暗キ海ノ底ヨリ   作:鈴木颯手

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第八話「北条和也・陸」

提督適正検査を受けた週末、俺は近くにある鎮守府にやってきていた。事前の調べでは本土の鎮守府で且つ横須賀鎮守府や舞鶴鎮守府といった重要地点にはない為そこまで規模は大きくはなかった。むしろ艦娘の存在を世間に知ってもらうための、広報の役割りが大きい場所だった。所属している提督は二人、艦娘も12人しかいないが事務作業や整備士を含めれば百人は超えるだろう。

 

「お待ちしてました。北条和也さんと上杉真奈美さんですね」

「はい」

「今日はよろしくお願いします!」

 

そして俺の隣には真奈美がいる。どうやって知ったのか真奈美も事前に連絡していてこうして一緒に見学する羽目になったのだ。今日見学するとは一言も言っていない。家族にも出かける時に伝えたくらいだし。……ここまで来ると盗聴器や監視カメラの存在も疑った方が良いのかもしれない。

 

「今日この鎮守府の案内と艦娘や提督の説明をする河野明美といいます。今日はよろしくね」

「はい」

「はい!楽しみです!」

 

真奈美はいつも通り笑顔でそう言っているが真奈美は見学が楽しみなのではない。俺と見学する(・・・・・・・)のが楽しみなんだろう。もし俺が提督の職に興味を持たなければ真奈美が興味を持つ事は無かっただろうから。

 

「それでは先ずはこの鎮守府について軽く説明します。と言っても一般人の貴方たちに教えられることは限られているの。ごめんなさいね」

 

そう言って案内をしてくれている女性は困ったような表情をする。流石に機密に関しては垂れ流し状態ではないか。この付近では唯一の鎮守府だ。毎年こういった見学は行われているだろうし慣れて(・・・)いるはずだ。それにもかかわらずこの表情という事は確実に適正検査の影響だろうな。

他の人と同じ内容しか話さず提督の仕事に興味を持たなかった困るがかと言って機密を何処まで話せばいいのか、といった所かな。適正検査自体数日前だ。そこからこの鎮守府に連絡があったとしてもそこまで日数はなかったうえに俺が早めに見学の申し込みを行った。これで対応をうまくマニュアル化出来なかったのだろう。正直来週でも再来週でも良かったけど提督の職業が自分に合わなかったら別の就職先なり大学を見つけないといけない。もう、時間はほとんどないからな。

 

「無理に聞こうとは思いません。話せる範囲で十分です」

「私も同じ意見かな」

「そう、分かったわ。じゃぁ、これを見てね。これは鎮守府の敷地内の見取り図で……」

 

そうして始まった鎮守府の見学は滞りなく進んだ。途中で鎮守府内の大きなスペース、おそらく会議だったり今日のような見学の際に説明をする場所に通されて鎮守府の役割りについてや提督の仕事、艦娘に関する事などを細かに教えてもらえた。

その中でも印象的だったのは艦隊に関してだろう。基本的に提督は一人につき6人の艦娘の指揮を執れる。指揮と言っても戦闘の中身や進路は艦娘自身や妖精さんに任せるためにやる事はない。では一体どういうことかというと艦娘は提督の指揮下に入らないと力を十二分に引き出せない。そして6人以上で一斉に出撃させても同じ事態になる。とは言え6人編成の艦隊を2つ用意すれば問題ないだけの話だがここで提督自身の霊力がカギとなる。提督は霊力が高ければ高い程一度に指揮できる艦隊の数が増える。Sランクの人で4艦隊まで率いることが出来るらしく。基本的に2、3が限度らしい。中には1艦隊ですら危うく、4人編成に減らして指揮をしている者もいるらしい。

 

「となると俺や真奈美は理論上、4以上の艦隊を指揮できるという事ですか?」

「そう言う事になるわね。ただ、最大24人以上の艦娘の戦況報告を一度に受ける可能性もあるから基本的に余裕をもって指揮できるように1、多くても2艦隊の指揮しかしないわ」

 

河野さんの言葉に俺は納得する。そりゃ大量に指揮する以上そうなる可能性もあるのか。平時なら問題ないかもしれないが緊急事態や大規模作戦中なら命取りになりかねない。艦娘だって死ぬ、沈む可能性がないわけではない。今の日本は艦娘の轟沈を非常に嫌っている。理由は単純だ。沈ませる余裕がないからだ。人道的とかそう言った理由ではない。今の日本はアメリカ以上に広い制海権の防衛を行っている。艦娘の一度の出撃数に制限があるとはいえ艦娘を沈める気にはなれないだろう。

 

「それじゃ、最後のメインイベントに行きましょう!」

「!艦娘との……」

「交流!」

 

河野さんの言葉に俺と真奈美は反応する。お互い、提督や艦娘にこれまで興味はなかったのだ。当然見学などしたことないから艦娘を実際に見たことはない。雑誌などにたまに載っている写真を目にするくらいだ。

だから実際の交流という事で少し緊張する。真奈美は喜んでいるようにも見えるが少しだけ様子が可笑しかった。まるで艦娘を見定める様な雰囲気を感じる。

 

「実はもう扉の前まで呼んであるの。入ってきて!」

「!」

 

河野さんの言葉と共に扉が開かれた。俺はこの日、初めて艦娘という存在を目にし、彼女たちについて詳しく知る事となった。

 




市民ホールとかで芸能人やアイドル、ご当地キャラとかと交流する際ってこんな感じで始まるんですかね?行った事ないから分からないけど

それと交流する艦娘でこれ出して欲しい!とか思う娘いたりします?今のところは駆逐艦、巡洋艦、戦艦若しくは空母の三人ないし四人のつもりでいます。何かリクエストがあれば感想とかでお願いします。あ、海外艦は物語の設定上却下です

一応今考えている候補
駆逐艦
吹雪、霞、曙、潮、電
巡洋艦
球磨、北上、青葉、足柄
戦艦、空母
赤城、加賀、榛名、扶桑

和也の最初の艦娘は?(なお、対象は作者お気に入りの駆逐艦のみです)

  • 江風
  • 睦月
  • 不知火
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