この小説は「陰の実力者になりたくて!」のシャドウ様を他作品に転生させてみるという見切り発車ネタから始まります。
更新不定期というつまりはエタ前提ですが、原作者、先駆者様からのご要望があった場合には確実に更新します。
核で蒸発しないためにできること
ああ、切っ掛けはなんだっただろうか?
子供の頃に見たアニメ?
それとも映画?
いや、漫画だったかなぁ……。
まあいいか、僕には一つの夢がある。
果てしなく遠く、遠く、長い。
そんな道のりの果てにあるそんな夢。
それは何よりも強い、そんな存在。
それは誰よりもカッコイイ、
最高にクールな存在。
主人公でもなく、
ラスボスでもなく、
陰ながら物語へと介入し、
その実力を見せつけて行く存在。
僕の夢はそう。
陰の実力者、そう呼ばれているものだ。
そんな陰の実力者に僕はなりたかった。
某アニメのような陰の実力者でも、某マンガのような陰の実力者でも、小説でも、ゲームでも、それが陰の実力者であるのならばなんでもよかった。
誰もが一度はヒーロー、英雄、勇者や魔王、もしくはヒロインに憧れるように、僕は陰の実力者になりたかった。
ただ、それだけの事だ。
だが、そんな僕の渇望は一時の熱病では決してなく、もっと深い心の底で燃え続け、いつまでも消えることなく僕を突き動かした。
空手、柔道、少林寺、太極拳、八極拳、日本拳法、合気道、剣道、フェンシング、総合格闘技、ボクシング、他にもやれるだけのことはやった。
強くなるために必要なものはどこまでも全力で習得し、完全に極めたと言っていい。
だけど、その実力は秘匿し続けた。
そう、僕が陰の実力者になるその日のために。
学校ではもちろん完璧な平凡を貫いた。
決して目立ず、人畜無害、テストの点も平均点で、体力テストの結果に至るまで、その全てが至って平凡。
完全無欠のモブAだ。
陰の実力者はその実力を悟られてはならない。
正体のバレている陰の実力者なんて、とてもじゃないが陰の実力者とは呼べないからだ。
そして日常の裏側は修行に全てを費やした。
多くの人が遊んでいたり、
勉強をしていたり、
習い事をしている時間。
僕はその全てを陰の実力者の為に費やした。
それが僕の青春であり、学生生活だ。
だけど、時間が経つにつれて不安が僕を襲うようになった。
どんな夢もいつかは冷めてしまうように、現実と向き合う時が来たのだ。
こんな事をしていても無駄なだけなのだ。
どれだけ武術や格闘技を習得しても、物語の世界にいた陰の実力者のような力は手には入らないのだ。
僕にできるのはせいぜい不良数人をボコれるくらいで、陰の実力者のような圧倒的な力はない。
銃やボウガンのような飛道具が出てきたら厳しいし、完全武装の軍人が出てきたらもうそれでお終いだ。
軍人にボコられる陰の実力者とか笑える。
僕が目指しているのはそんな陰の実力者(笑)ではなく正真正銘の、本物の影の実力者なのだ。
僕がこの先どれだけ修行しても、片手でどんな格闘家でも倒せるようになったとしても、きっと軍人に囲まれたらそれでお終いなのだ。
いや、もしかしたら、奇跡でも起きれば何とかなる可能性が万に一つくらいあるのかもしれない。
人間は鍛えれば軍人に囲まれても、逆にボコボコにできるような可能性があるのかもしれない。
しかし、仮に軍人をボコボコにできたところで、頭上に核が落ちてきたら蒸発するのは生物の限界なのだ。
どれだけ努力した所で、人間である以上は生身で核の炎に耐える事なんてできないし、それができれば世の中に武器なんてものは必要なかった事だろう。
もちろん、僕が憧れた陰の実力者は核なんかには負けない圧倒的な強さを持つ。
核では蒸発しないのだ。
だから僕も頑張って、核で蒸発しないようなそんな存在にならなければいけない。
ではここで少し考えて欲しい。
パンチ力か?
キック力か?
それとも鍛え上げられた肉体?
無尽蔵な体力?
違う、そうじゃない。
そんなものの筈がない。
核は、核爆弾はそれが物質であるのならばどんな物質であろうが跡形もなく消し飛ばす事ができる。
世界最高の核シェルターだって至近距離で水爆が爆発すれば跡形もなく消し飛ぶというのに、生身でどうにかできるわけがない。
ならばもっと別の、異なる力が必要なのだ。
そう、魔力、マナ、オド、チャクラ、プラーナ、気、オーラ、その何でもいいし、どれでもいい。
どれか、どれか一つだけでいい。
物理学に支配される事の無い、そんな未知なる力を取り入れる必要があった。
それが、それが僕の出した結論。
僕が現実と向き合った末たどり着いた、唯一にして無二の答えだ。
例えば魔力を探している人がいたとする。
きっと誰もが正気を疑うだろう。
僕だってそうだ。
そりゃあ同じように正気を疑うだろう。
だけど、今一度考えてみてほしい。
確かにこの世界にはまだ魔力の存在を証明した人は一人もいない。
でも、魔力が存在しないことを証明した人もまたいないのだ。
正気では僕の目指した力は手に入らない。
それはきっと、狂気のはるか先にある研鑽を超えた所にあるものなのだ。
だから僕の修行は当然困難を極めた。
あたりまえだ。
魔力、マナ、気、オーラ、そんなものを習得する方法は誰も知らないのだ。
僕は座禅を組み、滝に打たれ、瞑想し、断食し、ヨガを極め、改宗し、精霊を探し、神に祈り、自身を十字架へ磔にした。
正解なんて存在しない。
暗闇の中を、
自分が信じた道を、
ただひたすらに信じて突き進むのみ。
そして時が経ち、僕は高校最後の夏を迎える。
_____魔力もマナも気もオーラも、
僕が修行を終えると、もうすっかりと暗くなっていた。
流石に全裸のまま帰る訳にはいかないので、傍らに脱ぎ捨てていた下着を身につけて、学生服に袖を通した。
僕が求めている力はまだ一つも身につけていない。
でも最近続けているこの修行に、僕は凄く手応えを感じている。
もちろん今もだ。
修行を終えたこの体は平常時とはかなり違う。
頭の中がキラキラと輝くような気がするし、
普通に立っているのにも関わらず、視界がすこし揺れている。
何の力かは分からないけど、きっとこれは未知の力の影響なのだろう。
ただ疲労困憊で、見ている幻覚や僕の妄想ではなく、確かにその影響を感じる気がするのだ。
ああ、実に素晴らしい修行法だ。
山の奥深くで服を脱ぎ捨て全裸になることで森羅万象を感じ、滝に打たれつつ、さらに大岩に頭を打ち続けることで物理的に雑念を排除し、かつ脳に刺激を与えることでそこに秘められた未知なる力の覚醒を促す。
これ以上ない程に完璧な修行法だ。
ああ、目眩がする。
まるで脳震盪を起こした時のような感じがする。
だけど今の僕はふわふわと、まるで空を飛ぶかのような不思議な足取りをしている。
魔力だ、魔力に違いない。
そんな事を考えて、僕は山を下りていく。
その時ふと、揺れる光を見つけた。
まるで宙を泳ぐかのように、横切っていく二つの光。
奇妙で、不気味な光。
だけどそれは僕を誘うように、僕を導くように優しく光っている。
「…………魔力?」
僕はふらふらとした足取りでその光へを目指す。
間違いない、魔力だ!
ようやく僕は魔力を見つける事ができたのだ!
いつしか歩みは駆け足へと変わった。
木の根に足を取られても走る。
そのまま転がるように走る。
ひたすら獣のように走る。
「魔力!」
走った。
とにかく走った。
「魔力!」
だって魔力だ。
僕が長年夢見てきた魔力だ。
虚構の彼方にしかないんじゃないかなんて思って、諦めようとした事もある魔力だ。
「魔力、魔力……ッ!」
もう少し、
あと少し!
この人生の全てを込めて僕は走った。
「魔力、魔力、魔力魔力魔力ゥッッ!!!!」
そして、
僕はその光に追い付く。
ついに、ついに手に入れたぞ。
魔力だ!
「あ……?」
そう思って手を伸ばした時、
眩い光が僕の視界を純白に染め上げた。
キキィーッ! という、けたたましい音が僕の頭の中で響く。
次の瞬間に衝撃が走り……、
と、言うのが僕がこの世界に生まれる前。
最後の魔力を捕まえたあたりで記憶が混濁していてよく覚えていないんだけど、多分その魔力を使って転生でもしたのだろう。
まあ、とにかく僕が目を覚ました時。
僕の周りには魔力があったのだ。
これが一番重要。
あとはおまけみたいなもので、過程やおまけには興味はない。
この世界には魔力があるのだ!
まだ言葉もよく分からないけど、ここがよくある中世ヨーロッパ風の、そんな剣と魔法の世界っぽいってことがわかれば十分だろう。
あれだな、ナーロッパってやつだ。
意識を取り戻した時、僕はすぐに周りに魔力があるということに気がついた。
この感覚、まるで前世で精霊を探していた時に感じた感覚にそっくりだ。
あの修行は無駄ではなかったと自信を持ってはっきりと言える。
その証拠に僕は魔力をもう手足のように扱えるし、魔力の鍛え方から、何から何まで手に取るように分かる。
間違いない、これは前世で行ったあの修行たちのおかげだろう。
感謝せねば。
もう既に僕はこの魔力を使って様々な事ができる。
火の玉を放てるし、
水も出せるし、
風も起こせるし、
夢にまで見た肉体強化もお手の物だ。
今度こそ全ての時間を修行に使い、僕は究極にして至高の陰の実力者へとなってやる。
陰の実力者、かつてそれは遥か高みにあった夢だったのだが、この世界では違う。
魔力があればきっと、僕は夢にまで見ていた核を超えた完全なる陰の実力者になる事ができるのだ!
2020/12/07
できる限りの改稿を終わらせました。
私の技術では当面これ以上の改稿は無理です。
ですので前から曰くのあった第一話のアンケートをしっかりと取ろうかと思います。
まだ改稿すべきか?(明日の夕方頃〆、するべきが多ければ第一話は削除致します)
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するべき
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いらない