あらかわい、え?この子たち世界壊せるってマ? 作:うろ底のトースター
「おまたせ」
財団に収容?採用?されてから一月が経ちました。両親とは度々合わせてもらってます。
『君のおかげでこちらも助かっているんだ。これくらいはさせてくれ。』
との事です。
また、実験であった三人ともよく会ってる。みんな元気そう。あとノアはちょっと目が怖くなった。別に襲われるとかじゃないけど、別の実験に行く時とか、帰る時に、
『また、べ、別のおん、な、ですか?』
ってよく言われる。怖い。でも可愛いので正義。
さて、実験のお時間だ。
お相手は、俺のSCPとしての
SCPー076 ”アベル”
あの褐色お姉さんである。
未だに忘れない。
はじめましての挨拶が、
『ねぇ、【自主規制】してもいいかしら?』
だったこと。
まじでヤられそうになった。危ない。
では、アベルの異常性について説明しようと思う。
アベルはルイと同等レベルの身体能力を持つが、その反面、ルイのような再生能力、適応能力を持たない。そのため、殺すことはできる。できるのだが、
アベルは何度でも蘇る。
黒い棺のような箱から現れ、殺されてもまたそこから復活する。それがアベルの持つ最大の異常性だ。
また、なんもないところからデカいブレードを出したりする。俺と会った時に持ってたのはそれ。
で、一番タチの悪いのが、戦闘狂だと言うこと。
戦うために収容違反を繰り返していたらしい。
危なかったと怖がるべきか、無理矢理じゃなくて合意を得ようとしたその優しさに感謝するべきか。
『朱里くん。その、準備はいいかな?』
「あ、はい。」
とりあえず、行きますか。
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どーも、部屋に入っておよそ五秒が経過しました。
黒めの褐色の肌に、整えられた黒のショートヘア、優しげなタレ目。
可愛いよりも美しいっていう言葉が似合う女性に、
現在、
何を言っているのか分からないと思うが俺も何をされたのか以下略。
ともかく、部屋に入ったと思ったら抱きかかえられてそのままベッドにポイッ。からの馬乗りと。
「君から収容室に来たのだからこれは合意?」
「話し合いに来たんですが?」
COOLになるんだ。頼むから。
「お姉さん、一ヶ月もお預けされたのよ・・・?」
「俺は清楚な人が好みです。」
嘘ですエッチィ子も可愛いと思います。でも嘘でも方便でも言わなきゃ襲われる。
「むぅ、それじゃあ我慢するわね。」
こういう風に、思考がそっち方面に偏ってはいるが、話は通じる。
二人して起き上がって、ベッドに並んで座る。
「それで、話って?」
「なんでもいいですよ?意味なんてない世間話でも、なんでも。」
「それじゃあ、君のこと、聞かせてもらおうかな。」
良かった。危ない路線戻せた。
「君は好きな娘とかいるの?」
地雷踏み抜くのやめてもらっていいっすか?
下手な返答したらルイとノアが暴れかねないんだが?
「ご、ご想像にお任せします・・・。」
ここは誤魔化して
「ダーメ♡教えて?」
マジすかァ?
「・・・気になってる娘は、います。」
「ふーん?気になってる娘、ねー・・・。」
次あの二人に会う時が怖いなー・・・。
「じゃあ、さ。お姉さんにも、チャンスはあるってこと?」
「まぁ、そっすね。」
「やった〜♡」
ギューって抱きしめられる。
話の主導権を握られて、そのまま振り回されっぱなし。年上の余裕というか、そんなものがある。そっか。
こういうタイプもいるのか。
「それじゃあ次ね?好きな女の子タイプは?」
「精神的身体的に関わらず可愛いか美しければ恋愛対象です!」
「うわすごい食い気味。」
可愛いは正義。美しいは世界の摂理。そう思ってる。だれになんと言われようと絶対に覆さない、俺の信条。
「可愛いと美しいは命より優先すべきです。」
「命を投げ捨てるのはお姉さん的にいただけないかな。死んじゃったらどうするの?君、私みたいに蘇れないでしょ?」
「む、確かに。」
死んだら、あの娘らどうなるんだろ。暴れる?後を追ってくる?ルイは確実に暴れるな。
あれ?俺ってば世界の平和背負ってる?
oh......。
「君はね?人間なんだよ?だから、もっと異常を怖がって。もっと自分を大切にして。例えそれが君の言う『可愛い』や『美しい』だとしても、ね。」
説教じみた、でも優しい声音で、諭される。
それでも、だとしても、
「・・・保証は、できません。多分俺は、あなたの命と俺の命を天秤にかけたとき、きっと、あなたを優先してしまう。」
狂ってると言われても、俺は、俺を変えられない。
「・・・どうしてそう言えるの?」
「自分のことは、俺がよく分かってます。」
「・・・そう。」
アベルは、悲しそうにそう言葉を零した。
「ほんと、仕方ないわね。うん、じゃあ、君の命は、私が
「はい?」
何を言っているんだ?
「だから、君が私のために命を捨てるって言うなら、私も君のために命を捨てる。これでおあいこね?」
「命を大事にしろって言った傍から自分で捨ててるじゃないですか。」
「私はいいの。異常だから。」
「なら俺だって「君は普通だよ。」ッ!?」
「私たちのこと、最初は怖かったんじゃない?」
・・・怖かった。怖かったさ。相手が異常性を持っていたから。
俺も異常なのに?どうして、怖がる必要がある?
俺が、普通、だから?
普通に生活してきて、普通に感情を持って、普通に怪我をして、普通に風邪をひいて、
普通に、異常を恐怖して。
「分かった?君は普通なの。そして、私、私達も、君には普通でいてほしいの。」
「・・・はい。」
異常に、普通であれって諭されるなんてなぁ。世の中何があるか分かんない。
「うん、よろしい。それじゃあ最後に一つ・・・。」
「なんすか?」
「私を
お嫁さんにしてください♡」
警報が鳴り、一拍遅れて轟音が耳朶で爆ぜた。
ルイが天井をぶち抜いて、ノアが壁をぶち破ってきたからだ。
そのまま強引にアベルから引き剥がされる。
やったよ、やっちゃったよこの人。
最後の最後で地雷をしっかり踏み抜きやがった。それも特大のやつ。
「殺すぞクソアマがァ・・・!」
爪と牙を鋭利にさせるルイ。
「それ以上近づかないでください殺しますよ?」
普段の自信なさげな口調も、顔を隠すことも忘れて、だらりと両腕を垂らしたノア。
「あらあら随分と元気な娘達ね〜。これなら楽しめそう♡」
空中からブレードを取り出し、嬉々として構えるアベル。
「脱兎の如しぃ!!」
人生最高速で駆け出す俺。
後に知ったことだが、一応死傷者は出なかったらしい。なおアベルの収容室は崩壊した。
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「ご苦労だったな。」
「・・・ほんとですよ。」
あの地獄から抜け出して、安全圏まで来たとき、博士に呼ばれる。
「疲れてるところ悪いが、君のオブジェクトクラスが決定した。」
「おぉ、遂にですか。」
オブジェクトクラス。
全てのSCPに、危険度やその用途から付けられる位のようなもの。
大まかなクラスは三つ。
まずはsafe。
こいつは、永久的な収容方法が確立されており、また、大した危険性も認められないオブジェクトに与えられるクラス。
次にeuclid。
永久的ではないが、一応の収容方法が確立されているオブジェクトに与えられるクラス。知能があったりするとここに当てはまる。
ノアと幼女ちゃんがeuclidの枠に入る。
最後にketer。
これは、収容方法が確立されておらず、また、そもそも収容できていないオブジェクトに与えられる。危険性はもちろんトップ。
アベルやルイがここに当てはまる。いつでも収容違反できるからね。
「それで、俺のオブジェクトクラスって?」
「あぁ、keterだ。」
「はい?」
keter?ケテル?けてる?
なんで?
「いや、君自身はsafe、もしくはeuclidなのだが、君の周りが、な・・・。」
そっかぁ。
「君と出会ったオブジェクトは、皆、狂気的なまでの愛情を君に向けている。それこそ、君が望めば世界を破壊するほどにな。」
「いや、しませんよ。」
「上はそれを信じないんだ。」
めちゃくちゃやつれてる。この人、ほんとにちゃんと人間してるわ。
「うわぁ、大変っすね・・・。」
「全くだ。」
閑話休題。
「君のこれからの収容方法だが、基本的には変わらない。今まで通り、オブジェクトとの実験を続けてもらう。」
「うっす。」
「ただ、少し違うのは、世界中を飛び回ってもらう必要がある事だ。」
なんでぇ?
「財団は世界中に点在している。そして、その各々に数多のオブジェクトが収容されている。」
「そのオブジェクトとの実験を行うために、世界旅行ですか?」
「そうなる。」
なーるほど?それなら納得。
「さて、早速だが、君には日本に行ってもらう。」
「マジで早速ですね。」
「君の精神汚染耐性を調べる、丁度いいオブジェクトが収容されているんだ。出発は15時間後、それまでに荷物をまとめておいてくれ。」
「了解。」
さってとぉ?まだ見ぬ美人に会いに行きますか。
アベル
(SCPー076)
色々迷ったけどお姉さんキャラにした。戦闘狂だけど包容力がある。つおい。
ルイ
朱里に手を出したらブチギレる。
ノア
朱里に手を出したら病む。
不死蓬莱さん
誤字報告ありがとうございました。
SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)
SCPー682 作者 Dr Gears様、Epic Phail Spy様
http://scp-jp.wikidot.com/scp-682
SCPー096 作者 Dr Dan様
http://scp-jp.wikidot.com/scp-096
SCPー076 原著 Kain Pathos様
改稿 Crow, DrCle様
http://scp-jp.wikidot.com/scp-076