紫の星を紡ぐ銀糸   作:烊々

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 投稿しようと思ったら文章のデータが消えて心が折れそうになった初投稿です。



16. 絆-Access-

 

「プラネテューヌ教会の敷地を開放した国民への大感謝祭……ですか?」

「うん! みんなにはもう伝えたんだけど」

 

 エディン侵攻を食い止めたからか、最近プラネテューヌのシェアが大幅に上昇しているようで、それに対する国民への感謝祭なるものをネプテューヌ様は計画しているようです。

 

「いいですね。ですが私はそのようなイベントの運営についてはよくわかりませんし……他に仕事もあるので……」

「えぇ⁉︎ 手伝ってくれないのー⁉︎」

「申し訳ありません……」

「そんなー! ……あ、いいこと思いついた! はいこれ!」

 

 そう言ってネプテューヌ様が差し出した手には、感謝祭の招待券が握られていました。

 

「ギンガはその日はお客さんとして楽しんでね!」

「お気持ちは嬉しいのですが……感謝祭当日も仕事があるので……」

「ねぷぅぅぅ!」

 

 ……そう、仕事があります。エディン計画の首謀者の一人、キセイジョウ・レイの取調べが。本来はもう少し早く行うつもりだったのですが、逮捕してすぐはまだ彼女の精神状態が不安定だったため取調べの予定が遅れることになったのです。

 

「ギンガっていつも仕事してるイメージがあるけどさー私と仕事どっちが大事なのー?」

「ネプテューヌ様に決まっています」

「……そんなに即答されるとは思わなかったよ」

「しかし、この件が終われば、久しぶりにまとまった休暇が取れそうです」

「じゃあいっぱい遊ぼうね! やることリスト作っておくから覚悟しておいてねー!」

「かしこまりました、では私はこれで」

「うん、お仕事頑張ってね! 私もイベントの準備頑張っちゃうよー!」

 

 そうしてネプテューヌ様の元から去ります。あーーーーーーネプテューヌ様可愛すぎます。ネプテューヌ様の笑顔があれば私は一日に26時間は仕事を頑張れます。

 

 しかし、プラネテューヌのシェアの上昇……引っかかりますね。引っかかる点は二つ、一つは上昇量が高すぎること、もう一つは他の三国が減少しているということ。特に、エディンの本拠地であるあのクソ島を落としたラステイションのシェアまで下降しているのは不可解です……この現象が続くのなら少し調べてみましょうかね。

 

 

 

「ギンガと……えへへ……楽しみだなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで感謝祭当日になりました。私はプラネテューヌ教会から離れた場所にあるプラネテューヌ刑務所に向かいます。

 

 ……ん? あれは……?

 

「アブネスチャンネルを見てくれてるみんな! お久しぶり! 幼年幼女の味方、アブネスよ! プラネテューヌの教会に大勢の幼年幼女が集められているという情報が入ったわ! これは陰謀の匂いがするわね! さぁ、幼年幼女を救うわよ!」

「……またあなたですか」

「げっ、狂人!」

「狂人ではありません。プラネテューヌの女神補佐官、ギンガと申します。以後お見知り置きを。あなたはええと、アブネスさん……でしたっけ? なんの御用で?」

 

(名前を覚えてくれてた……⁉︎ 嬉し……じゃなくて!)

 

「私は幼女女神には反対なのよ! 幼女に女神をやめさせるためにはなんだってやるわ!」

「それは何故ですか?」

「何故って……」

「子供は様々な経験をして大人になるものです。幼いからといって何もかも抑制するのは大人のエゴでは?」

「それは……」

「確かに女神様は長く生きていても精神的には未熟なところもあるかもしれません、だからこそ私が……私だけではありません、あなたたちこの世界に生きる大人たちが導くのです。そうやってこの国や世界は、女神様と我々が一丸となって成長していくものなのですよ」

「……」

「まぁすぐにわかってくれなくてもいいです。今日はプラネテューヌ教会では国民感謝祭というものが行われていますので、どうせ来たからには楽しんでいってください。多くの人が楽しんだ方がネプテューヌ様もネプギア様も喜ぶと思うので。では私は用事があるのでこれで」

「あ……」

 

(あの男、狂人だと思ってたけど割とまともな人かもしれないわね。抑制するのではなく導く……か)

 

 さて、気を取り直して刑務所に向かいましょう。飛べばすぐに着くのですが、私は女神様と違い、平時ではプロセッサユニットの使用をイストワールに許されていないので飛べないんですよね。だから、歩いていくしかありません。まぁ今日はいい天気ですのでお散歩だと思えばいいでしょう。

 

 そうやってふと空を見上げると、どこかへ飛んでいくパープルハート様が見えました。今日はイベントの運営で忙しいと言っていたのですが、どうしたのでしょうか?緊急事態なら連絡が私にも来るでしょうし、そういった類のものではなさそうですね。

 

 こちらにも仕事がありますし、勝手について行ったら怒られるかもしれませんから、今回は放っておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

「全く強引なんだから…今日は私も忙しいのに…ブラン!来たわよ!どこにいるの?」

 

「『ゲッターラヴィーネ』!」

 

「……っ⁉︎」

 

「何をするの⁉︎ ブラン!」

 

「シェアを寄越しやがれ! ネプテューヌ!」

 

「何を言っているの⁉︎ 武力によるシェアの奪い合いは友好条約で禁じられて……」

 

「じゃあ騙し取るのはいいのかよ⁉︎ 各国のシェアの動きを調べた! 各国が落とした分だけプラネテューヌが上げてやがる! 他から奪えばそりゃ急に上がるわけだよな⁉︎」

 

「待ってブラン! 私知らないわ! そんなことできるなんて私にも初耳よ!」

 

「百歩譲ってお前じゃないとして、ギンガの野郎がやったのかもな!」

 

「……っ! するわけないでしょう! あの人がそんなこと! あの人を……ギンガを侮辱しないで!」

 

「へっ、やる気になったじゃねえか! 『アインシュラーク』!」

 

「『テラ・ドライブ』!」

 

「うおおおおお!」「はあああああ!」

 

「ちっ……ラチがあかねえな、まぁ今日は警告ってことにして引いてやる。だけどなネプテューヌ、このままとぼけ通すならその時は……戦争だ。じゃあな」

 

「…………何が……起きてるの……?」

 

 

 

 

 

 

 

 やっと刑務所に着きました。割と時間かかりましたね。

 

「お待ちしていました、女神補佐官様」

「こちらこそ、お待たせして申し訳ないです。では早速取調べを開始するので、キセイジョウ・レイが収容されている部屋を教えてください」

「では、案内します」

「いえ、あまり他人に聞かれたくない話もするので私一人で行かせてください」

「わかりました、では待機しておりますので」

「ありがとうございます」

 

 プラネテューヌは犯罪率が非常に低いので、刑務所の中に全然人がいませんね。それどころか下手したら収容されてるのはキセイジョウ・レイ1人かもしれません。

 

「時は満ちた……! くくく……ふははは……!」

 

 笑い声……? キセイジョウ・レイのものでしょうか? いや、彼女しかいないので彼女のものなのは間違いありませ………っ⁉︎ この気配は……シェアエネルギー⁉︎ 彼女から発生しているというのですか⁉︎

 

「何をしている⁉︎ キセイジョウ・レイ!」

「……遅かったわねぇ、ゲームオーバーよ」

 

 奴から発せられるドス黒いシェアエネルギーのオーラが奴の手錠を破壊し、牢屋も破壊しました。

 

 私は即座にプロセッサユニットを展開、奴を止めるのではなく、刑務所にいる人物を全て避難させるために、時間が惜しいので刑務所の壁を破壊しながら移動します。元々収容されている犯罪者は奴一人、それによりここに勤務してる者もほとんどいなかったため、私一人ですべて抱えて先ほど破壊した壁から脱出します。

 

 私たちが脱出し終えた瞬間、刑務所が建物ごと吹き飛び、激しい地鳴りと共に地面から何かが生えてきました。

 

 ……あれは要塞? いや……国……なのでしょうか?

 

 とりあえず人々を地面に降ろし避難させます。

 

「ありがとうございました……女神補佐官様」

「あなたたちは逃げてください。すぐに女神様が対応に向かうと思いますが、もうここ都市部は危険ですので」

「では、民間人に避難を呼びかけます!」

「ありがとうございます、お願いします」

 

 彼らが避難した後、生えてきた国が浮かび上がり空中で静止しました。まるで天空の城……と呼ぶには不気味ですね。

 

 そこに立ちプラネテューヌを見下ろすのはキセイジョウ・レイ。あの女……ただの市民活動家じゃなかったということですか……?

 

「うふふふふ、ついに蘇った……! ……はぁっ!」

 

 そう言ってキセイジョウ・レイが変身します。あの女……女神様だったのですか……! 長年ゲイムギョウ界に生きてきた私ですら、理解が追いつかない展開です。

 

「私の大陸……私の国……タリ!」

 

 タリ……? 今奴はタリと言いましたか? タリというのは私が生まれる少し前に滅んだ国のはず。なぜ今更そんなものが……ならば奴は……タリの女神⁉︎

 

 奴が本当にタリの女神ならば、今の私ではプロセッサユニットがあっても勝てる相手ではありません。幸いまだ奴に私は捕捉されていないようですし、この隙にプラネテューヌ教会まで戦略的撤退します。気づかれないように低空飛行で行きましょう。

 

 歩けば時間がかかりましたが、飛べばすぐでしたね。時間が惜しいのでプラネテューヌ教会の上部のプラネタワーの窓から入ります。

 

「いーす……イストワール!」

「ギンガさん!」

「あいちゃんもコンパさんもネプギア様も一緒でしたか…皆様は国民の避難誘導をお願いします。私とイストワールはキセイジョウ・レイ……タリの女神と戦いに行きます!」

「タリの女神……? それにイストワール様もってどういうことですか⁉︎」

「ギンガさん……いーすんさん……アレをやるんですか?」

「ぎあちゃん……アレって何です?」

「それは見れば分かりますよ」

 

「ギンガさん!」

「イストワール!」

「「合体!」」

 

 再び登場、ギンガイストワールです。

 

(これが……ネプギアが前に言っていたプラネテューヌの最終秘密兵器ってことね。ごめんなさいネプギア、正直冗談だと思ってたわ……)

 

「「では行ってきます」」

「師匠もイストワール様もお気をつけて!」

「私たちも避難誘導に行きましょう、 アイエフさん、コンパさん!」

「ええ!」「はいです!」

 

 そうしてまた教会から飛び去ります。

 

 タリの女神……一度はお目にかかりたいと思っていましたが……こんな形でそれが叶うことになるとは。しかし、このプラネテューヌに災厄を齎すのならば容赦はしません。

 

 

 

 

 

 

 

(プラネテューヌに戻ってきたはいいけれど……何が起こってるの……? あの浮かぶものは何……? そしてあそこにいる者は誰……?)

 

「あら〜もう来たの? プラネテューヌの女神様」

「まさか、キセイジョウ・レイ?」

「あ〜それ好きじゃないのよね〜だってぇ〜そんなダサい名前女神っぽくないですし〜」

「……あなたも新しい女神なの?」

「はぁ? バカにしないでもらえますぅ? あなたよりず〜っと先輩なんですけど? 私はタリの女神、この土地を統べる大いなる国の女神よ。あはははは!」

「タリの……女神……? タリって遥か昔に滅びた大国の……あなたがそのタリの女神だとして、一体何が目的なの?」

「滅びたってのは間違いなんですけどぉ? ずっと復活の時を待っていたんですけどぉ? まぁいいや、とりあえずこの土地と国民ぜーんぶまとめて私にくれませーん? そしたら命だけは助けてあげるかもしれないしぃ?ていうか元々私のものなんだしぃ? ていうわけでさっさと返しやがれこのクソアマ! ってことなんですけど? あはははは!」

「ふざけないで! ここはプラネテューヌ! 私の国よ! そんなことできるわけないでしょう⁉︎」

「へぇ〜そう言うこと言っちゃっていいんだ〜? そんな簡単にぃ? じゃあ!」

 

(何をする気……? ……っ⁉︎ 後ろに浮かんでいる国から大型のキャノン砲が展開された……⁉︎)

 

「うーんと、エネルギー充填オッケー!」

「……私を脅しても無駄よ!」

「あ〜! 待って待ってぇ! こうなっても同じこと言えるんですかぁ? お偉い女神さんは!」

 

(砲台の向きが私から逸れた……まさか、狙いは私じゃなくてプラネテューヌそのもの……⁉︎ あの向きの先にあるのは……プラネタワー!)

 

「発射ぁ……!」

 

(ダメ……間に合わな……っ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「『ギャラクティカクロスシュート』!」」

 

 交差させた腕から放つ必殺光線で、敵の要塞から離れたらビーム砲を相殺します。実はこれ(ギンガさん)の最強必殺技なのですが、隙だらけな技なので、週末の朝にやっている子供向け番組のように敵が技発動中は待っていてくれなければ撃てず、今の今まで使うタイミングがなかったんですよ。

 

「はぁ⁉︎ 何よ今の⁉︎」

「あれは……ギンガといーすん⁉︎ その姿は……」

 

 パープルハート様(ネプテューヌさん)は前見せた時はカオス化していたせいで記憶がないから初見のような反応をしていますね。

 

「「パープルハート様(ネプテューヌさん)、話は後です。まずは私が奴を止めるので、その後はトドメをお願いします」」

 

(ギンガといーすんが同時に喋ってる…ちょっとシュールだけどなんか可愛いわね……)

 

「止めるって……いえ、わかったわ」

 

(よくわからないけど、ギンガといーすんなら何とかしてくれるはずね)

 

「止めるぅ? やれるもんならやってみなさいよ!」

 

 タリの女神のエネルギーから展開された翼のようなものから繰り出される攻撃、そしてどこなからともなく降ってくる雷撃……厄介ですが、今の私たちにはどこからどう来るかわかっているので全て当たりません。

 

「はぁ? 当たんない? うっざいわねぇ……まぁいいわ、どーせあんたらの攻撃も私には効かないしぃー」

 

 でしょうね。その未来も予測しています。敵はバリアのようなものを展開しているので、私たちの攻撃でタリの女神に通用するものはほとんどありません。

 

 しかし、これならばどうでしょう!

 

(近づいてきた……? 何をする気……?)

 

「「シェアリングフィールド!」」

「……⁉︎」

 

 相手のバリアごとフィールドの範囲内に巻き込みます。フィールドに入れてしまえば、バリアは関係ありません。

 

「何これ……? 不愉快な空間ね」

 

 そして、入れてしまえばこれで終わりです。情報の波に呑まれ落ちるがいい、タリの女神……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふ、ふふふふ、あはははははは!」

 

 ……⁉︎ 効いていない…⁉︎ あり得ない……! 女神様ですら耐えられない情報の波ですよ……⁉︎

 

「あんたたちの……この空間の理屈はなんとなくわかったわ。私には『他の世界に干渉できる』力があってねぇ……例えば一時的に力と記憶を別の世界に逃がすとか、そんなことができちゃうわけ」

 

 別の世界に……逃がす……? ……まさか!

 

「つまりぃ! あんたたちが私に押し付けた情報の波とやらはぁ……ぜーーーんぶ私の頭を素通りして適当な別の世界に捨てられてたってわけぇ! あははははは! 自分たちの力は絶対無敵とでも思ってたぁ⁉︎ 残念でしたぁ! 私には全っ然効きませーん! それに、さっきはちょこまかと逃げ回ってくれたけど、こーんな狭い空間じゃもう逃げ場はないわよねぇ?」

「……!」

「おしまいよ、あんたたち」

 

 その瞬間、タリの女神が放った攻撃は私を貫きました。

 

 ……直前にイストワールとのリンクを強制解除しておいて良かったです。合体中の私の身体へのダメージはイストワールの脳へのダメージとなってしまうので。

 

 ダメージが深刻で、強制的にシェアリングフィールドが解除されてしまいました。終わらせるつもりだったのが逆にやられてしまうとは…なんとも情けない……

 

「ギンガ!」

「パープルハート様……申し訳ありません……しくじりました……これ以上は戦えそうにないので、下で国民の避難誘導を手伝ってきます……」

「手伝ってくるって……あなた今お腹に穴が空いてるのよ⁉︎」

「……私にとってはこんなものかすり傷ですので……申し訳ありません……止めると言っておきながら……っ!」

「いいのよそんなこと、後は任せて……!」

 

 そうして、強制的なリンク解除により意識を失ったイストワールを抱えて戦線を離脱します。本当に情けない……最後までパープルハート様と共に戦うことができないとは。

 

(さっきは全然効かないとは言ったけど、流れ込んできた情報を全部捨てられたわけじゃないから頭が少しイライラするわね……ま、この程度なら問題ないか)

 

「面白い負けっぷりだったわよあいつら。あんたにも見せてあげたかったわね。さ、仕切り直しといきましょうか。いや、ただの虐殺ショー再開かぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 合体の反動と怪我でよろよろと飛びながら、あいちゃんとコンパさん、そしてネプギア様が民間人の避難誘導を行っている街から離れた広場に向かいます。

 

 さっきはかすり傷と適当なことを言ったのですが、流石に腹に穴が空いているとしんどいですね……げほっ……

 

「あ!ギンガさん……ってその怪我!」

「しくじりました……イストワールを……頼みます……それにパープルシスター様……変身を解いた方がよろしいかと」

「え?」

「イストワールとのリンク中にあの国の下から発せられる光を少し解析しました。おそらくあれはプラネテューヌのシェアエネルギーを奪っています。変身した状態だと体力の消耗が激しくなるでしょう」

「じゃあ師匠、このシェアクリスタルの輝きが減っているのは……」

「はい、おそらく。タリの女神の前にあれをどうにかしないとどうしようもありません。私はこの傷を適当に塞いだらまた戦いに行きます」

 

 そう言って、パープルハート様とタリの女神が対峙してる上空に視線を向けると……

 

「えーっと、もう一回エネルギー充填しちゃいまーす! 次の目標はぁ〜? 人がたくさんいるからあそこにしよーっと!」

「やめなさい!」

「いやで〜す! ロックオン!」

「させない……きゃあっ!」

 

 ……パープルハート様がタリの女神の攻撃により吹き飛ばされ、浮かぶ国の壁面に叩きつけられていました。まずいですね……この光景を国民が見たら……

 

「ネプテューヌ様が…!」「もうおしまいだわ!」「どうすればいいの」「死にたくない!」

 

 敵の砲台がこちらに向いたことと、パープルハート様が苦戦している光景を目の当たりにした国民たちから悲鳴があがります。

 

「皆さん! 大丈夫です! 落ち着いて! お姉ちゃんがきっと!」

「ネプテューヌ様もやられてるわ!」「きっともうダメなのよ!」

 

 ネプギア様が必死に声をかけますが、絶望した人々にその想いは届いていません。

 

「私も……っ⁉︎ ダメ……変身できない……!」

 

 変身すらできなくなったネプギア様の様子を目の当たりにし、さらに人々の恐怖と絶望は広がっていっています。確かに絶望したくなる気持ちは少しはわかりますけど、私はそれ以上に怒りを覚えます。……っ!

 

「どいつもこいつも…っ! 黙って聞いてりゃうるせえんだよ! ダメかどうか勝手に決めてんじゃねえ! いいか! 国ってのはな! 女神様だけが守るものじゃねえんだよ! 女神様とそこに生きる人々が一丸となって守るものなんだよ! 今は苦戦してるけどな、あの方はお前らのために……この国のために一生懸命戦ってるんだぞ! お前らも弱音吐いてる暇があったら女神様に少しでもシェアを届けようとしたらどうなんだ! ……げほっ」

 

 丁寧な言葉遣いをも忘れ、つい思っていたことを全て口に出してしまいました。ついでに血も出てきました。

 

 私の言葉で人々がほんの一瞬静まり返りましたが…結局あまり意味はなさそうですね…

 

「師匠!」 「ギンガさん!」

「ぅ……コンパさん……救急キットありますか?」

「ありますけど……それでなんとかなる傷じゃないですそんな傷で戦っちゃダメです!」

「しかし……! パープルハート様が戦っているんです! 女神補佐官として……いえ、この国に生きる者として、何もせずにはいられません! 女神様のため……この国のために……戦える者は戦わないと……!」

 

 

 

 

「だったら私たちが戦うわ」

 

 その声は……ブラックハート様⁉︎

 

「ブラックハート様⁉︎ どうしてここに?」

「ネプテューヌにイベントの招待券をもらったからよ。私たちが戦うからあなたは休んでなさい」

「まさかこれがそのイベント……ってわけじゃありませんわよね」

「グリーンハート様まで……」

「私は5pb.ちゃんを送り届けに来ただけですわ」

 

 そう言ってグリーンハート様が視線を向けた先には、ブラックシスター様に抱えられた5pb.さんがいました。

 

「はーい! ……ユニさんありがとう」

「お安い御用よ」

 

 5pb.さん……絶好のタイミングで来てくださりました。人々を勇気付けるのにうってつけの人物ですから。

 

「ネプギア、何暗くなってるのよ」

「ユニちゃん……」

「私はお姉ちゃんたちを」

「うん、私の分まで……お願い!」

 

「あれは…5pb.ちゃん?」「こんな危険なところに?」

「みんなー! 心配することないよ! 女神様を信じよう!」

 

 流石はリーンボックスの歌姫、その一言だけで人々が希望を取り戻してくれました。

 

「ブランはまだ来てないようですわね」

「さっきネプテューヌにシェアの件で思いっきり喧嘩売ったらしいから来づらいんじゃない? ま、そのうち来るでしょ。さてと、まずはやられそうになってる女神のことをしっかりと助けてあげないとね」

「お姉ちゃん! 私も!」

「ええ、頼りにしてるわよ!」

「では、参りましょう!」

 

 そう言ってブラックハート様たちがパープルハート様の元に飛んで向かいます。

 

 そうですか。パープルハート様…ネプテューヌ様、これがあなたの繋いできた絆ですか……! 

 友好条約があるからじゃない、本当の仲間に、友になれるようにと、あなたが頑張ってきた証なのですね……!

 

 希望が見えてきました……女神様たち、ご武運を……!

 

 




ギンガイストワールが瞬殺されたのは決してルビを振るのが面倒だったとかそういう理由ではありません。

ちなみにあと2話ぐらいで終わります。最後までよろしくお願いしますね。
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