絶対守護 ヒーロー嫌いのヒーローアカデミア   作:ひよっこ召喚士

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投降です。普段より長めです。
途中で区切るべきだったかと悩みながらの投稿です。
まあ、とりあえず読んでみてください。


17 雄英体育祭②

 飛び上がって空中に居た私は、A組の居る場所へといつもの入れ替えで瞬間移動して降り立つ。先ほどまで会場の中心にいた私がいきなり現れたことで周囲はまだ騒がしくなった。

 

「瞬間移動か!?」「それなら浮き上がってたのは何だよ」「凄い注目度ですね。あの人と組めたら私のベイビーの宣伝効果アップ間違いなしです」「複数の個性か、それとも応用の利く個性なのか」「調子に乗ってる奴だな」「あれがヒーロー科、いやA組か」「他のクラス全部を敵に回すとか、馬鹿だとしか思えないね。首席とかもてはやされて頭おかしくなっちゃったのかなぁ?」「うるさい、黙ってな。このアホの味方する訳じゃないけど、あれはやりすぎでしょ」「売られた喧嘩は買うまでだ。挑戦させてもらうぜ、山稜」「暑苦しいノコ」「・・・・・・」「あれに勝てるのか」「努力か……強個性だから言えるんだろ」

 

 周囲に注目に対して耳を傾けはするがそれだけで、彼らに対して何かすることは無い。伝えたい事を伝えたのは私の勝手で、受け取った側が何を思うのかはそちらの勝手、挑むも挑まないも、決めるのは向こうなのだからこれ以上奴事は無い。

 

「山稜、何してくれてんだよ。俺達へのヘイトもメチャクチャ高くなってるぞ」

「テメェ、このチビ女。一人だけ目立ちやがって」

「山稜君、宣誓の場で他のクラスに喧嘩を売るというのは問題行動が過ぎると思うぞ」

「まままあ、やっちゃたものはどうしようもないんだしさ」

「周りからくる視線が凄いよ」

「ある意味お祭りっぽいのかなぁ?」

「バカ騒ぎって言う意味なら近いかもな」

 

 A組の面々からの言葉には良い笑顔で返すだけに留める。真面目な話をするにしても、あれだけ特訓したA組の評価としては適していなかったし、妙な評判で色眼鏡で評価されちゃあ溜まったもんじゃない。A組を舐めるなと言ってやったわけですよ。

 

「はは、さて全員準備は良いよね?」

「かき回すだけかき回して準備も良いも無いだろ……」

「準備は良いよね?」

「おい」

 

 心操のツッコミに関してはノーコメントで突き通すと全員から苦笑いが返ってきた。うんうん、一体感のある良いクラスとはこういうのを言うのだろう。

 

「あれだけの事を言っちゃったからねぇ。私は全力でやるつもりだよ。それにみんなも着いてきてよね?」

 

「ハッ、何でお前が先頭なんだ。お前をぶっ殺して俺が一番だって証明してやるよ」

「おいおい、A組内で争うなよ」

「切磋琢磨と言うには少し物騒ですが、良いのではないでしょうか」

「八百万がだんだん過激な思想に染まっていく」

「いえ、許容したわけでは無いですが、A組らしいのではと」

「これで負けたら俺らも笑い者だし、いっちょやるか」

 

 

『計11クラス全員参加のレースよ。コースはこのスタジアムの外周約4km!わが校は自由が売り文句、コースを守りさえすれば何をしたってかまわない!さぁ、位置に着きなさい!』

 

 スタートを知らせるランプの有るゲートの前に全員が集合する。経営科は後ろへ回り、サポート科はアイテムの調子を確かめる。普通科は作戦を練っているようで、B組の半数はこちらにガンを飛ばしている。ゲートで転倒しているランプが一つずつ消えて……

 

 

『スタート!!』

 

 

 ミッドナイト先生の合図と共に全員が限られたゲートから会場の外へ出ようと殺到した。科やクラスなど関係なしのごちゃ混ぜ状態でもみくちゃになっている。これではスタートしたくても出来ないというグダグダな状態になるが、そろそろ誰かしら仕掛ける頃かな?

 

「なるほど、団子状態の今なら一番効果的か」

 

 地面にラインを引くように氷の線が放射状に広がるのを見て、A組、B組の一部に加えて勘の良い者はその場からどうにかして逃れるために、範囲外か空中へと移動する。

 

氷線掌縛(ひょうせんしょうばく)

 

『おおっと!!ここで仕掛けたのはA組の(とどろき)焦凍(しょうと)だ。団子になってた奴らの腰位までを一気に氷で覆っちまったぜ』

 

『個性や持ち物次第では抜け出せるだろうが、時間が掛かる。そして打つ手が無い奴は体の半分近くが埋まっちまったとなればリタイアするしかない。状況的にも適している良い手だ』

 

「あの状況で炎を使う訳にもいかないだろうけど、やっぱり氷の方が練度が高いねぇ」」

 

 氷の線を作り出し、冷気の道を作り出す事で氷を作り出す範囲と威力を大幅に上げるという特訓で編み出した轟の新技である。状況次第では線を増やしたり、太くしたり、範囲を狭めたりと諸々の調整が出来る。今回は広範囲を素早く凍らすために使ったようだ。

 

 氷の線を作り出す分だけ技の発動に遅れが出るのではないかと思うだろうが、冷気が伝わりやすいので凍り付く速度は上がっており、氷の範囲が広がるのでむしろ捕まえられる人数は増えている。氷で冷やした身体はそのまま炎を用いて飛び上がり進んでいく過程で温まるだろう。

 

「危なかったわ。脇に逸れてて正解やったね」

「ふむ、駆け出すのが遅れていたらやられていた事だろう」

「酸の反応でどうにか溶かせたかな。腰まで来てたら流石に抜け出せなかったけど、セーフ」

 

「ひぃぃ、A組容赦がねえな」

「様子見していて正解か」

「ライバルが減ったんだ。むしろ感謝しよう」

 

「ふふふふ、私のベイビーに掛かればこれ位の氷、簡単に粉砕です」

「こっちの奴、溶けた水入り込んで変な音出してるよ」

「えっ?」

 

ドガァン

 

 

 後ろの方が勝手に自爆しているのが見えたが、爆発の原因であろう製作者が無事で周りの連中がダウンしていた。というかある程度氷が解けていたから良かったが、凍り付いたまま爆発してたら下手しなくとも身体も粉々になるぞ。

 

「無理に抜け出そうとしたら自分が傷つくだけだぞ」

 

 そう思っていたらこの状況を作り出した本人からの忠告が投げかけられた。その本人は既に結構先まで進んでいるようで、状況が落ち着いてきたところで実況が挟まる。

 

『いち早く察知できた奴が先頭を進んでいく、個性で抜け出した奴と様子見して離れた奴がその後を続いて行くぅ。そして後ろにいたおかげで難を逃れた連中もぞろぞろと出てくるぜぇ。さあて、このまま楽に進めると思うなよ。最初に待ち受けるのは入試にも使われたロボ軍団、第一関門ロボインフェルノだ!!ここを越えねぇと先には進めないぜぇぇぇぇ!!』

 

『氷に閉じ込められている奴ら、抜け出せない様ならそろそろリタイアすることを進める。凍傷になって足が腐り落ちても助ける事は出来ないからな』

 

『恐ろしい事を淡々と伝えてやるなよイレイザー!?氷に掴まってる奴らが必死の形相で助けを求めだしたぜ』

 

『事実命の危険が無い限り、リタイアを宣言するまでは手出しはしない規則だ。足が腐り落ちても死にはしない』

 

『正論だからこそシビィぜ。お前ら無理だと思ったらすぐにリタイアしとけ』

 

 漫才の様なやり取りをされると気が抜けそうになるかとも思うが全員が目の前の事に注目してるため関係ない会話は出場者の耳には届いていない様だ。それはさておき、襲い掛かるロボの群れとも言うべき者達は文字通り選手たちの壁となっているが、一部の者たちには障害と認識されていない。

 

「あれは入試の時の0ポイントか」

「小型のもいるが、大型があれだけいると圧巻だな」

「それにしてもあの数、下手すれば入試より多いぞ」

 

「あれを壊して進むのは僕には厳しいか、なら駆け抜ける『レジプロバースト』」

「戦ったら時間のロスだ。『フルカウル』30%」

 

 ロボと直接の戦闘を避ける様にロボとロボの隙間をロボの攻撃を掻い潜りながら、いやロボの認識さえも置き去るような速度で駆け抜ける。

 

 飯田はトルクオーバーを引き起こす事でトルクと回転数を無理やり底上げして、爆発的な超過速を生みだす事で一気に走り抜ける。元々は10秒ほどしか出来ず、使用後はしばらくエンストしていたが、今では5分程度であれば反動無しで使える。それ以上使ってしまうとやはりエンストするのだが、使って休んでを繰り返せば殆ど最高速で走り続けられる。

 

 緑谷は制御できるようになったフルカウルを用いて超スピードで走り抜ける。初速では全身が強化されている分のパワーがあるので飯田より緑谷の方が速い。そのうえでオールマイトの動きから学び、自分の動きに取り入れた『ニューハンプシャースマッシュ』、進行方向とは反対の空中にパンチを放つことで加速や方向転換を行っている。速さに幅はあるため直線なら最高速度で飯田に負けるが、障害物がある状況であれば緑谷の方が速い。

 

「上から行けば関係ない『炎翼(えんよく)』『氷熱炎迅(ひょうねつえんじん)』」

「はっ、障害にすらなんねぇよ『爆速ターボ』」

「ふっ『深淵闇躯(ブラックアンク)』そして『形態(モード)黒翼(ダークウィング)』」

〈ソラヲイケルノハオマエラダケジャネエゾ〉

 

 それぞれ個性を用いて空を飛び、ロボの上を取る事で安全に進むことが出来ている。

 

 轟は炎を推進力とし、氷と炎の温度差による気流の発生で制御している。

 

 爆豪は爆発による反動と爆風をそのまま推進力にして、小さい爆破を繰り返し制御している。

 

 常闇は黒影(ダークシャドウ)を身に纏う事でフィジカル面を上昇させる『深淵闇躯』を使い、そのうえで身体の闇を少し薄くする必要があるが翼を展開することで自由に飛ぶとまではいかないが、地面を蹴って飛び上がり、滑空することが出来る。大きく飛び上がる際は自身で飛び立つ必要があるが、少しであれば翼を動かす事で上下左右に動く事は出来るので、高度が落ちる事は無い。ちなみにマントなどの遮る物があろ、闇を自由に使えればもっと自由自在に飛ぶ事も出来るだろう。

 

「けろ、足場は十分ね」

「テープも引っ掛けやすい」

「おいらだって行けるぞ」

 

 空を飛ぶ事こそ出来ないが個性の使い方によってはロボを飛び越える事も可能である。

 

 蛙水は強力な脚力を活かしたジャンプと長い舌を用いたロープアクションのような動きでロボからロボへと飛び移って行く。それに合わせて足腰も丈夫にできているので着地の心配も無用である。

 

 瀬呂はテープの貼り付けて巻き取るという動作を繰り返す事でロボとロボの隙間を素早く移動している。ロボによる妨害の際には張りつけていないもう片肘のテープを即座に巻き付けてコース変更をしている。降りる際にはテープを一気に伸ばして降り立っている。

 

 峰田はモギモギ同士をくっつけてロープの様にしたり、モギモギをロボにくっつけてその部分にぶつかる事で撥ねるという動作を繰り返して跳ね回っている。ピンボールの様にロボの隙間を飛び交い、着地の際にもモギモギを地面に投げる事で衝撃を無くしている。

 

「浮かして飛ばす。浮かして飛ばす」

 

 麗日はロボに触れた傍から投げたり、殴ったり、蹴とばしたりして自分の道を確保している。余裕がある時は向かってくるロボに対してぶつかる角度で飛ばしている。

 

「『オクトフック』」

 

 障子は複製腕を全て手に変えてラッシュする『オクトブロー』と違い、体を捻りながら全ての複製腕を振りかぶり、勢いをつけて一点を連続して殴りつける。目の前のロボはそこまで硬いという訳では無いがそれなりに厚みがあるため実際に破壊しようと思えばそれなりの力が必要となるので、目の前の障害を破壊するのにこの技を選んだようだ。

 

「『キャントストップトゥインクイング スーパーノヴァ』まとめて貫かせてもらうよ」

 

 青山は打ち続けると腹痛になってしまうのでエネルギーを貯めて一気に射出することで目の前のロボを一掃した後で、観客席の方にウィンクをしてから、悠々と走り出した。

 

「ただ溶かすんじゃなくて、接合部分をくっつけちゃえ『アシッドスナイプショット』」

 

 芦戸は生成した酸を弾丸の様に飛ばして攻撃しているのだが、ピンポイントで狙いたい場所へ()()()酸をぶつける事で時間のロスを減らしている。行動不能にするのであれば一部を溶かして、固めてしまえばいいのだ。

 

「『俺は速い、疲れることも無い』」

 

 心操はいつも通り自身に暗示をかける事で限界以上の力を引き出し、ロボを掻い潜って走り続ける。個性以外、特に身体面は無個性と変わりないため、強化はされているがその方法は単純に避けて走るだけである。

 

「アイテム禁止だが関係ねぇ。『局所帯電』からの『ボルトショック』」

 

 上鳴は武器が無ければ自由に遠距離攻撃を繰り出す事は出来ないが、体の一部、今回の場合は両腕のみに電気を集中させることで普段以上の電力で攻撃することができ、そして脳のショートを防ぐ。直接触れなければ攻撃できないというのは難点ではあるがロボ相手であれば無双が出来る。

 

「個性も使いようって事だね。『尾閃跳打(びせんちょうだ)』」

 

 尾白は尻尾を思い切り地面に打ち付ける事で跳ね上がる勢いのまま前へ前へと進む。武術を学んできたことにより鍛え上げられた体幹により、姿勢を保って無駄に勢いを消費することなく、ロボの足元を飛び交う様に進んでいる。

 

「ロボが何だ。俺の方が硬いぜ『安無嶺過武瑠怒履瑠(アンブレイカブルドリル)』」

 

 切島は自身の持ち味である硬さを活かすために、体を硬化させたまま素早く動く事に力を入れていた。硬さをそのままに勢いをつけてロボにぶつかる事でロボを破壊しながら進み続ける。今は完全に突破するためには回転を加えなければならないが、目標とするのは走るだけで目の前の物を破壊するぐらいの硬さと速さである。

 

「サポート科に通った甲斐がありました『合体創造』」

 

 サポート科で作られるサポートアイテムの数々は実際に現場で使われる事を想定されて作られた物ととてもじゃないが使えない物とあるが、部分部分であれば使える物もある。それらの構造を理解することでアイテム同士を掛け合わせた状態で創造させた。現在は体の保護を目的とした補助スーツ、顔の保護を目的としたヘルメット、そして極めつけは強力なエンジンとドリル付きの見た目からしていかついバイクである。以前の個性把握テストで作った物は既存のバイクであったが、今回用いるのはリスクを度外視したオーバーパワーバイクである。颯爽とバイクにまたがると一気に加速してロボを粉砕しながら駆けていく。

 

「ふん、『ハートビートレゾナンス』」

 

 耳郎はロボにプラグとなった耳たぶを挿し、自分の心音を増幅してぶつける。それを左右のプラグで同時に行い、内部で反響、共鳴、共振させることで一気に破壊する。同時に挿さないといけない事と反響させるために挿す場所を調整する必要がある事、心音を一定に保たないといけない事などなどの難点の多い技ではあるが、その破壊力は巨大ロボを中心から粉砕するレベルである。

 

「『無音歩行(サイレントウォーク)』」

 

 葉隠は足音を一切立てない様な足運びで他の選手にロボが注目している内に死角を見抜いてするりと周囲の戦いに巻き込まれない様に突破する。

 

 

『ああ……あの程度じゃ障害にすらならねえか』

 

『第一種目の首位はって、殆ど大差がねえな。A組の面々が楽々とロボインフェルノを突破ァァ!!』

 

『少し遅れてだがB組と一部の普通科とサポート科も来てるぞ』

 

 

『双大拳・撃』

磔刑(クルセフィクション)終身(フィニッシュ)

『ガオンレイジ・メテオ』

『サンダーホーン・タワー』

『インパクトストック解放(ファイア)

 

 B組ではあるが途中から特訓に参加した面々である。初めに委員長である拳藤(けんどう)が加わり、塩崎(しおざき)宍田(ししだ)角取(つのとり)庄田(しょうだ)と段々と増えて行った。他のB組の中にも参加したがる者はいたのだが生憎と予定が合わなかったのだ。ちなみにその面々というは黒色(くろいろ)小大(こだい)小森(こもり)鉄哲(てつてつ)である。物間(ものま)は断固として反対し、一緒に特訓しようとしている面々について信じられないと吐き捨てていた。

 

 

『おおっと、A組以外にも侮れない奴らが多いぜぇ!!っとそんな事行ってる間に先頭は次の関門へと差し掛かってきたぜ。第二の関門はザ・フォール!!落ちれば即アウト、それが嫌なら這いずりな!!』

 

 いよいよ先頭の集団が第二の関門へと足を踏み入れた。そこへと姿を現したのは巨大な峡谷のように大口を開けている地の底へと向かっているような真っ黒い闇、下を見れば引きずり込まれそうなほどに深い深い谷。切り立った崖のような足場とそれらへと架けられているロープの橋渡し。つまり、ロープを綱渡りの要領ので渡っていく事で奥へと進んで行けという事になる。

 

『まあ、あいつらには関係の無い話だな』

 

 飛んで進んでいる3人はロープを使うことなくそのまま真っすぐ進んでいく、最高速度で走って戦闘争いをしている二人はロープの上をそのままの速度で走り抜ける。ロボを跳び越えていた面々も個性を用いて同じ要領で進む。

 

 問題は他のメンバーであるが、麗日は自分の身体を無重力にして一気に飛び越えた。障子は普通に走るより複製腕を使った方が速いと考え、複製腕でぶら下がって雲梯の様にして進んだ。尾白は落ちそうになったら尻尾をロープに巻き付けて命綱にする。八百万はバイクに飛行ユニットを取り付けて飛んで行ったが、地面を走るのと比べて結構遅くなっている。

 

 それ以外のメンバーは普通にロープを渡って行った。一応心操は絶対に落ちないと暗示をかけていたが、関門を乗り越える速度への貢献はあまりないので考えないものとする。

 

『さぁあて遂にやってきた来たマジで来た!!これが最後、即ちファイナル!!ラストの障害!その先は一面地雷原!!他にもトラップあるかもな!そこは正しく紛争地帯!!強いて言うならば怒りのアフガン!だけどeverybody もし踏んでも安心しな、競技用だから威力は控えめで殺傷力はマジ皆無!!だが音と爆発は派手だから失禁しねぇように精々気を付けやがれってんだYAAAAHAAAAA!!!!』

 

『誤差ではあるが先頭から緑谷、飯田、爆豪、轟、八百万、常闇、その後に続いているのが瀬呂、蛙水、塩崎、角取、麗日、峰田、その後がA組+B組数名、更に後ろにB組とサポート科1人に普通科が2人か、最初の関門に時間をかけてない分A組がリードしてる印象だが追い上げてきている奴も多い』

 

『まだまだこの先分からねえぜ。最後の関門を終えた後に誰が1位に輝くのか、こっから先の順位変動には注目しとけぇ!!』

 

『……』

 

 マイク先生のコメントに対して何か思う所があるのか相澤先生は何も言わずにマイク先生の方を見た後にそっと目を逸らした。マイク先生に対してどういう思いなのかは分からないが、後でどうなるのか楽しみである。

 

 地雷原に関してはよく見れば分かるため即時に判断が出来ればスピードを落とす必要性は無い。そのまま緑谷と飯田で戦闘争いかと思われたが、それをよく思わないのが爆豪である。

 

「テメェ、クソデク俺の前を走るんじゃねぇ。オラァ!!」

「かっちゃん!?デラウェアスマッシュ!!」

「くっ、爆風がこちらにまで」

「半分野郎、テメェもシレっと抜かそうとしてんじゃねぇ」

「ちっ、氷壁(ひょうへき)

「闇の翼が爆風で煽られるか」

〈ハシッタホウガヨサソウダゼ〉

 

『おおっと!!ここでA組の爆豪が仕掛けた!!』

『直接攻撃されてない奴らも余波で足止めか』

 

 爆豪が緑谷に攻撃している間に通り抜けようとしている轟、しかしそれをすぐに察知すると轟の飛行を邪魔するように爆発を喰らわせる。咄嗟に防御したは良いが下に降ろされる。飯田は緑谷と爆豪のぶつかり合いによる爆風に煽られ速度を落とし、常闇は爆豪と轟の衝突で降りざるを得ない状況となった。

 

「バイクを置いて居たら遅れましたわ」

「けろ、迂闊に舌を伸ばせないわね」

「テープをくっつける場所がねぇ」

「ここでモギモギは使えねぇ。ちくしょう」

「あそこにインするのはキケンデース」

「無重力だと爆風で吹き飛んじゃう」

「茨は防御だけに使うべきでしょうか」

 

 争っている内にまだ距離があるとはいえ後続の集団が追い上げてきている。既にあまり時間が無い状態、地雷原という事もあり、消極的な戦いで誰も大きく抜け出せずにいた所に緑谷が賭けに出た。

 

「『ニューハンプシャースマッシュ』『テキサススマッシュ』」

 

『A組の緑谷!?争いから飛び出したと思ったらまとめて地雷を発動させたぁぁぁぁぁ!!』

『誘爆の事を考えると一か八かの賭けに近いが自分より後ろの地雷を爆発させることで自分が前に進み、他への妨害を行う。まあ、悪くない手だな』

 

 飛び出してきた緑谷はそのまま『ニューハンプシャースマッシュ』を繰り出して姿勢を正すと、そのままの勢いでゴールまで走り抜けた。その後で、戦いを中断した戦闘集団が後を続く様にゴールへと駆け抜けていったが、爆発で止まっていた時間が長く、後続の集団も入り乱れてのデットヒートとなっている。

 

『思い切った手で他の奴らを出し抜いて今ゴールしたのはA組の緑谷だぁ!!決して大きくないその体からあふれ出る超パワーを駆使して見事1位を掴み取ったぁぁぁ!!』

『はぁ……あれを見ろ』

『ん、どうしたイレイザー?』

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

「緑谷、お疲れ。水飲む?」

「うん、ありがとう、山稜さ…ん……!?!?!?!?!」

 

 声にならない叫びと言うのはこういうのを言うのだろうか、水を受け取ろうとして伸ばしたてが止まり、私の顔を二度見してから固まって、口をパクパクと開閉しているが漏れ出るのは声になってない空気だけである。

 

 2位以降の面々も続々とゴールして言っているが、会場の殆どの人間が私の方を見て疑問を浮かべている。それは他のゴールした者達も例外ではない。

 

『はあ!?山稜の奴、何でゴールに居るんだ!?っていうかあいつ競技にいたか!?開会式の後から見てなかったからすっかり忘れてたぜ!?』

『会場の奴らも含めて、全員がそれぞれの関門での戦いに夢中になっていたから気づけていなかったが、お前が先頭集団と呼んでた奴が第二関門に差し掛かったあたりでもうあいつはゴールしていた』

『はぁぁぁぁぁぁ!?そんな前に誰にも気づかれずにゴール何て出来るのかよ?長距離の瞬間移動は禁止だぜ』

『瞬間移動はしてない。俺もあいつがゴールする少し前に手を抜いてくれなければ気づけなかっただろうな。山稜お前がどうやってゴールしたのか見せてやれ』

 

「了解しました。『ステルス』解除」

 

 私が個性を解除すると、障害物競走のコースに沿う様に『プリズム』で作られたレーンとでもいうような物が現れた。そして、その終着地点であるゴールには小柄な私がぴったり収まりそうな『プリズム』製のボールも置かれている。

 

 実演して見せて上げるために私はボールに乗り込んだ。そうするとボールを勢いよく回転させるとレーンに沿って、かなりのスピードで走り出した。レーンの方も『プリズム』で作られているのでそちらも合わせる様に回転しているため、かなりのスピードが出ている。

 

『あいつはスタートした後に自分用のコースを作って、そこを誰にも邪魔されずに通ってゴールしたわけだ』

『そんなの、ありなのかイレイザー?』

『コースを外れていないし、瞬間移動もしていない、ルールの範囲内だ』

『実況としては盛り上げにかけるからこっそりゴールは認めたくねえが、まさかのどんでん返しという事で話題性としては十分だし、良しとしよう。誰にも気づかれずに美味しい所を頂いたまだまだ謎が多い首席ガールこと山稜瞳空(さんりょうみら)、宣言した本人なりの成果は見せ付けてくれたぜ!!』

 

 そう言うとまばらにだが私に向けて拍手が送られるが、先ほどまでの激闘を潜り抜けてゴールした緑谷と比べると盛り上がりに欠けるし、人気でも負けているのが目に見えて分かった。

 

「もうちょいちゃんとやるべきだったかなぁ?」

 

 

 

『さて!あとは疲れるからそのままゴール順に表示していくぜ!あとはパスだぜミッドナイト!』

 

 

 1位 山稜瞳空  21位 耳郎響香  41位 取蔭切奈

 2位 緑谷出久  22位 上鳴電気  42位 発目明

 3位 轟焦凍   23位 切島鋭児郎

 4位 爆豪勝己  24位 葉隠透

 5位 塩崎茨   25位 青山優雅

 6位 飯田天哉  26位 骨抜柔造

 7位 常闇踏影  27位 鉄哲徹鐵

 8位 瀬呂範太  28位 砂藤力道

 9位 麗日お茶子 29位 泡瀬洋雪

10位 蛙水梅雨  30位 口田甲司

11位 八百万百  31位 回原旋

12位 峰田実   32位 凡戸固次郎

13位 角取ポニー 33位 円場硬成

14位 障子目蔵  34位 柳レイ子

15位 芦戸三奈  35位 小大唯

16位 尾白猿夫  36位 黒色支配

17位 拳藤一佳  37位 鱗飛龍

18位 宍田獣郎太 38位 物間寧人

19位 心操人使  39位 小森希乃子

20位 庄田二連撃 40位 吹出漫我

 

 

『はいはーい!じゃぁそれぞれ順位を確認しなさい!予選を通過したのは上位の42名!残念ながら落ちちゃった人も安心なさい?まだ見せ場は用意されてるわ。そして次からは本選になるわ!気張りなさい!それじゃぁ第2種目の発表!』

 

 

 ミッドナイトの合図でモニターに表示される競技。その文字を見て観客も生徒達もざわついた。

 

 

『騎馬戦』

 

 

『説明するわ。参加者は2人から4人のチームになり自由に騎馬を作ってもらうわ。基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど…一つ違うのが…先ほどの結果に従い各自にポイントが振り当てられること!振り当てられるポイントは下から5ずつ増えていくわ。そして1位に与えられるポイントは―――』

 

 

 

 

『一千万!!』

 

 

「へぇー」

 

 面白くなってきたと言わんばかりに笑って見せると近くにいた奴らが一歩後ずさった。

 

「山稜、笑い方が悪役そのものだったぞ」

 

 

『この後すぐにチーム決めの時間を15分取るわ!決まり次第本部に報告しなさい?ハチマキをつくるからね!』

 

 さてさて、騎馬を作るのは良いが、私と組んでくれる人いるかねぇ。まあ、楽しくやろうか。

 




という事で、前回までずっと悩んでいたんですが、他の競技で良い物があまり思いつかなかったので騎馬戦にしました。

チーム戦の競技で色々と考えてみたんですが、自力じゃアイデアが出ないでない。これなら諦めて自分で騎馬戦の構成を練った方が早いと思いました。

誰が誰を狙うか、誰が誰と組むかを考えないといけないので次の投稿は遅れるか。それとも先に特訓の際の話を書くか。

今出てる部分までの描写を先に挟んでおこうかな……
どうなるかはとりあえず未定で。

A組は全体的にレベルアップ、B組は特訓に参加した何人だ、ひい、ふう、みい、よ、5人ですね。拳藤、塩崎、宍田、庄田、角取の5人は少し強化入ってます。

鉄哲とか誘われたら普通に参加しそうだったけど、切島との差を表現したかったので除外、物間は性格的に論外、他はあまり知らないという理由でこの5人が選ばれました。

ちなみに主人公である山稜が増えたので1人脱落者が出てしまうのですが、A組と原作A組の砂藤、口田、B組の5人と物間、小大、小森、取蔭、黒色、鱗、そしてサポート科の発目以外からランダムで選びました。A組(原作含む)を残すのは勿論として、物間と発目に関しては今後の構成上除けないという理由がありますが、小大~鱗までは作者の好みで保護しました。

結果、消えたのが、えっと誰だ。
鎌切尖と言う方が残念ながら第一種目で脱落です。
この方が好きな人が居たら申し訳ない。
多少優劣は付けたけどランダムなので許して下さい。

とまあ、いつも通り説明や言い訳だらけのグダグダな後書きももうおしまいです。年内中に投稿できるか微妙なので、一応挨拶を。

読んでくれている方々に多大なる感謝を。
そして、良いお年を。

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