死んだ筈の戦友が戦術人形になって帰って来たんだが?(連載休止)   作:SUPER64

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お待たせ致しました。第3話です。いつの間にかお気に入り登録者数が49人になっておりここまで多くの方々にお気に入り登録してもらえるとは思っていなかったのでとても嬉しかったです。まぁそうやって調子に乗って書きまくった結果今回の5000字くらいにしようと思っていた小説の文章量は約1万5000字になってしまったんですけどねw


第3話 再開と出会い

「「「「はぁー⁉︎」」」」

 

数人の人達の驚きの声が重なりブリーフィングルームに響き渡った。ここはPMC、ウェスタン・アーミー社の基地にあるブリーフィングルーム。俺は相棒と一緒に会社に来ると相棒と深く関係のあった部隊の人達と社長だけを集めて相棒のことを全て話した。そしたら案の定この有様だ。全員俺の横に立つ相棒の姿を見た後に俺に詰め寄って来た。

 

「いやいやいやいや。マイク、遂に頭がイカれたか?」

 

筋骨隆々の黒人ヘイルが俺に聞いて来た。まぁそう言いたくなる気持ちは分かるが俺は正常だ。

 

「これ以上無い程正常だっての」

 

「ケネスが女に、それも戦術人形になって現れたとか信じられるかよ⁉︎」

 

「お前本当にケネスなのか?」

 

ウチの部隊で唯一のアジア人である中国人のヤンが相棒に聞いた。相棒は肩をすくめると「自分自身も信じられないけどな」と答えた。

 

「D-55地区の任務覚えてるか?」

 

「過激派反戦団体の基地に襲撃したヤツか?」

 

「それだ。任務中にハプニングが起こったんだが何が起こったか言えるか?」

 

「アレは忘れねぇよ。奴らの基地をやっとの思いで制圧したと思ったら捕まえた基地のボスが自爆してよ。爆発前にお前が気がついて助けてくれたからオレは軽症で済んだよな。あの時はあんがとよ」

 

「ふむ・・・言動はケネスと似ているな」

 

黙ってケネスの話を聞いていたヤンは暫く考えた後にそう言った。驚きながらも冷静に状況を把握しようとしているのは流石ヤンだ。ヘイルの野郎とは大違いだ。

 

「確かに喋り方とかは似てたが・・・本当にこいつがケネスだって言う証拠にはならねぇぞ」

 

「オレも証拠が出せれば出すんだが生憎オレだと証明出来る物は持ってなくてね」

 

「じゃぁ・・・・俺達のフルネームを言ってみてくれ」

 

隊長のアランが相棒に提案する。相棒は分かったと言うとアランから順に指を刺して行く。

 

「アラン・カッチャー。ここに居る奴らの所属するサヴェージ(Savage)チームの隊長。そしてその横に居る黒人はヘイル・フォスター。デカくてゴツイ銃火器を使う筋肉バカ。そしてそこの身長が低いアジア人はソン・ヤン。射撃が上手いよな。んでさっきからオレの胸とか足とかをイヤらしい目で見ている変態野郎がスコット・ベイマー。余り認めたくは無いが実力は確かだ。そしてさっきから顎に手を当てて考え込んでいる髭面のオッサンがウチの会社の社長のグレイグ・ブラック」

 

相棒はすらすらと全員の名前を言い当てた。それを聞いた皆は互いに相手の顔を見て「マジなのか?」などと話し合っている。

 

「俺もこいつと会った時に色々と聞いてみたんだから今みたいに全部言い当てた。それにヤンも言った通り姿こそ全く違うが言動は昔のケネスと同じだ」

 

「だが、俄には信じられないな。死んだ筈の男が戦術人形として生まれ変わるなんて言うのは」

 

顎に手を当てて考えていたのかブラック社長がそう呟いた。

 

「俺だって信じられねぇよ。相棒が戦術人形になって蘇ったなんて。だが実際こうして目の前にいるわけだし信じるしかねぇだろ。それに別にこの女をケネスと信じなくても新しい戦術人形ってことでウチの会社に入れれば良いじゃねぇか。実際タダで戦術人形を手に入れるチャンスなんだしさ」

 

もしかしたら今の発言は相棒を傷つけてしまったかも知れないが社長を説得する為なんだ。すまん相棒。

 

「まぁ確かにそうだ。無償で戦術人形を貰えるのは有り難い。それに別に君とケネス話が嘘だとは思っていない。余りにも突飛な話だから信じられなかっただけだ」

 

「まぁケネス本人かどうかはこれから一緒に仕事をして行けば分かるさ」

 

ヤンはそう言うと相棒の隣に行き肩を組んだ。

 

「それに俺と同じような身長の奴が増えてくれたのは嬉しいしな」

 

ヤンは俺らの中で1番身長が低かったから昔から低身長なことを色んな奴らからイジられていたもんな。今の相棒の身長はヤンと変わらないくらいの身長だ。確かヤンの身長は168だったから今の相棒もそれくらいなのか。

 

「いや、女と身長で並んだところでお前の身長イジりは終わらねぇからな?」

 

「言ってろこの筋肉ダルマが。世の中身長が高ければ良いってもんじゃねぇんだぞ?」

 

またヤンとヘイルの言い合いが始まった。俺達はこの2人のやり取りに慣れるどころか飽きて来ていたので2人を無視して話を続けた。

 

「いや〜にしてもあのケネスがこんな美少女になるなんてまだこのクソったれな世界も捨てたもんじゃないな。ありがとう神様!」

 

予想通りスコットは相棒の姿を見て大興奮。相棒の体のあちこちをイヤらしい目で舐め回すように見ている。

 

「結構胸は大きいねぇ。このタイツも太ももとかの肉感とか脚線美を強調させていて実に良き!なぁ、その胸揉んでも良いか?」

 

「やめろ気持ち悪い」

 

両手をワキワキと動かしながらぐへへへと笑って近づいて来るスコットを押しのけた相棒はスコットから距離を取った。

 

「だが他の人達にはこのことをどう説明しようか」

 

「普通に新人戦術人形だって言っとけば良いんじゃないか?」

 

ブラック社長の呟きにヘイルがそう言った。俺もそれで良いと思う。他の人達にこのことを説明しても色々と混乱させるだけだし理解して貰えないと思うからな。

 

「だが他の戦術人形達には説明した方が良いだろう」

 

「あー確かに」

 

「あいつらには説明した方が良いだろうな」

 

これから他の戦術人形達とも一緒に任務をこなすこともあるだろうし同じ戦術人形としてケネスのことは説明した方が良いだろう。

 

「そう言えば戦術人形を導入したんだってな。何体居るんだ?」

 

「アサルト3、アサルトカービン1、マシンガン1、スナイパー1だ」

 

「意外と少ないな」

 

「君は知らないかもしれないが戦術人形と言うのはまともに買うと結構高いんだ。それにこれだけでも充分な強さがある。少数精鋭と言うやつだ。それじゃぁ彼女らを呼んでくるからここで待っててくれ」

 

 

 

隊の連中と一度別れた後、ブラック社長に言われてオレとマイクがブリーフィングルームで待っていると5人の美人な女の子達がやって来た。

 

「この人が社長の言ってた戦術人形ですか?」

 

青色のコートを着た頭に緑のバンダナを巻き同じ色のリボンで長い金髪をポニーテールした女が訝しげな表情でブラック社長に聞いた。

 

「そうだ。信じられないと思うがさっき説明した通りだ」

 

「正に事実は小説よりも奇なり。ですね」

 

金髪ショートカットショートカットの娘がそう言うがオレもそう思う。5人の女の子達は全員で疑いの目をオレに向けて来る。まぁそうなるよな。信じろって言う方が無理だ。取り敢えず挨拶でもしておくか。

 

「えーっと、君達は知らないと思うけど昔ここに所属していたケネス・サクソンだ。まぁ今は見ての通りどう言う訳か戦術人形のCM901になっている訳だが」

 

「自分のことを元人間だと思っている戦術人形だと言う可能性もあるんじゃないのか?」

 

長い少しボサついた銀髪と首に掛けたヘッドホンが特徴的な少女が恐ろしいことを言って来た。それはオレも何度か考えたことがある。もしかしたらオレはケネス・サクソンなどではなく自分のことをケネス・サクソンだと思い込んでいるだけの人形じゃないかと。

 

「それは無い。コイツは間違い無く俺の相棒のケネスだ」

 

だがマイクはオレのそんな不安を吹き飛ばすかの様に自信満々にそう言い放った。自分が本当に自分なのか不安になっていたが今のマイク言葉に救われたよ。

 

「あ、思い出した!マイクさんが話していた人ですね」

 

茶髪の娘がマイクに聞くがオレはそれより君のその服装がとても気になるよ。肌の見えている面積が多いけどその服露出度高過ぎないか?

 

「まぁ色々と思うことはあるだろうがこれから彼のことを頼む。同じ戦術人形として分からないことなどを色々と教えてあげてくれ。あ、それとケネスは君達を知らないから自己紹介もしてやってくれ」

 

「AEK-999だ。長いからAEKって読んでくれ。よろしくな!」

 

ボサついた長い銀髪と首に掛けたヘッドホンが特徴的な娘はか。AEK-999って言うとアレだよな、ロシアの分隊支援火器のヤツだよな?にしては小柄な娘だな。だが気は強そうだ。

 

「SV-98です。よろしくお願いします」

 

青色のコートを着た頭にバンダナを巻いたポニーテールの娘はSV-98か。

 

「マガルです。よろしくお願いします」

 

緑色の長い髪をツインテールにしたレオタード風の服を着た娘はマガルか。聞いたことの無い名前の銃だな。どんなヤツなんだろうか?

 

「なんでヘッドホンを付けているんだ?」

 

彼女は今耳に白色のヘッドホンを付けている。だがそんな物付けていたらオレの声とかが聞こえ難くなるんじゃないか?

 

「ノイズ対策よ。周りがうるさ過ぎると、集中出来ないから」

 

「マガルの耳は特別製でな。普通より耳が良いんだ」

 

マイクが補足してくれて納得した。成る程な。聴覚が良過ぎるから小さな雑音も拾ってしまって集中出来なくなってしまうのか。

 

「K2だよ!よろしくね!」

 

明るく元気に挨拶してくれるK2。だがやっぱりその露出度高めの服装が気になって仕方ない。

 

「ACRです。よろしくお願いします。ケネスさん」

 

金髪ショートカットの娘はACRか。大人しそうな娘だな。にしてもACRか。良いね、オレの好きな銃の一つだ。

 

「G41です!よろしくお願いします!」

 

ニコッと太陽の様に明るい笑顔を向けてくる少女。多分この中で1番身長が低いだろう。他の人達が可愛いとか美人だなぁなどと言う感想が出たのに対して彼女には愛らしいと言う感想が浮かんだ。何故か知らないが頭に生えている犬だか狐だか分からない獣耳も相まって子犬に見えて来る。と言うかこの娘もこの娘で露出度が高い服を着ているな。下半身に至ってはほぼ何も無いじゃないか。

 

「色々と迷惑かけると思うがこれからよろしく頼む」

 


 

昔の部隊のメンバーと戦術人形の奴らに挨拶を終えたオレは基地の横にある宿舎に来ていた。

 

「昔君が使っていた部屋は今は他の奴が使ってしまっているから君には新しい部屋を使って貰う」

 

「何処の部屋も間取りは一緒だし何処でも良いですよ」

 

宿舎の部屋なんてどれも同じだ。狭い部屋にロッカーとベッドと机と椅子が置いてあって窓が一つあるだけだ。

 

「で、戦術人形を見た感想はどうだ?」

 

横を歩いていたらマイクが聞いて来た。にしてもこうやって話す時に俺は昔より身長が低くなっているせいで見上げる様にしてマイクと話さないといけないんだよな。凄い違和感がある。

 

「個性豊かなメンバーだなと思ったよ。特に気になったのはアリスとリリーだな」

 

「やっぱりそうなるか」

 

「そりゃそうだろ、アリスはあんな痴女みたいな露出度の高い服着てるしリリーはそれに加えて何か獣耳が生えてるし」

 

「2人とも可愛いよな。特にリリーは。だがな、リリーと接していれば分かるんだが凄い保護欲を掻き立てられるんだよ」

 

「あー。なんかそれは分かる気がする」

 

「任務が終わった時とかに褒めて褒めてーって言って駆け寄ってくるのは凄く可愛らしいんだよなぁ」

 

「それにあの子はとても礼儀正しいからな。本当にいい娘だよ」

 

マイクどころか社長までもがリリーに魅力にメロメロの様だ。恐るべし、リリー。

 

「まぁ彼女らが可愛いってことは充分分かったが実力の方はどうなんだ?」

 

このPCMと言う会社は可愛さだけではやっていけない。可愛らしさを武器に戦いたいならアイドル活動などをした方が良い。

 

「そこんところはご心配なく。全員戦術人形らしく実力は確かだ」

 

「一緒に任務をやったりしたのか?」

 

「ACR、K2、G41とは過激派反政府組織と戦った時に。ぶっちゃけ俺いらないんじゃね?と思うほどには強かったよ」

 

昨日俺が射撃練習した時は弾を面白い程的のど真ん中に当てることが出来た。それを考えると彼女達がどれ程強いのかは想像出来るな。

 

「ここが君の部屋だ」

 

廊下の奥にあった部屋の前で社長はそう言って止まった。社長が鍵を挿して回すとドアを開けた。荷物も何も置いていないので部屋の中はとても殺風景だったがオレにとっては見慣れた光景だ。

 

「生活に必要な最低限の物はこちらで用意する。それ以外の物は自分で買ってくれ」

 

「了解。色々とありがとうございます」

 

「気にするな。それじゃぁ私は仕事があるから執務室に戻るが多分後からもう一度呼ぶことになると思う」

 

「任務ですか?」

 

「任務だ」

 

そう言い残して社長は去って行った。荷物を持って来ていた訳でもなく、特に部屋の中には何も無いのでオレはドアを閉めると社長から手渡された鍵で部屋のドアをロックした。

 

「で、これからどうするんだ?」

 

「う〜んやることがねぇな。任務の説明があるらしいから遠くには行けねぇし・・・取り敢えず外でタバコでも吸いながらゆっくりするか」

 

「そうだな」

 

昔は基地内だろうと何処だろうとタバコは吸って良かったんだが途中から基地内での喫煙は禁止されてしまった。タバコをよく吸う俺達にとっては吸える場所が少なくなってしまったのは悲しいがこの基地内には非喫煙者も一定数居るので仕方ない。と言うことでタバコを吸う為にオレ達は宿舎の屋上に来た。

 

昔からオレはゆっくり考え事をしたりしたい時などは屋上でタバコを吸いながらすることが多い。なので今回もマイクと一緒に屋上に来た訳なんだがいつもは誰も居ない筈の屋上に先客が居た。

 

「えーっと・・・君はエリザか」

 

AEK-999が屋上の手摺りに寄りかかりながらタバコを吸っていた。戦術人形もタバコを吸ったりするんだな少し意外だ。って、今の自分も戦術人形だから人のこと言えないか。

 

「よ、さっきぶり」

 

AEK-999はオレ達に向かって右手を上げてから気さくに挨拶して来た。彼女は他の人形達とは違って男っぽい見た目と喋り方だから話しやすそうだ。

 

「お前タバコ吸うんだな。知らなかった」

 

どうやらマイクもAEK-999がタバコを吸っているのを見るのは今回が初めてだった様だ。

 

「そんな頻繁には吸わないからねぇ。逆にマイクはよく吸ってるよな」

 

「まぁな」

 

マイクはポケットからジタンの箱を取り出すと箱の中から一本取り出して咥えるとジッポーで火を付けて吸うとふぅ〜っと吐いた。

 

「うぇ、なんだソレ。独特な匂いだな」

 

「だよな。臭いよなコレ」

 

マイクは「この香りが良いんだよ」とか言っていたがやっぱり臭いよな。

 

「AEKまでそう言うのかよ。分かってねぇな。これはまだ臭くねぇよ。ガラムとか吸ってみろよ。アレこそ臭いから」

 

「コレでも充分臭いのにそれ以上臭いのとか吸いたくねぇよ」

 

「だな」

 

オレもポケットからラッキーストライクの箱を取り出し一本取り出して咥える。ライターで火を付けようとするとマイクがオレの咥えたタバコにジッポーで火をつけてくれた。

 

「悪い」

 

吸ってから吐き出しAEK-999の方に向き直る。

 

「そう言えばエリザは何を吸ってるんだ?」

 

「アンタと同じラッキーストライクだよ」

 

そう言って上着のポケットからオレのと同じラッキーストライクの箱を取り出してオレに見せて来た。

 

「お前ら普通だなぁ。もっと冒険しろよ」

 

「普通で結構。オレはコレが好きなの」

 

「これの良さが分からないとは悲しい奴よ」

 

「勝手に悲しんどけ」

 

そう言い捨ててからオレはもう一度吸ってから煙を吐いた。するとAEK-999がじっとこっちを見て来ているのにオレは気がついた。

 

「何だ?オレの顔に何か付いてるか?」

 

「いや、本当に元男なのかなぁて思ってな。あ、勘違いしないで欲しいけど2人の話を信じていない訳じゃないよ?ただこうして見てみても普通の戦術人形にしか見えないからね」

 

「そりゃこの体は正真正銘の戦術人形なんだからな」

 

「つまり戦術人形の体に人間の魂が宿たってことになるのか?う〜ん。不思議だ」

 

「もし神様が本当に居てオレにこんなことをしたんなら今度会った時に1発殴ってやるよ」

 

「ははは。そりゃ良い。神様とやらに出会ったらどんな奴だったか教えてくれよ」

 

再びタバコをふかす。やっぱりこいつとは話し易いな。

 

「他にタバコを吸う人形は居るのか?」

 

AEK-999がこうやって吸っているなら他の奴らも吸っていたりするんだろうか?

 

「SV-98は吸っているのは見たことあるね。他はどうだろう?見たことないね」

 

「まずG41は絶対に無いだろうな」

 

「「確かに」」

 

AEK-999とオレの言葉が重なる。マイクの言った通りあの可愛らしいG41がタバコなんて吸うとは思えないし吸っているところをイメージ出来ない。

 

「ACRはどうなんだろうな?」

 

「さぁ?あいつは真面目ちゃんだから吸ってないんじゃねぇの?」

 

「そう言う奴に限って吸っていたりするんだよ」

 

今までのオレの経験上その可能性は高い。真面目な奴とかは息抜きの為とかによくタバコを吸っていることが多い。

 

「私がどうしました?」

 

噂をすると何とやら、ACRが屋上にやって来た。お?タバコオレ達と同じでタバコでも吸いに来たのか?

 

「どうした?お前もタバコを吸いに来たのか?」

 

エリザの問いかけにヘレナは首を振った。なんだ吸いに来た訳じゃなかったか。

 

「皆さん。仕事の依頼が来たのでブリーフィングルームに来てください」

 

「お、やっと私の出番か!」

 

 

 

宿舎から基地の方に移動してからオレ達はブリーフィングルームに来た。そこにはスクリーンの前に立つ社長とスクリーンの前に並べられたパイプ椅子に座るサヴェージの隊員と戦術人形達が居た。

 

「来たな。座ってくれ。説明を始める」

 

オレ達は近くにあったパイプ椅子に座った。全員が揃ったのを確認した社長は話し始めた。

 

「先程ウチの会社とも何度か交流のある武器商人、ハンス・マイヤーから依頼が来た。内容はここから南東へ20キロ行った所にある平原への輸送とその護衛。そして交渉する際の援護及び交渉相手の監視。そして無事に帰るまで護衛することだ。まず輸送路だが基本的に街から出たらひたすら荒野だ。もし輸送中に襲撃されるとしたらここら辺だろうな」

 

そう言って社長がスクリーンに出した航空写真には道の両側が標高の低い山に挟まれた所だった。

 

「なのでSV-98とマガルの狙撃班はバイクで先にここへ行き道の安全を確保しろ」

 

「その山と山の間の距離は何メートルくらいですか?」

 

SV-98が手を上げて質問した。この質問が来るのは社長も分かっていた様で手に持っていたリモコンを操作してスクリーンに山から道までの距離や山から山への距離などが書かれた地図を出した。

 

「山と山の間の距離は約670メートル。左側の山から道へは約313メートル。右側の山から道へは約357メートルだ」

 

SV-98は詳細なデータをポケットから出したメモ帳に書き殴って行く。

 

「輸送する時間は?」

 

「明日の11時に出発予定だ」

 

「と言うことはここに来る時は太陽はほぼ真上か・・・」

 

う〜んとペンをクルクルと器用に回しながら何か考えるSV-98。その顔は真剣そのものだ。

 

「依頼者は我々の車両に乗るんですか?」

 

次は最前列で話を聞いていたACRが手を上げて質問をした。

 

「いや、自分の車に乗って移動するらしい。防弾仕様のSUVだそうだ。なので我々は2台のハンヴィーに乗りそのUSVの前後を走って護送する。USVには2人誰かが乗ってくれ。誰が乗るかは君達の方で決めてくれ」

 

防弾仕様の車を持っているのは流石武器商人と言うべきなんだろうな。銃火器を売り捌く奴は銃火器に対する対策も万全か。

 

「それじゃぁ俺とヤンが。良いか?」

 

アランがヤン隣に居たヤンに聞くとヤンは「あぁ」とだけ言って答えた。

 

「それじゃぁ話を続ける。ここを特に襲撃も無く通過出来たら交渉場所までは一直線だ。狙撃班は再びバイクで交渉予定地に先回りしその場所の索敵と安全の確保をしてくれ。そしてもしこの何も無い荒野で襲撃を受けた場合は護衛車両に乗った君達サヴェージチームと戦術人形チームの出番だ。脅威となる目標を速やかに排除してくれ。そしてここが今回交渉場所となる所だ」

 

スクリーンに交渉場所となる平原の航空写真が映し出された。写真を見て直ぐに分かったのが西側と北西側に小高い山がありコレは狙撃され放題だなと言うこと。

 

「コレは面倒な事になりそうだな」

 

オレの隣に座っていたマイクが小声で言って来た。それはオレも思った。

 

「これを見てもう分かったと思うがこの2つの山から狙撃される恐れが充分にある地形だ。なので先程も言った通りここでも狙撃班の出番だ。正確な距離などはこの地図に書いてある通りだ」

 

オレは長距離狙撃に関しては素人何だが交渉場所も狙えて相手の狙撃手も狙える場所は何処にでもある気がする。

 

「スナイパー1人だけじゃぁこの広さはカバーし切れないんじゃないのか?それに相手のスナイパーが1人だけとは限らないだろ」

 

幾ら戦術人形が高い戦闘能力を持っているとは言え1人でやるにはちと広過ぎる気がするしもし敵スナイパーが2人や3人・・・は無いか。まぁとにかく複数人居た場合SV-98じゃぁ厳しいんじゃないか?

 

「大丈夫ですよ。私の腕を信じて下さい」

 

オレの方に振り返ったSV-98が自身に満ちた顔でそう言って来た。その自信が仇とならないことを祈ろう。

 

「分かった。信じよう。だが慢心はするなよ?」

 

「勿論です」

 

「別に殺し合いをしようって訳じゃない。あくまでも交渉だ。この場所を選んだのもワザとだと言うのは君達にも分かるだろう?」

 

恐らくその武器商人がここを選んだのは緊張状態を作る為だ。あの地形だったらこちらのスナイパーと交渉相手のスナイパーが睨み合う状況になるのは必然。それにお互いを護衛している兵士同士も相手を睨み合っている。そんな緊張状態でもし裏切ったり怪しい行為をしたらその瞬間開戦のゴング(銃声)が鳴り響きたちまちその場は激しい銃撃戦となるだろう。そうなるとお互い無事では済まないのは火を見るよりも明らかだ。

 

「そう言えばその交渉相手って誰なんだ?」

 

ヘイルが質問する。オレは敢えて聞かないでいたが確かに交渉相手は気になる。

 

「ロボット人権協会と名乗る過激派の一派だ」

 

ロボット人権協会。人形にも人間と同等の人権を!と言うのが奴らの掲げる謳い文句だ。昔はただロボットへの人権の必要性を唱える団体だったのだが最近ではその行動がどんどん過激なものへと変化して行っていた。人形を働かせている何処かの施設を襲撃したりと言う話はよく聞く。それに自分達はロボット人権協会だと名乗る武装組織まで現れ始めもうそこら辺のテロリストと同じだ。今回の交渉相手も自分達はロボット人権協会だと名乗るテロリストなんだろう。

 

「おいおい、ロボット人権協会の奴らが相手で戦術人形が護衛として居るのは大丈夫なのか?」

 

ヘイルの思っていることは良く分かる。下手すると戦術人形を使っているオレ達が標的にされかねない。

 

「別に我々は人形に酷い扱いをしている訳でもないから大丈夫だ」

 

「本当かよそれ」

 

「それに今回依頼者から直接戦術人形達を連れて来る様に言われているんだ」

 

「何でだ?」

 

「話によると交渉相手も護衛として人形を使用しているらしい。だからそれに対抗してこちらも人形を出す必要があるとのことだ」

 

目には目を、歯には歯を、戦術人形には戦術人形をってことか。そうなるともし銃撃戦になると普通の人間であるサヴェージチームが酷い目に遭いそうだな。

 

「まぁとにかく、交渉相手が裏切って攻撃して来た場合は依頼人を守りつつ反撃し脅威となる目標を全て処理しろ。分かっていると思うが交戦規定は撃たれたら撃つだ。間違っても先に撃ったりするなよ。交渉が無事終了したら我々は来た道を戻って依頼者を指定の建物まで送り届けたら任務完了だ。帰りも来た時と同じ様に護衛してくれ。狙撃班は帰りの時もここの道の安全の確保を頼む」

 

「相手の戦力がどのくらいかは分かるか?」

 

今まで黙って社長の話を聞いていたヤンが手を上げて質問した。敵の戦力を知っておくのはとても重要だからな。だかこう言う場合敵の戦力は分からないことが多いんだよなぁ。

 

「相手の戦力の詳細は一切無い。相手が何人の護衛を引き連れて来るかはその時のお楽しみだ」

 

これ程楽しみじゃないお楽しみも無いだろうな。

 

「最重要事項は依頼人の命だ。もし依頼人が殺されてしまうことがあったら我が社の信用は地に落ちる。他に何か質問がある人は居るか?」

 

数秒待ったが特に誰も手を上げたりすることは無かった。

 

「よし、それじゃぁ明日の11時に出発するから10時30分までには全員準備を整えて車に乗っているように。以上。解散」

 

ガタガタと話を聞いていた皆が一斉に立ち上がってブリーフィングルームから出て行く。オレもマイクと一緒にブリーフィングルームから出た。

 

「まぁ肩慣らしには丁度いい任務かな」

 

オレが戦術人形になってしまってから初の任務が依頼人の護衛と言うのは別に激しい戦闘がある訳でもないから丁度良いな。まぁヘタをすると戦術人形同士の銃撃戦になる恐れもあるんだが。

 

「だな。にしてもロボット人権協会か。今のお前美人だしそのまま連れて行かれたりしてな」

 

「他の戦術人形達も全員美人だろうが」

 

「まぁそれもそうだな」

 

「因みにあの中だと誰が好みなんだ?」

 

「う〜ん・・・」

 

顎に手を当てて真剣な容姿で悩むマイク。そんなに真剣に考えることか?

 

「マガル・・・かなぁ」

 

「それはやっぱり胸か?」

 

マガルの胸は結構大きい様に見えた。マイクは昔から巨乳の女が好きだったからマガルを選んだのは納得だ。

 

「まぁそれもあるんだ消去法でそうなった。まずG41は論外だろ?そしてAEKは男っぽいからとっつき易いけど彼女にするならうーんって感じだしACRは胸はまぁそれなりの大きさだがあいつは太ももが結構ムチムチしてて良いんだよだからビジュアル的には良いんだが真面目な奴だから俺の性格に合わねぇ。もし付き合い始めたら喧嘩しまくるだろうな。K2は結構胸デカいし健康的な太ももの持ち主であのエロい服装だろ?結構良い線いってるんだが彼女にするには見た目が幼いからダメなんだよな。そう考えた結果胸もデカいし太もももムチムチしているしなんかバニーガールとレオタードを掛け合わせたようなちょっとエロい服装のマガルになった訳だ」

 

あの一瞬内にそんなことまで考えていたのか・・・ある意味凄いな。

 

「って言うかお前の判断基準は胸も太ももなのかよ?」

 

「大きな胸!ムチムチの太もも!これは最高だと思うんだよ。更に欲を言うなら安産体型だったらなお良し」

 

「お前もつくづく変態だな」

 

「俺のは男だったら誰もが持つ普通の性欲だ。あ、でもこの話をマガルがいる所では話すなよ?だとて小声でもだ」

 

「あー確かマガルは耳が良いんだっけ?」

 

「あぁ。マガルが初めて来た時にヘイルとマガルの胸の話を小声をしていたらバッチリ聞かれていたからな。あの時は戦慄したよ」

 

「それは見てみたかったなw」

 

「笑い事じゃねぇんだぞ?変態って言われて睨み向けられたんだからな」

 

「はははw」

 

「だから笑い事じゃねぇて」

 


 

ブラック社長からの説明を受けた後、SV-98は宿舎の自室で地図などを見て明日の輸送ルートや敵の潜伏する可能性のある場所などを確認していた。

 

「あの戦術人形どう思う?」

 

SV-98は周りにいた他の戦術人形達に向かってそう聞いた。ここはSV-98の部屋だがよく作戦前はこうやって戦術人形同士で集まってミーティングして最終確認などを行なっていた。

 

「信じられないけど、嘘を言っている感じじゃなかった」

 

自分の半身とも言える同じ名のアサルトカービンの整備を行なっていたマガルはSV-98の問いかけに対して小声でそう答えた。

 

「マイクさんはあの戦術人形をケネスと言う人だと信じている様でしたしね」

 

マガルの隣で今回の任務の内容を再確認していたACRが答える。因みに、戦術人形の中ではACRが隊長の立ち位置に居る。戦術人形の中で1番最初にここの会社にやって来たからと言う理由もあるが隊長に選ばれた1番の理由は他の人形達がやりたがらなかったと言う理由が大きい。

 

「屋上でタバコ吸ってたらばったり会って色々話したけどまぁ普通な奴だったよ」

 

ヘッドホンを付けてロック系の曲を聴きながら銃の整備をしていたAEK-999はヘッドホンを外してそう言った。

 

「まだあの人とお話し出来ていないから私も色々お話ししてみたい!」

 

鼻歌混じりにマガジンに弾を込めていたG41がAEK-999の話を聞き「私も!私も!」と言う。そんなG41に対してAEK-999は「じゃぁ今度一緒にお話ししに行こうぜ」と言った。

 

「でも本当不思議だね。人間が戦術人形になっちゃうなんて」

 

銃を分解して整備をしていたK2はそう言うと分解していた銃を組み立て始める。とても慣れた手付きで銃を組み立て1分もかからずに組み立て終わった。

 

「魔法みたいだよね!」

 

「G41の言う通り魔法としか思えないよね」

 

「本当にあの戦術人形の中身がそのケネスだと言う確証は無いから本当に本人かは分からないけどね」

 

マガルが静かにそう言うとAEK-999も「そうなんだよなぁ」と言って考え込む。

 

「まぁ誰だろうと新しい仲間なんだし仲良くして行こうよ!」

 

「K2のそのポジティブさが私にも欲しいぜ」

 

「K2の言う通りですね。中身が誰だろうと仲間なのには変わりませんし、今回の任務も皆で協力して行きましょう」

 

「そう言えばこうして皆んなで任務に行くのは初めてじゃない?」

 

「そうだね。私とG41とACRは前一緒に任務をこなしたことあるけどそれ以外とは今回の任務が初めてだね」

 

「私に至っては初めての任務なんだよなぁ。やっと実戦に出られるぜ!」

 

「AEKは調子に乗って撃ち過ぎない様に気をつけてくださいね」

 

「わーかってるよ。初任務でヘマはする気はねぇ」

 

銃の整備を終わらせたAEK-999は銃を持って立ち上がると皆に向かって「そんじゃ、私は先に帰っとく」と言い残して部屋から出て行った。

 

「ちょ!AEK!って、行っちゃった。本当自分勝手なんだから」

 

やれやれと言った感じでは溜め息を吐くSV-98。SV-98は訓練の時の成績などは良いが多少自分勝手な部分がある人形だった。

 

「まぁ話は殆ど済んでいましたし」

 

しかし自分勝手な行動が多いAEK-999だが重要な話や人の話などは意外にもちゃんと聞いていた。

 

「ねぇねぇ。席順はどうするの?私窓側がいい!」

 

「あ、そう言えば誰が何処に座るかは決めてなかったね。誰が運転するのかも」

 

「運転は私がしますよ。G41は助手席で良いですか?」

 

「うん!」

 

「じゃぁ私とAEKが後ろだね」

 

「私達1号車が先頭なので周囲の警戒は怠らない様にお願いします」

 

「「了解」」

 

「SV-98とマガルも頑張ってね」

 

「任せてよ。もし敵が来ても私が撃ち抜いて見せるから!」

 

「最大限努力する」

 

戦術人形達の話し合いはもう暫く続いた。

 


 

相棒とサヴェージチームの面々で明日の任務についての話し合いと準備をしていたら結構な時間が経過してしまった。準備が終わると相棒はブラック社長から執務室に来る様に呼ばれた。恐らくこれからの扱いについてなどの話をする為だろうな。作戦会議も準備も終わってしまい暇になった俺は基地内や外を適当にぶらぶらと散歩していると基地の格納庫でスコットの姿を見つけた。どうやらウチの会社が所有するハンヴィーを整備している茶髪の女性整備士と話しているみたいだ。あの野郎ナンパでもしてんのか?

 

「よぉ。何してんだ?」

 

「お、噂をするとなんとやら。丁度良い所に来たな。今ケネスの話をしていたんだよ」

 

「おい、この話は他の人には言いふらすなって社長にも言われたろうが」

 

周囲をかくにんしてみるがスコットが話しかけていた女整備士以外特に人は居ない様だ。

 

「安心しろ。アメリアはケネスとも交流がある奴だからよ。それに彼女は口が硬い。俺が保証する」

 

「それにこんなファンタジーな話他の人に言っても信じて貰えないって」

 

アメリアとスコットが呼んでいた女性がエンジン弄りを止めて俺の方に向きそう言って来た。

 

「そう言うお前はこいつの話を信じてんのかよ?」

 

「ん〜半信半疑って感じだね。でも貴方の反応を見るにマジっぽいね」

 

「と言うかなんでお前はケネスのこと知ってんだよ?」

 

俺はあまりここには来ないのでここにいる整備士とはそんなに面識は無い。名前と顔をちゃんと覚えているのは整備長のマットジジィくらいだ。それは相棒も同じ筈なんだが。

 

「私一度は本物の銃を撃ってみたいと思っててね。でも銃の知識なんてこれっぽっちも無かったからケネスに頼んで色々と教えてもらったの」

 

それは知らなかったな。あいつそんなことしてたのか。

 

「それで?念願の銃は撃てたのか?」

 

「名前は忘れたんだけどおっきい銃を撃ったよ。ヘッドホンを付けてたのに銃声がうるさくてビックリしたね」

 

「おっきい銃・・・アサルトライフルか?」

 

「あー何かそう言う感じの名前だったと思う」

 

多分相棒が彼女に使わせたのはアイツが昔愛用していたM4A1だろうな。アレは正確にはアサルトライフルと言うよりはカービンなんだがまぁいい。

 

「って言うか私貴方とも昔話したんだけど覚えてない?」

 

「え?そうだったか?」

 

「私はケネスが任務中に撃たれて死んだって言うのを4日後に聞いてそれが本当なのか1番仲が良さそうだった貴方に聞いたんだよね。覚えてない?ほら、廊下でたまたま会ってその時に聞いたじゃん」

 

訳1年前の記憶を呼び起こしてみるが俺の記憶には彼女と会って話した記憶は無かった。まぁあの時は相棒が死んだことがショックで何事も身が入っていなかった頃だし多分彼女と話していた時は半分ぼけっとした状態で話していたんだろうな。

 

「すまん。覚えてないな」

 

「謝んなくても良いよ。一々誰と喋ったかなんて覚えてないだろうしで、その女になったケネスはどんな見た目なの?」

 

「おっぱいが良い感じの大きさで凄く柔らかそうだった」

 

相変わらずの発言を早口で言ったスコットの頭に俺は拳骨を食らわせた。俺達の前ならともかく目の前にいるのにおっぱいとか言うのはどうかと思うぞ。

 

「ほうほう。胸が大きいと。どのくらい?」

 

と思ったがこの女もスコットと同類だった様だ。類は友を呼ぶってやつだな。

 

「うーむ。測ってないから分からないが俺の目測によるとDかそれ以上だな」

 

「成る程〜結構大きいんだね。私なんてBだから胸の大きいのは憧れるなぁ」

 

「いやいや、貧乳はそれはそれで良いものだからな?」

 

「まぁそうなんだけどね?でも私はどっちかと言うとある程度の大きさがあった方が良いんだよね。それで?ビジュアルはどうなの?やっぱり人形なんだし美人なんでしょ?」

 

興味津々と言った様子で俺に詰め寄って来るアメリア。

 

「まぁ普通に銀髪碧眼の美少女だと俺は思ったが」

 

「銀髪碧眼の美少女かぁ〜ねぇねぇ、写真とか無いの?」

 

そう言えば相棒が今の姿になってから相棒の写真はまだ撮って無かったな。まぁ相棒が男だったら頃もそんなに写真は撮ってなかったが。

 

「あるぞ」

 

そう言ってポケットからスマホを取り出し操作するスコット。

 

「なんでお前はもう撮ってんだよ。と言うかいつの間に撮った?」

 

「お前らから説明を受けた時だよ。ほら、これだ」

 

スコットが差し出して来たスマホの画面にはヤンと話す相棒の姿がバッチリ写してあった。

 

「へぇ〜確かに胸は大きいね。そして当たり前だけど男の時の面影は全く無いね。この美少女の中身が男だなんて思えないよ。それで、彼・・いや、彼女とはどう言う関係なの?」

 

「どうって・・・どう言うことなんだ?」

 

「ほら、今のケニスは美少女になっちゃってる訳じゃん?戦友や相棒以上の関係に発展したりとかさ!」

 

目を輝かせながら聞いて来るアメリアに対して俺は溜め息を吐いた。この女スコットと同じ人種だ。自分の興味のあることになるとグイグイと

来るタイプだ。

 

「確かに今のケニスは文句無しの美少女だ。俺も今のアイツの姿を見て可愛いとか思ったことは何度もある。だが相棒は相棒だ。恋愛対象としては見ない。それに、もし俺が相棒のことを好きになったとしてもそれはケネス・サクソンと言う人物を好きになった訳ではなく突然現れた男口調の銀髪碧眼の美少女のことが好きになっただけだ。それに俺は今の相棒との関係を崩したくはないと思っている」

 

「おぉ〜思ったより真面目な回答が返って来た。でも良いね。男同士の友情って感じで」

 

「次は相棒を失わない様に気をつけるんだな」

 

「言われなくても」

 

もう一度相棒を失った悲しみに暮れるのはゴメンだ。神のイタズラかどうかは知らねぇが相棒が戻って来てくれたんだ。次は俺の目の前で相棒を死なせたりはしねぇ。




と言うことで戦術人形は散々悩んだ結果ACR、G41、K2、マガル、SV-98、AEK-999になりました。そしてACRは公式設定では任務関係以外の記憶は本人の意思関係なく忘れてしまうと言う結構悲しい設定の持ち主ですがここに居るACRはグリフィンに居るのとは別個体なので記憶が消えてしまったりはしません。

次回は早速初のケネスの初任務!そして私が苦手とする戦闘シーン!これは頑張って書かないとですね。 

ご感想などお待ちしております!

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