あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ?   作:うろ底のトースター

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違うんすよ、せめて月一投稿して、そこから少しずつ投稿頻度を上げていこうと思ったんすよ。

だって、燃え残った全てに火を点けなきゃならなかったし、ハイラル救わなきゃいけなかったし、嘘吐かなきゃいけないし、ね?

すみませんでした。久しぶりのリクエスト回です。どうぞ。


帰れない幽霊と戯れる実験

気付けば車に乗って夜道を走っていた。一寸先は何も見えないほどの暗さなのに、なんの迷いもなく車を走らせていく。すると、路肩に女性が見えた。ヒッチハイクをしているようだったが、咄嗟に止まることのできなかった俺は、そのまま走り去ってしまった。

 

「どうして、なのかな」

 

助手席に先程の女性がいた。

 

「私が何をしたんだろう」

 

「誘拐されて殺されちゃった」

 

「酷いよね、目と心臓を抉り取られたんだよ」

 

「痛かったよ」

 

俺は何も言わなかった。

 

「どうしてなのかな」

 

「私が何をしたんだろう」

 

「私はただ帰りたかっただけなのに」

 

「お父さんもお母さんも殺されちゃった」

 

「帰る場所も壊されちゃった」

 

彼女の瞳と心臓がこぼれ落ちた。

 

「だから殺したの」

 

「あの人も、乗せてくれない人も、みんなみんな殺したの」

 

「あれ、どうして乗せてもらいたかったんだけ?」

 

「どうして?」

 

「どうして?」

 

「どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてたすけて」

 

「お願い」

 

「分かった」

 

ようやっと、俺は応えた。

 

 

 

 

 

 

目が覚める。久々の夢だった。

 

『おはよう、朱里くん』

 

「クロステストですね、今行きます」

 

『・・・ああ。しかし、顔はよく洗ってきなさい。酷い顔をしているぞ』

 

言われて鏡を見る。怒りに顔を歪ませた男が写っていた。

 

 


 

 

スゥゥゥゥゥゥーーーー・・・・・・

 

ハァァァァァァーーーー・・・・・・

 

良し。切り替え完了。の、はず。

 

今回のクロステストのお相手はなんと幽霊さん。

 

SCPー1337 幽霊ヒッチハイカー

 

オブジェクトはEuclid

 

夜道に現れる女性の幽霊。生前の本名はメアリー・タリッシュさん。一人で車を運転しているとヒッチハイクをし、それを無視して通り過ぎた相手を殺害する危険なオブジェクト。ちなみに止まったら消えてしまうらしい。

 

乗ってはこないのか。

 

『当該オブジェクトの活動範囲は絞られていない。この道もあくまで目撃情報があったというだけだ。実際に彼女が現れる可能性は低いだろう。だがもし彼女が見えたら、心構えをしてくれ』

 

「・・・了解」

 

『・・・まるで、心ここに在らずといった様子だな』

 

図星だった。

 

「そう、ですかね」

 

気にしないようにしなければ。そう思ってもずっと引っかかっていた、彼女の帰る場所を奪った奴のことが。

 

『これは実験とは関係のない話だが、彼女の両親を殺害し、帰る家と帰り道を破壊した男は、彼女の手によってこの世を去っている。君の怒りの矛先は、もはやどこのも向けることはできない。・・・そんな酷い顔で彼女に会う気か?彼女を救う、それが君のやりたいことだろう。集中しなさい』

 

・・・そうだ。そうだった。当事者でもないのにキレるだなんて格好悪い。パンッ、と乾いた音を鳴らしながら、両手で頬を張った。

 

「俺の扱いが上手くなりましたね、博士」

 

『君とももう長いからな。一分後に発進だ。幸運を祈る』

 

無線が切れた。

 

さて、俺は勿論運転席に座ってるわけですが。

 

「・・・俺免許ないしなんなら車の運転なんてできないんですけど」

 

『安心したまえ。その車両はこちらで遠隔操作できる』

 

科学の力ってすげー。やっぱ科学なんですよオカルトも見習えって。あ、他意はないですよ他意は。

 

『間もなく作戦開始となります』

 

ほいじゃ、行こうか。

 

しばらく車が走っていく。一応運転しているという体裁を取るため、アクセルを踏みハンドルを握ってはいる。それでも実際は遠隔操作されているので、どうしても暇な時間になってしまう。

 

夜道は新鮮だった。お世辞にも治安がいいとは言えないアメリカ。夜に出歩くなんて真似はなかなかできなかった。

 

遠くの街の灯り、街灯の光、赤いスカートに赤いセーター・・・。

 

ん?

 

「いました!」

 

『何!?』

 

間違いない、服装も、あの姿も夢で見たそのまま。

 

『まさか現れるとは・・・止まるか?』

 

どうするべきだろうか。俺は彼女と会話がしたい。だが止まれば、報告通りなら彼女は消えてしまう。とはいえこのまま通り過ぎれば俺は殺される。

 

何より、助けるという約束が嘘になってしまう。

 

なら・・・。

 

()()()止まってください」

 

『降りて話す気か』

 

「もちろん」

 

『通じるか?』

 

「やってみないと分からないですね」

 

『そうか・・・任せたぞ』

 

 


 

 

車が停止すると同時に通信切断。これ以降は俺一人での活動となる。

 

ドアを開く。今日は湿度が高いらしく、湿っぽい空気がじっとりと重くまとわりついてくるような気がした。

 

少し先の路肩にはまだ彼女がいた。ずっと俯いていて、よく見れば赤黒い液体が滴り落ち、足元に溜まっていた。

 

「こんばんは」

 

声をかけると、彼女の肩がビクリと跳ねて、こちらを向いた。本来瞳のある部分に存在する空洞と、不思議にも目が合っていると感じた。

 

最初の言葉はどうしようか、どう話しかけようか。なんて、悩む必要はなかった。

 

『たすけて』

 

夢の言葉が、脳を巡る。

 

「君を、助けに来た」

 

空の瞳が、見開かれた。

 

少しの間、俺の顔をのぞき込んでいた彼女は、不意に右腕をこちらへ向けてきた。爪の鋭いその手が俺の目に近づいて────。

 

「・・・よけないんだね」

 

爪は目の前で止まっていた。

 

「いいよ、話くらいは聞いてあげる」

 

彼女はそのまま座り込んだ。拍子に長い髪が宙を舞い、顔を隠してしまう。

 

「私の境遇は知ってるんだよね?」

 

「・・・知ってる」

 

「だよね。じゃなきゃ助けるなんて一番に言ってこないもん」

 

俺も彼女に倣って、隣に座った。

 

「それで、どうだった?かわいそうだった?哀れだった?」

 

「最初に感じたのは怒りだったよ。この子が何をしたんだって」

 

「へぇ。で、実際に会ってみて、どう?」

 

「それは」

 

「あ、正直に言ってね、じゃないと消えちゃうよ?」

 

「・・・惨いって思った」

 

「だよね、自分でもそう思うもん。でも、君は目を背けなかったね。私の顔見て目を逸らさなかったのは君が初めてだよ!ま、ビックリしてる間に殺しちゃってるだけなんだけどね!」

 

彼女はケタケタと笑った。開いたであろう口から、夥しい量の血がこぼれていった。

 

「私を無視する奴を殺すとね、少しだけ気分が良くなって、嫌なことが忘れられるんだ。そのあとすぐにまた最悪な気分に戻っちゃうんだけどね」

 

「つまりそれって」

 

「そうだよ。私は私の意思で、殺したくて殺してる。だからさ」

 

ガリッ、と爪がアスファルトと擦れる音が鳴った。

 

「こんな奴助けるなんてバカげてるから今すぐやめたほうがいいよ」

 

「それでも俺は助けたいと思ってるよ」

 

静かな風が吹き抜けた。揺れる髪の間から、空の瞳と目が合った。

 

「バカだね君は」

 

「だからここにいる」

 

「そっか、そうだよね。じゃあ分かりやすいように言い方を変えてあげる」

 

爪が右目の前にあった。

 

「帰って。でないとこのまま抉るよ。まずは右、次は左。そのあとは胴体掻っ捌いて心臓を貰う」

 

「帰らないよ。君を救うまで」

 

「なんで、どうしてそこまで・・・」

 

「欲しいんだろ、帰る場所」

 

「もう要らないよそんなもの」

 

「本当にそう思ってるのか?」

 

「当たり前でしょ。いつか失うものならいっそなくていい」

 

「俺は死なないよ」

 

「君が帰る場所?本当にバカだね。口説き文句としては最悪だし、何より今私に殺されかけてるんだよ、分かる?」

 

「君は殺さないよ」

 

「何を根拠に?」

 

「だって今俺は生きてる。さっき殺したくて殺してるって言ってたのに、不愉快な俺にわざわざ脅しをかけてる」

 

「それは、違う、だって・・・」

 

「希望を持ったんじゃないか」

 

「そんなわけない!帰る場所なんて要らない!私はこれでいい、これでいいの!誑かさないで!」

 

「いつまでそうやって嘘吐いてる気だよ」

 

「・・・っ!もういい!殺す!殺してやる!そうすればまた私は元通りに・・・!」

 

「そうだな、また一人だ」

 

「それで・・・いいの・・・私は一人で・・・希望なんて・・・」

 

突きつけられた爪が、力を失ってだらりと落ちた。

 

「たすけて・・・お願い・・・一人は嫌だよ・・・!」

 

「分かった」

 

落ちた腕を握る。

 

「俺が君の、帰る場所になる。だから、帰ろう」

 

丁寧に切り揃えられた爪、白い肌、赤いスカートに赤いセーター、傷一つない綺麗な顔立ち。涙の溜まった瞳が、俺を見つめていた。

 

「・・・うん、帰る」

 

それは、とても素敵な笑顔だった。

 

 


 

 

「ねぇ、また?さすがの僕でも呆れちゃうよ」

 

はい、またです・・・。

 

『ご主人、浮気者』

 

返す言葉もございません・・・。

 

『もしかして女たらし?』

 

どこでそんなに言葉覚えてきたの黑・・・。

 

「あなた、私はデートを要求します。2人きりで」

 

あ、はい予定空けておきます・・・。

 

「朱里く〜ん♡・・・夢では覚悟しておいてね」

 

お手柔らかにお願いします・・・。

 

『はぁ・・・いつかは会いたがるとは思ってたけどよォ、連れてくることはないんじゃねぇかァ?』

 

いやでも──

 

『言い訳は聞かねぇぞォ』

 

すんませんした・・・。

 

「あ〜、なんというか、賑やかだね。こんなに先客がいるとは思わなかったよ。その、君の中も含めて」

 

幻滅した?

 

「別に?何となくそんな気がしてたし」

 

マジすか。

 

「いっぱい誑かしてるのも尻に敷かれてるのも、予想通りかな」

 

そんなぁ。

 

「・・・でも、かっこよかったよ。俺が君の、帰る場所になるって言ってくれたの」

 

あ、ちょ、それは──!

 

『ああ、そう口説いたのか』

 

「あ〜か〜り〜く〜ん〜?さーすがにそれは僕は見逃せないぞぉ?それってもうプロポーズじゃないか、えぇ?」

 

『む〜〜〜』

 

「私が・・・先を越された・・・?そんなはずないです・・・。私は将来の妻なのですから・・・」

 

「これは少し、お灸を据える必要がありそうだね」

 

『わわ、みんな怒っちゃった。逃げろー』

 

『一体何をしたんだ朱里君!たった今君と交流のあるオブジェクト一斉に収容違反を起こしたぞ!』

 

───前略、お父さん、お母さん。僕のバイト先は今日も平和です。




神谷朱里

このあとめちゃくちゃ埋め合わせした。


メアリー・タリッシュ

「別に彼と恋仲になりたいとか結婚したいとかはないけど、なんか掠め取られるのは嫌だし、牽制くらいはしておかないと」





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