あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ? 作:うろ底のトースター
そのー、なしで、いいっすか?
説得、ちょー大変だったね。
『別に
『本当だな!?本当にその程度なんだな!?』
『え?私あなたのこと好きだよ?』(カンペ)
『やっぱそういう仲なんだろ!!』
『違うってぇ!!』
とか、
『朱里さん、その女、誰ですか?』
『言語を教えてる生徒みたいなもん』
『でも同棲するんですよね』
『いやだから『するんですよね?』・・・はい』
『じゃあ殺します』
『ストーップ!!??』
とか・・・。
それはもう、大変、だったね・・・。
あと、バインダーのこと、博士に言ったら頭抱えてた。なんかこんなことする人に心当たりがあるって。あと、もっと注意深くなれとも言われた。
さて、今日も元気にクロステストだよ。
あ、クロステストってのはあれね、SCPとSCPを会わせるやつね。最近名前聞かされた。
それはさておき、今回のお相手は、
SCPー2662 くとぅるふ ふっざけんな!
オブジェクトクラス Keter
ふざけた名前の割にKeterである。あとなんか一部だけ太文字。
見た目が異常で、遠目だとなんか人っぽい程度の人型で、背中にタコやらイカやらの足が約20本ほどあるらしいです。
で、肝心の異常性は、自分を信仰する宗教団体を作り出すこと。しかも無自覚どころか本人迷惑に思ってるらしい。
なんだ宗教団体か、とか思ってたらやってる事やべぇや。
子豚目の前で解体したり、
食人したり、
その、[自主規制]とか[自主規制]したり・・・。
はい、完全にクトゥルフです本当にありがとうございました。
そりゃくとぅるふふざけんなとか言いたくなるわ。不憫すぎる。
「私たちの目から見ても彼女が可哀想だから、元気付けてやってくれないか?」
「うっす」
さて、行きますか。
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「お、お邪魔しますぅ〜」
いや、なんかさ、神様っぽいから頭が高いとか言われそうでさ、頭低くしてるんだけど。
「ひぃっ!?お前正常な人間!?我のこと崇拝してない!?」
「あ、はい、正常です。ついでに精神とっても強いです、はい」
めちゃめちゃ怖がられたんだけど、人間トラウマになってんのかなぁ。
というか、見た目。めちゃめちゃ人型やん。触手あるけど。
身長は、2m超えてるかな。多分アベルより高い。
背中の触手を除けば全体的にスレンダーな感じで、アベルみたいに神秘的なタトゥーが彫ってある。
肌は特徴的な青色。瞳孔もタコみたいに横に切れてて、何より髪の色が光の当たり方でコロコロ色が変わってる。
ふむ、これはこれで良き。
「はっ!もしかしてお前がカミヤアカリ!?」
「やっぱり知ってんすねぇ」
恐るべしアイの情報伝達。神様相手でも通じてるとは。
「ど、どうしよっかな、甘えちゃおうかな」
「え?何ですか?」
「ぴぇっ!?な、なな、何でもないぞ!!それよりも、その・・・」
えぇー・・・急にしおらしくなったんだけど。こうして見るとただの女の子だなぁ。お手手と一緒に背中の触手でちょんちょんっていうやってるのとかもう、女の子やん(感覚麻痺)
「な、汝に我を甘やかす権利をやろう!」
ふむ、つまりは癒せと。
「分かりました、何します?」
「うぇ!?いや、その、突然こんなこと言われてたじろぐとか、ないの?」
「いや最初からそのつもりで来たんで」
不憫な娘は救われなきゃならないんだよなぁ。
「じゃあ、ご、ご飯、作って欲しいな〜」
「和食でいいですか?」
「和食!?いいよいいよ!我1回食べてみたかったんだー、スシとかミソシルとか!」
「寿司は無理かもですけど、味噌汁なら」
和食はね、自信があるんですよ。
ほら、最近だと家庭的な男子ってモテるんでしょ?だから覚えた。
え?古い?あっふーん・・・。
「すいません博士、俺の部屋からダンボールに入ってる食材持ってきてもらっていいですか?」
『分かった。向かわせよう』
日本支部に行った時に貰えてよかった。まぁ、実験で役立つとは思ってなかったけど。
「なぁなぁ、アカリって日本人なんだろ?」
「あ、そっすよ」
お、材料が届いた。
「日本ってどんなところなんだ?ちょっと行ってみたくてさ」
「うーん、実はアメリカに来たの結構昔で、日本の記憶が限定的なんですよね」
家族総出でアメリカに引っ越して、早6年。田舎で暮らしてた俺じゃあ、日本が誇る都会の華やかな暮らしは想像できない。
「そうなのか」
それでも、1つ、言えることがある。
「住むなら北海道ですね、寒いけど飯が美味い」
青森(元)県民の俺が言うんだから間違いない。魚介も良ければ肉も良くて野菜も良い。まじで外れないよ、あそこ。
「そう言うなら、いつか行ってみるかな」
ルンルン気分の彼女を見て、微笑ましいなぁと思うと同時に考えた。
あれ?これもしかして収容違反薦めてる?
・・・深く考えないようにしよう。
「そうだ、今更ですけど、なんて呼べばいいですか?」
「あー、そうだなぁ。・・・ヤガミってのはどうだ?」
「ヤガミ、ですか?」
何となく死のノートを思い浮かべてしまった。
「ほら、日本語の”神”ってGODの意味だろ。それで思いついたんだよ。お前のファミリーネームを逆にすれば、それっぽい感じになるんじゃないかって」
ヤガミ、ヤガミか。いいのかもね。覚えやすくて呼びやすい。日本人ならまあまあ親しみのある発音だしな。
っと、そろそろいいかな。味は・・・よし。
「はい、和食ですよ。あまり豪勢じゃないけれど」
メニューはオーソドックスに焼き魚と味噌汁、そして白米。結局コレが最強なんすよ。
「良い良い。元々、和食は質素なものだって知ってるからな」(ドヤッ
「それは良かった。じゃ、俺も食べますかね」
朝、食ってなかったんすよ。お腹ぺこぺこやで、流石に。
あ、俺の和食は、大好評でした。
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「まさかあんなに食が進むとは、和食とは良いものだな!」
「日本の誇りですからねぇ」
無形文化遺産は伊達じゃない。
さて、そろそろ時間かなぁ。
相手がKeterの割に、随分と平和に終わったなぁ。
ルイは(仕方ないとは言え)収容施設破壊したし、
アベルはルイ達と喧嘩したし、
緋のとこは死体転がってたし、
黑は帰ってきたらやばかったし。
なかなか波乱万丈だわ。
「それでは、そろそろお暇させてっ!?」
突然の警報アラーム。どうやら平和は過ぎ去ったようだ。
「朱里!隠れろ!」
『朱里くん!隠れるんだ!』
「え?え?なんすか?なんなんすか?」
「『狂信者どもだ!!』」
博士とヤガミ様の声が重なった。
「クソッタレめ!今来なくていいだろうが!」
マジで来んの?軽く人をころころしちゃったり人食ったり[自主規制]したりする人たちが?
「・・・朱里、やっぱり我の後ろにいろ」
「あ、遅かったかぁ」
何やら扉の前でガサゴソやってる音が聞こえるが、十中八九宗教団体の方だよなぁ。
・・・あんまり切りたくない手札だけどなぁ。
息を深く吸う。
「助けてぇー!!」
「うわ何!?」
恥も外聞もねぇなやっぱ。
俺の異常性の有効活用、助けを呼ぶ。
命の危険があったら使え、でもなるべく使うな。
博士の言葉だ。
え?命の危険じゃないだろって?
でも
出し惜しみなんてしてらんないよ。
結論から言うと、件の宗教団体は全員お縄となった。何人か死にかけたけど、まぁ誤差の範囲でしょう。
で、今回活躍してくれた娘には後々ちゃんとお礼に行くことを約束して、今は帰ってもらった。
「・・・あれくらい、我一人で十分だったが?」
後処理の様子を眺めながら、ヤガミ様が聞いてきた。
「そうだろうなーとは思ってましたよ」
「じゃあなんで助けを呼んだ?」
「それは、ヤガミ様が酷い顔してたからですね」
「は?」
「なんて言うんですかね。苦虫を噛み潰したような?蒼白?そんな感じでしたよ」
もしあのまま奴らが入ってきてれば、もっと酷くなってただろうね。
女の子のそんな顔は、出来れば見たくない。
「あなたが苦しむよりなら、俺が恥でも何でも受け入れますよ。ま、格好は悪いですけどね」
「っっ〜〜!!朱里ぃーー!」
「うおっふ」
いきなり抱きついてきたので転けそうになるけど、何とか耐える。ここで転べばほんとに格好がつかないぞ、俺。
「・・・その、さ」
「はい、何ですか?」
少しの間抱きついて、落ち着いたであろう彼女が小さく声を漏らした。
「また、来てくれるか?お前の和食が、その、食べたくてな・・・」
「勿論ですよ。辛くなったら呼んでください、またご飯作りに来ますので」
「そっか・・・ありがとう」
「え?何か言いました?」
「何でもない!」
神谷朱里
恥知らずのSCPホスト。根はお人好し。
うぶぁしゃぁぁぁぁ!!とは言わないし、そんなに頭も良くない。
ヤガミ様
冗談は通じるけど冗談にならないことされてた可哀想なクトゥルフさん。しっかりホスト神谷朱里に引っかかった幸せ者。
決して月と書いてライトと読んだり、藤原竜也が演じてたりしない。
¿¿¿さん
星海夜さん
誤字報告ありがとうございました。
SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)