「ルーデウス、早く行くわよ!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
朝食を食べ終わった後、俺はエリスに連れられて町へと向かった。
今日のエリスはどことなく機嫌がいつもより良さそうで、張り切っているように見える。
そういう俺も念願のTKGにまた出会えるかもしれないと、期待に胸を膨らませてるんだけどな。
俺達が向かっているミツゴシ商会は、この街の西の方にあるらしく、西に向かえば嫌でも目に付くとの事。
さすが百貨店だけはある。
「今日のお嬢様はいつになく元気だな」
「そうね、だってみんなで町に出るのは久しぶりだもの」
「そう言えば前にこのメンバーで町に出たのは1ヶ月くらい前でしたっけ?」
「そうよ、私が先月のお小遣いを貰った時ね」
「あたしとお嬢様の二人で行く事は何度かあったが、ルーデウスはここ最近はずっと勉強をしていたからな」
「あはは、すみません」
ま、部屋に篭って勉強を続けていたお陰で様々な言語を読み書きできるようになったんだけどな。
ようやく人間語を始めとした、魔神語、獣神語、闘神語のフォースリンガルになれたのだ。
天大陸で使われている天神語と、海で使われている海神語はまだ覚えてれいないけど機会があれば天神語は覚えてみようと考えている。
さすがに海の中に用事は無いと思うし、海神語は使う事はないだろう。
でも、天大陸に住んでいる天人族は背中に翼が生えている、まさに天使のような姿をしているらしいので1度でいいから見てみたい。
前世の地球では、天使は美しい外見で描かれていることも多かったせいで結構期待がある。
でも標高3000メートルとかなり高い場所にあって、天大陸に行く方法も飛んで行くくらいしか無いので、まずはその飛ぶ方法をどうにかする必要があるな。
それは風魔術でも使ってなんとかなるとは思うけど、もしも無理なら他の方法を考えないといけない。
「ねえギレーヌ、ミツゴシ商会ってあれかしら?」
「そうだ、あそこにある一際目立つ建物だ」
俺達が西に向かって少し歩くと、どことなく和風っぽい感じのバカでかい建物があった。
遠くからじゃよく分からないけど、高さは15メートルくらいだろうか?
百貨店というより、城や屋敷と言った感じの建物でどことなく周りから浮いている。
どことなく違和感はあるが、日本風の建物には違いないので、もしかしたら謎の建築家と言われているイータとかいう人も転生者なのかもしれない。
あ、いや、ミツゴシ商会がこういう建物を建ててくれって依頼しただけか。
ミツゴシ商会な転生者がやっていて、その転生者がこの世界の住人であるイータに建物の建造を頼んだからどこか違和感のある建築物になった。
これならありえる話じゃないか?
「本当に凄いですね……、
ボレアス城くらい大きいんじゃないですか?」
「あたしが聞いた限りだと、どうやら四階建てらしいな」
「へえ、かなり大きいわね!」
「あれが一晩で建てられるんですか……。
なかなか真似できませんね」
豆腐建築でも良ければあの規模の建物を建てる事はできるけども、ああやってしっかりとした建物を作るとなると相当な技術が必要なんじゃないかな?
見た感じだと単に土魔術で壁を作っているという訳でもないし、ほんとどうやって一晩でこんなものを建てたのだろうか?
まさに謎の建築家だな。
「って、物凄い人ですね。
もうかなりの行列になってますよ?」
「どうやら少し遅かったか。
さすがにあたしもここまで混んでいるとは思っていなかったな」
「開店までまだ時間はあるのに、こんなに人が来るものなんですね」
「ねえルーデウス、早く並びましょ?
このままだと入れなくなっちゃうわよ」
「そうですね、並びますか」
それにしても凄い行列だな。
コミケとか、何かのイベントがあるとかいう訳でもないのにこんなに人が集まるのか。
ま、王都とかにしかない百貨店がこの街にできたんだから珍しいもの見たさで暇な人が来ているという可能性が高いな。
人族、エルフ、獣人などなどと様々な種族がこうして行列に並んでいると、この世界がファンタジーなんだなって改めて感じるな。
こんな規模の行列とか、この世界では今まで見たことがなかったしな。
『おはようございます。
皆様、大変長らくお待たせ致しました。
9時になりましたので、ただいまを持ちまして開店とさせていただきます。
走らず、押さず、転ばないようにお気を付けてお入り下さいませ。
本日はご来店、誠にありがとうございます』
そんな行列に並んでいる人達を眺めていると、建物からそう言った放送が聞こえてきた。
どうやら風魔術の魔道具で声を拡声しているらしく、屋上にメガホンのようなものを持っている女性の姿が見えた。
あんなのがあるならうちでも使えよ……。
大声で叫びまくってるのはそう言ったものが無いからかと思ってたけど普通にあるんじゃねぇか。
「ご来店ありがとうございます。
本日はどの商品も非常にお安くなっております。
また注意事項等をこちらに書かせて頂いておりますので、よくご覧になってからお入り下さいませ。
文字が読めない場合、入口から入って右側にあるホールにて説明会をしておりますのでそちらにご参加くださいますようお願いいたします」
「あ、どうも、ありがとうございます」
そのまま行列に流れて進むと、店舗に入る前に一枚の紙を渡された。
その紙には物凄く綺麗に整った文字が書かれており、さらにカラーで見やすいように色付けまでされていて非常に読みやすい。
まるで前世で見たチラシのようだ。
あれ? 手書きじゃないのかこれ。
「ルーデウス、なんて書いてあるの?」
「えーと、ですね」
色々と規約が書かれてあるが簡単にすると、
1、値下げ交渉は受け付けない。
2、店舗内で武器を抜くな。
3、店舗内で魔術を使うな。
4、返金、交換は不良品のみ受け付ける。
5、領収書を貰っていない場合には返金も商品の交換も行えないので注意すること。
6、店舗内で喧嘩を行った場合、店員が喧嘩の仲裁に入る場合がある。
7、店員に手を出したら制裁を加える。
他にも細かい事は色々とあるが、だいたいこのくらいに気を付けておけば問題ないだろう。
特に1番の値下げ交渉を受け付けないというのは、そう言った交渉が当たり前のこの世界では気を付けないといけないな。
「と、まあ気を付けなければ行けないのはこんな感じだと思います。
あとは常識の範囲で行動すれば問題ないかと」
「ルーデウス、領収書とはなんだ?」
「えーと、領収書というのはですね。
売り手が買い手に対して、物を売って金銭を受け取った事を証明するようにした書類ですね」
「あ、お父様達が他の貴族や商人とやり取りする時に渡したりする紙の事ね!」
「さすがはエリス、よく知ってますね」
というかこの世界にも領収書ってあったんだな。
どこの店も領収書なんて発行してないし、そもそも存在しないのかと思ってた。
「そろそろ中に入る順番が来そうね」
「かなり掛かったがこの人数が入れるとはさすがの広さだな」
「いらっしゃいませ。
ミツゴシ商会ロア店へようこそ!」
入口で定員さんに再び紙を渡された。
というかなんで俺に渡してるんだ?
普通一番大人のギレーヌに渡すと思うんだが。
「今度の紙はなんなの?」
「こっちは普通にチラシのようですね」
「チラシ?」
「お買い得な物が書かれた紙です」
改めてチラシに目を落とすと、イラストに値段が書かれている日本でもよく目にした感じだ。
いかにも新聞に挟まれていそうな広告だけど、写真は一枚も使われていないらしい。
写真みたいな絵ならこの世界でも見たことがあるけど、本物の写真なんてものはまだ1度も見たことがないんだよな。
「ルーデウス、何が安いの?」
「なんと言うか、一通りどれも相場よりかなり安いように思えますね。
他の店ならどれだけ値切ってもここまでは安くならないんじゃないでしょうか?」
「それは凄いな。
ルーデウス、欲しいものがあれば一通り買っていった方がいいか?」
「そうですね。
開店セールは今日と明日らしいので一応明日も安いみたいですけど、明日は行けませんからね」
それにしてもこのチラシといい、
ミツゴシ商会という名前といい、
この和風の建物といい、
これはもう転生者がいることは確定だな。
書き方と視点変えるとやっぱり文字数が全然変わってきますね。
gn01318449様、隆星様、
高評価ありがとうございます!
https://twitter.com/Kotobuki_Amane?s=09
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作者Twitter
アンケートは明日の10時59分くらいに〆ます
かなり展開が変わるので、もし良ければご投票お願いいたします。
ヒトガミを祀る教団は要りますか?
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欲しい。
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要らん。
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あんな邪神祀られてるわけないやろ。
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一応神なんだし普通祀られてるやろ。
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どっちでもいい。