暗キ海ノ底ヨリ   作:鈴木颯手

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第三話「北条和也・参」

「これより提督適正検査を行います!呼ばれた組の人は出席番号順にこちらに来てください!」

 

軍人と思わしき人の言葉で遂に適正検査が開始される。適正検査と言っても何かテストをするわけではない。実際に受けた人の話ではいろいろなコードが繋がれたヘルメットのようなものを被らされてそのまま何かを計測されたらしい。これについては軍の公式発表で霊力の数値の計測と要請が見えるかどうかのみらしい。基本的に霊力は人間にも存在するがそれを使う事も視認することもできないらしい。ただ、これは艦娘の力を引き出すのに欠かすことは出来ずまた霊力が多ければ多いほど妖精の姿かたち、声などが聞こえたり見えるようになったりするらしい。

まぁ、適性があってもすぐに提督になれるわけではなく士官学校のようなところで提督として必要不可欠な物を学んでから各地の鎮守府や基地に配属される様だ。さすがにそこはしっかりしているか。何の知識もない一般人だった人をいきなり前線に配置するわけがないか。

自分のクラスは最後の為俺は一人自分のクラスの番が来るのをぼんやりと待っていた。俺が住んでいる地域は日本海側の為深海棲艦が襲ってくることはまずない。だが太平洋側の地域、特に東北地方は偶に偵察機と思われる敵の艦載機が来ることがあるらしい。そのせいで太平洋に面している東北地方からは人が減少しつつあるらしい。実際数年前に深海棲艦の襲撃を受けた港町がありそこは現在封鎖され民間人が一切立ち入れないエリアとなっている。福島では原発が稼働を完全に停止し原子炉等の撤去が行われている。そのせいで今も計画停電が実施される程度には電力不足になっており日本海側に新たな原発をつくることを計画しているらしい。

そうしていると自分のクラスの番が来たため出席番号順に並び検査を待つ。テントから出てきた人はそのまま教室に戻っており数人だが笑顔を浮かべていたりはしゃいでいる奴がいたがそう言う事なのだろう。検査はつつがなく進められているようであっという間に俺の番が来た。テントには一人一人入り決してほかの人がのぞくことができない。これは不正防止のためらしい。なんでも昔妖精が見えた人に頼んで妖精の姿がどんなものなのか教えてもらい見えると嘘をついたらしい。霊力が異様に低かったことと教えた人があっさりと伝えたためあっけなく嘘がバレたんだがそれ以来検査が終わるまで受けていない人は中の様子を確認できないようになった。そんなわけで少し緊張しながら俺はテントの中に入る。テントには白衣を着た男性一人と迷彩服を着た軍人と思われる男性が一人ずついた。中の様子としては病院のような感じだ。

 

「それでは……、北条和也くん。これを被って」

「はい」

 

白衣の人物から渡されたメットを被る。俺が被ったのを確認した白衣の男は何やら機械を駆動させる。特に頭に違和感もなく時間が過ぎていく。

 

「これは……!」

 

すると白衣の男が画面を見て目を見開いている。俺は何だ?と思いつつ何か言われるまで待つ。白衣の男は何度も画面を見て確かめているようだがやがて軍人に何かを指示した。支持を受けた軍人は奥の方からトレイに何かを乗せてこちらに戻って来る。トレイに乗っていたのは小さな小人だった。デフォルメされた二頭身くらいの大きさで暇なのか左腕を枕にすやすやと眠っていた。もし漫画とかなら可愛らしい「zzZ」といったものが見えそうな気がする。

 

「むにゃむにゃ、もうたべられねーですよー」

「……これは?」

「ふむ、妖精も視認できていると」

 

可愛らしい寝言を言っている妖精を指さしながら言った俺の問いは白衣の男に届いていないようだ。トレイを持っている軍人も答える気は無いようでずっと黙ったままだ。

やがて、考えが纏まったのか白衣の男が手を振りトレイを下げさせた。そしてバインダーに挟まれた紙に何かを書き込んでいく。何を書いているのかは分からなかったが俺の写真とかが貼ってあるので軍に提出した俺のプロフィールと思われる。

 

「……北条和也くん。大事な話があるので奥の方で待っていてくれるか?」

「は、はぁ」

 

突然の事に俺は気の抜けた返事をする。妖精を持ってきた軍人の案内の元奥の方にあったテントに入るように促された。中は布団が敷いてある他にはお菓子の入った籠が置いてあるだけだったがそれらに目が行かないほどの光景が広がっていた。

 

「あ!ひとがきたー!」

「みえる?わたしのないすばでぃーがみえる?」

「ふつめんですか。でもそこがいい!」

「zzz」

 

中にはたくさんの妖精の姿があった。単純に二十人?匹?がいそうだ。俺に気づいた妖精たちが一斉に俺に近づきよじ登って来る。

 

「え、あの……」

「わー!たかいー!こわいー!」

「いけー!ぜんそくぜんしんだー!」

「ふむ、むだなぜいにくがほとんどありませんね。いいからだつきです」

 

俺の体はあっという間に妖精たちに張り付かれた。肩に乗る者、頭の上で支持を出すもの、お腹に張り付き何やら考察するものなどそれぞれが違う行動を取っていた。

さすがにこのままでは危ないので俺は布団の上に胡坐をかいて座る。すると今度はその間に妖精さんがあつまりぎゅうぎゅう詰めになっている。その姿はまるで巣の中でいっぱいいっぱいになっているヒナのようだ。

この後白衣の男がすべての検査を終えてやって来るまでの間俺は元気いっぱいの妖精さん達に振り回されて精神的に疲弊するのであった。

 

和也の最初の艦娘は?(なお、対象は作者お気に入りの駆逐艦のみです)

  • 江風
  • 睦月
  • 不知火
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