あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ? 作:うろ底のトースター
こっちは息抜きで書いてる程度なので余計遅くなります。
爬虫類と戯れる実験
「準備はいいかね?」
「い、イエス・・・」
ネイティブな英語で話しかけてくる学者姿の中年男性に、何年経っても慣れない英語で返す。
今、俺の目の前には、めちゃくちゃ頑丈そうな鉄?の扉がある。というか、もうこういう扉を四つ通ってきた。これで最後らしい。
そしてこの先に、世界を壊せる化け物が、居る。
「そうか。では、頼んだぞ。幸運を祈る」
そう言って、通ってきた扉を戻る学者。その後すぐに扉は閉まり、俺の退路は、絶たれた。
深呼吸をする。よし、
「行きます!」
最後の一枚が、開かれた、瞬間。
ガラスが割れる音が響いて、
俺は、半裸の女の子に抱きしめられた。
「・・・はい?」
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突然だが、きっと意味不明であろう現状について説明しようと思う。俺は、いろいろあってアメリカに住んでいた。いやまぁ、いろいろっつっても親の仕事が原因なんだけど。
そんなある時の話だ。
なんか、黒褐色でデカい剣?ブレード?を持ったこれまたデカい
マジで盗られると思ったね、貞操。ほんと、話が通じて良かった。
その後?
この人、なんかやべぇ人?人外?らしくてさ、黒服のガタイいい野郎に囲まれて、引き離そうとしたけどこの人外が離してくれなくて、結局一緒に連れてかれたよね。
んで、SCPっていうやべぇ生物やら物体やらの存在を知り、そいつらを管理するSCP財団を知り、
気が付けば俺もSCPとして登録されてた。
ん?なんでって?
どうやらこのSCPたちから愛される体質にあるらしいです。
あら異常。
ま、そんなこんなでいろいろな実験に付き合わされることになったんだ。
あ、両親には説明済みらしい。泊まり込みのバイトって感じで。
さて、俺の初めての実験のお相手は、SCPー682。不死身の爬虫類って呼ばれてるらしい。こいつの特徴は大きく分けて三つある。
一つ、異常な再生能力と適応能力。銃撃、斬撃、爆撃。あらゆる攻撃は損害を与えた傍から再生されるし、空気中、水中はもちろん、真空やら毒ガスやら、ましてや酸性液の中でも余裕で生き残れる。もうやべぇ。
二つ、異常なパワー。強化ガラスやら鉄の塊やらが簡単に砕かれる。こいつを前にしたら、
三つ、異常な知能。詳しいことは説明されてもよく分かんなかったけど、爬虫類なのに会話ができるらしい。爬虫類なのに。でも吐き出される言葉は大概があらゆる生命体に対する罵詈雑言だそうで。
ま、これを聞いた時、正直逃げたくなったよね。
だってさ、無理じゃん?こんなチートじみた奴に会いに行くんだぜ?しかも生きてるものを全部憎んでるような怪物ときたもんだ。愛される愛されるって言われてんだけどさぁ。確実に、ってわけじゃねぇじゃん。
前略、両親へ。
先に天へ旅立つ不肖の息子をお許しください。
とまあいくらごねても権力には敵わんわけで、結局覚悟を決めて会いに行ったんだけど。
そんで冒頭に戻る。
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んーん?ん?んーーー、ん?
なんで俺は抱きしめられてるわけで?しかも半裸の女の子に。俺、爬虫類に会いに来たんだけど?
「あ、あの〜、この子は?」
耳に付けたインカムに問いかける。
『何を言っている。その子が682だぞ』
あ、そっかぁ。よく見りゃこの娘、ところどころ爬虫類っぽい鱗が見える。というか、半裸って言ってたけど、これ、全裸じゃね?鱗が服に見えてただけで、実際はなんも着てないんじゃね?
つまり、この胸板に触れてる柔らかい膨らみは、
生・・・!?
「私、このまま死んでも悔いはないです。本当に、ありがとうございます」
『なんで死に際みたいなことを言ってるんだい?』
だってさ、お胸だぜ?女の子のパイオツだぜ?もうさ、悔いなんて残んねぇだろ?
「なぁ、誰と話してるんだ?」
あらこの子ものすんごく綺麗な声してるー。かわよ。
「あ、いや、ちょっとね?」
「あの
あらこの子お口悪いー。でもかわよ。
「ごめんごめん、今は君に集中するよ」
「あぁ、そうしろ。でないと俺、嫉妬で狂っちまうかもしれないからな」
あらこの子今どき珍しい俺っ娘ー。あーかわよ。しかも嫉妬とか。すごい独占欲あるじゃん。俺的にはナイスです。
さて、思春期の男子としては、全裸抱きつきはめちゃくちゃ嬉しいが、男として、女の子に裸でいさせるわけにはいかない。コートを着せてやるか。
「ほら、これ着なさい」
「ん」
コートの裾に腕を通す爬虫類ちゃん(仮名称)。かわよ。
ある程度落ち着いてきたので、この子と周りをよく見てみる。
身長は、170ちょっとある俺より少し小さいくらい。艶やかな濡羽色の髪が腰あたりまで伸びており、身体は痩せすぎない程度のスレンダー体型。目は紅く、瞳孔は爬虫類っぽく縦に割れてる。
うーん整ってる。
うん、まあここまではいいんだよ。
問題は爬虫類ちゃんの背後にある割れたデカい水槽。
あれ、強化ガラスでできてる。しかも中身は塩酸。いや別に割られるなんてこの子の異常性から見れば普通。
何がやばいって俺にその破片と、塩酸が
つまりこの子は、俺が部屋に入ると同時にガラスを破り、体に付いてる液体を何らかの方法で蒸発させ、俺に降り注ぐ破片と塩酸を全て弾き、抱き着いてきたってことになる。
Oh・・・、なんてこったい。
「な、なぁ」
「ん?」
「このコート、貰っていいか?」
わぁー、すっごいクンクンしてるー。やっぱ臭うのかねぇ。
「いやまぁ、いいけど」
「ほんとか!?ありがと!」
うわ、急にテンション高くなった。可愛い。
「か、可愛いって・・・!」
あら声に出てたみたい。頬を赤くしてらっしゃらぁ。
「そういえば、名前ってあるの?」
「名前?
「じゃなくて、君の名前」
「んー、ないな」
「そっか」
名前ー、ないとちょっとコミュとるのに不便だよなぁ。どうしよ。
「あ、そうだ」
「どうしたの?」
「お前が名前をつけてくれ」
あら、そうくる?
んーと、不死身、爬虫類、682・・・。
あ、
「ルイってのは、どう?」
爬虫
「ルイ、ルイか。気に入った」
おお、適当だけど気に入ってくれたか。
「なぁ」
「ん?」
「俺は、ルイだ」
「うん」
「お前の名前は?」
あー、そういや言ってなかったわ。
「
神谷 朱里
(SCPー■■■■)
他のオブジェクトから愛される、という以外はごく普通の高校生。欲望に忠実で、でも命は大事。
ルイ
(SCP─682)
不死身で可愛い爬虫類。
褐色のデカい女の人
ダレダローナー。
不死蓬莱さん
Aona no Kenriさん
迷子の子犬さん
誤字報告ありがとうございました。
SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)
SCPー682 作者 Dr Gears様、Epic Phail Spy様
http://scp-jp.wikidot.com/scp-682