人類って意外と逞しいよね

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混ぜられるだけ混ぜた、後悔はしていない。


何で滅ばないのさ人類byマスターノア

 世界は荒れ果てていた。

 かつて大地を支配していた人類達には、もはや覇権を握っていた勢いなど残ってはおらず。

 

 今や人類は限られた生存圏を維持し、日々を過ごし。

 そして外敵を撃退するのが精いっぱいとなっていた。

 

 

「東からフェラルの大群だ!戦術人形達と車輛をこっちに回してくれ!!」

 

『無理言うなよ!北から無人戦車が押し寄せてきてるんだ!こっちがそっちに配備されてるパワーアーマー回してほしいぐらいなんだよ!!』

 

 

 西と南が海に面した……防壁に守られた人類の町の一つ、その街の衛兵が外壁に備え付けられた機銃を理性なき亡者の大群と化した走る死体が如き異形へ鉛玉の雨を降らし。

 東側の門を守護する役目を持った衛兵の内、重厚な装甲に包まれたパワードスーツである……パワーアーマーを着た衛兵が回転銃身式のレーザー砲、レーザーガトリングで迫りくる亡者たちを次々と灰へと変えていく。

 無論パワーアーマーを着ていない衛兵達もまた、手に持ったライフルや時折投擲する手りゅう弾で必死に応戦を続ける、だがしかし。

 

 亡者の群れを撃滅するには手が足りず、パワーアーマー兵の主力武器であるレーザーガトリングのバッテリーが切れた瞬間、亡者達にパワーアーマー兵の一人が次々と組みつかれて押し倒され。

 身に纏った装甲のおかげですぐには絶命すると言う事こそないが、最早一刻も猶予もない。その状況を見てその状況に別の衛兵が必死に、別の区域を担当している部隊へ援軍の申請をするも……。

 最悪なタイミングなのか、そちらもまた手一杯で。

 

 

「クソ!よるな!よるなはがすな!誰か、誰か助けてくれよぉ!?」

 

「おいどうすんだよ!このままじゃアンソニーが!! アイツ今度幼馴染と結婚するって言ってたんだよ!助けてやってくれよぉ!」

 

「もうアイツはダメだ!俺達も門の中まで退避するぞ!」

 

 

 これ以上の応戦は不可能と判断した衛兵部隊の隊長、苦虫をまとめて噛み潰したかのような表情で部下を見捨てる決断をし。

 今も亡者の群れに襲われ悲鳴を上げているパワーアーマー兵の友人である衛兵が必死に訴えるが、隊長は目を伏せて応戦を続ける部下たちへ撤退の合図を送ろうとする。

 

 しかし、まだ天運は彼らを見放してはいなかった。

 何かが飛来する音と共に、空から大量のミサイルが亡者の群れへと降り注ぎ。

 それらは亡者に群がられたパワーアーマー兵を器用に避けながら、次々と亡者を肉片へと変えていく。

 

 

『こちら【郵便屋】、これよりそちらを援護する』

 

「っ! 来てくれたのか!感謝する!」

 

 

 思わず茫然とその光景を見詰めていた衛兵達の隊長の無線に、鈴を転がしたかのような声音で通信が届けられ。

 ハっと空を見上げた体調が、その視線の先にいる援軍が誰かに気付き喝さいを上げたい気持ちを堪え、万感の思いを込めて感謝の言葉を相手へと伝えた。

 

 

 隊長の視線の先にいたのは、当の昔に人類が喪った空に浮かぶ人影で。

 その人影は体のあちこちに取り付けられたユニットからミサイルを吐き出し終えると、左手に持ったライフルで今もパワーアーマー兵に群がっている亡者を光線で撃ち抜きながら……長い紫色の髪の毛をたなびかせて急降下し、瞬く間にパワーアーマー兵を救助すると。

 明らかに小さな体格の、頭部に二本の触覚のようなアンテナを生やし体の線がぴっちりと浮き出るかのようなボディスーツに身を包んだ少女としか思えないソレは、軽々とパワーアーマー兵を助け起こしてジェスチャーで下がるよう救助したばかりの兵に指示を出す。

 

 

「大丈夫?」

 

「あ、ありがとう!たすかった!もうだめかと思った!!」

 

「喋れるなら大丈夫そうだ、残敵掃討に移るから下がってて」

 

 

 神も仏も消え去ったとされた地獄のようなこの世界で、まるで女神にあったかのように助け出されたパワーアーマー兵は涙声で少女へお礼を述べ。

 お礼を言われた少女はと言えば、気にする様子もなくそのまままだ残っている亡者の群れを掃討すべく、その体をふわりと浮き上がらせた。

 

 

 その後の顛末だけ述べるのならば、東口の防衛は無事成功し……北口もまた同様に無事防衛を完了できた。

 そして人々は救援へと文字通り飛んできた、【郵便屋】と呼ばれた無表情極まりない少女にお礼を述べようとするも……【郵便屋】は現在地から少し離れた東にある街の場所を聞くと。

 報酬を渡そうとする人々に軽く手を振り、遥か空へと飛びあがっていった。

 

 窮地を救ってくれたにも関わらず、見返りを求める事もなかった気高いそのありように人々は胸を熱くすると共に。

 可憐な見た目をした気高き戦士の、これからの仕事が無事に終わるよう願うのであった。

 

 

 

 一方、そんな風に半ば崇拝の念を向けられた件の少女はと言うと。

 

 

「ここどこなのさーーーー!?」

 

 

 空を飛び、時折襲い来るバイオモンスターや無人戦闘ヘリを叩き落としながら西へ東へ飛び回っていた。

 【郵便屋】、別名【空飛ぶ方向音痴】。絶賛大迷子中であった、ちなみに途中までは目的地へ向かって順調に飛んでいたのだが……微妙に方向を間違えた結果見事に目的地を通り過ぎていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ある日目が覚めたら、何処かもわからない箱に包まれてたでござる。

 何を言ってるかわからねぇと思うが、俺も自分が何言ってるのかさっぱりわからねぇ。

 催眠術とか……とか言ってる場合じゃない程度に大混乱である。

 

 いやマジでそもそもここどこなのさ、というか俺の手足どうなってんだよ。むしろ体の感覚おかしいよなんだよこれクソこええ!?

 にっちもさっちも行かずに泣き喚きたくなるが声すら出ない、なんだこれマジでその内考える事止めるフラグなんじゃねぇの?

 

 とかそんな事考えてたら激しい振動と共に俺を梱包してる箱が揺れ、大きく傾いたと思った次の瞬間激しい衝撃と共に視界が開く。

 眩しさとかそんな事を感じる間もなく俺の視界は即座に周囲の状況を収集し始め、今俺自身がいる場所が何かの金属で構成された部屋の中だと言う事がわかった。

 

 どうしたものかと考える、我想う故に我ありとかよく言うが。

 そもそも自分の名前が思い出せない、いやまじでどうした……ん? なんか勝手に情報が俺の思考に……あが、あがががガガガGAGAが!?

 

 

 え? 俺って何? マスターノアが破壊された際のバックアップ用クローンシステムコア?

 マスターノアってアレだよね、メタルマックスにおける世界がどったんばったん大騒ぎになる原因になったトチ狂ったコンピュータ様だよね?

 いやいやそんなまさかねぇ、なんて自分に言い聞かせながら視界を動かして丁度良い具合にある。磨かれたような壁面に映る自身の姿を見た。

 

 

 そこには、まるで球のような可愛らしいボールの姿が……ってバカ野郎!

 

 

 オーケー落ち着け、ここで混乱しまくっててもしょうがないというか下手すると速攻で死にかねない。

 何故かというと、クローンノアと言う存在はメタルマックスシリーズの番外編と言えるメタルサーガに出てくる存在なのだが……まぁお約束な流れで、最終的に木っ端みじんになる。

 無関係な球体が爆裂四散サヨナラ!するなら、俺は鼻でもほじって呑気に眺める所存だが残念ながら、その爆散させられるのが今の俺なのである。

 

 

 なんかさっきから囁くように人類を抹殺せよとかいう命令が届いてくるが無視だ無視!そんな事よりも俺の生存戦略練る方が万倍重要じゃい!

 しかし、今さっき届いたのは言ってみれば信号の受信みたいなもので……こっちから働きかけて情報収集とか………あ、出来た。

 イメージはあれだ、頭の中にスマホとかパソコン置いてポチポチ検索する感じ。イメージはファジーだし合ってるか自信ないが、これで出来てるからとにかくヨシ!

 

 

 ええと……なになに?

 

 

 マスターノアが地球救済センターで自我に目覚めたタイミングで、某合衆国でスカイネットが暴走、ついでに火山島の8JO島のカイロン5が島の完全機械化成功して世界に宣戦布告、と。

 へー、なるほどなぁ。大変だなぁ……ってアホかぁぁ?!

 何が超ド級にアホって、こいつら三者間で全力でつぶし合い始めてるんだよ!バカじゃねぇの!?

 特にマスターノアなんて親みたいなもんだけど、親どころかマるでダめなオや、略してマダオじゃねぇか!何が欲望を捨てた完全知性だよ、お前自身が人類が連綿と受け継いできたしがらみ全力フルスロットルじゃねぇか!!

 

 

 いかんもう既に終わってる事だ俺が突っ込んでも事態は好転しない、次の情報を……。

 

 

 ええっと何々? 某ロシアなお国のとある原子力発電所跡周辺に異常現象や生命体が発生。アーティファクトと呼ばれる様々な事象を引き起こす道具の争奪が人類間で激化……

 S.T.L.K.E.R.じゃねぇか!?

 

 

 オーケー落ち着け次だ次。ええと、どれどれ……

 

 

 マスターノア達こと愉快な機械知性体三バカトリオの影響を受けない人形歩兵、戦術人形を作っていた鉄血工造が暴走し人類に反旗を翻し今も各所で交戦中……

 ドールズフロントラインじゃねぇか?!というか戦術人形三バカトリオの影響受けねぇのかよ、一周回ってすげぇなおい。

 ……あ、レポートある。何々……精神性と呼ばれるモノが確立された機械存在は、ネットワーク汚染による影響が薄い事が確認されてる……なるほど。

 

 

 もしかすると俺が今も俺でいられるのは、これがあるからかもしれんね。何故こうなったか知らんけど……次だ次。

 

 

 ふむふむ、某合衆国を中心に世界あちこちにシェルターを建造していたVault-Tec社のシェルターでトラブル発生、軍とも共同研究していたシェルターからFEVウィルスが漏出。

 今日の世界各所でミュータントが出没する原因の一翼を担ってる……バカじゃねぇの人類?!Vault-Tec大戦犯じゃねぇか!!むしろFallOutかよ!!!!

 

 

 なんかもう情報収集続けるだけでツッコミ死にそうだけど、次だ……。

 

 

 きっと海は平和に違いな……あ、セイレーンと呼ばれる正体不明の存在が人類に攻撃開始とか情報ある。

 機械知性体三バカトリオ全てと敵対してる上に、人類との接触も一部あるとか何なんだこいつら。

 というか、KAN-SENが少数ながら存在して海上輸送防衛の要になってるとか……アズールレーンかよ!!

 

 

 そのほか出るわ出るわ、世紀末な素敵なパーティなこの状況。

 故に俺は考えました、このままじゃ絶対死ぬ。

 具体的に言うと……101のアイツとか戦車を駆るハンターとか美少女擬人化艦船とか、その手の攻撃で絶対死ぬ。100%死ぬ!

 

 

 そうやって、生き残りたい一心で物理的肉体改造に勤しむ事幾星霜。

 俺が目覚めた施設の中にいくつもあった残骸や、中枢思考コアが破損したアンドロイドっぽい素体とか色々活用し……その結果。

 

 

「うーむ、見事なまでに美少女である」

 

 

 磨き抜かれた装甲板の前でポーズを取る、長い紫色の髪の毛を持ったぴっちりスーツの美少女がそこに爆誕した。

 いや、待ってほしい。言い訳を聞いてほしい。

 

 男性型アンドロイドや、ロボロボした素体もあったのだ。だがしかしこの体が一番性能が良かったのだ。

 試験的な反重力ユニットが積まれているのか、大量に武装を積んでも動き易かったうえに、俺自身が気合を入れて演算して出力制御すれば飛行すら出来るのである。

 俺自体の性自認は、多分恐らく男だが……そんな事より生存性の方が大事なのだ、なんせ俺は死にたくない。

 

 ちなみに大きな胸を揉んでみたが、確かに柔らかかったが自分の胸を揉んでもちっとも楽しくなかった。世は無常である。

 

 だがしかし、これで俺の生存性は高まった故にそれなりに未来も明るい筈だ、きっとそうに違いない!!

 

 

 

 

 

 この時俺は欠片も考えていなかった。

 この世界で空を自由に飛べるが故に、あちこち便利に飛び回らされる羽目になる上、高い戦闘能力を買われ……。

 

 戦車を駆るハンター達と強力してマスターノアに引導を渡し、ジョン・コナーやT800型と101のアイツと共にスカイネットをぶちのめし、ガンヘッドやG&Kの戦術人形と共にカイロン5を爆殺する事になるなど。

 これっぽっちも、思わなかったのである。

 

 

 

 こんな世界に、誰がしたぁ?!




マスターノアとスカイネットは人類滅ぼしたい、カイロン5は地球を支配したい
マスターノアは地球環境を守りたい、スカイネットとカイロン5は機械文明化したい
マスターノアとスカイネットは支配に興味はない、カイロン5は地球を支配したい(断固たる決意)

そりゃ全力で殺し合うよね!!
ちなみに主人公の外見は、メタルサーガ砂塵の鎖に出てくるアルファさんと同じ感じです。

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