あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ? 作:うろ底のトースター
正直、廊下の男と迷った。
はい、ごめんなさい。
ガッツリSCPの名前間違えてました。
イルミネーション→イミテーション
でした。
日本支部、なんというか、恐ろしくブラックだなぁ。
かなりの頻度で実験が行われている。一日二回とか余裕でやってる。って言ってもまぁ、女の子相手じゃなくて、現象だとか文字だとかのSCPが相手だけど。
例えば、
【この漢字の形を正確に教えてくれ。】
【これは、戦う?いやでもちょっと違うな。】
【・・・異常はないか?】
【いや、ないっす。】
【それ、読んだら識字能力失うって異常性持ってるから。】
【なんてもん読ませてんだ!!】
とか、
【このサイトで動画制作を依頼してくれ。】
【いやこれ、1800円って書いてる。】
【こちらで払うから。】
【ふーん・・・。え、できるのはやっ・・・。】
【・・・どうだ?】
【なかなかに凝ってますね。この予告編風の動画、主人公俺ですか?すげえ。】
【それだけ?】
【あ、はい。】
【・・・実験は終わりだ。】
【せめてこれの異常性教えろよ。】
って感じ。
そういえば、あの動画の後に『I Love You』ってあったけどなんなんだろ、あれ。
『ご主人、大丈夫?最近ずっとお疲れ。』
「うん、大丈夫。じゃ、実験だから、大人しくしてろよ。」
『うん。』
『おいおいあたしにゃ一言もなしかァ?』
・・・あ〜、そうだった。
「行ってくるよ、アイ。」
『行ってらっしゃ〜い。』
うし、行くか。
───────────────────────
今日は珍しく、事前にお相手のことを教えてくれた。
SCPー173ーJP ー恐竜ーイミテーション
日本製のおもちゃの恐竜、らしいけど、写真越しの姿だと、周りにおもちゃを従えた女の子だった。
「なんで女の子なのに恐竜と?」
「おもちゃでできた部分がその少女を中心に結合すると、恐竜になるからだな。なにかない限りは、常にこの姿で過ごしている。」
そう言って差し出された写真には、
「うおっ。」
しっかり恐竜だった。
さて、肝心の異常性だが、おもちゃのガチャガチャって鳴る音と、この女の子自身が放つ声を聞くと、だんだんこのおもちゃの中に入り込みたくなり、
最終的には、自分の体が壊れるのも顧みずにおもちゃに入っていくのだと。
この時、この異常性にかかった人物は、おもちゃ達を、
「好きだったおもちゃ」「なくしたおもちゃ」
などと認識するらしい。
あ、この娘目当てじゃないんだ、って思ったのは俺だけだろうか。
じゃ、行くか。
───────────────────────
「いらっしゃい。」
「いらっしゃいました。」
凛とした声を発する、おもちゃの恐竜に出迎えられる。ガチャガチャという普段なら不快な音が、何故か心地よかった。
そのまましばらく眺めていたら、
「・・・えい。」
不意に恐竜に覆い被せられた。
え?
「ちょっ!待っ!」
なんでぇ!?
「ぷはぁ!」
どうにかおもちゃを掻き分けると、恐竜の体の中に、空間があった。
息苦しくはあったけど、ぬいぐるみとか、そういう柔らかいものに囲まれていたから、痛くはなかった。
「ふふ、ごめんね?この中に案内したくて、ちょっと強引な手を使っちゃった。」
その娘は、綺麗に笑っていた。
おもちゃでできた椅子に座って、カラフルな床につくほど長い髪を持ち、万華鏡のような瞳をこちらに向けて、
一見軽い印象を受けるその姿は、不思議と、彼女の纏う令嬢のような雰囲気と調和していた。
初めて見るはずのその姿は、
どこか、懐かしかった。
「これ、外で話せばよかったんじゃ。」
「だって、博士たちに聞かれたくなかったんだもん。」
そう言うと、彼女は俺の耳に嵌っているインカムを取り外し、そこら辺のおもちゃに捨てた。
数秒後、なにか機械類が壊れる音が聞こえた。
あれ、幾らしたんだろう。
「それじゃあ、名前からね。付けてくれるんでしょ?」
「え?なんで知ってるの?」
「アイって名乗る娘から教えてもらったの。」
え?あいつここのセキュリティに侵入してたの?
まぁそれは置いといて。
名前かぁ、どうしようかな。
恐竜、おもちゃ、イミテーション・・・。
あ、
「ミイ。」
「ミイ、か・・・うん、気に入った。」
「それは良かった。」
「それでは改めて。」
そう言うと、彼女は俺に手を差し出して来た。
「はじめまして。私はミイ。」
「はじめまして。俺は朱里、神谷 朱里だ。」
俺は、彼女の手を取った。
───────────────────────
彼女の懐かしさからか、それともその話しやすさからか、いつも以上に他愛もない話をした。
「───だって。俺が文字読めなくなったらどうするつもりだったんだろ。」
「その時は、私や君の周りに居る女の子たちが世話してくれるでしょ。」
「あまり迷惑はかけたくないんだけどなぁ。」
「好きな人が相手なら、きっと、少しは迷惑かけて欲しいはずだよ。私もそうだしね。」
とか、
「いいなぁ、私も君の手料理食べてみたい。」
「そんなに美味くないと思う。」
「
「それなら、今度弁当持ってきてやろうか?」
「ほんと!?楽しみにするね!」
とか。
いつもは落ち着いてるけど、たまにテンションが昂るのがまた可愛い。
と、話し過ぎたかな。
「そろそろお開きだな、皆心配してるだろうし。」
「そうだね。ごめんね?話し込んじゃって。」
最初に会った時もそうだけど、ごめんね?って可愛すぎてなんでも許せるわ。
ミイが、出口を作ってくれる。
「それじゃあ、またな。」
そう言って、帰ろうとしたとき、
「あ、ちょっと待って。」
「ん?どうし
頬にキスを落とされた。
「キス、初めてだよね?一番、貰っちゃった♡」
「・・・あ、そう。」
放心、驚くことも出来なかった。
少しして、頬を赤くして、そのまま帰った。
『ご主人、これ誰の匂い?』
『おい、なんで頬に他の女の
あのとき、ファブ〇ーズをかけて頬を洗わなかった俺を殴ってやりたくなった。
ミイ
(SCPー173ーJP)
世間知らずのお嬢様的お姉さん的歳が近い妹的SCP。
ファーストキス(頬)の保持者。
生まれて初めて嫉妬を覚える。
アイ
揶揄ってやろうと思ったけど普通に頭にきた。
神谷 朱里
全自動修羅場生成機。
トイレの紙が無い時の絶望を司る神さん
えりのるさん
0085さん
誤字報告ありがとうございました。
SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)
SCPー173ーJP 作者 soilence様
http://scp-jp.wikidot.com/scp-173-jp
SCPー040ーJP 作者 Ikr_4185様
http://scp-jp.wikidot.com/scp-040-jp
SCPー079 作者 不明
http://scp-jp.wikidot.com/scp-079