「綺麗な街並み〜! ルウィー、ずっと来てみたかったんだ」
「ルウィーはこのノスタルジックさが良いですね。私はプラネテューヌの近未来的な派手な街並みの方が好きですが」
「私の国だもんねー! でもーネプギアがルウィーに来たがってたからさ」
「ロムちゃんとラムちゃんに遊びに来てって言われてたの。二人が他の国に行くの、ブランさんが許してくれないんだって」
「あー、ブランってお堅いとこあるからねー。そういうことしてるとノワールみたいにぼっちになっちゃうもんねー!」
「目の前にいるんですけど…? ていうか誰がぼっちよ!」
「そうですよネプテューヌ様、ノワール様はぼっちなどではありません。孤高なのです」
「結局ぼっちってことじゃん」
「はぁ、この馬鹿二人は放っておいてネプギアだけ誘うんだったわ……」
「でもお姉ちゃん、ブランさんはギンガさんも連れてきてって言ってたよ」
「え⁉︎ 私は⁉︎」
何気ないユニ様の言葉が、ネプテューヌ様を傷つけた。……という冗談は置いておいて、私は今、ネプテューヌ様とネプギア様、そしてノワール様、ユニ様と共にルウィーに来ています。
ネプギア様がロム様ラム様に遊びに来るように誘われていたのと、私がこの間、久し振りにノワール様とユニ様にお会いしたので、他の女神様にもお会いしたくなったのをネプテューヌ様が気遣ってくれたのでしょう。
*
ルウィーの教会に着くと、ラム様とロム様、そしてそれを後ろから追いかけてきたブラン様にお会いしました。おそらく、ロム様とラム様がいたずらをしてブラン様に追いかけられていたのでしょう。ルウィー教会のいつもの光景、というやつですね。
「ネプギア! ユニちゃん!」
「来てくれたの……?」
「遊びに来たよ!」
「やっほー! ブランー! 来ちゃったー! てへっ」
「お久しぶりです。ブラン様、ロム様、ラム様」
「……ネプテューヌはともかく……ギンガ、あなたが来るとロムとラムの面倒をほぼ全部押し付けられるから助かるわ」
「勿体無きお言葉」
「あと、ロムとラムに悪影響だから平伏すのを今すぐやめて」
「あはは! ギンガさん面白ーい! 平伏せー!」
「平伏せー……!」
「……ってもう既に悪影響になってるじゃねえか!」
「ロムちゃんとラムちゃんに平伏せって言われると、なんか変なものに目覚めちゃいそうだよね」
「……わかりたくないけど、少しわかる気がするわ」
ブラン様に平伏し終えた後、ベール様にもお会いしました。しかし、ルウィーにいるとは思わなかったので少し驚きましたね。ベール様からは自分と会っても平伏さなくていいと以前からメールで言われているので跪く程度に抑えておきましょう。
「ベールさんこんにちは!」
「やっほーベール!」
「お久しぶりです、ベール様」
「お久しぶりですわ、ネプギアちゃん、ギンガ。あとネプテューヌ」
「私はオマケ⁉︎ ていうかベールがなんでルウィーにいんのー?」
「その理由は後でお話しますわ。そういえばギンガ、そろそろリーンボックスの女神補佐官になる気にはなりまして?」
「ちょっ、私のギンガを取らないでくれるかなー」
「私には妹がいない、つまりリーンボックスにだけ女神候補生がいないんですのよ? 国同士のパワーバランスを保つためにギンガをいただいてもいいではありませんか。ギンガがダメならネプギアちゃんをくださいな。ギンガも欲しいですが、本命はネプギアちゃんですので」
「どっちもダメだよー!」
「お言葉ですがベール様、私如きが移ったところで国同士のパワーバランスは何も変わりませんよ。……そして、ネプギア様が抱きしめたくなるぐらい可愛いのはとてもわかりますが、息ができていなさそうなのでそろそろ離してあげてください」
「あら? さっきから何も言わないと思っていましたら、私の豊満な胸のせいでこんなことになっていたなんて、私の豊満な胸のせいで」
「それブランの前で言わない方がいいよ絶対」
「うぅ……苦しいけど……少し幸せ……」
顔が真っ赤になりながら意識が飛びかけていたネプギア様が回復し、私たちの挨拶も済んだ後、式典以来久々に集まった女神様たちはお茶を飲み、女神候補生の皆様は雪で遊んでいます。私としてはルウィー教会のメイドさんたちに代わって女神様たちのお茶の給仕をしたかったのですが、ブラン様にロム様とラム様の面倒を見るように言われたので、候補生の皆様と雪遊びをしています。せっかくの機会ですし、遊びと少しの鍛錬を兼ねましょう。四対一の変則雪合戦です。私は投げ返しませんが。
「ギンガさんに雪玉当たらないよー!」
「当たらない……」
「ネプギアは左から攻めて、あたしは右から攻めるわ!」
「うん! わかったユニちゃん!」
「甘いですよ皆様。その攻め方では私には当てることはできません。面制圧で逃げ場を潰すか移動先を読んでそこに雪玉を置いておくぐらいはしませんと」
「さっきからその読みが更に読まれてるから当たらないんですけど……」
「もー! ロムちゃん! 魔法使っちゃおう!」
「うん……!」
「ちょっとラム! 流石にそれはダメよ!」
「なんでよユニちゃん!」
「ユニ様の言う通りです。私は魔法が直撃しても多分大丈夫ですが、建物や人に当たると良くないですからね。投げるのは雪玉だけにしておいてください。皆様、わかりましたか?」
「「「「はーい!」」」」
少しの鍛錬を兼ねていると言いましたが、あくまでこれは遊びですので。ルールとマナーを守って楽しく遊びましょう。
(……ギンガがいるとあまりロムとラムの心配をしなくても良くなるから楽だわ。……いや、さっきみてえなことがあるからやっぱ油断はできねえけどな!)
「まぁそんなわけでねー! ルウィーに新しいテーマパークができたって聞いたから、みんなで遊びに来たのー!」
「イストワールからは女神の心得を教えてやってほしいって連絡をもらってるけど?」
「あーそれはもういいよ、前回あまり役に立たなかったし」
「悪かったわね役に立たなくて。ていうかあの後、私の方は大変だったのよ! 私がラスーネ高原に行くとそこの国民たちがみんな平伏したり跪くようになって! あそこで呑気に雪遊びしてるあの男のせいで‼︎」
「まさかギンガの意識改革がラステイションの方で成功していたなんてねー」
「ルウィーの国民にも同じことをしかねないわね…ネプテューヌ、ちゃんとあの男を制御しておいて」
「できる自信ないなー……でもノワール、その人たち嫌々平伏してるわけじゃないんでしょ?」
「嫌々やるのならともかく喜んでやるようになったからタチが悪いのよ!」
「意識改革大成功じゃん」
「望んでない改革なんて成功して欲しくないわよ!」
「まぁまぁノワール、今日はそんなことを言い合うために集まったわけではないのですから。ルウィーのテーマパークの噂は私も聞いていますわ。みんなで遊びに行くのも楽しいのではないかしら?」
ベール様の提案を聞いたラム様とロム様がブラン様の元に駆け寄って行きました。
ちなみに私は今、雪玉を当てるコツを掴んだ候補生の皆様に身体中至る所に雪玉をぶつけられ、全身真っ白です。口の中まで雪まみれです。
「ごめんなさいギンガさん……つい夢中になっちゃって……」
「フガフガ(何も気にすることはありませんよ)」
「ごめんなさい……あたしもやりすぎちゃって……寒くないですか?」
「フガフガ(大丈夫です。むしろ私はあなたたちの飲み込みの早さに感動しています)」
「すごい……何言ってるかわからないのに内容が頭に流れ込んでくる……これが前お姉ちゃんが言ってた脳内に語りかけてくるやつね……」
「うん、すごいけど……少し怖いかな」
……これ便利なんですけど、女神様たちからは不評ですね。
「スーパーニテールランドでしょ⁉︎ 行きたい行きたーい!」
「連れて行って……(わくわく)」
「….二人を連れて行ってあげて。ギンガならロムとラムの制御が私より上手いから任せられるし」
「え? ブランは来ないの? あと、私の女神補佐官を勝手にこき使わないで欲しいかなー」
「お姉ちゃん、行かないの?」
「私は……行けない」
「えー? 仕事ー? やめなよー! 昔の偉い人も言ってるよ? 働いたら負けかなと思ってるって」
「それ、偉い人じゃないから」
「しかし、働かなくても暮らしていけるぐらい生活が豊かな人はある意味『偉い人』なのかもしれませんね」
「何その哲学」
「とにかく……私は無理」
ブラン様が来れない理由……私はブラン様を見た瞬間に察しました。仕事だからではないですね。では、何かって? それは秘密ですよ。ネタバレをしてしまってはネプテューヌ様に怒られてしまうので。
*
「いやー! このカメ、私のピーチを狙ってるよー!」
「………ネプテューヌ様に何してやがるこのど畜生が‼︎‼︎‼︎」
「ちょ、ギンガやめなさい!」
「止めないでくださいノワール様‼︎‼︎ このど畜生だけは許すわけにはいきません‼︎‼︎‼︎」
「ギンガを抑えないと……このままじゃさっきまでカメの命だったものが辺り一面に転がることになるわ……! ていうか力つよ⁉︎ ベール! ベールも抑えるの手伝って!」
「わかりましたわ。ほら、ギンガ、落ち着きなさい」
「私は冷静です‼︎‼︎‼︎ 冷静さゆえにこのど畜生を今すぐ殺……懲らしめなくてはならないと考えています‼︎‼︎‼︎」
「どう見ても冷静じゃないし、言い換えても殺す気満々じゃない!」
「ノワールもベールもカメじゃなくて私の心配してよー! まぁこのままじゃ本当にギンガがこのカメをバラバラにしかねないし、そろそろふざけるのやめよっと。じゃあねーカメさーん」
「……申し訳ありませんネプテューヌ様、ノワール様、ベール様。見苦しいところをお見せしました、確かに私は冷静ではなかったかもしれません」
「はぁ、変身しなきゃいけないとこだったわよ……」
「うーん、私は許しませんわ。そうですわね、ギンガがリーンボックスの女神補佐官になるというなら許してあげます」
「いやダメに決まってんじゃん何言ってんさ」
「ベール様のお誘いは嬉しいのですが、ネプテューヌ様がダメと言うので。それにしてもネプテューヌ様、あんなど畜生を生かしておいてよろしいので「ギンガ、正座」……はい」
ネプテューヌ様に叱られてしまいました。ですが、やはり叱っている時のネプテューヌ様も可愛いです。
スーパーニテールランドに着いてから、候補生の皆様と女神様たちは別行動をしていて、私も先程までは候補生の皆様と一緒にいたのですが、ネプテューヌ様が売店で桃を買って私たちにも分けてくれるそうなので、候補生の皆様の分を受け取りに行ったのです。そうして、あの忌々しき現場に遭遇してしまったわけですね。思い出すだけで腹が立つ……! あのど畜生めお前の顔覚えたからな。
…む?ネプギア様とユニ様が私たちのところに走って来ていますね。中々桃を取ってこない私を心配してきたのでしょうか? 女神様にご心配をおかけするなど死罪級の失態です。
……あれ? ……ネプギア様とユニ様『だけ』ですか? ネプギア様とユニ様がロム様とラム様を置いてくるとは思えないのですが……お二人のあの焦りよう……まさか⁉︎
「お姉ちゃん! ロムちゃんとラムちゃんが!」
「変なやつらに攫われたの……あたしたちもいたのに……何もできなかった……っ!」
……本当に失態ばかりの自分が嫌になります。私が少し目を離した隙にこんなことになるとは。ブラン様からの頼みを、女神補佐官としての使命を、果たすことができませんでした。
……誰だか知らねえが舐めた真似しやがって。
キレると口調が変わるという点でギンガはブランとキャラが被っているように見えてしまいますが、いつもの性格を『作っている』ギンガと、いつもの性格は別に『作っているわけではない』ブランという違いがあります。
…ブランっていつもの性格は作ってるわけじゃないですよね?大人しいブランもキレてるブランもどっちも本当のブランですよね?この作品を読んでる人がいるかはわかりませんが、もし間違ってたらコメントとかで教えてください。