は? ……なにこれ?
ってなったので三人称で書き直しました。
Side of delta.
薄暗い道を一人の獣族の少女が歩いていた。
「う〜、ここどこ?」
年齢はまだ成人前、13歳くらいだろうか?
剣を持った可愛らしい犬の獣族の少女だ。
まだまだ子供と言えるような年齢ではあるが、であった魔物をあっさりと倒している事がその強さを証明している。
強固な闘気を身に纏っているのもそうだが、獣族に備わっている鋭敏な五感を活用し、相手より早く敵を見つける驚異的な索敵能力がなければ無傷でここまで来ることはできなかっただろう。
この能力だけならばデルタは自身の師であり、所属する組織、シャドウガーデンのボスでもあるシドをも上回る程だ。
「うぅ〜!」
だが、デルタは残念ながら非常に頭が弱かった。
とにかく頭が弱かった。
一言で言うと、途方もしれない馬鹿だった。
そんなデルタの頭の中にはもちろん帰り道の事などすっかり抜け落ちている。
というか、最初から帰り道の事など一切考えていなかった。
自分のボスに褒めて貰いたいが為に一人で遺跡を攻略しようとして、ここに突っ込んだはいいものの入って5分も経たないうちに迷子と化した。
当たり前である。
本来、遺跡や迷宮に立ち入る時は地図を描き、目印を付けたりしながら慎重に奥へと進んでいくものだ。
それを完全に無視して奥へと進めば当然こうなる。
そりゃあ当たり前の事だ。
そもそもデルタは全く別な目的でこのあたりを探索中だった為、遺跡の探索用の装備を一切揃えていない。
常識的に考えてそんな装備で遺跡を攻略するなど不可能である。
地図?
さっき言ったとおりにそんなものは無い。
デルタの頭の中には『適当に奥に進めば最後まで辿り着いて、お宝が沢山あって、お宝を渡せばボスに褒めてもらえる』という事くらいしか入っていない。
松明?
そんなものがあるわけが無い。
夜目が効く自分なら松明なんかなくても奥に進めるとデルタは思っている程だ。
もちろん、いくら夜目が効くとは言っても普通に限界がある。
一切の明かりなく探索を行うのはたとえデルタが超一流の冒険者だったとしても困難を極めた事だろう。
食糧?
もちろんそんなものは無い。
かなり大きな遺跡を探索するのに食糧を一切持ち込まないというのはありえない事だ。
どんな英雄でさえも、人間であるのならば食糧無しで生き延びる事はできない。
食糧やその他の必要な道具を持っていたのは一緒に来ていたデルタの仲間のベータであり、現在デルタが持っているのは今持っている剣くらいのものだ。
水?
残念ながら無い。
当然の如く、頭の悪いデルタに魔術の詠唱を覚えるなんて言うのは無茶苦茶な話で、無詠唱なんて以ての外だ。
これは食糧よりも遥に致命的であり、現在デルタはこれで詰みかけている。
人間は食糧がなくてもしばらくの間は大丈夫だが、水がなければ案外あっさりと死ぬ。
何度も言うようだが、ここは遺跡である。
ピクニック気分で立ち入っていいような場所ではない。
連戦連戦で休む暇など殆どなく、常に周囲に気を配る必要がある。
それを行う上で食糧も水も無いのははっきり言って無謀もいい所である。
普通ならば早い段階でこの事に気が付き、引き返すことができるのだろう。
だがデルタはその才能故か、あっという間に遺跡の奥へと進んでしまっており、もうただ後ろに歩けば帰れるというわけではない。
「うぅ……、ボスぅ〜。
ベータ〜」
いつもならここで誰かが助けてくれたりするのだが、残念ながらデルタの側には誰もいない。
目に涙を浮かべながら襲ってくる魔物を一刀の下に切り伏せる。
しかし、いくら疲労しているとはいえその一閃は聖級の域にあり、そこからデルタの才能の片鱗が伺える。
デルタの師であるシドが見れば眉をひそめるような代物だが、何よりも速く、鋭く、重く、力強く、敵を斬るというのは一つの剣の到達点である。
デルタの師であるシドから言わせてみれば基礎を無視して奥義だけ習得したような剣なのだが、だからこそデルタの剣は強いと言える。
相手よりも速く斬れば、防御や回避の手段なんて本来必要ないのだと言わんばかりの剣。
相手が攻撃する前に仕留める為だけの剣だ。
高度な技術や戦術何か覚えている暇があったら突撃するという究極の脳筋にシドが教えた剣はたった二種類。
とにかく速い剣と、とにかく重い剣だ。
どんなバカにでも分かる簡単にして単純な真理『速ければ当たる』、『重ければ痛い』たったこれだけ。
デルタの頭の中には、相手が攻撃してきたらそれよりも速く斬ればいい。
たとえ殺気や視線でどこを狙っているか相手に気が付かれていたとしても、防御できない程の威力で剣を振ればいい。
このくらいの事しか頭の中に入っていない。
だが、事実それだけで何とかなっているのだ。
これはまさに剣の才能、戦いの天才としか言いようがないだろう。
「ん?」
そんな
豪華に装飾され、中からはかなり強そうな魔物の気配が漂っている。
「……」
_______強い。
ここまでとにかく突っ込みまくっていたデルタだが、さすがにその魔物の気配から立ち入るのを躊躇せざるを得なかった。
それは当然。
ここはこの遺跡の最奥、ボスの部屋だ。
「勝てるかな?」
デルタはその頭を使って、中にいるであろう魔物との戦いを一瞬でシミュレーションする。
これまでデルタはシャドウガーデン第二位の戦力として、様々な魔物と戦ってきただけあって、実践の経験数は数しれない。
そんな数々の戦いから、中にいるであろう魔物とどう戦うか、デルタは必死に考えた。
必死に考えて、
考えて、
考えて……。
「うん! デルタは強い魔物を倒すのが得意なのです!」
考えて終わったのか、意気揚々と尻尾を振りながら剣を握り直した。
長い熟考の結果、デルタはこの遺跡のボスだろうが倒せると判断したようだ。
「それに、一人で倒したらボスが褒めてくれるのです」
デルタの頭の中には既に自分がこの遺跡を攻略し、ボスに頭を撫でて貰っている姿が浮かんでいる。
倒し方も考えたし、少し休んで体力もある程度回復した。
もう準備万端である。
後はデルタの作戦通りに事を運ぶだけだ。
「突っ込む、斬る、倒す!
デルタはできる子なのです!」
…………とてもではないがシミュレーションと言えるものではなかった。
そんなこんなで戦う事を決めたデルタは扉に手を当てると、奥にググッと押し込んだ。
「ん? 開かないのです?」
押しても開かないドアに可愛らしくデルタは首をかしげた。
「あ、デルタは知っているのです!
こういう時には鍵があるのです!」
そういう考えに至ったデルタは目の前にある扉の鍵を探す為に、必死に鍵穴を探す。
が、どうやら扉には鍵は付いていないようだ。
「……うぅ〜!!」
開かない扉には鍵が掛かっている。
ボスがそう言ったのだから間違いはない筈、なのに目の前にある扉にはどこにも鍵は付いていない。
そんなジレンマを目にしたデルタは尻尾を逆立てて一人唸った。
だが一つだけ言うと、そもそもこの扉に鍵は掛かっていない。
ではなぜ開かないのか?
その答えは至って簡単で、デルタが扉を押している事にある。
そう、この扉、
「ううううぅ!
怒ったのです!」
だが、そんな事を知らないデルタはどうやら押して開かない扉が気に食わないのか、剣を構えて闘気を練り上げた。
その姿はどこからどう見ても完全な脳筋である。
ドゴンッ!
「ふふーん、デルタに逆らうからこうなるのです!」
扉を粉砕したデルタは、自慢げにその奥へと足を踏み入れた。
ケンジントン様、千二番目の英雄様、影士様、ははははん様。
高評価ありがとうございますm(*_ _)m
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