あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ? 作:うろ底のトースター
あれは嘘だ。
要望が多かったので書きました。反省も後悔もしてない。
「なんだこれ。」
非番の日、自室で過ごしていたらノック音がしたので、開けてみるとクリップボードが置いてあった。それには紙が一枚挟まれており、記号やら絵やらが並んでいる。
多分なんかのSCPの記事なんだろうけど、文字がないということは、活字NGってことか?
しかしまぁ、
「収容不可で正体不明の人型、か。多分、俺と同じKeterなんだろ
う?」
急に周囲の景色が変わった。いや、俺が移動した?どうやって?
と、言うような思考は、『ぬちゃっ』という音で寸断された。音の発生源は俺のすぐ側。というか、見なくても分かった。
「何となくデジャブがあるなぁ。」
「〜♪」
手の代わりに触手を持ち、全身を真っ黒い外套で包み、そのフードを深く被っている俺より少し小さいくらいの女の子だ。
そこで思い出すあの記事、その中の罰点と一緒に描かれていた絵。
『このオブジェクトについて話すのは禁止』という意味を持ってたんだろうな。
それじゃあ俺は、攫われたのか、この娘に。
「〜〜♪───?」
「あぁいや、気にしないで。」
こちらを見て首を傾げる彼女になんでもないと応える。てかどんだけ深くフード被ってんだ。見上げられてるのに全く目が見えなかったぞ。
「どうして攫ったんだ?お前のことを話したり、書いたりしてる人間をさ。」
「???」
また首を傾げる彼女を見て、ある程度の推測を建てる。何かを聞いているってのが分かってるみたいだし、多分言葉は通じてるんだろうけど、『攫った』の意味が分かってないのか、それともあの行動が『攫った』ことだと思ってないのか。
「あー、じゃあ、どうしてここに連れてきたんだ?」
「〜!〜♡」
「なるほどね?」
身振り手振りで知らせようとしてくる。大体分かった(大嘘)。でもとりあえず友好的だってことは理解した。後、言葉が話せないってことも。
これじゃあコミュニケーションなんてできない。ので、話せないなら書ければいいってことで、文字を教えようと思います。
「無理やん。」
「〜〜・・・。」シュン
手元にはクリップボードと記事、シャープペンシルしかない上、自信を持って教えられるのは日本語だけ。せめて絵本でもあればなぁ。
「〜!」
と、頭を抱えていると、いつの間にかあの娘はそさくさとどこかへ行ってしまった。
あの、帰れないんですが。
「〜〜♪」
少ししたら戻ってきたので安心した。そして、何やら大きな袋(これまた真っ黒)を抱えていた。
覗いてみると、
「うぉ・・・。」
大量の本。辞書やら絵本やら歴史書やらが乱雑に集められていた。
「ありがと、これなら教えられそうだ。」
「〜〜♡」
頭を撫でてやると嬉しそうに体を揺らした。いや、可愛いな。
「それじゃあ、とりあえず五十音から・・・。」
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あれから体感で30分ほど。
『こんな感じ?』
「そうそうそんな感じ。」
覚えが早くて助かりますぅ。
日本語と英語まで(和英辞典を用いて)教え終わりましたね。日本の古文学にも興味を示してたけど、哀れ私は古典が苦手だ。また後でにしよう。
『そう言えば、なんでここに連れてきたの?って聞いてたよね?』
「あ、そうだそうだ。どして?」
『言葉教えて欲しかったからだよ!でもみんな怖がって教えてくれなかったの。』
「なるほどね?」
完全に理解した。自分のこと話してるから仲良くなれると思って連れてきたんだろうけど、実際こっちは攫われたって認識、しかも相手は収容不可の異常存在。
確かに怖いな。え、俺?いや、姿見ちゃったし、大丈夫かなって。
「ちなみに帰り方は?」
『私が帰してあげる!』
あ、任意じゃ帰れないんすね。ともかく帰る手立てはできたし、多分みんな心配してるだろうから帰るかな。何人か俺が消えると分かるって言ってたし。
『あの、また来てくれる?』
「当たり前、って言っても連絡手段がないし。」
どうしよっかな。こればっかりは簡単じゃないと思うんだが。
『私があなたの部屋にいればいいのでは?』
「おぅ・・・。」
最悪にして唯一の提案が挙げられました。もちろん承諾です。だってそれ以外の案なんて思いつかないからね!
「じゃあよろしく、
見たまんまの名前だけど、ちょっとオシャレに旧字にした。古典苦手だけど。
『くろ?私の名前?なんて書くの?』
黑、と書いて見せる。
『間違ってるよ?』
「こうやって書く場合もあるんだよ。」
『あのげんじものがたり?ってのに書いてあったやつ?』
「そうそう。」
因みに源氏物語の中には、かなりアブノーマルな趣味の男性が主人公の話があったりする。
「そろそろ帰らなきゃ。」
『了解!』
「はっ。」
さすがに二回目だから慣れた。けど、警報なってるからちょっと驚いた。
「朱里ぃ!!何処だぁ!!?」
「朱里さん?そろそろ出てきてください?でないと私は・・・。」
『説明しに行くの?』
「それしかないよなぁ。」
世界を担うって大変だなぁ。
・・・それにしても、部屋の前にこのクリップボード置いたの誰なんだろう。
神谷 朱里
またやらかした。なお、黑とは実質同棲することになるのでノアの病みは加速する。
黑
かわいい。朱里より少し背の低い女の子。文字を教えてもらうために朱里を自分の家に連れて行った。速すぎてルイもノアも攻撃することができなかった。
今回から記事のURLは設定の方に記させて頂こうと思います。
「やっぱりこっちに置いた方が見やすい」って方はコメントください。
-Reki-さん
えりのるさん
誤字報告ありがとうございました。
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