あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ? 作:うろ底のトースター
多分また遅れますはい
働く権利を頂かなければですはい
「バレてない・・・よね・・・?」
『大丈夫じゃねぇかァ?電子機器は誤魔化しといたし、別に見られてもねぇんだろォ?』
「いやーでもちょっと不安でさ」
『たく、ンな小心者がソレに手ぇ出してるとはなァ』
「全く仰る通りです・・・」
18歳までしてはいけないこと、飲酒だったりギャンブルだったり、いろいろある。いくら財団の重要人物で、いくつかの特権を有していると言っても、俺もこのルールから逸脱することはできない。
まぁ、できないなら隠れてやるわけでして。
『未成年喫煙、よりによってタバコかよォ』
「薬物よりマシ・・・」
『比較対象がおかしいだろうがァ』
そう、タバコ。きっかけは、あれだ、まだ日本にいた頃。親戚の集まりで、名前も分からない不良の兄さんに勧められて断りきれずに、って感じ。
別に禁断症状が出るほど頻繁に吸ってるわけじゃない。たまに、ふと吸いたくなるときが来るだけ。
『悪ぃだろォ、身体に』
「あんま吸ってないから大丈夫」
紆余曲折を経て手に入れたこのタバコ。銘柄まで選んでる余裕はなかったけど、まぁいいや。
箱から1本取り出し、咥える。
「あれ?ライターどこやったっけ」
『おいおい準備が悪いなァ』
「うぐっ」
背中に刺さるアイのツッコミが痛い。ごもっともです、はい。それにしても、どこだろう。棚の中かな。
さっさと吸ってしまわないと。もし誰かに見られたらどうなることか。
「遊びに来たぞ朱里・・・何咥えてるんだ?」
「フラグだったかぁ」
不測の予測、失敗です。来ちゃったか、ルイ。
「えっとね、これはね」
「あら、タバコじゃないの。悪い子ね」
「最近2人セットで来るよね」
ルイの後ろから現れたアベルに、咥えてたタバコをひょいと奪われる。
「未成年喫煙、日本はいいの?」
「全然ダメだよ」
「でも、シちゃったのね?イケない子」
「ニュアンスがおかしい」
多分返してくれないだろうから、仕方なくもう1本を取り出した。そしてまたひょいと、今度はルイに奪われた。
「で、結局これなんなんだよ」
「これはタバコ、趣向品の一種だよ」
「そしてとっても身体に悪いものよ」
「朱里、その箱よこせ、潰す」
「待ってお願い」
目の座っているルイから必死にタバコを庇う。これは頑張って手に入れたもの、そう簡単に失うわけにはいかないのだ。
「身体に悪いと言っても、1本や2本吸ったところで今すぐ悪影響を及ぼすってことはないから、少しくらい大目に見てもいいんじゃない?」
すかさずアベルのフォローが入る。でもね、こうなった原因の一端はあなたなんですよ。
「まぁ、そういうことなら・・・」
「というわけで、お姉さんと一緒に楽しみましょう?」
「アベルも吸うの?」
「な!だったら俺も!」
「ルイも?」
うーんできればやめてほしいなぁ。いや、別にあげるのはいいんだよ、そもそもそんなに大量に喫煙するわけじゃないからね。
ただこう、健康問題とかさ。2人なら大丈夫なんだろうけど感覚的になんか、ねぇ。
「というか、そもそも私達の前ではやめておこうとか思ってたんでしょ?」
「それは、まぁ、うん」
「あのなぁ、俺らの健康が害されるような毒がこの世にあると思ってんのか?」
「いやはやごもっとも」
けどこれは気持ちの問題、理屈じゃないのよね。
「けど、同じように私達も喫煙すれば、気にならないんじゃない?」
「いや、まぁ、うーん」
分からなくもない理論だけど、でも抵抗あるんだよなぁ。
「ならこう言おうか、俺はお前と一緒がいい」
「お姉さんも同じ気持ちよ」
「・・・・・・・・・分かった」
ここまで言われたら折れるしかないよね。これ以上は、むしろ彼女達を蔑ろにしてることになる。それに、誰かと吸うの久しぶりだから、少し楽しい、気がする。
「で、どうすればいいんだ?」
「えっとね、まずはこうやってこっちの端を咥えてね」
「ん」
「はーい」
「ライターでもう一端に火を付けて」
「ん」
「はいはい」
「・・・付けて?」
「ん?」
「いーや♡」
「え?」
先に火を付けて、ライターを2人に差し出すも、なぜか受け取ってくれなかった。ルイは本当に分かってなさそう、というか意図を理解していない、みたいな感じ。対してアベルは、なんかこう、怪しいこと考えてそうな雰囲気だ。
「だってね?」
「な?」
「え?なに?どうしたの2人とも?」
「朱里くん」
「はい・・・・・・え?」
あの、え、アベルさん?ちょっと顔が近いかなって。
「ど、どうしたの?」
「朱里くん・・・」
「アベルさーーん?」
「目を、閉じて・・・?」
「はい?」
いやいやいや、え?これあれですか?キスですか?世界が終わる気がするんだけど?いやでもここで雰囲気ぶち壊しにするのもってそもそも今唐突に?キス?ムードとかは?いやいやいやいやここで応えないと、アベルがここまでしてくれたんだから。覚悟を決めろ。世界が壊れないようにアベルの期待に応えるんだ。さあ、行くぞ。
「ん」
「ん〜♡」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
「はい、ありがとね、朱里くん」
「え?あ?あ!タバコの火ね!」
見れば、アベルの咥えたタバコの先から、ほのかに煙が立ち上っていた。
シガーキス、というやつだ。シガーキス、キスだキス、キスなんだよ。
キス!?
「シガーキス・・・好き?」
「好きです」
好きだけどさぁ!?いや、あの、好きです!(混乱)
「朱里の顔が赤い・・・もしかしてこの火を付ける方法、いやらしいのか!?」
「やっぱりルイもやる気だったんだ!?」
「あらあら」
「あ、当たり前だろ!?ライターのオイルだって有限なんだからこっちほうが効率的!でも!」
「でも!?」
「
「無知は無力ねぇ」
「上等だ、地球出ろ」
「あらいいわね
「表出ろ感覚で大気圏突破しないで!?」
まずいぞ、タバコ三本で世界の危機だ。なんてインスタント。
「とりあえず、そのシガーキス?す、するぞ!いいな、朱里!?」
「あ、うん、もちろんいいよ!」
「じゃあ、いくぞ!」
「よし、こい!」
「シガーキスするだけよね?」
頬に手が当てられる。きっと気を使って鱗をどけてくれたのだろう、柔らかで少しだけ冷たい手だ。
「目、閉じろよ」
塞ぎかけた瞼の先で、タバコの先端同士が近付いているのが見えた。そして、ジュッと火のつく音が聞こえた気がした。
「もう、いいぞ」
「あ、うん」
ルイ、顔赤いなぁ。
「青春ぽいことになってるけど、やってること喫煙なのよね」
「仰る通りで」
しかも俺は未成年喫煙。
「でもこれで全員に火が付いたわね」
うーんさすがに高身長代表枠のアベル。妖艶なお姉様からかっこいいお姉さんまでこなせるそのスタイルは、タバコとの相性はバッチリ。
「ふぅ、タバコってこんな感じなのね」
いつもにこやかな人のちょっとした治安の悪い部分。いいと思います。
そしてルイ。身長はアベルほどではないものの、普段の言動、言うなればワルっぽいところが、背伸びで吸ってますって感じでかわいい。
「??ふぅ・・・う?わっかんねぇ」
ほんとに背伸びみたい。
「ふぅ・・・」
まさかタバコ1つでこんなことになるなんて思わなかったな。
『全くだなァ』
「・・・口に出てた?」
『そんな顔してた』
スマホの画面にひょこっと顔を出したアイ。その口には、当たり前のようにタバコが咥えてあった。
『これが本当の電子タバコだなァ』
「はは、電子座布団とかもある?」
『ま、味はねぇけど。で、苦労して選んだそのタバコ、お味はいかがだよォ』
「うーんそれなんだけどね」
薄々思ってたし、多分2人も思ってるはず。
「うん、まっずい」
「な」
「ね」
『なんだよ苦労したのに』
「銘柄まで選ぶ余裕なかったからね」
こうして、アメリカに渡って初めての未成年喫煙は、少し締まらない終わりを迎えた。
「朱里さんキスしたって本当ですか誰とキスしたんですか誰にファーストキス奪われたんですか殺します殺してキスして上書きです最初にキスした女を殺して繰り上がりで私がファーストキスですいやその前に喫煙したって本当ですかどうしてそんなことするんですかただでさえ人間の体は弱いのに余計に弱くしてどうするんですか死んでしまうんですか死んでしまうならみんな殺して私も死にますどうせ死ぬなら死ぬ前にキスしてくださいいいですかいいですねもう死んじゃうならファーストキスも何もないですよねお願いです朱里さん私に最期の思い出を下さいそしたらみんな殺してみせます私も死にますああでもそんなことしたら朱里さんに寂しい思いをさせてしまいますねなら全員殺して私だけ生きます生きて朱里さんが天寿を全うするまでお傍にいます天寿を全うする?お煙草のせいで寿命を削られているのに?それで亡くなっても天寿を全うしたと言えるの?いえいえないでしょうとなればもう殺すしかありません全てのタバコを殺します殺して私は生きて貴方と最期まで生きますいいですね
では殺します」
「待って」
落ち着かせるのに1日かかった。
神谷朱里
緊張の解けた後に2人に遭遇したのでむちゃくちゃ心がブレてるしめちゃくちゃ焦ってる。以降タバコを咥えた瞬間ノアにタバコの先をぶった斬られるようになった。
ルイ
初めてのタバコが不味かったのでタバコ=美味しくないものとして定着された。けどシガーキスは気に入った。
アベル
シガーキスしたかっただけ。あとついでにマジバトルできたら良かったのにって思ってた。珍しく狼狽する朱里くん見れて満足。
ノア
ブチギレ。ブチギレすぎて言ってることがよく分からなくなってる。タバコを見たら発狂するようになった。
その他脳内組含めた重くなりそうな方々
ネタに振り切る回なのでご登場は遠慮いただいた。主にメアリーあなたのことですよ。