時雨の緊急任務 ~リベンジ~   作:雷電Ⅱ

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皆さん、こんにちは
お待たせしました。予定よりも遅れてしまい申し訳ありません
それはそうと
突然ですが、私雷電Ⅱは艦これが神ゲーだと気づきました(笑)
え?何を言っているのか分からないと?
東欧での某戦争を見て、戦いにおいて軍に必要なのは補給、兵士の士気、兵器と兵士の質量のバランスが如何に大事かというのが分かります。これらが無ければ戦えません。しかし、今回のイベント……ラスダンのボスと随伴している敵が固い、強い、ウザいです
資源を出し惜しみせずふんだんに使い、全員をキラ付けし、基地航空隊や支援砲撃の準備をし、極限まで改修した兵装と改装最大に指輪を渡した艦娘の艦隊でもE5の海域で難易度甲のボスを倒せませんでした
難易度を乙に下げて攻略し無事に終わりましたが、結果的に甲でしか手に入らない装備を入手するチャンス(HF/DF + Type144/147 ASDIC)と甲種勲章を失いました
やっぱり神ゲーです。識別札という制限や大量のギミックでどれを出撃させればいいのか悩みます。攻略するだけでも一苦労です
そうです!これが現代の艦これです!
ようこそ、艦これの世界へ!

提督「それって一般的にクソゲーっていうんじゃ(ry」
時雨「シー!言っちゃダメだよ。でも、仕方ないよ。ウマ娘の育成もガチャも上手くいかず、遊戯王デュエルリンクスで雑魚カードしか引けなくて落ち込んでいたから」
提督「何をやっているんだ?というか、作者は遊戯王もやっていたのか。しかし、艦これアニメ二期の映像が公開されたのを見て驚いていたと言っていたな」
時雨「僕があんな姿になっているなんて、アニメ二期の世界へ行ってみたい!」
提督「出来ないことは無いけど、無理だろう。長編になると、ややこしくなるって。そんな事より、あいつらは無かったことにするのか?」
時雨「あいつらって……あっ」

吹雪、深海吹雪、如月、深海如月、泊地棲姫「「「「「ジッー……」」」」

提督「黒歴史に?」
時雨「………………うん」
吹雪「それはあんまりです!」
如月「如月は身体を張ってまで頑張ったのに!」
泊地棲姫「私ナンカハ一話デヤラレタンダガ」
時雨「いや、その時の僕はアニメに登場していなかったから」
吹雪「嘘つかないでください!風呂に入っていたり、赤城さんの大盛カレーに隠れていたりしているのは分かっていますから!」
時雨「えー!何で知っているの!」
吹雪「ネット動画配信サービスで必死になって探したから。ウォーリーを探すレベルで探すの大変でした!後、白露も村雨も探すのも大変でした!」
時雨「メタ発言止めてくれない?」


艦これアニメ2期楽しみにしています!


最終話 観艦式と演出

 トラック島

 

 トラック島では異変が起こっていた。銀色の巨大な金属の塊があちこちゴロゴロと転がっていた。駆逐イ級や軽巡ツ級、そして潜水カ級など大勢の深海棲艦が金属の塊を置いている。どうやら、海底や漂流物を拾い上げトラック島に集めているらしい

 

「コンナノ……ガラクタダ」

 

「新型爆撃機ノ残骸ダ」

 

 集積所棲姫は資源ですらないゴミを見て肩を落としたが、深海棲艦のボスである戦艦水鬼改は違った。彼女が部下に命じて拾い集めているのは何とB29の残骸である

 

 浦田結衣に対して核攻撃しに在中米軍基地から出撃した爆撃機である。勿論、あっさりと撃墜され搭乗員全員、帰らぬ人となった

 

 戦艦水鬼改はB29の機首に書かれている文字を見て鼻で笑った

 

 そこには『Enola Gay(エノラ・ゲイ)』と書かれている

 

「アノ女、手コズッタ兵器ヲ簡単二撃チ落トシタノカ」

 

 戦艦水鬼改は銀色の金属の塊を睨みつけながら吐き捨てていた

 

「コンナ物ヲ集メテドウスルノ?」

 

「コレヲ深海棲艦仕様ニスル」

 

 湾港棲姫は聞いたが、戦艦水鬼改の考えに姫級鬼級は驚いた

 

「シカシ、コレヲ操ル姫ハイナイ」

 

 飛行場姫は怪訝そうに言った。いくら深海棲艦でも短期間で戦力が増強出来る訳がない

 

「ソウカ、ナラ、新タナ仲間ヲ建造スルマデ」

 

 戦艦水鬼改は指を鳴らした。その合図とともにこちらにやってくる者がいた

 

 それは飛行場姫と姿はよく似ていた。しかし、額にはお札のようなものが貼られ、長く余らされた袖の服を着た姫級がやって来た

 

 人間が見たら中国妖怪であるキョンシーと言うに違いないだろう

 

「彼女ハ超重爆撃飛行場姫ダ。コノガラクタヲ深海棲艦ノ艦載機二改造シロ」

 

「イイヨ♪」

 

 超重爆撃飛行場姫はニヤリとすると両手を空に伸ばした。袖は垂れ下がっているが、誰も指摘しなかった

 

 他の鬼級姫級は笑わなかった。何故なら、彼女の能力が発動したからだ

 

 浦田結衣のレーザー砲で四散しスクラップとなったB29の金属の塊が、見えない巨人の手が持ち上げられたかのように宙を舞い始めた

 

 ガラスの破片、エンジン、銀翼、機銃などが宙を舞い変形していく。そして、ガラクタが魔法のように変形したり合体したりし始め、たちまち無数の銀色の丸い深海棲艦の航空機に成り代わって行った。数機は海に出ると爆弾を落とし他の姫級鬼級に爆撃を見せつけた

 

 大型爆弾だったらしく、投下した海域から巨大な水柱が何本も立ち上がった

 

「停戦協定ノ期限ガ過ギタラ、直チニ作戦開始ダ」

 

 戦艦水鬼改は冷たく言った。浦田結衣という敵は居なくなった。なら、こちらのやる事は一つだ

 

 

 

 昼過ぎになると鎮守府祭の演し物は終了した。午後からは観艦式があるからだ

 

 会場もせっちされているため、観客は移動を開始した

 

 田村1尉と時雨は一旦別れることになったが、その直前にある二人組とすれ違った

 

「なんで、帰国しないといけないんだ? 折角、ここに馴染んだのに」

 

「上からの命令だから仕方ないよ。あ、同志1尉、お疲れ様です!」

 

 ガングートとタシュケントは愚痴をこぼしながら工廠へ向かっているのと出くわしたからだ

 

 時雨は田村1尉にガングートとタシュケントについて紹介した

 

「同志1尉、貴方の世界ではソ連は復活していますか?」

 

「あー……復活しそう……かな?」

 

 田村1尉は困惑しながらも応えた。時雨は分からなかったが、実は田村1尉がいる世界ではロシアはある国へ侵攻し領土を奪ったからである

 

 だが、ガングートとタシュケントは目を輝かせており、田村1尉も困っているため、時雨は話題を慌てて変えた

 

「そういえば、帰国って言っていたけど」

 

「ん? ああ、本国から連絡が来てここへ行け、って命令してきた。しかも内陸。艦娘なのに、陸戦でもさせるなんて」

 

 ガングートは紙を見せながら、苛立ちを隠せずにいた

 

 確かに艦娘は海上で力を発揮する。陸地でも稼働可能であるが、陸戦だと艤装は目立ちすぎるし、行動に支障が生じる

 

 浦田結衣のように無敵にはなれない

 

 紙に書かれているのは全部ロシア語だ。何が書いてあるかもわからない。地図もあり、目的地への矢印を指していたが、明らかに内陸地だ。距離からして海から離れている

 

「まさか、ロシアは艦娘を強制労働させるためとか?」

 

「そ、そんな事はしない。ソ連はそんな事は……えーっと……」

 

 タシュケントは反論しようとしたが、なぜか否定は出来なかった。『艦だった頃の世界』のソ連の記憶でも蘇ったのか? 

 

 だが、田村1尉は地図を見て安心させるように言った

 

「心配するな。強制収容所送りではないだろう」

 

「そうだよな、ソ連がそんな事をするはずがない」

 

「ただ……」

 

 ガングートはそう言ったが、田村1尉は眉をひそめる

 

「この場所は……ツングースカ大爆発が起こった場所だな」

 

「ツングースカ大爆発?」

 

「ああ。確か1908年に隕石が落下した場所だ。地表と衝突する前に爆発して人々は驚いたそうだ」

 

 タシュケントは話を聞いていたが、真顔で時雨の方へ顔を向けた。時雨も同様だ

 

 そして肝心の質問を聞いた

 

「隕石? それって規模はどれくらい?」

 

「日露戦争直後の事だったから詳しい調査はしていなかったから分からなかったらしい。ただ、地球上にはほとんど存在しない鉱物も見つかった事から隕石が落下したものだ」

 

「ど、同志1尉。詳しいんですね」

 

 タシュケントも静かに聞いた。田村1尉は怪訝そうな表情になったが、彼女の心配が分かったのか安心するように言った

 

「知り合いに宇宙作戦群*1という宇宙を監視する部隊があるんだ。その時に隕石について聞いた。しかし、問題ないだろう。1908年の出来事だ。浦田社長のような人はロシアに現れたか?」

 

「そうね。同志の言うとおりだ」

 

 タシュケントは安堵した。確かにワームホールが出来ていたら、多少は耳に入るはずだ

 

 だが、ガングートは地図を見ながら困惑していた

 

(そう言えば核攻撃を主張した司令官の行方が気になるな)

 

 ロシアの情報だと欧州を侵攻してきた浦田結衣や深海棲艦をヨーロッパもろとも核で焼き払おうとしたロシアの司令官は解任された。だが、彼の行方は不明だ

 

 暗殺された、という噂は聞いたことがあるが、ロシアでは珍しくない

 

 それがただの噂に過ぎず暗殺でなかったとしたら……

 

 

 

 工廠では大騒ぎだった。艤装を纏って観艦式を披露するためだ

 

 艤装の点検整備は夕張や明石が念入りにチェックしている。だが、一部の艦娘は艤装が別室で用意されていた

 

「時雨達はこっちの艤装を使ってください!」

 

 明石は作業テーブルに並べられた艤装を指さしながら言った。アイオワとガリバルディは喜んでいたが、時雨と大和とイントレピッドは啞然としていた

 

「ねえ……明らかに手を付け加えた形跡があるんだけど」

 

 イントレピッドはテーブルに置かれている自分の艤装に指を差した。明らかに何か細工された跡がある

 

「実は観艦式にあたって超改装する姿を見せる事が決まったのです」

 

「え?」

 

 夕張の爆弾発言に時雨は驚いた

 

「どうして?」

 

「田村1尉に見せるためです!」

 

 明石はそう言ったが、明らかに怪しい。目が泳いでいるし、近くにいた武蔵もジッと見ている

 

「本当か? 提督に確認を──」

 

「心配いりません!」

 

 明石は挙動不審になっており慌てていたが、もう観艦式の時間が迫っている。提督は田村1尉と一緒に席についているはずだ

 

 工廠から遠いし、彼に無線は持たせていない

 

「でも、また身体が破裂するんじゃ……」

 

 時雨は大和の身体が半分吹っ飛んだのを見たからだ。もし、自分があんな目に合うとなれば……

 

「大丈夫です。短時間ですし、実戦ではないです」

 

「そうか。なら、いいが……」

 

 武蔵は渋々答えた。確かに柳田教授の研究のお陰は大きい。だが、極秘ともいえる姿を一般客で披露してもいいのだろうか? 

 

 

 

「行きましたね!」

 

「はい!」

 

 観艦式に足を運んだ艦娘達を見送った明石と夕張はハイタッチした。2人とも喜んでいるが、どうみても悪巧みをしているようにも見える

 

「それで。責任はあんた達が取ると言うならそれでいいよ」

 

 影で見ていた柳田教授は呆れながら言っていた。彼も明石と夕張の企みについては呆れていた。実際はアイオワとガリバルディの思惑だが、観艦式のプログラムを改変するつもりだ

 

「ターズは貸してやってもいいが、壊すな」

 

 柳田教授は元々は観艦式や鎮守府祭に興味は無かった。しかし、ロケット機を展示するために足を運んでいるに過ぎない

 

「ありがとう! 早速準備しましょう!」

 

『分かりました。しかし、爆発の演出は』

 

「私がやる!」

 

 夕張はターズを引っ張るようにして外へ駆け出した

 

「ねえ……いいんですか? アクション映画に出てくる最終決戦のような劇場になりますが? しかも無許可で」

 

「知らないよ。まあ、ホログラムを見てトラウマが再発する艦娘が現れなければいいんだが」

 

 宗谷が聞いて来たが、柳田教授は肩を落とした。折角、サウスダコタが回復したのに、またフラッシュバックを起こしたらどうするんだ? 

 

 

 

 観艦式ではたくさんの人が集まっていた。呉戦争が終わり復興も順調に進んでいる事もあって人も多くいた

 

「それでは第二回、鎮守府観艦式を始める」

 

 提督は胸を張って宣言すると見物客は拍手した

 

 そして、提督が宣言したと同時に波を蹴立てて登場したのは、最上と三隈、鈴谷に熊野だった

 

『皆さま、艦隊デモンストレーションを飾るのは当鎮守府に所属する航空巡洋艦たちです! 彼女たちは飛行甲板とカタパルトを装備しており、多数の水上機を運用することが出来ます!』

 

 青葉がマイクを握って観客に解説をしていた。いくら青葉でも観客の前では大真面目である

 

 航空巡洋艦が水上機である瑞雲と強風を発艦させようとしているのを見届けながら、ある場所に向かった

 

 そこは田村1尉と提督の父親である博士がいるところへ向かったのだ

 

 2人はVIPとして見晴らしがよい場所で座っており、会話をしていた

 

「良い所です。私が海上自衛隊基地を見学するために呉へ出向いたが、こんないい場所は初めてだ」

 

「未来の呉は立派かね?」

 

「そうですね。戦艦大和の博物館がありますよ」

 

 博士の質問に田村1尉は答えた。しかし、田村1尉がいた世界での呉は大きく違う。立派な造船所や高層ビルが立ち並ぶ姿を見れば驚くだろう。平行世界とはいえ、半世紀以上も差があるから当然かもしれない

 

 提督は田村1尉の隣に座るとこう言いだした

 

「田村1尉、ここで艦娘の指揮を取られますか?」

 

「私は空自……空軍の人間です。それにコンピュータ……電算機に関する仕事ですから」

 

 田村1尉は苦笑した。サイバー防衛隊*2については彼には理解出来ないだろう

 

「しかし、空母もいる事ですから、指揮は出来るかも知れません」

 

「空母だけでなく、航空巡洋艦もいますよ」

 

 提督は空の上を飛行している水上戦闘機『強風』が編隊を組んで飛行しているのを見上げながら言った。戦いにおいて制空権確保は重要である。田村1尉である自衛隊でも制空権確保は必須だと言っている

 

 もしかすると田村1尉の世界と同様に戦艦の立場は廃れるかもしれない

 

 だが、深海棲艦は海上海中にいる。早々、廃れる訳はないだろう

 

 観艦式は順調だった

 

『続いては重巡洋艦高雄型です。重巡洋艦は、砲撃力と雷撃力を持ち──』

 

 青葉は解説し、高雄達が決められた場所に砲撃と雷撃を行った。遠くで爆発音とともに水柱が立っているが、遠いため観客が水を被る事はほとんどない

 

 そんな様子を見て観客は拍手をしていた

 

 空母、軽巡、駆逐艦、潜水艦など紹介され、その度に観客から拍手が起こった。田村1尉も拍手をしている

 

 赤城加賀たちの空母娘が飛ばしている航空機を田村1尉は眺めていた。レシプロ機とはいえ、やはり空自の人間には目を輝かせているのだろう

 

 しかし、田村1尉を他所に提督は首を傾げた

 

「あれ? 駆逐艦の紹介の時に時雨は居たっけ?」

 

 白露型は出ていたはずなのに、時雨だけは居なかった。トラブルか? だが、明石から何も連絡は来ていない

 

 そして、戦艦娘が沢山出て主砲を一斉射撃する様子は迫力があった。鎮守府の戦艦や航空戦艦が一斉射撃した光景は凄まじかった

 

 だが、提督は何か様子がおかしいことに気づく

 

「大和武蔵が居ない? アイオワも。どうなっている?」

 

「どうしたんじゃ?」

 

 提督は不安になり、何も知らない博士は聞いて来た。何かやらかしたのか、と思ったのだろう

 

 その予想は当たっており、本来なら終わるはずのプログラムにもかかわらず、青葉の解説はまだ続いていた

 

『今日はサプライズがあります! 呉戦争で大活躍した艦娘達の姿を紹介したいと思います!』

 

「呉戦争で活躍した艦娘の姿か。時雨がイージス艦になったのは本当か?」

 

 田村1尉は聞いたが、提督はそれどころではなかった。失礼、というと慌てて工廠に駆け込んだ

 

「何かあったのですか?」

 

「さあ? わしにはサッパリ。じゃが、何時もの事じゃろう」

 

 博士はいたずらっぽく言った事により、田村1尉は頷いた。艦娘の個性については時雨から聞かされていたからだ

 

 そして、波を蹴立ててやって来たのは何と武蔵だった

 

 だが、それは従来の武蔵改二ではなく、イージス仕様のものだ。戦艦の主砲は変わりないが、六角形のフェーズドアレイレーダーがはめ込まれており、対艦ミサイルの発射筒やVLSが見えている。戦艦を現代兵器に無理やり魔改造しているようだ。アイオワも一緒に航行しているが、その姿は明らかに戦後改修のものである。RQ-2パイオニア無人機が飛行し着弾観測をしている

 

「てっー!」

 

 武蔵が主砲どころか対艦ミサイルまでも発射したのだ。遠いとはいえ、着弾した場所は巨大な水柱が発声した。観客は一層歓声を挙げた

 

「近代化改修した戦艦か。面白いな」

 

「中々の光景じゃい!」

 

 田村1尉と博士が歓声を挙げている。警備をしていた502部隊も一緒にいたあきつ丸と神州丸も聞かされていたプログラム内容と違う事に戸惑ったものの、武蔵とアイオワの決戦仕様の艤装に歓声を挙げる始末である

 

 だが、提督だけは違った

 

「おい、明石は知らないか! あのバカは何処へ行った!?」

 

「映画監督になるためアメリカへ出張したかもです! 何でも宇宙人と戦うためのSF映画を撮影するとか」

 

「嘘をつくな、噓を!」

 

 秋津丸が必死に言い訳をしていたが、提督は問い詰めていた。大淀も不安になったらしく提督に伺ったが、彼女も知らないという

 

 余談ではあるが、秋津丸は明石夕張とグルである。提督を足止めする時間稼ぎであった

 

 そんな事を他所に観艦式は続いていく

 

 ミサイル巡洋艦に大改装されたガルバルディが登場し、搭載されていた弾道ミサイルを発射したのだ。勿論、一発だけであり、弾頭は空である。だが、弾道ミサイルの登場に皆は驚いた

 

 そして、極めつけはイントレピッドの登場である。アメリカの現代空母がタイムスリップしたと思う程のジェット戦闘機を飛ばしたからだ

 

「F-14トムキャットにF-8クルセーダーとA-4スカイホークか。冷戦時代の空母もいるのか」

 

「あれよりも高性能な戦闘機はあるのかね?」

 

「ありますよ」

 

 田村1尉は護衛艦の艦載機として運用が決められているF35Bを思い浮かべながら答えた

 

 レーダーに探知されにくく、垂直離着陸する光景を見せたら提督の父親は驚愕するだろう

 

 

 

 式典の裏側

 

『もう無理かもです!』

 

「時間稼いで! いい! ……もうちょっと待っててね」

 

 夕張は無線を使ってひそひそ声で話していたが、交信が終わるとこちらににこりと笑った

 

「夕張さん、これって提督の命令だよね?」

 

「勿論!」

 

 心配になった時雨は聞いたが、夕張はきっぱりと言った

 

 明らかに何か隠しているが、帰ってきた武蔵もガルバルディも観艦式で出られたことに喜んでいる。まだ、元に戻る時間になっていないのか艤装は戦後改修仕様のままだ

 

 そして、時雨と大和は浦田結衣を倒した時の姿になっている

 

 イージス護衛艦仕様の新時雨と近未来超弩級戦艦仕様の新大和である。特に必殺技ともいえる荷電粒子砲が二回も撃てることには大和も喜んだ

 

 但し、数分しか水上に立っていられず、制限時間を過ぎたら強制的に元に戻るらしい

 

「では、頑張って!」

 

 夕張は大和と時雨を促した

 

 

 

『さあ、最後は何と言ってもあの英雄の艦娘である時雨と大和です! 今回も特別な処置で施した艤装です!』

 

 大和と時雨が現れた事に観客からは驚きの声を上げた。今までの艦娘とは違って姿形が違っていたからである

 

 近未来兵器であるため、姿形が違う事に驚いているのだろう

 

 時雨は海に出ると直ぐに田村1尉と提督を探した。田村1尉は直ぐに見つかり提督の父親である博士とともにVIP席に座っている。田村1尉はカメラを取っている

 

 だが、提督はいない事から何かあったのだろう

 

(まさか……ね)

 

 時雨は嫌な予感がした。誰かが無断で観艦式のプログラムを変えたのだろう。その誰かは容易に想像がつくが、口に出さなかった

 

 大方、派手な演出を出すためにあんなに慌てていたと言える

 

 とはいえ、出た以上は何かやらないといけない。時雨は5インチ砲とレールガンを撃ち、対艦ミサイルを発射した

 

 レールガン発射や対艦ミサイルの試射は迫力があり、その迫力に観客は目を見張った

 

 特に火薬も使わずに砲弾を発射されるレールガンに観客は歓声を上げた

 

 だが、大和の荷電粒子砲は違った

 

 空に向かって荷電粒子ビームを発射した光景に観客も待機していた艦娘も圧倒され、カメラを持つ者は必死にシャッターを切っていた

 

「凄いよ、大和さん」

 

「そんな事ありません。艤装が元に戻らないうちに──」

 

 大和はそう言うや否やレーダーに何かが探知した。砲弾が飛んできたのだ

 

 14cm砲弾らしく、大和に直撃しても効果はない。艤装の装甲が爆発しただけで、装甲はかすり傷すらついていない。だが、問題は誰が撃ったのか? 

 

 急いで時雨は警戒したが、全身の毛が逆立った

 

 時雨と大和と離れた距離に海面から何かが現れた

 

「ハハハハハ!」

 

「え?」

 

 時雨は愕然とした。浦田結衣だ! モンタナ級戦艦を模し深海棲艦の能力を得た最悪の敵が現れた!?

 

 だが、ある異変に気付いた

 

「レーダーに映っていない?」

 

 そう。レーダーに映っていない。それどころか水上レーダーではコンピュータ解析によると『夕張:Friendly』と出る始末である

 

 混乱する時雨にまた何かが現れた

 

 浦田結衣の近くに戦艦水鬼改があらわれ、戦艦レ級も現れた。それどころか何処から現れたのか上空からAH-64D戦闘ヘリまで現れている

 

 そして、極めつけは飛行場姫である

 

「何度デモ水底ニ沈メ! 俗物!」

 

「飛行場姫ってあんな声を発していたっけ?」

 

 時雨は恐怖よりも奇妙な軍団に困惑した。明らかにおかしい。何よりも戦闘ヘリの爆音が余りにも小さすぎる

 

 そして、その違和感は解析された高性能カメラの結果を見て時雨は啞然とした

 

「ホ、ホログラム?」

 

 時雨は驚いた。あれは敵ではない。投影機で映し出された幻だ。浦田結衣が偽装するためにしていたとされる幻影投影機? そして、ホログラムに隠れるようにして夕張が蹲っている。14cm連装砲改を装備している事から彼女が攻撃しているのだろう

 

 また、高性能カメラを工廠へ向けるとそこには提督と工作艦明石がおり、何かやり取りをしている

 

 高性能カメラで覗き込み唇の動きで会話は拾えるが、内容は予想通りだった

 

『お前、何をやっているんだ!』

 

『エンタメです!』

 

『やり過ぎだ! 浦田結衣と深海棲艦のホログラムを出すバカがいるか!』

 

『観客は喜んでいます!』

 

『柳田教授のターズだな! 鹵獲したホログラム発生装置を稼働させて映し出したな!』

 

 どうやら、後半の観艦式は無断で行われたらしい。そして、観客も明石の予想通りの反応だった

 

「信じられない! これ、もしかして!?」

 

「テレビや映画でやっている撮影技術というもの?」

 

「バンザーイ!」

 

 どうやら、演出の1つとして認識しているらしい。それは当然で、観艦式で敵が現れたにしては、棒立ちなんてあり得ないからだ。普通なら無差別攻撃しているはずなので、誰も敵襲とは思っていなかったらしい

 

 だが、何も知らない艦娘達にとっては驚愕している

 

 特に大和は違った

 

「荷電粒子ビームをフルパワーでなぎ倒す!」

 

「大和さん、あれはホログラムだって!」

 

 時雨は宥めようとしたが、他の艦娘も事情を知らなかったらしくこちらに一目散に駆け寄る艦娘がいた

 

 アイオワにイントレピッド、ガルバルディに武蔵までも駆けつけた。親しい仲である雪風や妹の夕立もいる

 

「時雨、早く攻撃準備をして下さい!」

 

「えーっと……」

 

 雪風の必死の命令に時雨は困惑した。目の前にいる敵は幻影。そして無断でプログラムを変更されている

 

 超改装された艤装が解けるのは後数十秒である

 

「もう、僕は知らないよ……目的、敵の大艦隊! てっー!」

 

 時雨はヤケクソになりながらも攻撃命令をした

 

 敵は沖合にいるのだから観客に当たることは無い。付近を航行している船舶もないから大丈夫だろう

 

 時雨は対艦ミサイルとレールガンを発射した

 

 それを合図に皆は攻撃していく。ホログラムなので攻撃は素通りするのは当たり前であるが、頭に血が上った艦娘達は気が付くのは後だろう

 

 

 

 尚、観艦式が終わった後、当然のように提督は怒っていた。アイオワとガリバルディと明石は正座をさせられ説教を受けた。ただ、田村1尉が宥めていたため、始末書を書かせるだけで終わった

 

 異例の処分の軽さだが、明石の派手な演出計画は結果的に大成功したためである。観客は浦田結衣や深海棲艦のホログラムは、新たな撮影技術と思ったらしく好評だった

 

 一部の者は不謹慎として批判を受けたが、好評の声が大きかったため特に裁判沙汰にはならず、刑事事件にもならなかった。警察が大人しいのは不思議だったが、杉田警部と鶴川巡査長は、苦笑いはしていたらしい。反対に元帥の方は胃薬を大量に飲んだとの事だ

 

 尚、この演出で大破した艦娘がいた

 

 それは夕張である。ホログラム発生装置を設置しこっそりと抜けるつもりのはずだったが、時雨が放った対艦ミサイルが運悪く命中したためだ

 

 お陰で夕張は高速修復剤なしの入渠という罰を受けた。ホログラムとはいえ浦田結衣が現れた事によりトラウマが再発すると懸念されたが、現時点ではいない

 

 サウスダコタは問題無かったが、「艤装の装着に手間取らなかったら出撃できたのに」と残念そうに言っただけで終わった

 

 柳田教授とターズは特に追及されなかったが、厳重注意を受けた

 

「大変だったね」

 

「でも、いい経験でした!」

 

 時雨は愚痴をこぼしていたが、横にいた雪風は特に気にしていなかった

 

「だけど、明石さんと夕張さんは反省していないだろうな」

 

「ああ言う人は頭を下げながらも、きっと舌を出していたに違いないな」

 

 田村1尉は笑いながら答えた。田村1尉は鎮守府所属ではないため、口出しすることは出来ないが、提督を宥めた事は功績とも言えよう

 

「平和はまだ訪れそうになさそうだな」

 

「そうだよ。でも、流石に艦娘不要論を唱えて暴走は起こらないと思うよ」

 

「そこは祈るしかないだろう。これから先、この世界の人類が賢明な事であることをね」

 

 時雨と田村1尉は海岸を見つめていた。沖合いでは新たに建造され生まれた冬月が、涼月と共に航行の訓練をしていた

 

 田村1尉は数日後には元の世界に帰ると決まっている。だが、永遠に分かれるという事はないようだ

 

 浦田結衣のような悪が現れるという懸念もあるが、深海棲艦との休戦協定も数日で期限が切れる

 

 つまり、脅威は去ったわけではない。危険思想や排他的な考えは一掃され、日本だけでなく世界各国は再び襲い来る危機に備えて一丸となった。また、残骸となったとはいえ、深海棲艦に有効である超兵器の技術は共有されたのを風のうわさで聞いた

 

 だが、鎮守府にいる艦娘達にとってはどうでも良かった。自分たちに身の危険がかからない限りは特に気にはしていなかった

 

 正史と違う道を歩んでいるこの世界でも、この鎮守府はいつもと同じように、また明日から始まるのである

 

 

*1
宇宙領域での活動を指揮、統制する宇宙領域専門部隊である。所属は航空自衛隊である

*2
サイバー攻撃への対処する部隊である。こちらは陸海空の統合部隊である




「暁の水平線に勝利を刻みなさいっ!」


本筋の話はこれにて完結となります。これから先の事については、まだ決めていません。私自身の事もありますからね
書くとすれば続編を書いて出すか、もしくは番外編として出そうと思います
番外編に関しては短編となりますが、クロスオーバーも視野に入れていこうと思っています
候補としては「ストライクウィッチーズ」か「ゴジラ」ですね
番外編に関しては時間があれば書くかもしれません

また、新作として何かの二次創作として出そうかなと思っています

ただ、流石に全部は無理なのでどれかを絞って作ろうと思います。まだ、目途はたっていないため、何時になるかは分かりませんが、投降する前日に活動報告で報告します

それでは、何処かでまたお会いしましょう!
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