あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ?   作:うろ底のトースター

10 / 33
今回は、ちょっと好き嫌い別れそう。

正直、廊下の男と迷った。

はい、ごめんなさい。
ガッツリSCPの名前間違えてました。

イルミネーション→イミテーション

でした。


おもちゃの恐竜と戯れる実験

日本支部、なんというか、恐ろしくブラックだなぁ。

 

かなりの頻度で実験が行われている。一日二回とか余裕でやってる。って言ってもまぁ、女の子相手じゃなくて、現象だとか文字だとかのSCPが相手だけど。

 

例えば、

 

 

 

【この漢字の形を正確に教えてくれ。】

 

【これは、戦う?いやでもちょっと違うな。】

 

【・・・異常はないか?】

 

【いや、ないっす。】

 

【それ、読んだら識字能力失うって異常性持ってるから。】

 

【なんてもん読ませてんだ!!】

 

 

 

とか、

 

 

 

【このサイトで動画制作を依頼してくれ。】

 

【いやこれ、1800円って書いてる。】

 

【こちらで払うから。】

 

【ふーん・・・。え、できるのはやっ・・・。】

 

【・・・どうだ?】

 

【なかなかに凝ってますね。この予告編風の動画、主人公俺ですか?すげえ。】

 

【それだけ?】

 

【あ、はい。】

 

【・・・実験は終わりだ。】

 

【せめてこれの異常性教えろよ。】

 

 

 

って感じ。

 

そういえば、あの動画の後に『I Love You』ってあったけどなんなんだろ、あれ。

 

『ご主人、大丈夫?最近ずっとお疲れ。』

 

()()が頭を撫でてくる。

 

「うん、大丈夫。じゃ、実験だから、大人しくしてろよ。」

 

『うん。』

 

『おいおいあたしにゃ一言もなしかァ?』

 

・・・あ〜、そうだった。

 

「行ってくるよ、アイ。」

 

『行ってらっしゃ〜い。』

 

うし、行くか。

 

 

───────────────────────

 

 

今日は珍しく、事前にお相手のことを教えてくれた。

 

SCPー173ーJP ー恐竜ーイミテーション

 

日本製のおもちゃの恐竜、らしいけど、写真越しの姿だと、周りにおもちゃを従えた女の子だった。

 

「なんで女の子なのに恐竜と?」

 

「おもちゃでできた部分がその少女を中心に結合すると、恐竜になるからだな。なにかない限りは、常にこの姿で過ごしている。」

 

そう言って差し出された写真には、

 

「うおっ。」

 

しっかり恐竜だった。

 

さて、肝心の異常性だが、おもちゃのガチャガチャって鳴る音と、この女の子自身が放つ声を聞くと、だんだんこのおもちゃの中に入り込みたくなり、

 

最終的には、自分の体が壊れるのも顧みずにおもちゃに入っていくのだと。

 

この時、この異常性にかかった人物は、おもちゃ達を、

 

「好きだったおもちゃ」「なくしたおもちゃ」

 

などと認識するらしい。

 

あ、この娘目当てじゃないんだ、って思ったのは俺だけだろうか。

 

じゃ、行くか。

 

 

───────────────────────

 

 

「いらっしゃい。」

 

「いらっしゃいました。」

 

凛とした声を発する、おもちゃの恐竜に出迎えられる。ガチャガチャという普段なら不快な音が、何故か心地よかった。

 

そのまましばらく眺めていたら、

 

「・・・えい。」

 

不意に恐竜に覆い被せられた。

 

え?

 

「ちょっ!待っ!」

 

なんでぇ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぷはぁ!」

 

どうにかおもちゃを掻き分けると、恐竜の体の中に、空間があった。

 

息苦しくはあったけど、ぬいぐるみとか、そういう柔らかいものに囲まれていたから、痛くはなかった。

 

「ふふ、ごめんね?この中に案内したくて、ちょっと強引な手を使っちゃった。」

 

その娘は、綺麗に笑っていた。

 

おもちゃでできた椅子に座って、カラフルな床につくほど長い髪を持ち、万華鏡のような瞳をこちらに向けて、

 

一見軽い印象を受けるその姿は、不思議と、彼女の纏う令嬢のような雰囲気と調和していた。

 

初めて見るはずのその姿は、

 

どこか、懐かしかった。

 

「これ、外で話せばよかったんじゃ。」

 

「だって、博士たちに聞かれたくなかったんだもん。」

 

そう言うと、彼女は俺の耳に嵌っているインカムを取り外し、そこら辺のおもちゃに捨てた。

 

数秒後、なにか機械類が壊れる音が聞こえた。

 

あれ、幾らしたんだろう。

 

「それじゃあ、名前からね。付けてくれるんでしょ?」

 

「え?なんで知ってるの?」

 

「アイって名乗る娘から教えてもらったの。」

 

え?あいつここのセキュリティに侵入してたの?

 

まぁそれは置いといて。

 

名前かぁ、どうしようかな。

 

恐竜、おもちゃ、イミテーション・・・。

 

あ、

 

「ミイ。」

 

()()テーションで、ミイ。

 

「ミイ、か・・・うん、気に入った。」

 

「それは良かった。」

 

「それでは改めて。」

 

そう言うと、彼女は俺に手を差し出して来た。

 

「はじめまして。私はミイ。」

 

「はじめまして。俺は朱里、神谷 朱里だ。」

 

俺は、彼女の手を取った。

 

 

───────────────────────

 

 

彼女の懐かしさからか、それともその話しやすさからか、いつも以上に他愛もない話をした。

 

「───だって。俺が文字読めなくなったらどうするつもりだったんだろ。」

 

「その時は、私や君の周りに居る女の子たちが世話してくれるでしょ。」

 

「あまり迷惑はかけたくないんだけどなぁ。」

 

「好きな人が相手なら、きっと、少しは迷惑かけて欲しいはずだよ。私もそうだしね。」

 

とか、

 

「いいなぁ、私も君の手料理食べてみたい。」

 

「そんなに美味くないと思う。」

 

()()ちゃんが美味しいって言ったんだから、きっと美味しいんだよ。」

 

「それなら、今度弁当持ってきてやろうか?」

 

「ほんと!?楽しみにするね!」

 

とか。

 

いつもは落ち着いてるけど、たまにテンションが昂るのがまた可愛い。

 

と、話し過ぎたかな。

 

「そろそろお開きだな、皆心配してるだろうし。」

 

「そうだね。ごめんね?話し込んじゃって。」

 

最初に会った時もそうだけど、ごめんね?って可愛すぎてなんでも許せるわ。

 

ミイが、出口を作ってくれる。

 

「それじゃあ、またな。」

 

そう言って、帰ろうとしたとき、

 

「あ、ちょっと待って。」

 

「ん?どうし

 

 

頬にキスを落とされた。

 

 

「キス、初めてだよね?一番、貰っちゃった♡」

 

「・・・あ、そう。」

 

放心、驚くことも出来なかった。

 

少しして、頬を赤くして、そのまま帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご主人、これ誰の匂い?』

 

『おい、なんで頬に他の女の唾液(DNA)が付いてんだァ?』

 

あのとき、ファブ〇ーズをかけて頬を洗わなかった俺を殴ってやりたくなった。




ミイ
(SCPー173ーJP)

世間知らずのお嬢様的お姉さん的歳が近い妹的SCP。
ファーストキス(頬)の保持者。


()()

生まれて初めて嫉妬を覚える。


アイ

揶揄ってやろうと思ったけど普通に頭にきた。


神谷 朱里

全自動修羅場生成機。


トイレの紙が無い時の絶望を司る神さん
えりのるさん
0085さん
誤字報告ありがとうございました。





SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)

SCPー173ーJP 作者 soilence様
http://scp-jp.wikidot.com/scp-173-jp

SCPー040ーJP 作者 Ikr_4185様
http://scp-jp.wikidot.com/scp-040-jp

SCPー079 作者 不明
http://scp-jp.wikidot.com/scp-079

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。