自分の不甲斐なさと誘拐犯への怒りで頭がおかしくなりそうです。ネプテューヌ様には冗談でもやめろと言われていますが、ブラン様に腹を切ってお詫びしたい。できるだけ苦しんで死にたいので介錯もいりません。……ですが、死をもって罪を償うのは舐めた真似しやがった奴らに借りを返してからです。
*
とりあえず、ルウィー教会に戻り、ブラン様に謝罪をしにきたのですが、それも叶いそうにありませんでした。
「……そう言われましても、誰も通すなとブラン様に申しつけられているんです」
「えー⁉︎ 私たち女神仲間なんだからいいでしょ」
「いえ……女神様といえども」
「せめて謝らせてください!」
「ロムとラムが誘拐されたのはあたしたちのせいなの!」
「既に警備兵も総動員させて捜索させていますので……」
「それは知ってるけど……!」
『帰って……あなたたちはいつも迷惑よ』
ようやくブラン様が口を利いてくれました……謝らなくては。許してもらえなくてもいいです。いや、許さないでほしいです。この状況において言葉だけの謝罪など何の意味もないですから。
「……申し訳ありませんブラン様、今回の件は全て私の責任です。責めるなら私だけを」
『そうね……あなたにロムとラムを任せたのは……間違いだったわ』
……その言葉に半分打ちのめされ、もう半分は救われました。私のせいにすらしてくれなかったら、私はもう何をしても償えないので。
「ちょっと、ブラン! いくらなんでもそんな言い方は……!」
「いいんです……事実ですので。……行きましょう皆様」
「ギンガ……」
皆様と共に教会の外に出ました。しかしまだ、私はルウィーから帰るつもりはありません。
*
「全くブランったら、こんな異常事態に意地張ってどうするのよ」
「素直じゃないのはノワールの専売特許なのにねー」
「はいー⁉︎」
「ギンガさん……ごめんなさい……私たちのせいでブランさんに……」
「ギンガだけのせいじゃないんだからそんなに落ち込まないでよー」
「……そうですね、落ち込むのはもう終わりにします。どれだけ落ちこもうが、どれだけ謝ろうが、ロム様とラム様が帰ってくるわけではありません。この状況における最優先はロム様とラム様の奪還です。それが、ブラン様への償いでもあります」
「ふーん、切り替えが早いのね」
「ノワール様、申し訳ありません。ですが……」
「褒めたのよ。いつまでもウジウジされてるより100倍マシだわ」
やはりノワール様は優しいお方ですね。しかし、そのお褒めの言葉を私はまだ受け取れません。奪還を成功させ、ブラン様に償った後にそれはいただきます。
「ネプテューヌ様、ネプギア様、ノワール様、ユニ様、ベール様、お願いがあります。ロム様とラム様の奪還のために……私に力を貸してください。女神様の手を煩わせるなど女神補佐官としてあるまじき行為ですが、この異常事態故、そんなことも言ってられません」
「頼まれるまでもないことね」
「そうだね、お姉ちゃん! あたしだってやってやるわ!」
「うーん、それはダメかな」
「そうですわね。そんなお願い、私は聞けませんわ」
「お姉ちゃん⁉︎ ベールさん⁉︎ どうして⁉︎」
「だって、貸すっていうのは違うでしょ! みんなで協力して、だよ!」
「みんな仲間なのですから。ギンガだって私たちの仲間ですわよ」
「ネプテューヌ様……ベール様……わかりました、訂正します。皆様、共にロム様とラム様を奪還しましょう!」
「「「「「おー!」」」」」
とはいえ、私如きが女神様の仲間など烏滸がましいです。下僕ぐらいが丁度いいんですけど、まぁそれは今言うことではありませんね。
「それと、このタイミングで聞くのもアレだけどさ、結局何でベールってルウィーにいたの?」
「実は……」
「……? お姉ちゃん、あれ、なんだろう?」
ネプギア様が指をさした先では……ブラン様が何者かのインタビューを受けていました。あの様子から察すると、良いインタビューではなさそうですね。止めに行った方が良さそうです。場合によっては殺………なんでもありません。
*
「つまり? 妹が誘拐されたのはあなたの責任、ということですね?ブランちゃん」
「そ、それは……」
「見てください! 幼女女神はなーーんにも釈明できません! やっぱり幼女に女神は無理です! 幼女は、お遊戯などして伸び伸びと生活するべきなんです! アブネスチャンネルは幼女女神に断固NO!」
現場に駆けつけたのてすが、何ですかこのインタビュー? 聞くに耐えません。あのガキ……いや、見た目はガキだけどあれは割と歳いってますね、私も人のこと言えませんけど。とにかく、あの女を止めなくてはいけませんね。中継もされてますし丁度いいです。女神様に非礼なインタビューをした者の末路として見せしめに殺………なんでもありません。
「こらー! 何やってんのー!」
「何よあなた?」
「私はネプテューヌ、プラネテューヌの女神だよ!」
「あなたも女神ぃ? 外見的に少女と言えなくもないけど……身体が未発達だわ! あなたは幼女! 幼女認定よ!」
未発達? 何言ってるんですかこの女? ネプテューヌ様は変身するとすごいんですよ?
「(ん? 無駄に顔の良い男がいるわね、そうだわ! この男に良さげなインタビューが聞ければアブネスチャンネルの支持率アップ間違いなしよ! それに悪いインタビューでも幼女女神の教会のイメージをダウンさせられるわ!)そこのお兄さんも幼女が女神なんてできないと思いますよね?」
「私ですか?」
「そうです! あそこの緑の大人っぽい女神ならともかく、幼女に女神なんてできないと思いますよね⁉︎」
「うーん、私との年齢差から考慮しますと女神様は全て幼女となってしまいますし……というより、この世の全ての女性は幼女となってしまうので……回答に困りますね」
「……はい⁇」
「あ、ごめんなさい間違えました。この世の全てと言いましたが一人だけ違います」
(何なのこの男? 予想の斜め上どころじゃないこと言い出したんだけど?こんな意味不明な回答聞いたところで意味ないわね……キリのいいところで適当に切り上げようかしら……).
「というわけでまぁなんといいますか、私が幼女女神様? というのを認めない場合、誰も女神様ができなくなってしまうので………っあぁ⁉︎ 今私女神様を『認めない』だなんて失礼なこと言いました⁉︎ すみませんこれ中継されてるんですよね⁉︎ うわあぁぁぁぁああぁぁぁ! 何という失言をしているんですか私は! 万死に値します!」
「え⁉︎ え⁉︎ ちょっ…あ! やめてください! カメラに頭を打ち付けないでください! ちょっと、やめ、やめてえ! もう! 何なのよこの男は⁉︎ 狂人の相手なんかしてられないわ! 撤退よ撤退ー!」
……我に返った私が最初に見たものは、おそらくカメラだったであろう物体の残骸でした。そして次に見たものは……疲労が限界に達し倒れ込んだブラン様でした。
「ブランさん! しっかりしてブランさん!」
「だ、誰か呼んできます!」
「どうしたんだろう」
「今の中継を見てルウィーの国民のシェアが一気に下が……いや、あの中継途中からとんでもないことになってもはやルウィー関係なかったわね……」
「シェアのせいじゃないと思うわ、たとえあの中継のせいだとしても影響が出るのが早すぎよ」
「じゃあ……」
「とりあえず、ブラン様はベッドに寝かせておきましょう。私が運びます」
私如きが女神様に触れるなど烏滸がましいですが、この状態ではそうも言ってられません。失礼しますブラン様。
……それにしてもあのメイドさん、気配が普通のメイドさんと違うような? ブラン様に近い場所で働いているということはおそらくメイド長さんなのかもしれませんね。そして、メイド長さんというものは普通のメイドさんと纏う気配が違うのでしょう。
「皆さん、方法がありますの、ロムちゃんとラムちゃんの居場所を突き止める」
「!」
……おそらくその方法というのは、ベール様がルウィーにいた理由と関係している、ということなのだと私は推測します。
*
ルウィーが飛ばしていた人工衛星から送られる低解像度の画像をリーンボックスのソフトウェアで高画質にする。その技術を利用し上空からロム様とラム様、そして誘拐犯の場所を特定する。それがベール様の言う「方法」とのことです。
そしてベール様は、その人工衛星とソフトウェアの技術をルウィーとリーンボックスだけではなく四カ国で共有するという情報の公開のために、ルウィーに来ていたようです。ベール様とブラン様の心遣いに感動し平伏したかったのですが、今はそれよりもロム様とラム様の奪還が優先です。
……実を言うと私もその人工衛星の存在は友好条約締結以前から知っていたのですが、当時、プラネテューヌのプライバシーのために撃ち落とそうかと悩んでいて、結局やらなかったんですけどマジでやらなくてよかったです……
ベール様がそれらを使い素早くその位置を特定しました。そこは、スーパーニテールランドの建設中のアトラクションとのことです。誘拐された現場から意外と近くでしたね…灯台下暗しというものですか。そして、奪還は夜に開始することになりました。
*
「これから、ロム様とラム様の奪還作戦の内容を説明します。作戦フェーズは3まであります。まずはフェーズ1、ベール様が正面から突入します。いきなり大人数で入り込むことで誘拐犯を刺激しないようにするため、フェーズ1は最低限の人数、つまりベール様だけで行います。フェーズ1では敵の排除より人質の救出を優先してください」
「かしこまりましたわ」
「そして人質の救出が確認されたら、もしくは救出に失敗しても、フェーズ2です。ノワール様とユニ様によって内部の敵を殲滅します。しかし、フェーズ1が失敗していたら引き続き優先は敵の排除ではなく人質の救出でお願いします。あ、排除とか殲滅とか言いましたが、敵はなるべく捕獲してください」
「了解よ」「はい!」
「ギンガ、私とネプギアは?」
「フェーズ3……ですか?」
「はい、フェーズ3です。フェーズ3では、私とネプテューヌ様とネプギア様で敵の退路を塞ぎます。フェーズ2までで人質の奪還と敵の排除が完了したならフェーズ3は必要ありませんが、それでも念のため警戒は怠らないようにしましょう。それでは、作戦開始です!」
まずはフェーズ1、ベール様が突入していきました。まず、自身と人質の交換を申し出て、ロム様とラム様を解放させるとベール様は言っていました。上手くいくといいのですが、いえ、ベール様なら上手くやってくださるでしょう。
\レイニーラトナビュラ!/
\いやぁぁ〜〜〜!/
……⁉︎ 誘拐犯のモンスターがロム様とラム様を抱えたまま吹っ飛んでいきましたけど⁉︎ ベール様、いえグリーンハート様何してるんですか⁉︎ フェーズ1という初っ端から人質ごと敵がいなくなるというパターンは想定していませんでした。……どうしましょう。
\レイシーズダンス!/
\やっぱりダメすかー!/
ノワール様……ブラックハート様の声が聴こえたと思ったら、吹っ飛んで行く敵の構成員が見えたんですが⁉︎ 捕獲するように言ったはずですけど⁉︎ すごいですね、作戦が何一つ想定通りに進みません。
\テンツェリントロンペ!/
\幼女バンザーイ!/
遥か彼方から聞こえるこの声は……やはりブラン様、いえホワイトハート様は来てくれましたか。ロム様とラム様が誘拐されたのにブラン様が何もしないなどあり得ませんしね。ブラン様ならきっと、いえ、絶対にロム様とラム様を助け出せたでしょう。作戦なんてもうあったものではありませんが、さて、私も果たすべきを果たすとしましょう。
「ネプテューヌ様、ネプギア様、申し訳ありませんが、少しお花を摘んできます」
「え? 花? ギンガにそんな可愛らしい趣味あったっけ?」
「お姉ちゃん、違うよ。あとギンガさんも違いますよ。その言い回しは男の人はしちゃいけないんです」
「あ、そうなんですか? 浅学なのがバレましたね。とりあえず行ってきます」
*
「……アックック、あんなに活きがいい幼女など始めて見た! いつかぺろぺろしてやる……! 幼女が育たないうちに!」
「させると思いますか?」
えーとですね、まず、ベール様の……グリーンハート様の攻撃パターンからこいつが吹っ飛ばされる地点を推測し、そしてそこに現れるであろうブラン様……いえホワイトハート様の攻撃パターンからさらにこのモンスター…モンスターですよねこれ?会話ができるぐらい知能の高いモンスターは珍しいですね。今の言動やロム様とラム様を誘拐したことからして、どうやらこのモンスターはロリータコンプレックスのようです。ロリコンのモンスター……ゲイムギョウ界は広いものです。
話が逸れましたが、そういうわけで私はこのモンスターが吹っ飛された地点を推測し、そこに回り込んだわけです。
「ん? 誰だお前は」
「女神様を誘拐するような愚かな塵屑に名乗る名などありません」
「そうか、男に興味などない。今すぐ消えるがいい! 俺は今機嫌がいいから見逃してやろう」
「……お前状況わかってんのか? 見逃すか見逃さないかを決めるのはお前じゃねえんだよ」
こいつ以外周りに誰もいねえし、こんな塵屑に対して丁寧な言葉使いをする必要もねえな。それに俺は初代プラネテューヌの女神様との約束で、仕事中はできるだけ丁寧な言葉使いをすることと、一人称を「俺」から「私」にするようにしてるわけだが、これは仕事じゃなくて俺の個人的な憂さ晴らしだしな。
「……今からお前を二度とあんなことができねえように徹底的に痛めつける。俺は殺したくてしょうがねえが、女神様は慈悲深いからお前みたいなやつでも殺すなって言うだろうからな。お前は地獄のような苦痛を味わうことになるが、絶対に殺さないようにするから安心しろ。その代わりそれが終わったらお前が正気を保てているかは知らねえがな」
「ふん、人間如きがこの俺に勝てるわけないだろう!」
「確かに俺は女神様より弱えよ。けど、お前如きの相手なんて俺で充分だ。覚悟しろよ。さっきも言ったが殺しはしない。だが、お前がこの先の人生で二度と泣いたり笑ったりできなくしてやる……!」
あいちゃん、技を借りるぞ。
……『魔界粧・轟炎』!
「ぬっ……っ! ぐ、ぐわぁぁああああああ!」
「そうだ苦しめ、死にそうになったら回復してやる。回復したらまたやるけど……な!」
「……』
……終わったな、思ったより時間かかっちまった。女神様たちの攻撃で吹っ飛ばされてもピンピンしてただっただけあって割と頑丈だったからなこいつ。
……さて、ネプテューヌ様たちの元に戻るとしましょうか。女神様にトイレに行くと言って「嘘をついた」のは死罪級の非礼ですが、糞尿の処理という点では間違っていないので許されるでしょう。
「あ、ギンガおかえりー! あれ、お花は?」
「だから違うってお姉ちゃん……」
「お待たせしました、どうやら全て終わったようなので、私たちもルウィー教会に戻りましょう」
「うん!」 「はい!」
*
昨夜はルウィー教会に泊まらせてもらい、その翌朝、ブラン様が昨日のご自身のことについて話してくれました。……やはり寝不足だったんですね、最初から私はわかっていましたが。
「えー? 寝不足ー?」
「ここのところ徹夜続きであなたたちと向き合う余裕がなかったの、それなのに、ロムとラムを助けてくれてありがとうベール、ノワール。ネプテューヌも中継の時私を庇ってくれて」
「なんのなんの、ていうか中継を台無しにしたのはギンガだし」
「ギンガもありがとう。そして、ごめんなさい。あんなこと言ってしまって」
「いいえ。私こそ、申し訳ありませんでした。ネプテューヌ様には止められているのですが、腹を切ってお詫びしたいです」
「ちょっとギンガ! ダメって言ったでしょそれ!」
「そうね、絶対にやめて。その代わり……といってはなんだけど、ロムとラムに『あること』をあなたから言ってくれないかしら?」
「私から……ですか?」
「多分私から言うよりあなたから言う方が効果があると思うの」
「そうですか、わかりました。では、『あること』というのは?」
「今から教えるわ、あの子たちも女神なんだからってことよ」
……成る程。私から言う方が効果があるというのは私を買い被りすぎですが、確かに大事なことではありますね。ちゃんとお伝えしてきます。
*
「ロム様、ラム様、この度は本当に申し訳ありませんでした」
「え? ギンガさん何か悪いことしたの?」
「したの……?」
「え? いや、その」
「変なギンガさん。それよりも一緒に遊ぼうよ!」
「ギンガさん……遊ぼ?」
「……お待ちください。ロム様、ラム様、一つだけ、よろしいでしょうか?」
「なーに?」「なに……?」
「今回の件、ロム様とラム様は確かに怖い思いをしたでしょう……ですが、幼いとはいえロム様もラム様も女神様なのです。降りかかる火の粉は自らの手で払い除けられるようにならないといけません」
「「……」」
「今よりずっと未来のことですが、いずれロム様とラム様はこのルウィーを守る女神様になるのですから」
「……ねえギンガさん」
「何でしょうか?」
「わたしたち……強くなりたいな。お姉ちゃんに心配かけないように、お姉ちゃんに追いつけるように」
「だから……たまにルウィーに来てわたしたちに色々教えてください……!」
「かしこまりました」
それを言った時のロム様とラム様は、幼い子供ではなく立派な女神様としての面構えでした。あなたたちは強くなれます、きっと私如き簡単に超えていくでしょうね。
その後、イストワールから私に急な仕事の連絡が入り、ネプテューヌ様とネプギア様よりも先にプラネテューヌに戻ることになりました。
「えー? ギンガ、先帰っちゃうのー? 仕事なんかサボっちゃいなよー!」
「そういうわけにもいきません。私もネプテューヌ様と一緒にいたいですが、仕事をサボってしまうと更に一緒にいられなくなってしまいますので」
「ねぷぅ……」
「ギンガさん、さっきロムちゃんとラムちゃんとどんな話してたんですか?」
「うーん、大したことではありませんが……お2人の覚悟……ですかね?」
「覚悟かぁ……」
「はい。では私はこれで、本当は他の皆様にもゆっくり挨拶していきたかったのですが……割と急なことらしいので……それでは、行ってきます」
「「いってらっしゃーい!」」
女神様に送り出してもらえるなんてゲイムギョウ界一の幸せものですね私は。
……ブラン様が寝不足なのは最初からわかってはいましたが、何故ブラン様が寝不足だったのかは結局わかりませんでしたね。まぁおそらく、衛星写真の件で忙しかったのでしょう。
\ラム、その本に落書きはやめて!/
\それは私が……徹夜して書いた本だからだ!!/
\読むなぁあああーーーーー!/
ーーーーーーー『違和感』。
なぜ、居住区と隣接しているラスーネ高原ならまだしも、元々モンスターの生息地で人が立ち寄らないはずのトゥルーネ洞窟がクエストの範囲だったのでしょうか。モンスターというのは自らの生まれたところに留まるので、トゥルーネ洞窟にどれだけモンスターが増えようが人々の暮らしには関係はありません。
なぜ、ロム様とラム様の誘拐がこんなに目立って行われたのでしょうか。誘拐なんてものは実際はもっと隠密に行われるものだというのに、今思えばあの犯行は、誘拐を大々的に取り上げさせ、教会の人員のリソースをあえて大幅に割かせるような不可解さがありました。あのメイド長さんの気配が少しおかしく感じたのもそれに関連することだったのかもしれません。
そしてなぜ、昔の私なら見逃さなかったようなこの『違和感』を、今の私は見逃してしまったのでしょうか。
嗚呼、本当に不甲斐ない。『平和の弊害』というものを自覚していたつもりだった私も、結局平和に気が緩み切っていたのです。たとえ女神様が油断をしても、私は油断してはいけなかったというのに……
私が、その『違和感』を見逃したせいで、あの事態が起こってしまったわけですが……おっと、これはまだ皆さんにとっては少し未来の話でしたね。
本編2話の内容が終わりました。そして3話から5話はついに女神候補生の覚醒で、個人的に1番やりたかったところとなっています。
普段は一人称が「私」のキャラが、本性を露わにすると「俺」になるのが好きです。
マクギリス・ファリドとか。