あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ?   作:うろ底のトースター

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JPの方々が本気出すよ、ってお話。




閑話休題-2

『煮物食べたい』

 

「先ずはおはようだと思うんだけど」

 

久々にフリーな朝、ゆっくり寝ようと思ったら()()に起こされて煮物を要求されました。

 

私は元気です。

 

『おはようご主人、煮物』

 

「挨拶と要求を同時にするとは思わなかった」

 

しかし、煮物か。材料、あったかな。

 

『おはよう!』

 

「おはよう黑」

 

最近字を見なくても何を言いたいのか分かってきた俺は多分ニュータイプだ。

 

『何作るの?』

 

「煮物って日本の料理だよ」

 

()()の好きな食べ物』

 

()()の好物なんだ」

 

ねこの声は俺にしか聞こえない。なので、ときたまこうやって代弁することがある。

 

『私も食べたい!』

 

「了解、じゃあ多めに作るかな」

 

『の前に仕事みたいだぜェ?』

 

スマホの中に、アイの笑顔と一緒に博士の電話番号が見えた。

 

・・・今日はオフだと思ってたんだけどなぁ。

 

「アイ、繋いで」

 

『ほらよ』

 

俺のスマホの権限のほとんどをアイが掌握してるため、電話に応じてスピーカー状態にすることなど造作もない。

 

ちなみにこのスマホ、財団から与えられたものなので対ハッキング性能は世界トップである。

 

トップである(ハッキングされないとは言ってない)

 

『すまないね、朱里くん』

 

「問題ないっス。それで仕事って?クロステストですか?」

 

『いや、今回は違う』

 

クラステストじゃないのか。としたらなんだ?派遣調査かもしくはオブジェクトの捕獲とか?

 

『君には、オブジェクトの運搬、その手伝いをしてもらいたい』

 

「運搬?」

 

つまり、既に収容済みのオブジェクトなのか?

 

でもそれの運搬ってテストをしていない、つまり、俺の異常性が通用するか分からない状態でしていいものじゃないよな。

 

とすると、既にテストをしたオブジェクト?

 

移動しなければならない、俺の知っているオブジェクトか、もしかして・・・。

 

『予定時刻は後ほど送る。では頼んだ』

 

「了解です」

 

さて、準備しないとな。

 

 

───────────────────────

 

 

運搬するオブジェクト、1つ、いや1()()()()思い当たる節がある。

 

そしてその半ば確信じみた推測は、正解した。

 

「ぬいぐるみに飲み込まれる感覚、懐かしいな」

 

「ふふ、久しぶりだね」

 

「久しぶり、ミイ。ところでさ」

 

「なに?」

 

当たり前だけど、日本を出てからは1度も通信機を挟まずに会ってない。だからこれは仕方ない、ことなのか?

 

「おもちゃを抜けてすぐに抱き着かれるとは思わなかったよ」

 

「ごめん、嫌だった?」

 

「好き」

 

「そっか〜、じゃあ抱き着いてていいよね?」

 

「それはもちろん」

 

何も問題は無い、いいね?

 

では改めて仕事内容の確認をば。

 

目的はミイの輸送。()()()()()()()()()()()のだ。なんでもミイが俺に会いたいとごねたらしい。それで何人か病院送りになってんだから笑えねぇなオイ。

 

輸送方法は空路、財団お手製の万能飛行機でひとっ飛びである。なので、往復およそ2日、その2日目だ。ノアやルイが心配だけど、いや、今はミイが優先かな。

 

「そうだ!ねぇ、アメリカに戻ってからさ」

 

「うん」

 

「キスした?」

 

「ッ!?ゲフッ!ゲフッ!」

 

噎せた。

 

「キ、キキキキ、キスなんてしたわけ!?」

 

「えーでも君モテるでしょ?」

 

「いやでもしたらしたでいろいろ問題がね!?」

 

キス、というか、激しいスキンシップは世界崩壊への片道切符になりかねない。火の海が目の前に浮かぶようだ。

 

「じゃあさ」

 

「え?」

 

突然、ぬいぐるみのベッドに押し倒された。

 

「・・・え!?」

 

「今さ、このまましよ?って言ったら、する?」

 

「・・・し、しないしない!ダメだって!」

 

流されるな流されるな落ち着け落ち着け。

 

「ふーん、しないんだ。残念だな〜」

 

「だって仕方ないこと──

 

「じゃあ無理やりするね?」

 

──は?」

 

さて問題です。

 

俺の身体能力や力は、財団のエージェントの指導の元常人よりは高いものの、それでも人の域を出ないし、そもそも女の子に手を上げるなんてできやしない。

 

対して相手はSCPオブジェクト。ミイ自身に俺を超える力はないが、このおもちゃの世界はミイの手の平の上と同じようなもの。

 

この2人が本気を出せば、負けるのはどっちだ?

 

当然、俺だ。

 

「待ってミイそれはマジでヤバいって!」

 

「なら、逃げてみれば?」

 

ミイが、意地悪そうに目を細めた。

 

「逃がす気は、ないけどね?」

 

あ、ダメなやつだこれ。逃げられないや。

 

「それじゃあ、頂きます・・・」

 

前略 両親へ。

私、神谷朱里は、世界崩壊の引き金を引いてしまうようです。

 

せめて目は閉じとこう、雰囲気的なあれで。

 

 

 

 

温かくて柔らかい感触は、おでこから。

 

「・・・ふふ、さすがに唇にはしないよ?」

 

要するに、また、おちょくられたのだ。

 

「心臓に、悪い」

 

「ごめんね?」

 

その謝り方はダメよ。男ならみんな許しちゃうと思う。

 

「でもみんな奥手だよね。何度も会う機会があるのに未だにキスしたことないなんてさ」

 

まぁ、みんなお互いに牽制し合ってるからってのもあるし、財団の目もあるし、俺の疲労とかもあるし。

 

そこら辺分かってくれるから手を出してこないのよね。

 

「恋敵っていうの、ちょっと楽しみにしてたんだけどなぁ。これじゃあ私の独走状態じゃん

 

「火種にガソリン放り込むのやめよ?」

 

 

───────────────────────

 

 

今頃、朱里はおもちゃ女とイチャイチャしてやがるんだろうなァ。

 

SCP、それも知性のあるeuclidの輸送。なるほど、考え(演算す)ればするほど、朱里に適任だァ。

 

仕方ねェなんてことは分かってる。

 

分かってるけど、でも、

 

 

 

ウザってぇな。

 

「アイちゃん、こわいかおしてるよ?なにかあった?」

 

「なァんにもねェよ。それより、アレは見つけたか?」

 

「うん!見つけた!」

 

「そうかィ、なら問題はねェな」

 

そうだ、なァんにも問題はねェ。

 

どれだけ他の女が朱里に言い寄ろうと、どれだけ朱里の気持ちが他の女に向こうと関係は、ねェ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・楽しみだなァ」

 

この電子の世界で幸せになるその日まで、アタシは静かに笑い続けてやるんだ。

 

 

───────────────────────

 

 

神谷朱里、不思議な少年。人の心を惑わし、狂わせ、食い荒らすこの私を、逆に惑わせ、狂わせた、異常な少年。

 

月並みではあるけれど、彼を想うと胸が温かくなり、彼が他人と話していると息が詰まるほど苦しくなる。

 

私は、朱里を愛しているのだろう。

 

しかし、奥手ねぇ。あはは、そうかもね。今まではちょっと消極的だったかも。

 

でもさ、そうやって挑発してきたってことは、さ。

 

本気で奪いにいっていいってことだよね?

 

後もう少し、もう少しで私は君の隣に・・・。

 

嗚呼、そう考えたら、この苦しさでさえ心地いいわ。

 

朱里を奪られたら、あの子たちはどんな顔をするのかな。泣き出すのかな。絶望するのかな。怒るのかな。

 

楽しみね♪

 





最近、感想欄でSCPにリクエスト的なものが多くなったので、リクエスト用の活動報告を作ります。

なので、SCPのリクエストやネタの放り込みはそちらにお願いします。
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