紫の星を紡ぐ銀糸   作:烊々

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アニメ2期、やって欲しいですよね。
というわけで初投稿です。


1部 眩耀のクリスタル編 -SISTERS GENERATION HEROINES-
01. プラネテューヌの女神補佐官(ギンガ)


「ゲイムギョウ界にあまねく生を受けし皆さん、新しき時代に第一歩を記すこの日を、皆さんとともに迎えられることを、喜びたいと思います。ご承知の通り、近年、世界から争いが絶えることはありませんでした。」

 

 ゲイムギョウ界の4国による友好条約の締結、それは私の悲願でもありました。何故同じゲイムギョウ界を愛する女神様同士が戦わなくてはならないのか、歴代の女神様は「それが女神の運命だ」と言い戦い続けてきました。女神様に仕える身である私にはその運命に異を唱えるなど許されず、女神様同士が戦うことに心を痛めながらも戦うしかありませんでした。しかし今日、今の世代の女神様たちはついに、その運命を超えるのです。

 

「女神ホワイトハートが治める国、ルウィー。女神グリーンハートが治める国、リーンボックス。女神ブラックハートが治める国、ラステイション。そして、私女神パープルハートが治める国、プラネテューヌ。四つの国が国力の源であるシェアエナジーを競い、時には女神同士が戦って奪い合う事さえしてきた歴史は、過去のものとなります。」

 

 私は友好条約の式典をプラネテューヌ教会のテレビで見ています。女神補佐官という立場の私は式典をテレビ中継ではなく会場の特等席で見るべきだとプラネテューヌ教会の教祖であるイストワールに言われたのですがお断りしました。何故なら、己の悲願であった友好条約の締結と正装を身に纏った女神様による式典の宣誓のスピーチ、それらの感慨深さでさっきから涙が止まらないからです。もし今の私があの場にいれば式典の進行を妨げかねません。涙が出すぎて若干脱水症状を起こしているかもしれませんねこれ。ティッシュも2箱ぐらい使いましたし。

 

「本日結ばれる友好条約で、武力によるシェアの奪い合いは禁じられます、これからは国をより良くすることでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展に繋げていくのです」

 

 ちなみに、先程から式典の宣誓をしているのは私が仕えているプラネテューヌの女神様、パープルハート様です。どうやら他の女神様とのじゃんけんで勝利し、その権利を獲得したらしいです。それにしてもパープルハート様は今日も美しいですね。きっと明日も10年後も100年後も1000年後も美しいでしょう。

 

「「「「私たちは過去を乗り越え、希望が溢れる世界を作ることを、ここに誓います」」」」

 

 4人の女神様がそう言った瞬間、式典の会場は人々の歓声で溢れかえりました。しかし私は涙でもう何も見えません、あー女神様尊いしんどい。こんな姿を他人には見られたくないのでイストワールの誘いを断って正解でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 自己紹介が遅れました。私の名は「ギンガ」。プラネテューヌ教会の女神補佐官です。「女神補佐官」というのはおそらくプラネテューヌ教会にしかない立場で、例えるなら王に仕える家臣…ですかね。そもそも「補佐官」という名も私がこの仕事をするようになってから後付けでできたものなのであまり気にしないでください。

 

 私のお仕事は基本的に女神様や女神候補生様の身の回りの世話や教育、鍛錬などを行うことです。それ以外にもプラネテューヌの衛兵や諜報員の戦闘指南も任されています。イストワールがプラネテューヌの「知」を司るのなら、私は「武」を司るなどと言われていますね。「武」を司るなんて言われていても私自身の実力は女神様には及びませんが。

あの感動的な式典から約1ヶ月、女神補佐官である私は今、プラネテューヌの女神パープルハート様の普段のお姿、ネプテューヌ様に

ーーーーー正座させられています。

 

「式典にも来ないし、その後も私を放ったらかしにして何してたのさー!これは温厚さが取り柄の主人公ネプテューヌさんでもおこだよおこ!」

 

 式典の後処理などで各国を飛び回り多忙を極めていた私は、ここひと月ぐらいまともにネプテューヌ様と顔を合わせることができずにいました。それに加え、どうやらネプテューヌ様は私が式典を欠席したことにもご立腹のようですね。しかし、ネプテューヌ様は怒っていても可愛らしいです。女神パープルハート様は美しいですが、その普段のお姿であるネプテューヌ様はとても可愛らしい見た目をしています。

 

「ですがネプテューヌ様の勇姿はテレビ中継で瞬きもせず目に焼き付けたので……」

 

 途中から涙で何も見えなくなりましたが。

 

「ギンガは私の補佐官なんだから中継じゃなくて生で見なきゃダメだよー! あと瞬きはした方がいいと思うな」

「申し訳ありません……」

「謝って済む問題じゃないよーだ!」

「お許しください……」

「ふーん、だ」

 

(ふっふーん、正直そんなに怒ってないけど、この弱みに付け込んでギンガに色々とお願いを聞いてもらおーっと!)

 

 あぁ、とても怒っています。確かにネプテューヌ様の怒りは尤もです。怒っているネプテューヌ様の可愛らしさに気を取られていましたが、私のしたことで女神様を不愉快な思いをさせたことに変わりはありません。女神補佐官としての責務を果たせず、あろうことか女神様に不愉快な思いをさせた……補佐官の姿か? これが。これは正に『生き恥』。ならばやることは1つ……

 

「とりあえずプリンを買ってきてもら……」

「このギンガ、ネプテューヌ様への非礼を腹を切ってお詫びします」

「……え?」

「ネプテューヌ様、私は貴女やネプギア様に……いえそれだけではなくこれまでプラネテューヌの女神様たちに仕え続けることができて幸せでした」

「ちょっとギンガ⁉︎ ギンガさーん⁉︎」

「願わくば、生まれ変わったらまた貴女に仕えたいです」

「切腹なんてしなくていいってば‼︎ ねえ‼︎ ていうかそれ一話で言うようなセリフじゃないよ‼︎ もっと後半まで取っておいて‼︎」

「止めないでください‼︎‼︎ ネプテューヌ様への非礼はこの私の薄汚い命を持って償います‼︎‼︎」

「ねぷぅうううう! ネプギアーーー! ネプギア助けてえええーーー! ギンガを止めるの手伝ってえええーーー! このままじゃギンガが死んじゃうーーー‼︎」

 

 そういえば、死ぬ前に紹介しておきます。今ネプテューヌ様が叫びながら呼んでいるネプギア様というのはネプテューヌ様の妹でプラネテューヌの女神候補生、次の女神様となるお方です。怠慢癖のあるネプテューヌ様と違い真面目な性格をしていますが、ネプテューヌ様のようにとても可愛らしい方です。

 あ、先程ネプテューヌ様には怠慢癖があると言いましたがそれもまた彼女の可愛らしいところなんですよ!

 というわけで、それでは来世でまた会いましょう。

 

「ど、どうしたのお姉ちゃ…ギンガさんが切腹しようとしてるーー‼︎⁇ お姉ちゃんってば! いくら女神でもさせていいことと悪いことがあるよ!」

「私が切腹を命じたんじゃないよー! とりあえずネプギアは左腕抑えて! 右は私が抑えるから! ていうか力つよ! こうなったら変身するしか……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで女神様のご慈悲を受け赦された私は、ネプテューヌ様とネプギア様と共にイストワールに呼び出されました。

 

「そういえばギンガは失態を命で償うのが当たり前な価値観の時代に生まれた人だっていーすんが言ってたなぁ……」

「ゲイムギョウ界において女神様に対する非礼は命でしか償えません」

 

 ネプテューヌ様が生まれるよりもっと昔のゲイムギョウ界ではそれが当たり前でした。当時の女神様が厳しかったわけではありません。友好条約が結ばれ、平和な時代となった今と比べ、当時のゲイムギョウ界は殺伐としていました。しかし、殺伐としていた時代だからこそ国民の女神様への信仰は今以上に根強かったのです。女神様への非礼は国において最たる重罪というのは女神様や教会が決めたのではなく当時の国民たちから自然と生まれた価値観でした。

 

「腹を切るところを見せる方がよっぽど非礼だと思いますけど……」

 

 ネプギア様にぐうの音も出ない正論を言われてしまい、たまらずネプテューヌ様の方に目を逸らすと、彼女はいつになく真剣な表情をしながら私を見つめていました。

 

「とにかく、冗談でもあんなこと二度としないで、約束して」

「かしこまりました」

 

 女神様と比べると道端の雑草ぐらいの価値しかない私の命を大切にしてくださるなんて、ネプテューヌ様はなんと慈悲深いのでしょう。

 

「……あの、そろそろ話の方に入ってもいいでしょうか?」

 

 しびれを切らしたイストワールが、自分をそっちのけにしていた私たちに話し始めます。どうやらその内容というのはプラネテューヌのシェアが下降状態にあるとのことです。

 

「……それっておかしくないですか? ネプテューヌ様が君臨しているだけでもシェアを上げるのがプラネテューヌの国民としてあるべき姿なのでは?」

「国民全てがギンガさんのような人ならそうかもしれませんが……事実下がってしまっているので…」

 

 納得いきませんが、それが事実なら受け入れるしかありません。納得いきませんが。

 

「まだたくさんあるんでしょ?心配することなくない?」

「なくないです! シェアの源が何かご存知でしょう⁉︎」

「国民の皆さんの女神を信じる心、ですよね」

「そうです、この下降傾向は国民の心が少しずつネプテューヌさんから離れている、ということなんです!」

「えー、嫌われるようなことした覚えないよー」

「うーん、好かれるようなことも最近してないかも」

 

 それは違いますよネプギア様、女神様は存在してるだけで好かれるものなのです。おそらくこれはプラネテューヌの国民の質の低下が問題というわけですね。斯くなる上は……

 

「ネプテューヌ様、ネプギア様、イストワール。私にお任せを。一ヶ月、いや一週間ほど時間をくだされば国民の意識改革を実現しシェアが下がらないようにしてみせましょう」

「……ねぇギンガ、意識改革という名の粛清とかしないよね? 私を信仰しない国民を虐殺するとか言いださないよね?」

「流石はネプテューヌ様、私の考えがお見通しとは」

「どうしよう……せっかく友好条約を結べたのに早速プラネテューヌ滅亡の危機だよ……絶対やっちゃダメだからね……」

「わかりました」

 

 ネプテューヌ様にダメと言われたので国民の意識改革はできなくなってしまいました。私にとっては女神様を信仰しない国民は国民ではありませんし、「人」ですらないと考えています。イストワールは女神様が大きな力を持つのは国民のために努力するためと言いますが逆ですよ。大きな力を持つ女神様に従うことで我々はこのゲイムギョウ界で生きていけるのです。全く、最近の国民には自分たちが女神様によって生かされているという自覚が足りていませんね。

 そういえば先程から部屋の外に人の気配がします。……これはあいちゃんとコンパさんのものですね。あいちゃんはプラネテューヌ教会の諜報員、私とイストワールの部下で、コンパさんはプラネテューヌ病院の看護師をしています。何故か部屋に入ってはきませんが、私たちに気をつかってくれているのでしょうか? 君たちならそんな遠慮する必要はありませんよ、こちらから声をかけてあげましょう。

 

(どうしようコンパ、入っていける雰囲気じゃないわ)

(そうですね、今のギンガさんにこの女神反対のビラを見せたら本当に大粛清をしかねないです……)

(これは今はしまっておいた方がいいわね)

 

「お2人とも部屋に入ってこないでどうしたのですか?遠慮するような間柄でもないでしょう」

「ヒィッ! 師匠!?」

「ギンガさん、こんにちはです」

「こんにちはあいちゃん、コンパさん」

 

『ヒィッ!』? ……急に声をかけたとはいえそんなに驚かなくてもいいじゃないですか……

 

「こんにちは師匠!」

「あいちゃん…師匠はやめてください、そう呼ばれるのは少し恥ずかしいんですよ」

「師匠があいちゃんって呼ぶのをやめてくれたら私もそう呼ぶのをやめますよ」

「じゃあ師匠でいいです」

「くっ……」

 

 確かにあいちゃんに戦いの基礎を叩き込んだのは私なのですが、師匠呼びは恥ずかしいんですよね。 しかし、そんな恥じらいなどあいちゃんをあいちゃんと呼べなくなることの悲しみに比べたら微々たるものです。可愛らしい響きで素敵じゃないですか、あいちゃん。

 

「えーと、その、皆さんが大事なお話をしているようだったので、外で待っていた方がいいと思ったんです」

「確かに大事なお話をしていましたが、君たちになら聞かれても問題はありませんよ」

「……ちょっと聞こえてしまったんですけど、ねぶねぷへの信仰が落ちているんですよね?」

「そうなんですよ……プラネテューヌの国民の質の低下が問題なんです。ネプテューヌ様にはダメと言われてしまいましたが、私は女神様を信仰しない愚民共を一人ずつ教会の前でギロチンにかけていった方が良いと思……」

「おーい、ギンガったらー! いきなり部屋から出て行ってどうしたのさー! もしかして私のサボり癖がギンガにも移っちゃったー? あれ? あいちゃんにコンパじゃん! どうしたの?」

「おっと、噂をすればネプテューヌ様」

「……ねえコンパ、今師匠がとんでもないこと言いかけなかった?」

「聞かなかったことにするです」

 

 どうやらネプテューヌ様はイストワールとの話が終わり、途中で退出した私を追ってきたようです。何かいいことを思いついた表情をしていますね。とても可愛いらしい。

 

「というわけでさ、ラステイションに行ってノワールに女神の心得を教えてもらいに行こうと思うんだよ!」

「なるほど、同じ女神であるノワール様と意見交換をして女神としての在り方を考え直す……ということですね」

「そうそう! だから今から一緒にラステイションに行くよ!」

「かしこまりました」

 

女神様とお出かけ……心が踊ります。魂が叫びます。

 

 

 

 

 

 

「イストワール、既にネプテューヌ様から聞いてはいると思いますが、私は今からネプテューヌ様達と共にラステイションに行きます。何かあればすぐに連絡をください」

「わかりました、なんといいますか、その、心なしか嬉しそうですねギンガさん」

「そりゃ、嬉しいですよ。今まではプラネテューヌの女神であるネプテューヌ様がラステイションに行くとなったら厳格な手続きが必要でしたのに、今はそんなものは必要ありません。彼女達が結んだ友好条約のおかげです。こんなに嬉しいことはありませんよ」

「そうですね」

 

「(ですが、平和の弊害というものを……少し私は感じます)」

 

 イストワールに聞こえないぐらいの声量で呟きました。ネプテューヌ様もネプギア様もイストワールも優しすぎます。確かに私だって平和な世界を望んでいましたが、平和となった世界で人々は女神様への信仰を忘れ始めてしまっています。今回のシェア下降の件がそうです。イストワールはネプテューヌ様が仕事をしないのが悪いと言いますが、友好条約締結以前なら女神様が仕事をしない程度のことでシェアが揺らぐことなどなかったというのに。 ……まぁ、このようなことを考えるのは私だけでいいですね。女神様やイストワールには優しいままでいて欲しいです。

 

「何か言いましたかギンガさん」

「いえ、何にも」

「では、お気をつけて、ギンガさんの方も何かあればすぐ私に連絡してくださいね」

「わかりました、では改めて、行ってきますいーすん」

「ギ、ギンガさんはその呼び方をしないでくださいと言ったじゃないですか!ネプテューヌさんとネプギアさんならいいですけど、ギンガさんにそう呼ばれるのは恥ずかしいんですよ!」

「いーすん」

「もう! 知りません! 早く行ってください!」

 

 いーすんもといイストワールはたまにからかうととても良い反応をしてくれます。からかいすぎるとしばらく口を利いてくれなくなるから適度にしなければなりませんが。

 

\ ギンガー! 早くしないと置いてくよー! /

 

 おっと、ネプテューヌ様に呼ばれてしまいました。女神様を待たせるなど万死に値する大罪。すぐに向かわねば。

 

「申し訳ありませんネプテューヌ様、すぐに行きます!」

 

 いざ、ラステイションに出発です。

 




次回、初ラステイションです。
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