらいは慣れていますから」

 

 時雨は神州丸の戦いぶりに驚きを隠せずにいた。艦娘は海上戦が主であるため、地上戦闘はそこまで得意としていない。まして、艤装はあれど小火器を使った事はほとんど無い。神州丸は小火器を使い慣れている。陸軍の艦船だからだろうか? しかし、神州丸って二丁拳銃の使い手だったっけ? 二丁拳銃はあまり実用的ではないような気がするが

 

「う、う~ん……」

 

「陸奥さんが起きたっぽい!」

 

 夕立の叫びに提督は運転しながら言った

 

「無事か?」

 

「大丈夫よ。頭を少し打っただけだから」

 

 陸奥は片手で頭を擦りながら答えていたが、陸奥が受けたのは、ボーイズ対戦車ライフルの13.9mm弾。簡易艤装を纏っていなければ即死だっただろう

 

「おい、聞け。前から敵が乗ったバイクが来ている!」

 

「提督、僕が倒す!」

 

 時雨は助手席に行こうとしたが、提督が制止した。バイクは発砲していないものの、銃を身につけ猛スピードで近づいてきている事から明らかに敵だった

 

「いや、尋問する。陸奥、あれを素手で捕まえろ!」

 

「っぽい!?」

 

「無茶だよ!」

 

 無茶振りの命令に夕立と時雨は目を見開いた。そんな事が出来るわけ……

 

「分かったわ」

 

 陸奥はそう言うと、窓を開け手を伸ばした。バイクと車がすれ違う瞬間、陸奥の腕にはライダーの胸ぐらを掴んでいた。ライダーを失ったバイクはそのまま転倒して大破していた

 

「は、離せー!」

 

 時雨と夕立と神州丸は勿論、敵のライダーも驚いていた。まさか、掴まれるとは思いもしなかったのだろう。片手で成人男性を持ち上げられることは駆逐艦娘や巡洋艦娘は無理だろう

 

 しかし、提督は驚きもせず運転しながらライダーに怒鳴った

 

「何処の者だ! 調子に乗るなよ!」

 

「くたばりやがれ!」

 

 相手のライダーは提督の質問には一切答えず、陸奥の手を振りほどこうともがいているが、陸奥は手を離そうとせず、ピクリとも動かない

 

「もういいぞ。捨てておけ」

 

「では、あそこに投げるわ」

 

 車が丁度、橋に差し掛かったため、提督は川に投げ捨てるよう指示。陸奥も敵テロリストを川岸に当たらないように投げ飛ばした

 

 水しぶきが上がったため、上手く水に落とした。……無事かどうかは確認出来ないが、地面に投げつけるよりかはマシのはずだ……多分

 

「提督殿、鎮守府まで少しです」

 

「鎮守府も攻撃を受けていないだろうな?」

 

 提督は心配していたが、妨害されているため状況が分からない。だが、時雨は上空で航空機を発見した。あれは艦娘の艦載機だ。それも……

 

「提督、10時の上空に彩雲だ!」

 

「鎮守府は心配ないようだな。このまま突っ切るぞ!」

 

 一同は一安心した。敵が追尾していないため、逃げ切れたのだろう

 

「ねぇ、提督。相手はどうやって──」

 

 時雨が提督に質問した時、視界が暗転した。突然の出来事で何が起こったのか、理解に追いつかなかった




おまけ
時雨「神州丸さん、凄いですね」
神州丸「あったりめぇよ」
時雨「え?(雰囲気と口調が変わった?)」
神州丸(?)「クソクソ!ふッざッけッンッじゃあ―――ねェぞッ!事故もへッたくれもあるか――ッ!この野郎!!」
夕立「提督さん、神州丸さんがおかしくなったっぽい!」
提督「そりゃそうだろ。『ブラックラグーン』のある人物から憑依されたんだから。お陰で銃撃戦は楽勝だったから結果オーライだが」
時雨「え?そんな凄い人が憑依したの!?というより、そんな事あり得るの?」
提督「だって中の人は一緒だから」
時雨「メタ発言はやめよう、提督(というか神州丸さんを元に戻して)」


銃を2丁両手で持って、同時に発砲というのはフィクションの中だけの話ですが、やっぱりカッコイイですね。
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