あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ? 作:うろ底のトースター
しかもこの出来に満足ができてないという、ね。
リクエストして下さった方に申し訳ないのですが、書きにくいとか、満足がいかないっていうSCPは、後回し、或いはなかったことにさせて頂くかもしれません。
ご了承ください。
目的もなく、宛もなく、ただ廊下を歩いていた。
どこから来たのかは分からないし、ここがどこかも分からない。
何時間歩いたのかも分からず、どれほどの距離を進んだのかも分からない。
ふと、1つの収容室に目が向いた。
SCPー1281
どうしてか、ここが気になった。
気になって、扉を開こうとして、
『ますたー?わたしはちゃんとやれましたか?』
触れた扉は、冷たくとも悲しい熱を帯びていた。
『ご主人、泣いてる?』
見慣れた天井と、その手前に見える綺麗な顔。
どうやら、夢は覚めたみたいだ。
「泣いてる、のかな」
頬に手を当てると、湿っていた。
何も分からない不思議な夢。でも、何故だか悲しいって感情が湧いてきた。
俺は、彼女に会わなければならない。
「アイ、今日の予定は?」
『なし、完全フリーだぜェ』
さて、夢を辿ろうか。
SCPー1281 さきがけ
オブジェクトクラス safe
財団が宇宙で発見した、機械生命体らしい。体温は恐ろしく低く、また冷却機能が破損していたために、1度発熱すると脳機能に影響が及ぶ、危険な状態だったそうだ。
ハービンジャーの名の通り、彼女は宇宙にいた何かの先駆け。これから地球が、或いはこの恒星系、太陽系が崩壊することを暗示し、存在を声として挙げるべきだというメッセージ残した。
だが、彼女は熱を放ち過ぎた。
──わたしはちゃんとやれましたか?
──・・・あぁ、ハービンジャー。よくやった。
──ならよかった。
その言葉を最後に、ハービンジャーは、決して目覚めることのない深い眠りについた。
『彼女の生体部分は深く傷ついている。もう手の施しようがないほどにな。いくら君とは言え、できることなんてないと思うが?』
確かにそうだとも。俺にできることはきっとない。
「でも会わないといけない。何故だか、そんな気がしたんです」
『・・・今回は特例。故に、面会時間は1時間だけだ。それ以上は取れん』
「ありがとうございます」
O5に進言してくれた博士に感謝しつつ、扉に手を掛ける。冷たかったが、夢で感じた熱はなかった。
意を決して、扉を、開けた。
雫型の機械から、少女が生えていた。いや、この表現は正しくはない。どちらかと言えば、埋め込まれている、か。
見えるのは上半身だけ、下半身と、両手は埋まってる。
整った顔立ちは、石像と言って差支えはない。
そしてその目は、固く閉じられていた。
『やはり、彼女は起きないか』
そう博士が言った、瞬間のことだ。
「ま、すたー?」
「・・・え?」
ノイズ混じりの、綺麗な声が聞こえた。
「わた、しは、ハービンジャーは、メッセージを、つたえない、と」
間違いなく、目の前の、もう二度と目覚めないはずの少女が、言葉を発している。
機械的な白い肌、白い短髪、半ば開かれた赤い瞳。
ハービンジャーは、今目覚めた。
『まさか、目覚めるとは・・・!』
博士が驚きの声を上げる。
「ハービンジャー、聞こえる?」
「わたしは、きこえます、あなたは、ますたー?」
「いいや、違うよ。俺は、神谷朱里だ」
「あかり?あかり、あかり・・・。あかり、わたしは、メッセージを」
「伝わったよ、君のメッセージは」
「・・・そう、でした。わたしは、つたえられた」
「・・・!」
ハービンジャーの瞳から、雫が落ちた。
ふわりと、仄かな温かみが薫った。
「・・・泣いてる?」
『有り得ん、彼女は機械だぞ!?』
博士の言う通りだ、有り得ない。でも、ここは異常集まるSCP財団。人の信じる絶対なんて、幾らでも裏切られる。
悪くも、そして良くも。
「ますたー、わたしは、これからなにをすればいいのでしょか・・・。いえ、ますたーは、もういないのですね。あかりさん、わたしはどうすればよいのでしょうか」
ハービンジャーが問いを投げる。
彼女の記事は、ここに来るまでに読んできた。まるで、そのマスターに呪われているようだと思った。創られ、使命を与えられたが故に、彼女には意思が希薄だった。根幹にあるのは使命とメッセージ、そこに彼女自身の想いなんて介在しない。
だから、今生まれたこの機会を以て、彼女を自立させる。
この問いの答えは、その足がけになる。
「それは、君が決めることだと思う」
「わたし、が?」
「そ、君が」
ハービンジャーは、深く息を吸った。
「あたまが、あついです。すこしねむらせてください」
また、眠りについた。
「・・・博士」
『あぁ、今からこれはクロステストに変わった。
はぁ・・・、全く、君はどこまで異常なんだ』
俺も分からないのだから聞かないでほしい。
『さて、もう昼だ。昼食くらいは』
「要らないです、朝に詰め込んできたので」
『・・・君、1時間で済ませる気なかっただろ』
済むわけないからなぁ。
さて、今は彼女の目が覚めるまで待つしかないな。
『ああそうだ、以前のハービンジャーの担当であったブルーム博士から伝言を預かっている』
「なんですか?」
『任せた、だそうだ』
「・・・えぇ、任されましたとも」
『思考機能の冷却を確認。再起動します』
ハービンジャーは、目を開きます。
眠っていたのは、およそ2時間。あかりさんは、さすがに帰っているでしょう。
「おはよう、でいいのかな」
訂正します。あかりさんは、ここに居ました。
「ずっといたのですか?」
「何時目を覚ますかわからなかったからなぁ。
それに、」
「?」
「答え、聞かないと」
・・・ハービンジャーは、するべきことを決めなければなりません。
でも、ハービンジャーにはそれが分からないのです。
「何をするべきなのか、考えても分からなかったのです。あかりさん、答えを教えてください」
すると、あかりさんは困ったように首を捻りました。
あかりさんにも、分からないのでしょうか。
「じゃ、こう言えばいいかな」
少しして、あかりさんが口を開きます。
「
「・・・?言っている意味が分かりません。私は、使命を持って生まれた創造物です。
「じゃ、それを見つけようか。暫くはそれがすべきことだ」
そう言うと、あかりさんは私に手を伸ばしました。
「今はまだ、難しいことかもしれない。だからさ、俺に手伝いをさせて欲しい。君の好きなことを見つける手伝いをさ」
あかりさん、私には、理解不能です。
「・・・どうしてそこまでするんですか?」
ハービンジャーはもう、使命を終えたんです。もう、放って置いたっていいのです。
なのに手を伸ばすのは、何故ですか?
「だって、悲しいじゃん。使命背負って、それを成したらはい終わり、なんてさ」
あかりさんには、何も関係ないではないですか。
「俺は、君にここで終わってほしくない。もっと生きてほしい、笑ってほしい、幸せになってほしい」
私には、何もないではないですか。
「手を取りなよ、ハービンジャー」
「────あ、」
受信機構が、私を解放しました。まるで、背中を押すように。
私は、生きていいんですね?幸せになっていいんですね?
私で、いいんですね?
「よろしく、ハービンジャー」
私は、あかりさんの手を取りました。
「────ええ、よろしくお願いします」
どうか、末永く。
神谷朱里
さて、何者なんでしょうね。
ハービンジャー
使命を背負った我々地球人のさきがけ。メッセージによると、彼女の故郷は既に滅んでいるようで、太陽と似通った恒星系の惑星であったらしい。
何があったんでしょうか。
星海夜さん
闇影 黒夜さん、誤字報告ありがとうございます。
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