第1話「北条和也・壱」
幼馴染、上杉真奈美は天才だった。幼少期から何をやっても上手にこなした。1を教えれば5や10にして理解するという羨ましい才能を持っていた。スポーツ、学業……、何をやらせても高得点を取り続けた。
そんな幼馴染を持った俺、
「かず君は将来の夢とかあるの?」
「別に」
「私はね、その。かず君のお嫁さんに……///」
「そう」
高校入学直後にあいつに何か言われていた気がするが全て適当に返事していた。だからあいつが何言っていたのかは分からないし知りたくもなかった。
『速報です!硫黄島が深海棲艦の大艦隊の襲撃を受け陥落しました!幸い艦娘たちは無事で横須賀へと撤退したとの事です』
「またか……」
ニュースの速報を見て俺はため息をつく。
深海棲艦。30年近く前の1990年代に突如現れた異形の存在。目的は不明。人間を見つければ容赦なく殺し船は沈める。そこに一切の慈悲はなく深海棲艦に出会ったら確実に死が訪れる。
幸い奴らは陸に上がって来ることはないがそれでも太平洋の大半は喪失し現在の制海権を維持するので精一杯だった。
人類がここまで追い込まれたのには訳がある。奴らには霊力と呼ばれるもので体が覆われてり通常の兵器では傷一つつけられないのだ。アメリカがハワイを放棄する際に核ミサイルを放ったそうだが駆逐艦や軽巡洋艦はともかくそれ以上の艦には効果がなかったらしい。それじゃどうやって制海権を維持しているのかって話だが深海棲艦と同時期に人類を助けてくる存在が現れた。妖精と呼ばれており彼女たちは艦娘というかつての船の魂が宿った存在を建造することができた。彼女たちが唯一深海棲艦と互角に戦える存在で各国はこぞって妖精さんの力を借りて艦娘の建造を行った。しかし、ここである事実が発覚した。建造対象は戦間期から第二次世界大戦までに計画、建造された艦と装備のみだったのだ。これは世界に大きな衝撃を与えると同時に絶望に突き落とす事実でもあった。第二次世界大戦時までという事は植民地だったアフリカが艦娘を建造することはできないという事であり更に陸軍国家のドイツやフランスはその規模を大きく制限されることとなった。
現在、深海棲艦相手に優勢に戦えているのは日本、アメリカ、イギリスくらいで残りの国は現状の制海権維持で精いっぱいとなっている。
とはいえ日本もそこまで余裕はないらしい。日本は十数年前に中華人民共和国と日中相互援助条約を締結した。これは中国の制海権を日本が防衛する代わりに中国があらゆる支援を行うというものだった。中華人民共和国は一切の艦娘の建造を行う事が出来なかった。これは台湾に中華民国が存在し別個の国として扱われたかららしい。大戦時に中華民国が保有していた艦娘は全て台湾政府のもとで建造された。その為アジアからアメリカの影響力がなくなり覇権を築いた中国は日本の協力なくして制海権を維持することは出来なかったのだ。
日本は中国の求めに応じて艦娘を派遣したが年々その海域は増えており現在ではインド洋にも派遣されている。既に日本の負担は限界らしく最近では提督の募集を行っているほどだ。
日本が現在保有する艦娘は300を超えている。同じ艦娘もいるため全てが違う存在という訳ではないが世界一の艦娘保有数を誇っている。そのせいで長大な海域を防衛する羽目になっているがな。
そんな訳で30年前とは世界は一変し深海棲艦という化け物から身を守るために艦娘という良く分からない存在に頼らないといけないのが今の世の中だ。
2020年の世界
1990年代より出没するようになった深海棲艦により海の大部分を喪失している。更に沿岸部への攻撃も行われるため場所によっては民間人完全立ち入り禁止エリアに指定されている場所もある。当初は通常兵器で対抗していたが霊力を通さない通常兵器ではダメージを与えることは難しかった。しかし、妖精の登場により艦娘が現れるようになった。艦娘は提督と呼ばれる者の指揮下で100%の力を発揮できる。提督になる条件は妖精が見えること、霊力検査でC以上の霊力保有者のみが提督になれる。
制海権の喪失により国家間でも大きな変化があった。国際連合の事実上の消滅、中華人民共和国による日本を除く東アジアでの覇権の確立。アフリカ連合の形成など。
日中相互援助条約:日本が中国及びその影響圏の制海権を維持、及び奪還する代わりに中国は様々な支援を格安で行う。
現在の世界地図
【挿絵表示】
紫:深海棲艦の最大行動範囲及び深海棲艦に占領された地域
薄紫:深海棲艦の占領海域
赤:民間人立ち入り禁止エリア
和也の最初の艦娘は?(なお、対象は作者お気に入りの駆逐艦のみです)
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響
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江風
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曙
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睦月
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不知火