あの後、このまま帰るのもなぁ、なんて思った僕はとりあえず一人で剥奪剣界の練習をする事にした。
僕が水域をより精密に、より広範囲に展開できるように練習しているとコートを掛けて寝かせていたレイダに水域が反応した。
どうやら起きたようだ。
「目が覚めたか?」
「……この老いぼれの婆によくあんな剣を当ててくれたね」
「安心しろ、意識を刈り取っただけだ」
最後に光の太刀とか放ってたらどんななまくらでも死にかねないからな。
もちろんある程度の加減はしている。
「あいたたた……。
別に寸止めで十分さね」
「ああ、すまないな。うちにはそれでは止まらない阿呆がいてな……」
そうデルタ、君の事だ。
デルタがいるから相手に負けを認めさせるか、気絶させるかがシャドウガーデンの模擬戦になったとも言える。
究極のアホは弄りがいがあって可愛いけど、こういう所はマイナスだな。
せめてもう少し賢くなって欲しいものだ。
…………うん、無理だな。
あのデルタが賢くなるなんて、この僕には想像すらできない。
「おっと……、これは水域かい?
よくこの短い時間でここまで極めたね」
「今はまだ足らないが、そのうち上回る」
今の僕の水域は、レイダのものと比べるとほんの少しだけ狭い。
剥奪剣の間合いは超えているので剥奪剣界を展開するには十分なんだけど、探知系の技として活用するには半径2キロメートルほど欲しい。
この技は、あの休載×休載で有名な漫画に出てくる念能力の円に似ている。
他の作品にも、こういった感知系の技はちょくちょくあるけども、一番代表的なのは間違いなくあれだろう。
性別不詳僕っ娘系猫型獣人(蟻)とかいうどこから聞いてもパワーワードなキャラに負ける事はできない。
だから僕も、半径2キロの水域を常時展開できるレベルになるのが目標だ。
ここまでできたら誰がどう聞いても水域を極めたと言っていいだろう。
……流石に一週間じゃ無理だなこれ。
剥奪剣はもう極めたって言っていいけど、これに光の太刀に使用されている技術を組み合わせて放つ技を作るのが今後の目標だ。
『ノータイムで放たれる加速時間の無い光の太刀』ここが目標、というかこれ以上の剣技はどう考えても無理がある。
最終的にはその凄い剣技を二刀流で連打できる所まで持っていきたいけど、今は別な奥義を習得する方が先だな。
「レイダ、水神流の奥義について知っている事を全て教えてもらおうか?」
「そういやあんたは、水神流に伝わる全ての奥義を極めるとか言ってたね。
大口を叩くとは思っていたけれど、あんたなら本気でできそうだね」
レイダから聞かされたは5つの奥義はそれぞれ、水域、剥奪剣、常凪、逸魔剣、引水というらしい。
それにおまけとして水域と剥奪剣を組み合わせた剥奪剣界がある。
水域と剥奪剣の説明はいいだろう。
解説するべきは残りの3つ。
まずは
僕がその場で少し真似できたように、奥義の中では簡単な方らしい。
奥義の難易度は水域、剥奪剣、引水、常凪、逸魔剣って感じかな?
ま、そりゃあ水域が一番難しいか。
超繊細な魔力操作技術を要求されるので、アルファやイプシロンがひたすら頑張ればギリギリ行けるかなって感じだからね。
僕は2キロに展開できるようにするけど、そんなの例外もいいところだ。
次に逸魔剣、この技はどんな魔術だろうと流してしまうという、対魔術師戦においてとんでもない威力を発揮する技だ。
そう言えば一応あれも奥義なんだよね?
どうして水神流の5つの奥義には含まれていないんだろうか?
「
確かに奥義とはついてるが水神襲名に必要な奥義じゃあないさね。
あれは水神流の全ての技に通じる最もシンプルで、最も重要な技だから奥義と呼ばれてるのさ」
実戦においての水神流は
確かに攻撃はもっと優秀な剣神流の技があるし、立ち回りは北神流がある。
水神流には他にも様々な受け流しの手段や豊富なカウンター手段があるが、その全てを
相手の攻撃を剣で受け、そのエネルギーを全て別の場所へと流し、相手の体制を崩す。
もしくは受け流したエネルギーを使って、相手を壁や地面に叩きつけるという攻防一体となった技だ。
ちなみに龍神は素手で
なんだその化け物は。
攻撃すれば攻撃した方が死ぬとか、ふざけてるとしか言い様がない。
相手にするならばこちらも龍神並かそれ以上に
ま、向こうに攻めさせてもいいんだけど。
で、その攻めさせる技が引水だ。
相手に殺気を向けて、反射的に攻撃させて後の先を取るというまさに水神流らしい奥義。
……あれ?
この技さえ使えればデルタ完封できるのでは?
日頃から殺気丸出しで突っ込むしかできないデルタから残ったほんの少しの冷静さも奪ったら、それはもう簡単にカウンターが決まる事だろう。
完璧なハメ技だ。
これは早急に対策をしてやる必要がある。
具体的には僕の修行も兼ねて引水と
もはや苦行みたいなものだが、こういった技は慣れてしまうのが一番手っ取り早い。
僕の鍛えたい奥義も鍛えれるし、デルタも強くなれるしでお互いにウィン・ウィンの関係だ。
「おっと、そろそろ日が暮れて来たね。
そろそろ帰るかい?」
「うむ、そうするか。
いい鍛錬になった事を感謝しよう」
「あたしも久しぶりに水域の修行なんてしたよ」
色々と雑談しながら、こうして水域を展開するのは集中力をどう使うかのいい鍛錬にもなる。
常時水域を展開するのは為になる事が多そうだし、これからはできるだけやっておくか。
レイダと2人で道場に帰ると、道場の一部が綺麗にスライスされていた。
何を言っているのか分からないと思うけど、一部分が綺麗に切り取られていた。
ああ、うん。
こんな事をする奴は一人しかいない。
あの馬鹿、道場の中でアトミック・デルタをぶっ放しやがった。
「……」
「……すまない、責任をもって修理しよう。
どうやらうちの馬鹿がやらかしたみたいだ」
「……あんたんとこの馬鹿ってやつはどうやら加減を知らないみたいだね」
これ以上の被害が増えないように急いで中に入り切らた建物の方に向かい、その途中でデルタとアルファが中庭に居るのを水域で見つけた。
どうやらアルファのお仕置タイム中らしい。
「おい、何があったんだ?」
そう言って中庭のドアを開けると、そこには水を掛けられてびしょびしょになっているデルタと恐ろしい笑顔を浮かべているアルファが居た。
デルタはアルファからひらすらに水をぶっ掛けられる罰を受けていた、全裸で。
思考が停止する。
部屋をノックせずに開けたら着替え中だったとか、そんな感じのあれだ。
「……」
え、えーと確かこれは獣族が本能的に嫌う事で、よく犯罪者とかに行われているらしい。
冷水を浴びせられる、
全裸にされる、
鎖につながれる、
獣族はこれを何よりも屈辱と感じるらしい。
だから、アルファのやっている事は冷静に考えると至ってまとも。
……とりあえず落ち着け。
「で、何があったんだ?」
「おかえりなさい。
そろそろ帰ってくると思ってたわ」
「うぅ〜っ! ボスぅ〜〜!」
「おい、そのままこっち来るな」
「デルタ悪くない!
一番凄い技見せろって言った!」
グイグイくるデルタを僕はマッスルパワーで無理矢理押し返す。
というか今お前全裸だろ、そんな状態で僕に寄ってくるんじゃない。
何がとは言わないけど勃つから!
「ほら、アルファ頼んだ」
「ええ、しっかりとお仕置しておくわ」
「あぅ……、うぅ〜!」
「デルタもそこで反省してろ」
そう言って僕はデルタに水弾を一発お見舞し、道場の中へと戻った。
斬られた道場はどうしようか?
僕が直すのはめんどくさいけど、流石にこのままにしてはおけない。
王都に居るらしいし、イータでも呼ぶか。
レクエア様、
最高評価ありがとうございます!
エタらないように応援よろしくお願いします。
ガルガル様、
高評価ありがとうございます!
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