陰の実力者になるために!   作:琴吹天音

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シャドウ様命令権

 

 

 

 水神レイダと明日会う約束をしてから別れ、宿に帰った僕は部屋にいる3人に今日あった事を話た。

 とりあえず明日の朝、水神流の道場に行けば水神レイダが直々に歓迎してくれるらしい。

 ゼータも今は道場に居るとの事で、僕達に先んじて水神流を学んでいるらしい。

 

 

 あ、そうそう。

 今回もみんなは僕と同じ部屋なんだよね。

 この三人ももうそろそろ僕から離れた方が良いんじゃないかとも思うけど、こうして懐かれるのは悪い事ではない。

 

 

 だけどあまりにも無防備なんだよね。

 性欲なんて陰の実力者になる事に比べれば些細なこととはいえ、僕も男だし当然間違いが起こる可能性は捨てきれない。

 それに、将来誰か他の男と仲良くなった時に困る事になる可能性もある。

 

 

 ……ま、いいか。

 

 

「と、言うわけで水神レイダがシャドウガーデンに協力してくれる事になった」

「流石はシドね。

 私からもコンタクトを取ろうとしてたけど、まさか向こうから来るなんてね」

「流石ボスなのです! 

 デルタも水神流を学ぶのです」

 

 

 うん、デルタ……。

 お前には無理だ。

 

 

 いや、万に一つというか億に一つ。

 一兆……、虚構の彼方の可能性かもしれないけど、デルタが水神流を覚えるという可能性も無いわけじゃない。

 それに彼女が僕の真似をして名付けたあの技、アトミック・デルタを流すのは間違いなくいい訓練になるだろう。

 

 

 僕とアルファ、ベータの三人が水神流を学ぶというのが明日のメインではあるが、デルタが対水神流の戦い方を覚えるいい機会かもしれない。

 水神流の本部には奥義3つを使えるという世が世なら水神を名乗っていてもいいような水帝がなんと3人も居るらしいし、僕がレイダを貰うとしてもちょうど三人残る。

 デルタも向こうも、同格の相手と戦い合えるのは間違いなく得になるはずだ。

 

 

「シャドウ様、私達は水神から直々に教えを受ける事になるのでしょうか?」

「あ、最初の内は僕が水神を貰う。

 彼女の剥奪剣界相手にどれだけやれるか試してみたいし、王都に居られる一週間で僕は水神流の全ての奥義を修めるつもりだからね」

「……普通なら明らかに無理だと言えるけど、確かにあなたならそれも可能かもしれないわね」

 

 

 確かに普通ならば確実に無理だと言っていい。

 本来奥義というのはそこそこの才能を持った剣士が一生をかけてようやく身に付けれる程のもので、並ではその一生をかけても届かないようなものだ。

 それを5つ、レイダが使える幻の六つ目を含めると六つ。

 

 

 単純に1日に1つ奥義を覚える必要がある。

 どう考えても普通は無理だ。

 だけどこの世界に生まれた時から魔力で激しい痛みと苦しみに耐えつつ、ゴリゴリと肉体を戦いに適したものへと変えていった僕を普通という言葉で語る事はできない。

 

 

 水神レイダが言っていたように、才能というのは努力を積み上げて増やす事が出来る。

 生まれた時から努力をし続けている僕の力は、技術は、剣に対する理解は、狂気の果てのその先の修練で身に付けられたものだ。

 僕は、他ならぬ僕ならばきっとできると心の底から信じている。

 

 

「僕が奥義を覚えたらその後の水神は自由だ。

 三人で好きに分けていいよ」

「デルタがボスの次なのです。

 アルファ様とベータはデルタの後を、好きに分けるといいのです」

「……そうね、水神に揉まれて来なさい」

 

 

 ん? 

 珍しいな。

 僕はてっきりアルファが最初を主張すると思ったんだけど、どうやら違ったようだ。

 

 

「ベータもそれでいいかしら?」

「私はそれで構いませんが、

 ……よろしいので?」

「相手はあの水神、最強の剣士の一人。

 如何にデルタと言えどもカウンターを受けてボコボコにされる未来しか見えないわ」

「ああ、なるほど……」

「で、デルタはそう簡単に負けないのです。

 勝ってボスに褒めてもらうのです」

 

 

 僕が付けられてるって全く気が付かないレベルの技量を持っていたあの水神を、脳筋のデルタが倒せる未来がまるで見えない。

 例え奇襲したとしてもカウンターをもらってそれで終わりだろう。

 

 

 でもデルタのモチベーションを上げるためにちょっと遊んでみるか。

 

 

「よし、もしあの水神に勝てたら手間と時間とお金があまり掛からない範囲で、なんでも言う事を聞いてあげよう」

「ボスがなんでも言うこと聞く?」

「そうそう、さっき言った範囲でね?」

「デルタ頑張る!! 

 頑張るよボス!」

 

 

 尻尾をパタパタとさせながら、デルタが目をキラキラと輝かせている。

 その姿はもう完全に犬みたいで可愛らしい。

 

 

「ねえシド、それは私達もそうなのかしら? 

 私やベータも水神に勝てたらなんでも一つお願いを聞いてくれるのかしら?」

「別にいいけど」

「な、なら私も挑戦させていただきます」

 

 

 アルファとベータも挑むつもりなのか。

 ……流石にどうなるか怪しいな。

 魔術込みのアルファなら勝てないとは思うけれど、死ぬ気の全力で行けばいい線まで行けそうな気がしなくもない。

 ベータはデルタよりは水神流との相性がいいけど、多分無理だな。

 魔術込みだと奇跡が起これば何とかなるかもしれないが、基本的に勝ち目は無い。

 

 

 アルファのお願いかぁ……。

 ベータとデルタのお願いは多分可愛いものが来ると思うけど、アルファのお願いとなるとちょっと面倒臭いのがくる可能性がある。

 ね、念押ししておくか。

 

 

「一応言っておくけど、手間と時間とお金があまり掛からない範囲でだからな? 

 条件は水神と戦って勝ったら、当然ジャンケンとかで勝ったとしてもお願いは聞かない。

 それともし複数人勝ったとしても、最初に勝った一人のお願いしか僕は聞かない」

「ええ、とりあえず言質は取ったわ。

 ベータもデルタも異論はないわね?」

 

 

 アルファは録音の魔道具で僕の声を録音していたアルファは、録音停止ボタンを押してそう言った。

 どうやらこの条件の中で叶えて欲しいお願いがあるらしい。

 一体何をお願いするつもりなのかさっぱり分からないのが少し怖いけど、きっと問題はないだろう。

 

 

「はい、もちろんありません。

 ですがアルファ様、今回ばかりは私も全力でいかせてもらいますよ?」

「デルタが最初に勝つ!! 

 それで、ボスに命令を聞いてもらうのです」

「二人とも、相手はあの水神よ? 

 舐めて掛からない方がいいわね」

 

 

 どうやら三人が三人とも相手の願いを何となく理解しているらしい。

 もしかしてだけど、女にしか分からない何かそういうものがあるのか? 

 

 

 ……考えてもまるで分からん。

 

 

 ま、とりあえずは安心しておいても問題ないんじゃないかな? 

 あのレイダが剣で真っ向から負ける確率なんて、かなり低いだろうしね。

 

 

「あ、うん。全員ともやる気だね。

 それで先に何をお願いするか聞いてもいい? 

 教えてくれるなら予め教えて欲しいんだけど」

「そうね、私はその時まで内緒にしておくわ。

 私が勝ってからのお楽しみね」

 

 

 やっぱりアルファはダメか。

 

 

「ならベータはどうだ?」

「そ、その……、私も内緒にさせて下さい。

 別にシャドウ様に損があることでは無いので」

「……?」

 

 

 僕に損がない事か。

 話の流れ的にデルタも話さないだ……

 

 

 デルタが聞いて欲しそうにこちらを見ている。

 

 

 デルタはアルファやベータと違って、どうやら話してくれるようだ。

 こちらを見つめて静かに尻尾を振っている。

 

 

 一瞬聞こうかとも思ったけど、こうも言いたいオーラを出されると無性に弄りたくなるんだよね。

 とりあえず最低限は聞けたし、諦めよう。

 

 

「それじゃあ、今日はもう遅いし寝ようか」

「ボス! デルタは聞かれてない!」

「いや、だってデルタだし」

「ボスはデルタに聞かないの?」

「うん、聞かない」

「うぅ〜〜っ!」

 

 

 何となく悔しそうに唸って、デルタはすぐさま布団の中へと潜り込んだ。

 何となくやらかした気がしなくもないけど、分からないことには例え僕がどうやっても対処の仕様がない。

 困った時に初めて何とかすればいいのだ。

 

 

 そんな風に結論を出して、

 僕は灯りを消して布団に入った。

 

 

 

 

 





ナギ0930様、人類悪ソルト様、ああんあ様、
高評価ありがとうございます!


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シャドウ様は転移

  • をレジストする。
  • によって単身転移する。
  • で七陰の誰かと転移する。
  • で七陰全員と転移する。
  • する前にアルマンフィと出会う。
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