もし見掛けたら何ぞとよろしくお願いいたします。
「ミツゴシ商会三号店オープン記念セール?」
「ああ、知り合いの魔術師がミツゴシ商会という場所で働いていてな。
このロアで三号店がオープンするからぜひ来て欲しいとの事だ」
剣術の訓練が終わった後の自由時間、ギレーヌがエリスと俺にそう言った。
なんでもミツゴシ商会というのは最近できた商会で、これから王都を中心に店舗を大規模展開するらしい。
「ふーん、で、何を売ってるの?」
「あたしも詳しい事は知らない。
が、色々な物を売っていて、どんな店舗よりも良い品揃えにするとは言っていたな」
「百貨店みたいなものですか?」
「そのひゃっかてん、とやらは分からんがルーデウスの言っているのだからそうなのだろうな」
「えーとですね、いろんなお店が詰まった大きなお店みたいな感じですね」
「面白そうね、私も連れていきなさい!」
何を売っているのかと聞いたら、どうやら百貨店のようなものらしい。
そう言えばこの世界に来てからは前世で見たような百貨店やショッピングモールのようなものは見たことがない。
これがもし、ショッピングモールのようなものになるとしたらかなり流行るんじゃないだろうか?
それにしてもミツゴシ商会か……。
どことなく日本にあった百貨店を思い出させる名前だな。
ま、意外とこういう似てる名前ってよくあるし、俺の気の所為なんだろうが。
百貨店……、もしかしたら醤油とか味噌とか売ってないかな?
この世界にはこの世界の調味料があって、醤油とか味噌とか言った日本の調味料を求めるのは筋違いかもしれないが、元日本人として欲しくはあるんだよな。
米もあれば尚よしだ。
この世界の主食は小麦から作ったパンが殆どで、あとは麺類が少しある程度。
まだ米は1度も見たことがないんだよな。
考えてるとなんか俺のソウルフードが食べたくなってきたな。
ザ完全食TKG、卵かけご飯だ。
炊きたての白米に卵を割り、
醤油を掛けて混ぜ、
完成したものを一気にかき込む。
あの爽快感はなかなか忘れられるものでは無い。
「明日は休日ですし、みんなで行きませんか?」
「ああ、お前たちが許可してくれるのなら元々その予定だ。
フィリップ様からも既に許可を頂いている」
「さすがギレーヌね!
行きましょう!」
「明日の朝に出発って事でいいですか?」
「そうだな……、朝食べたらすぐに出発という事でいいのではないか?
そう言った店は開店時はかなり混むと聞くしな」
あれ?
という事はロアに無いだけで、もしかして他にも百貨店みたいなものがあるのだろうか?
「ギレーヌ、他にもこういう店ってあるんですか?
このロアでそういう大きなお店はまだ見たことが無いのですが」
「確かにこの町にはないな。
だが王都にも何件か似たようなものはあると聞いたことがある。
あたしも一度だけだが行ったことはあるぞ」
「ねえねえ、ギレーヌの行った所はどんな感じだったのよ?」
「そうだな、一つの大きな建物の部屋にそれぞれ違う店が入ったような場所だったな。
かなり広い場所でな、何度か建物の中で迷いそうになった事がある。
お嬢様とルーデウスも気を付けろよ」
「聞く限りだとかなり広そうね」
ん?
ロアは一通り見て回ったけど、そんな大きな建物は見たことがない。
ロアで一番大きい建物といえばこの町の中央にあるこの城で、日本にあったショッピングモール以上の大きさの建物は他に無かったはずだ。
ギレーヌの言っている通りだとするなら、一体いつの間にそんな建物ができたのだろうか?
「ギレーヌ、そのミツゴシ商会ってどの辺でオープンするんですか?
この町でそんな大きな建物って見たことがない気がするんですけど」
「ああ、つい五日前に建てられたらしい。
謎の建築家と言われているイータ・ロイド・ライトはいつの間にか建物を生やすという事で有名だからな」
「建物を生やす?
なんですかそれ」
「分からん。が、事実だ。
最近王都を中心として活動している建築家で、莫大な金銭と引き換えに一晩で豪邸を建ててみせるらしい」
……なんだそのファンタジーな生き物は。
いや、俺も魔術を駆使すれば建てれなくはないし、魔術のあるこの世界ならそういう事もありえるのか?
それにしても、一晩で豪邸を建てるのはさすがに真似できないな。
俺にできたとしても技術の問題で簡単なプレハブ小屋くらいで限界だ。
当然、俺に豪邸なんて作りようがない。
その建築家は間違いなく魔術師だとは思うけど、一体どんな魔術師なんだろうか?
もし会えるなら今度会ってみたいな。
いや、正体が分からないから謎の建築家って言われてるのか?
「ふん、その魔術師よりルーデウスの方が間違いなく凄いわよ!」
「そうだな。
建築家としての腕と魔術師としての腕は別物だ」
「どうでしょうね?
実際に会ってみないと分かりませんが」
確実に魔術で家を建てる勝負をしたら負けるとは思うけど、実戦ならどうだろうか?
……あー、技術とか以前に無詠唱と魔力のゴリ押しでなんとかなる気がするな。
「おっと、話は戻りますけど昼はそのミツゴシ商会で食べるという事でいいんですか?」
「そうだな、昼は外食ということになるがたまにはいいだろう?
それに、あたしが良いものを持っている」
そう言ってギレーヌはポケットから一枚の紙を取り出して俺に渡す。
『まぐろなるど ミツゴシ商会ロア店』と書かれた一家族様無料券だ。
まぐろなるど、マ〇ドナルド。
…………さすがに2つ連続で続くと気の所為じゃないような気がするな。
やっぱり俺以外の日本人が誰か転生してるんじゃないだろうか?
商会を作れるって言ったらかなりのお金持ちだと言うことは間違いないと思うし、これは醤油とか米とかも期待してもいいんじゃないか?
それにマグロナルド、名前からして間違いなくハンバーガーが売ってそうだ。
ハンバーガーなんて何時ぶりだろうか?
こっちもかなり期待していいだろう。
「何よそれ?」
「これがあればマグロナルドというお店でいくら食べても無料らしいですよ。
良くこんなの貰えましたね」
「へぇ、いいじゃない!」
「オープン記念というやつだからな。
店員の知り合いに配っているのではないか?
あたしが剣王だから貰えたという可能性もあるかもしれないが」
「あー、なるほど。
有名人を招待して、食べてもらうとかいうやつじゃないですかね?」
「ん? それで何か意味があるのか?
店側は損をするだけだと思うが」
「広告費ってやつです。
剣王が食べたとなるとそれだけでいい宣伝になるんじゃないですかね?」
「そういうものか?」
「はい、多分ですが」
それだとなんかサウロスとか、フィリップとかも貰ってそうだな。
日本でも芸能人が食べた店とかってかなりの人気が出ていたし、それは政治家や貴族でも同じ事だろう。
この街で一番偉い人達だし、そう言った人が食べたとなるとやっぱり宣伝効果は大きそうだ。
この世界には勝手に人の名前を使ってはならないとかいう法律は無いし、それが事実ならば酷い事を言わなければ文句の付けようもない。
俺も将来はそう言った有名人の一人になってみたいものだ。
あ、あとギレーヌのような剣王クラスの人が良く来る店になれば犯罪も防止できるのか。
この世界で最も攻撃的な流派である剣神流。
その上から4番目の剣士、剣王と言えばそれはもう物凄い強さを誇っており、一人いればそれだけでかなりの戦力になる。
これでギレーヌが何度か食べに行けば行き付けの店を名乗ることもできるだろう。
もちろん、そうなれば剣王が来るかもしれない店で犯罪なんて誰も犯すわけが無い。
これ以上ないほどの防犯と言えるだろう。
ほんとよく考えられてるな。
「明日の朝ご飯を食べ終わったら出発ね!
私は次の授業に行くわ!
それじゃあね、ギレーヌ」
「エリス、一緒に行きましょうか。
それではギレーヌ、また夕食時に」
「ああ、頑張ってこい」
そう言って俺とエリスは次の授業へと向かった。
腐ったみかん様、
くしのひと様、
見た目は子供、素顔は厨二様。
最高評価、誠にありがとうございます!
これからも精進致します。
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欲しい。
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要らん。
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あんな邪神祀られてるわけないやろ。
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一応神なんだし普通祀られてるやろ。
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どっちでもいい。